注射療法
ステロイド注射
ステロイドには、強力な抗炎症作用があります。関節内注射、腱鞘内注射、滑液包内注射、神経管内注射として用います。ステロイド関節内注射は、激しい疼痛を認める関節炎や頑固な関節水腫(関節に水がたまる状態)を有する関節炎に使用されます。また、腱鞘炎や滑液包炎や神経炎の治療にも用いられます。ステロイドの種類は、持続時間によって短時間型や中時間型、長時間型に分けられます。

適応については、年齢や患者さんの生活様式、趣味、運動量を考慮し、併存症として糖尿病や緑内障、心疾患、肝疾患、腎疾患などを留意したうえで使用いたします。また、使用部位が加重関節(膝、股、足のような体重がかかる関節)か、非加重関節(肩、肘、手など体重がかからない関節)かによって使用頻度を検討します。ステロイド関節内注射の適応や使用方法(消毒、回数、間隔など)について、注意事項を熟知している整形外科専門医にまかされれば安心かと存じます。

ヒアルロン酸注射
関節軟骨は、ヒアルロン酸とタンパクを豊富に含む関節液によって栄養されています。ヒアルロン酸は、滑膜細胞より分泌され軟骨の合成作用や関節の潤滑作用に関与しています。したがって、関節内にヒアルロン酸を投与することで、軟骨が保護され関節炎の進行を遅らせる作用があると報告されています。また、関節内に水が溜まり、ヒアルロン酸の濃度が低下すると、潤滑作用や関節の動きが悪くなります。ヒアルロン酸を注入することで、関節内のヒアルロン酸の濃度が高められ、関節の動きや関節水腫が改善されます。

あたかも、車のエンジンオイル(ヒアルロン酸)がエンジン(関節)の磨耗と摩擦を軽減し、歯車の動きを滑らかにする作用に似ています。さらに、ヒアルロン酸は滑膜に反応して発痛物質(炎症性サイトカインやプロスタグランジン)など発生を抑制し、痛みを緩和する作用もあります。副作用はほとんど無く非常に安全で使いやすい注射剤です。医療保険の関係で、使用回数は連続週5回投与となっています。症状の改善度に応じて使用回数を増減します。

変形性膝関節症肩関節周囲炎関節リウマチのみが保険適応になっております。なぜか、この3疾患だけです。他の部位の関節炎に使用しても同様な効果はあると考えます。また、潤滑作用を有するので腱鞘炎にもよい効果があるのと思います。


 たはら整形外科