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骨粗鬆症とは | |
骨粗鬆症とは骨の強度が弱くなり骨が折れ易くなった状態を言います。これは破骨細胞(骨を溶かす細胞)が増え、骨芽細胞(骨を作る細胞)が減った時に起こります。 骨は歯の次に硬い組織です。それゆえ、骨がもろくなることは大変なことです。健康な骨は70%がカルシウムなどのミネラルで、残りの30%がコラーゲン繊維で出来ています。コラーゲン繊維は骨の中を網目のように縦横に走り、カルシウムがその間を埋めています。骨粗鬆症はカルシウムとコラーゲン繊維が傷んだ状態です。 骨の強度はカルシウムとコラーゲン繊維の量で評価します。骨の強度を鉄筋コンクリートに例えると、鉄筋はコラーゲン繊維でコンクリートはカルシウムです。骨の強度が低下すると転倒や尻もちなどで容易に骨折します。代表的なものに大腿骨近位部骨折、脊椎圧迫骨折、上腕骨近位端骨折、橈骨遠位端骨折、肋骨骨折、坐骨・恥骨骨折、仙骨・尾骨骨折などがあります。 特に大腿骨近位部(股、足の根元)を骨折すると20%の方が「寝たきり」になると言われています。骨粗鬆症は女性に多く、男性の4倍です。50歳代の女性は4人に1人、70歳代は2人に1人、80歳以上の方は大半が骨粗鬆症です。わが国では、現在1590万人(2022年の統計)の骨粗鬆症患者が存在すると言われています。 |
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骨粗鬆症の分類について | |
1)原発性骨粗鬆症 原発性骨粗鬆症は明らかな原因がなく起こるもので、遺伝的素因や加齢、生活習慣が関与して発生するものを言います。4つに分類されています。 ●閉経後骨粗鬆症 ●老人性骨粗鬆症 ●特発性骨粗鬆症 ●男性骨粗鬆症 2)続発性骨粗鬆症 続発性骨粗鬆症は他の病気が原因で骨粗鬆症になるもので、男性の骨粗鬆症や閉経前の女性に見られることがありますので要注意です。血液検査で白血球数増加、高カルシウム血症、低カルシウム血症、高アルカリホスファターゼ血症を認める方は要注意です。続発性骨粗鬆症の原因となる疾患を列記します。 ●内分泌障害 副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、性腺機能不全など ●薬物障害 グルココルチコイド(ステロイド)、性ホルモン、ワーファリン、メトトレキサート、ヘパリンなど ●栄養障害 胃の手術、神経性食用不振症、吸収不良性症候群、各種ビタミンの過剰や欠乏など ●運動障害 麻痺患者、長期臥床、廃用症候群など ●先天性 骨形成不全症、マルファン症候群など ●その他 癌の骨転移、糖尿病、関節リウマチ、アルコール依存症、慢性腎臓病、肺疾患など |
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骨粗鬆症になりやすい人 | |
●女性 妊娠中や授乳期には大量のカルシウムを必要とします。また閉経後は女性ホルモンの分泌が低下し、骨量は急激に減少します。したがって閉経後より女性は骨粗鬆症になる可能性が高くなります。 ●カルシュウム摂取不足の方 カルシウムは一日に800mg必要です。日本人の1日のカルシウム摂取量は統計で男性は550mg、女性は528mgです。日本人の大半はカルシウム摂取不足と思って下さい。 ●たばこやアルコールの好きな方 タバコやアルコールは、腸管でのカルシウムの吸収を妨げます。タバコを吸う人は骨折が1.3〜1.8倍、アルコールを2単位以上飲む人は1.2〜1.7倍高くなります。アルコール2単位とは、ビール(350ml3本)、日本酒(2合)、ワイン(4杯)、焼酎(ロック3杯)、ウイスキー(2杯)が目安となります。 ●痩せている方 肥っている人は脂肪の中に女性ホルモンがあるため、骨粗鬆症になりにくいと言われています。また肥えている方は骨に加重がかかり骨が鍛えられ、骨形成(骨を作る能力)が促されます。痩せている方は要注意です。 ●運動不足の方 運動をしないと骨に負荷がかからず骨が鍛えられず骨代謝が低下します。その結果、骨形成(骨を作る能力)が低下して骨はもろくなると言われています。 ●初経が遅い方、閉経が早い方、卵巣の手術をした方 女性ホルモンの変動が著しいため骨粗鬆症になりやすい傾向にあります。 ●家族に骨粗鬆症いる方 家族に骨粗鬆症のある方は骨折の発生率は2倍高くなります。 ●グルココルチコイド(ステロイド)を使用している方 グルココルチコイドを長期間および大量に使用された方は、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症を発生します。骨折のリスクが4倍になります。1日に5mg以上使用している方は、現在、骨粗鬆症がなくても予防のために治療されて下さい。一般的に、ビスフォスフォネート製剤や活性型ビタミンD3製剤などを処方します。 |
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症状について | |
