上腕二頭筋長頭腱炎 上腕二頭筋長頭腱断裂

 上腕二頭筋長頭腱について
 ・上腕二頭筋長頭腱は肩関節内の関節唇(関節窩の縁を取り囲む線維性の軟骨組織で骨頭を安定させる役割があります)から発し、結節間溝(大結節と小結節の間にある溝)を通り、上腕二頭筋短頭と合流して上腕二頭筋となります。

・上腕二頭筋長頭腱は他の筋肉や腱と強調して肩の全ての運動に関与します。

・そのため上腕二頭筋長頭腱は絶えず上腕骨頭からの機械的な圧迫や刺激を受け、常にストレスにさらされ易い状況にあります。



●上腕二頭筋長頭腱炎
・上腕二頭筋長頭腱炎とは、使い過ぎによって上腕二頭筋長頭腱が結節間溝内で摩擦や摩耗が生じ、炎症を起こした状態のことを言います。

・肩の挙上を繰り返す単純な作業する方や野球、テニス、バレーなどで投球動作を繰り返すスポーツでよく見られます。

・中には、年齢とともに摩耗や摩擦が進行し、腱断裂してしまう症例もあります。

症状
・肩の前面の痛みと運動障害です。

・時に作業中やスポーツ中に雑音(コクコクと言う音)を訴えられる方もおられます。


診断
・結節間溝に圧痛を認めます。

・肩関節の内旋(内側に回旋する動作)や外旋(外側に回旋する動作)で肩の前面の痛みや雑音を聞き取ることがあります。

・また、長頭腱が肥厚すると、
インピンジメント徴候(肩を挙上していくと肥厚した長頭腱が烏口肩峰アーチに圧迫され痛みを訴える)が陽性となります。

・その他、Speed testやYargason's testが陽性となります。


・レントゲン検査では結節間溝の形態や大結節や小結節の変形や骨棘などをチェックします。

・超音波検査やMRIで
腱鞘内に水腫が確認されます。

・上腕二頭筋長頭腱の周囲に局所麻酔剤を投与し、痛みが改善されればほぼ確定診断されます。

・鑑別疾患として
インピンジメント症候群、肩関節周囲炎、腱板損傷などありますので要注意です。

治療
1)保存的治療(手術しない治療)が基本です。
・薬物療法として、疼痛緩和に
アセトアミノフェン、炎症緩和に非ステロイド性抗炎症剤、外皮用薬などを検討します。

・運動療法として
肩のストレッチングや肩の筋力強化訓練を指示し、理学療法士による運動器リハビリテーションを行います。

2)手術的治療

・年齢や職業及び断裂の部位や程度によっては、長頭腱固定術や長頭腱切離術などを検討します。



●上腕二頭筋長頭断裂
・上腕二頭筋長頭腱炎が長期におよぶと、
上腕二頭筋長頭腱断裂を起こすこともあります。

・Popeye sing(ポパイサイン)と言われ、断裂した末梢の上腕二頭長頭筋が、肘に向かった垂れ下がる状態)を認めます。

・超音波では
結節間溝での長頭腱の消失や上腕下部で長頭筋断裂が確認できます。

治療
1)保存的治療
・上腕二頭筋長頭腱炎と同様です。

2)手術的治療

・一般的に腱固定術が検討されます。



 たはら整形外科