変形性関節症 へバーデン・ブシャール・CM関節症

変形性関節症とは
変形性関節症とは、関節軟骨の老化や磨耗によって起こる軟骨と骨の進行性の変性疾患です。手部においては、変形性手関節症やヘバーデン結節、ブシャール結節、変形性母指CM関節症などの疾患があります。なお、他に同様な変形性関節症を呈する疾患として、変形性肩関節症変形性肘関節症変形性股関節症変形性膝関節症変形性足関節症変形性脊椎症などがあります。


変形性手関節症について
手関節は
非荷重関節(体重がかからない関節)です。股関節や膝関節、足関節、脊椎などの荷重関節(体重がかかる関節)に比べ、変形性関節症の発生は少ない傾向にあります。大半は原因不明です。中には、外傷(橈骨遠位端骨折舟状骨骨折など)やキーンベック病、炎症性疾患や感染性疾患後に発生するものもあります。

症状は、手首の痛みや運動制限、変形です。診断はレントゲン検査で確定され、関節裂隙の狭小化(関節軟骨が摩耗し減る状態)や骨棘形成(骨のとげ)などの所見を認めます。なお、関節リウマチとの鑑別(見極め)に注意を要します。

治療は、保存的治療(手術しない方法)が原則です。疼痛緩和にアセトアミノフェン、炎症緩和に非ステロイド性抗炎症剤外皮用薬を処方します。関節拘縮(関節が固まる状態)を認める症例は運動療法を行います。難治例ではステロイド関節内注射を試みます。しかし、これらの保存的治療で改善されない症例は、関節固定術や関節形成術、骨切り術、人工関節などが検討されます。


ヘバーデン結節について
ヘバーデン結節とは、指のDIP関節・IP関節(指先より第一番目の関節)に起こる変形性関節症です。 多くの患者さんは、「指が変形したので関節リウマチでしょうか?」と訴え受診されます。へバーデン結節は中高年の女性に多く、大半は両側性に発生します。特に、示指に好発します。進行しますと全指に及びます。症状は関節の変形や運動障害(関節の曲げ伸ばしが困難な状態)と痛みです。時に、DIP関節の周囲にガングリオンの発生を認めることもあります。レントゲン検査では、関節裂隙の狭小化(関節軟骨が摩耗し、すり減る状態)や骨棘形成(骨のとげ)などの所見を認めます。

治療は、保存的治療が原則です。疼痛緩和にアセトアミノフェン、炎症緩和に非ステロイド性抗炎症剤外皮用薬を処方します。また、ゴム製の圧迫サポーターで疼痛が緩和される方もおられます。これらで改善を認めず、痛みや変形のために日常生活動作に支障を来たす症例は、関節固定術(関節が最も機能しやすい位置で関節を固定する手術)や関節形成術などの手術的治療が検討されます。


ブシャール結節について
ブシャール結節とは、指のPIP関節(指先より第二番目の関節)に起こる変形性関節症です。多くはヘバーデン結節を併存しています。治療はバーデン結節と同様です。手術は関節形成術や人工関節術が検討されます。


変形性母指CM関節症について
変形性母指CM関節症とは、母指のCM関節(親指の先から3番目の関節)の変形性関節症です。中高年の女性に多く、大半は両側性に発生します。症状は親指を使うと痛い、物をつまむと痛い、親指が開きにくい、親指の根元が腫れて飛び出ていると訴えられます。レントゲン検査では、関節裂隙の狭小化(関節軟骨が摩耗し、減る状態)や骨棘形成(骨のとげ)、亜脱臼(関節面がずれて、関節の適合性が悪い状態)などの所見を認めます。

治療は、保存的治療が原則です。疼痛緩和にアセトアミノフェン、炎症緩和に非ステロイド性抗炎症剤外皮用薬を処方し、物理療法を試みます。症例によってはCM関節用バンドの着用を勧めます。これらの保存的治療で改善されず、痛みや変形のために日常生活動作に支障を来たす症例は、関節固定術や関節形成術を検討します。


 たはら整形外科