骨粗鬆症自体の特有な症状はありません。すなわち、初期は骨が脆いだけでは何の症状もありません。しかし、骨粗鬆症が悪化すると、脊柱が変形して背部痛、腰痛、歩行障害などを訴えます。最も怖い出来事は、骨が脆いために起こる全身の骨折です。代表的な骨折として骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折、大腿骨近位部骨折、上腕骨近位端骨折、橈骨遠位端骨折、肋骨骨折などがあります。 中にはいつの間にか骨折や疲労骨折を起こすこともあります。高齢者ではこれらの骨折をきっかけに日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)が急激に低下してロコモティブシンドロームを生じ、将来、介護が必要となりますので要注意です。 脊椎圧迫骨折は70歳代で25%、80歳代で40%に認められます。稀に骨片(骨折の破片)によって脊髄が圧迫されて脊髄麻痺を起こし下半身麻痺になることもあります。また、大腿骨近位部骨折を起こすと20%が「寝たきり」になると言われています。高齢者にとって骨粗鬆症は生命予後に大きく影響します。 |
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検査について | |
●レントゲンの評価(骨梁の状態) @正常(レントゲンで縦と横の骨梁線が密) AT度(レントゲンで縦の骨梁線が目立つ) BU度(レントゲンで縦の骨梁線が不明瞭) ●椎体骨折の程度 @軽度(椎体高が20〜25%低下) A中程度(椎体高が25〜40%低下) B重度(椎体高が40%以上低下) ●骨密度による評価 骨密度は骨の中のミネラル(主にカルシウム)を測定します。日本骨粗鬆症学会や日本骨代謝学会ではDXAによる腰椎と大腿骨の同時測定を推奨しています。何故なら、高齢になると、最も折れやすいのは脊椎(背中、腰)の骨折で、最も折れたら困るのは、歩けなくなる大腿骨近位部(股、足の根っこ)の骨折だからです。 判定は、腰椎は20〜44歳の平均値を100%とし、大腿骨近位部では20〜29歳の平均値を100%として計算されます。 ・正常は80%以上です。 ・骨量減少(予備群)は70〜80%です。 ・骨粗鬆症は70%以下です。 ただし正確に判定するには、以下の点に注意が必要です。 @腰椎のDXAでは、加齢による変形、過去の脊椎圧迫骨折、腹部大動脈の石灰化などが存在すると、異常高値になります。 A大腿骨近位部のDXAでは、撮像時の股関節のポジションや股関節疾患(変形性股関節症など)の存在にて誤差を生じます。 したがって、骨密度検査の前に、腰椎と股関節のレントゲンを撮り、これらの存在の有無をチェックし、適切な部位で骨密度値を判定します。 |
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診断について | |
骨粗鬆症の診断は問診、レントゲン検査、骨密度検査、骨代謝マーカーなどで総合的に判断されます。 ●問診 骨粗鬆症の家族歴、過去の骨折の既往歴をチェックします。 ●レントゲン検査 脆弱性骨折の有無をチェックします。脆弱性骨折とは明らかな原因がなく些細な動作、外傷(ケガ)などで簡単に骨折を起こす状態を言います。脆弱性骨折は脊椎椎体、大腿骨、上腕骨、橈骨、肋骨、骨盤などによく発生します。 ●骨密度値 DXA法でチェックします。 ●骨代謝マーカー 骨吸収マーカー(破骨細胞の状態)と骨形成マーカー(骨芽細胞の状態)をチェックし骨代謝のバランスを判断します。骨吸収マーカーはTRACP−5b、血清NTX、血清CTX、尿中DPDなどがあります。骨形成マーカーはPINP、BAPなどがあります。骨代謝マーカーは骨折リスク、治療薬の選択、治療効果の判定に必要です。なお骨代謝マーカーが異常高値の際は続発性骨粗鬆症や転移性骨腫瘍などを疑います。 |
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治療指針について | |
@骨密度値が70%以下の方は治療開始します。 A脊椎圧迫骨折、大腿骨近位部骨折などの脆弱性骨折(些細なことで簡単に骨折する状態)の方は骨密度の値に関係なく治療開始します。 B橈骨遠位端骨折、上腕骨近位端骨折、肋骨骨折などの脆弱性骨折のある方は80%以下で治療開始します。 ただし、続発性骨粗鬆症の方や骨代謝マーカーの異常な方は、骨密度値70%以上でも治療するケースがあります。 |
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骨粗鬆症の治療について (食事療法・薬物療法・運動療法・骨折の治療・予防) |
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1)食事療法 | |
