舟状骨骨折


舟状骨骨折は手根骨(手首を形成している8個の骨)の中で最もよく見受けられる骨折です。しかし見逃されやすいので注意して下さい。転倒した際に手首の背屈(手首の反り)が強制された際に有頭骨と橈骨茎状突起が衝突して骨折します。転位(ずれ)のない症例(安定型骨折)と転位を認める症例(不安定型骨折)と剥離骨折に分かれます。

症状は手首の痛み(snuff box部の痛みです。親指側で手首に凹みのある所の痛みです)を訴え、握力の低下や運動障害を認めます。

診断はレントゲン検査(正面像、側面像、斜位像、尺屈正面像)で確定されます。なお、軽微な剥離骨折は見逃されることがあります。CTでの確認が必要となります。

治療は保存的治療(手術しない方法)が原則です。転位(ずれ)のない症例はギプス固定装具療法骨癒合(骨がつく状態)が得られます。しかし転位を認める症例の内、骨折の部位によって骨片への血流が断たれるため偽関節(骨が完全につかない状態)なる場合があります。したがって損傷部位や転位の程度によって手術的治療の対象となります。術式は内固定術(直視下か鏡視下で骨をつなぐ手術)が行われます。なお陳旧例(治療されずに長期間放置されていた症例)は骨移植術が検討されます。


 たはら整形外科