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急性腰痛症 |
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発症から4週間未満の腰痛を急性腰痛症と言います。受傷機転は前かがみで物を持ち上げた際や軽微な外傷(打撲や捻挫など)、繰り返しの動作や作業、スポーツ傷害で起こります。若年者では反り腰の方や腰椎分離症によく見られます。 症状・診断 筋肉や靭帯、椎間板、椎間関節などの損傷が腰痛の原因として考えられます。レントゲンで腰椎症性変化(加齢的な変化)を認めても、症状は腰痛のみ訴えで、神経症状(足先に放散する痛みやシビレ、筋力低下、歩行障害、間欠性跛行)などは認めません。腰痛の原因が明らかにある疾患(腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離症、腰椎すべり症、脊椎圧迫骨折など)の腰痛は、特異的腰痛に分類されます。特異的腰痛は従来の報告より高頻度にあるようです。なお、非特異的腰痛とは診察、画像診断(レントゲン、MRI、CTなど検査)で腰痛の原因が不明な症例を言います。 治療 安静(腰にやさしい姿勢)と日常生活動作の指導します。活動時は一次的に簡易コルセットをすすめます。疼痛緩和に物理療法やアセトアミノフェン、炎症緩和に短期間の非ステロイド性抗炎症剤や外皮用薬を処方します。改善されない症例はトリガーポイントブロックや椎間関節ブロック、仙骨部硬膜外ブロックなどの神経ブロック療法を検討します。治療や再発予防に腰部のストレッチングや筋力強化訓練などの運動療法を指導します。 |
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慢性腰痛症 |
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発症から3ヶ月以上継続する腰痛を慢性腰痛と言います。痛みの原因や病態は、急性腰痛と同様です。しかし、症状が慢性化すると心因的要素(不安感やうつ状態)や社会的要因(交通事故や労働災害事故の場合、将来の不安に加え、保障などの問題)などで長期間にわたり腰痛を訴えることがあります。 治療 治療は急性腰痛とほぼ同様です。疼痛緩和に物理療法やアセトアミノフェン、炎症緩和に非ステロイド性抗炎症剤や外皮用薬を処方します。これらで効果がない慢性疼痛はトラマドール塩酸塩やデュロキセチン、抗不安剤や抗うつ剤などを検討します。なお、心因的要因や社会的要因の関与が考えられる症例ではカウンセリングが必要となるケースもあります。 |
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たはら整形外科 |