投球動作による肩の障害  (いわゆる野球肩)

・野球などの投球動作で起こる肩の障害を言います。

・野球以外のスポーツでは、バレーボールやハンドボール、バスケットボール、バトミントン、槍投げ、テニスなどでよく見られます。

・投球動作はワインドアップ期、コッキング期、加速期、リリース期、フォロースルー期の
5つの投球動作で構成されています.。

●ワインドアップ期の障害
・投球動作に入るまでの動作です。

・動作は下半身が主導ですので、肩の障害は起きません。

●コッキング期の障害
・ボールを持って肩が最大に外転、外旋する時期までの動作です。


・肩関節は外転・外旋運動が強制されるため、肩の前方が引き伸ばされ、三角筋前部や上腕二頭筋長頭腱は牽引され、棘上筋は収縮します。

・そのため
三角筋炎や棘上筋腱炎や上腕二頭筋長頭腱炎、インピンジメント症候群、腱板損傷が発生しやすくなります。

●加速期~リリース期の障害
・加速期からリリース期は最もスピーディーな動作が行われる時期です。

・加速期はボールの投げ始めからボールを手放すまでの動作です。

・リリース期はボールが手から離れ、腕の動きが急に減速される動作です。

・肩関節は外転や内旋運動が強いられるため、三角筋中部と後部は引き伸ばされ、棘上筋や棘下筋、小円筋などの
腱板は収縮から一転して伸展します。

・そのため
肩峰下滑液包や鳥口肩峰靭帯により圧迫され、腱板損傷や肩峰下インピンジメント症候群、三角筋炎、肩関節不安定症などが発生しやすくなります。

・また、筋肉の過度な牽引力により上腕骨骨幹部骨折を発生することがあります。

●フォロースルー期の障害
・ボールを投げ終えて投球動作が終わるまでの動作です

・上腕三頭筋の収縮により腕は前方へ振り出されて、肩の後面は引き伸ばされます。

・そのため
上腕三頭筋腱炎や肩関節の後方の関節包や関節唇を損傷しやすくなります。

・なお、子供の投球動作によって起こる肩の障害をリトルリーグ肩と呼びます。こどもの整形外科を参照されて下さい。

治療
1)保存的治療(手術しない方法)が原則です。
・投球動作を一旦中止していただきます。

・リハビリテーションが主体の治療となります。


・物理療法や運動療法(肩のストレッチング、筋力強化訓練)を指示します。

・薬物療法として疼痛緩和に
アセトアミノフェンや炎症緩和に非ステロイド性抗炎症剤、外皮用薬などを検討します。

・難治例には
ステロイド注射を試みることもあります。

・予防には肩に加え、全身の筋力強化訓練が大切です。

2)手術的治療
・保存的治療で改善が得られない症例に行われます。

・手術はMRIやCTなどで精査して骨や軟骨、関節包、関節唇、腱板などの損傷に対して検討されます。

・術式は肩関節鏡視下手術(関節包縫縮術、関節唇修復術、骨欠損修復術、腱板修復術)などが行われます。



 たはら整形外科