変形性肩関節症

変形性肩関節症とは、肩甲骨関節窩と上腕骨頭よりなる肩甲上腕関節の軟骨が変性摩耗し、関節が変形する疾患です。分類として、明らかな原因が特定できない一次性と、明らかに原因のある二次性に分かれます。 症状は痛みや運動障害、関節水腫(関節内に水が溜まる状態)などです。
一次性:他の変形性関節症(変形性膝関節症変形性股関節症変形性足関節症変形性腰椎症など)に比べ頻度はあまり多くありません。それは解剖学的特徴にあるようです。人間は二足歩行です。膝関節や股関節、足関節、脊椎などの荷重関節(体重がかかる関節)に比べ、肩関節は非荷重関節(体重がかからない関節)のため関節面に負担がかかりにくいからだと考えられています。

また、関節窩は骨頭の接触面積は3分の1しかありませんので軟骨の摩耗は少ないと思われます。そのため不安定な関節ですが、大きな関節唇(関節の周りの縁を取り囲むように張付いている線維軟骨で、ゴムのような硬度でリング状に骨頭を覆っており、関節の安定性に関与しています)や腱板、関節包、筋肉、靭帯、腱などが関節の適合性、求心位を高めています。よって、肩関節は他に類を見ない、人体で最大の関節可動域(関節の動き)を有し、常に一定した部位に外力やストレスが加わりにくい構造になっています。このような特徴により、肩関節の軟骨は他の関節より変性の発生が少ないと考えられています。
二次性上腕骨頭壊死上腕骨近位端骨折、感染症(化膿性肩関節炎)などの基礎疾患を有し発症します。鑑別疾患に上腕骨頭壊死や関節リウマチの肩関節症があげられます。

診断レントゲン検査で骨頭や関節窩の変形を認めますので診断は容易です。
治療:保存的療法(手術しない方法)が原則です。肩関節周囲炎(凍結肩)の治療とほぼ同様です。手術的治療は日常生活動作に重度の支障を来たす症例に行われます。術式は滑膜切除術や関節形成術、人工肩関節置換術関節固定術などが検討されます。

 たはら整形外科