変形性足関節症

変形性関節症
変形性関節症は、関節軟骨の老化や磨耗によって起こる軟骨と骨の進行性の変性疾患です。人間は二足歩行ですから、体重がかかる荷重関節膝関節股関節脊椎、足関節)は、体重がかからない非荷重関節肩関節肘関節手関節)に比べ、変形性関節症の発生を多く認めます。しかし、荷重関節の中にあって足関節は、股関節や膝関節に比べ変形性関節症の頻度は少ないようです。このことは、足関節が形態的に安定した関節で、多数の強靭な靭帯を有し、支持性や安定性に関与する足根骨があるため、足関節にかかる衝撃や負担が少ないためと考えられています。

変形性足関節症は、明らかな原因がない一次性と、明らかに原因がある二次性に分かれます。大半は二次性のもので、下腿骨折足関節果部骨折足関節靭帯損傷踵骨骨折などの外傷(ケガ)、感染後、炎症性疾患後に発生します。中には、麻痺性疾患(脳性麻痺、ポリオなど)や先天性内反足にともなって発生することもあります。

症状:痛みや腫れ、変形、運動障害、歩行障害です。レントゲン検査では関節裂隙の狭小化(軟骨が磨耗している)や骨棘形成(骨のとげ)、不安定性(関節がグラグラしている)などの所見を認めます。

治療:保存的治療(手術しない方法)が原則です。日常生活動作の注意点や肥満に対する指導を行います。リハビリテーションとして物理療法や運動療法として股のストレッチング膝のストレッチング足首のストレッチングアキレス腱のストレッチング股の筋力強化膝の筋力強化足首の筋力強化アキレス腱の筋力強化を指導します。疼痛緩和にアセトアミノフェン、炎症緩和に非ステロイド性抗炎症剤外皮用薬などを処方します。効果がなければトラマドールデュロキセチンを検討します。難治例には、ステロイド注射ヒアルロン酸注射を試みます。なお、ヒアルロン酸注射は保険適応外となっています。また、不安定性を認める症例では足底板短下肢装具の着用を勧めます。

これらで改善されなければ手術的治療を検討します。術式は、靭帯再建術や骨切り術(内反、外反変形矯正術)、人工足関節置換術、関節固定術などが行われます。近年、人工足関節置換術の成績は向上しているようです。変形足関節症は、将来、ロコモへと進みますので要注意です。

 たはら整形外科