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肩の構造 |
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肩関節は肩甲骨の関節窩と上腕骨の骨頭で構成されています。関節窩の面積は骨頭の3分の1しかありません。そのため、肩関節は解剖学的に不安定性が生じやすい関節です。また、人体で最大の可動域(関節の動く範囲)を有しているため、他の関節に比べ容易に不安定に陥りやすい関節となります。したがって、肩関節は、骨や関節以外の軟部組織である関節包や関節唇、腱板、靭帯などで安定性と支持性を得ています。 肩峰下インピンジメント症候群について 肩関節の使い過ぎにより肩峰下滑液包と腱板が烏口肩峰アーチと接触、衝突することにより炎症を生じ、肩の痛みや引っかかり感、運動障害などの症状を訴える疾患です(なお、烏口肩峰アーチとは肩峰と烏口肩峰靭帯と鳥口突起で構成されています。烏口肩峰アーチの中に肩峰下滑液包と腱板が存在します)。 症状 年齢を問わず発生します。特に20〜40歳でスポーツや作業中に肩の挙上(腕を肩より高く上げる運動)を繰り返すことで起こります。外側から肩を挙げる際に60度〜120度で痛みを訴え、120度以上で痛みがなくなる状態(Painful arc sign )を認めます。またテニスや野球、バレーなどの投球動作を繰り返す選手では投球動作時に不安感を訴えます。 診断 烏口肩峰アーチに圧痛を認めます。インピンジメント徴候(肩峰下滑液包と腱板が烏口肩峰アーチ内で衝突するように肩を挙げると痛み)を認めます。中には、レントゲン検査で肩峰骨棘(骨のとげ)を認める症例もあります。さらに、肩峰下滑液包へ局所麻酔剤を打つと症状が改善されるので容易に診断できます。鑑別(見極める)疾患に腱板損傷、石灰沈着性腱板炎、上腕二頭筋長頭腱炎などがあります。詳細な情報は超音波検査やMRIが必要となります。 治療 1)保存的治療(手術しない方法)が原則です。 痛みを誘発する動作、運動を制限していただきます。リハビリテーションとしては物理療法を行い、運動療法として腱板のストレッチング、肩のストレッチング、腱板の筋力強化訓練、肩の筋力強化訓練)を指導します。疼痛緩和にアセトアミノフェン、炎症緩和に非ステロイド系抗炎症剤や外皮用薬を短期間処方します。改善されない症例は肩峰下滑液包内ステロイド剤やヒアルロン酸注射を検討します。 2)手術的治療 保存的治療を6ヶ月間行っても改善されない症例は鏡視下烏口肩峰靱帯切離術や肩峰形成術などの手術を検討します。
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