上腕骨頭壊死

上腕骨頭壊死とは、上腕骨の骨頭が何らかの原因により血行障害を起こし、骨組織が壊死する(死んでしまう)疾患です。原因が特定できない特発性上腕骨頭壊死と、明らかに原因があり二次的に発生するものに分かれます。二次性のものは、外傷性上腕骨頭壊死(上腕骨近位端骨折肩関節脱臼後の壊死など)と非外傷性上腕骨頭壊死(ステロイド使用、既往例や多量のアルコール摂取などによる壊死)に分かれます。

症状:肩の痛みと運動障害です。痛みは運動時痛に加え、安静時痛や夜間痛も認めます。30〜60歳代の男性に好発します。診断にはレントゲン検査が不可欠です。しかし、進行例の診断は容易ですが、早期例の診断は比較的困難です。したがって、早期診断にCTやMRI、骨シンチグラフィーなどの検査が有益です。早期の症例では、変形性肩関節症肩関節周囲炎(凍結肩)石灰沈着性腱板炎などの鑑別(見極め)が必要です。

治療:保存的治療(手術しない治療法)と手術的治療に分かれます。一般的に、骨壊死は進行性のため手術的に治療されます。疼痛緩和に物理療法アセトアミノフェンや炎症緩和に非ステロイド性抗炎症剤を、難治例にはトラマドール塩酸塩デュロキセチンなどを検討します。肩関節拘縮(肩が固まった状態)や筋力低下には運動療法(ストレッチング筋力強化)を勧めます。

手術的治療は骨壊死の進行度によって決定されます。壊死が小範囲の症例は骨移植人工骨頭置換術などが検討されます。広範囲に病変がおよぶ症例は人工肩関節置換術が行なわれます。なお、他の壊死性疾患にキーンベック病特発性大腿骨頭壊死特発性膝骨壊死などがあります。

 たはら整形外科