@カルシウム カルシウムは骨の主成分であるリン酸カルシウムをつくるのに必要です。カルシウムが不足すると副甲状腺ホルモンの分泌が促され、骨からカルシウムが動員され補われます。すなわち、カルシウムの不足は骨吸収(骨をもろくする現象)を促進します。したがって、カルシウムを投与することで、副甲状腺ホルモン(骨を溶かすホルモン)の分泌が抑えられ骨吸収も抑えられます。 日本人の1日のカルシウム摂取量は全年齢平均で男性550mg、女性528mgと報告されています。日本人は他国よりカルシウムの摂取が低いようです。これは食品や水などを含めた環境因子によるものと思われます。カルシウムは1日に800mg必要と言われています。カルシウムを多く含む食品は、乳製品(ヨーグルト、牛乳、チーズ、スキムミルクなど)や干し海老、ワカサギ、シシャモ、豆腐、納豆、小松菜、チンゲン菜などです。 ただし、カルシウムの摂取だけでは骨はできません。カルシウムはビタミンDと一緒に摂取すると吸収率が高まります。また、カルシウムが不足すると、筋肉けいれんや神経過敏や出血しやすくなったり、不整脈などの心臓病のリスクが高まります。 AビタミンD カルシウムを取るだけでは骨はできません。骨を作るにはビタミンDが必要です。ビタミンDは食物摂取や紫外線を浴びた皮膚で作られ、肝臓や腎臓で代謝されて活性型ビタミンD3となります。活性型ビタミンD3は小腸からカルシウムの吸収を高め、腎臓でカルシウムの再吸収を促し、骨の石灰化や骨芽細胞の成熟に関わっています。 活性型ビタミンD3が不足すると、体内のカルシウムは不足し骨粗鬆症を発生させます。また、活性型ビタミンD3は転倒防止効果や筋力低下の抑制効果があると言う報告もあります。ビタミンDの1日の摂取量は、成人8.5μg必要(2020年、厚労省の食事摂取基準より)と言われています。ビタミンDは魚類(サケ、うなぎ、サンマ、ヒラメ、イサキ、タチウオ、カレイ、メカジキなど)や卵類などの動物性食品に多く含まれています。 なお、ビタミンDはD2〜D7の6種類あります。骨に効果があるのはビタミンD3です。皮膚にはデヒドロコレステロ−ル(7-DHC)、すなわちプロビタミンD3が多量にあり、紫外線によってビタミンD3に転換され、肝臓で25(OH)Dに代謝され、血液中を循環します。そのため血液中の25(OH)D濃度の測定はビタミンDの過不足の指標になります。 |
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2)薬物療法 | |
骨粗鬆症の治療目的は全身の骨折予防です。治療は薬物療法が主体となります。骨の新陳代謝は約3〜5ヶ月のクールで骨吸収(約20日で骨を溶かし)と骨形成(約90日で骨を作る)を繰り返しています。1年間で全身の骨の約30%が、3〜4年間で100%の骨が生まれ変わると言われています。 その過程は、まず破骨細胞(骨を破壊する細胞)が古くなった骨のカルシウムとコラーゲンを酸や酵素で溶かし、骨芽細胞が新しいコラーゲンを作り、血液中から運ばれてきたカルシウムが付着し、新しい骨が作られます。このバランスが崩れると骨粗鬆症が発生します。 したがって、薬物療法は @骨吸収抑制剤(骨が溶けるのを抑える薬) A骨形成促進剤(骨の形成を促す薬) B骨形成促進剤+骨吸収抑制剤(骨の形成を促し、吸収を抑制する薬) C骨代謝調整剤(骨吸収と骨形成を調整する薬)に分かれます。 |
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@骨吸収抑制剤 ●ビスホスホネート製剤 アレンドロン酸(商品名フォサマック、ボナロン)やリセドロン酸(アクトネル、ベネット)、ミノドロン酸(ボノテオ、リカルボン)、イバンドロン酸(ボンビバ)、ゾレドロン酸(リクラスト)、エチドロン酸(ダイドロネル)などがあります。現在、主流の薬剤です。高齢者の骨粗鬆症の第1選択薬です。 これらの製剤は破骨細胞を自滅させ、骨吸収を抑えて骨折の発生を減少させます。内服薬、静脈注射、点滴注射、経口ゼリーなどがあります。内服薬は1日に1回、1週間に1回、1ヶ月に1回の製剤があります。静脈注射は1ヶ月に1回です。点滴注射は1ヶ月に1回、1年に1回があります。これらの薬は患者さんの既存症や全身状態、環境因子を考慮して選択されます。 効果の判定はレントゲン検査(骨折の有無)、DXAによる骨密度値、骨代謝マーカー値によって、患者さんにとってより良い薬剤に変更されます。適切な薬剤の選択により確実に骨折の予防効果があります。なお6ヶ月以上服薬を中止すると、骨密度値の低下や骨折の発生率が高くなると報告されています。したがって長期間の服薬が必要です。禁忌は低カルシウム血症や食道狭窄を認める症例です。副反応として低カルシウム血症や顎骨壊死、非定型大腿骨骨折があります。 (顎骨壊死について) 顎骨壊死は抜歯後の細菌感染によって起こる顎骨骨髄炎です。以前からビスホスホネート製剤との因果関係が問題になっていました。しかし、顎骨壊死検討委員会(2023年)で検討された結果、ビスホスホネート製剤使用者と非使用者間において顎骨壊死の発生率に有意な差がないことが証明されました。休薬によって脊椎圧迫骨折の発生率が高くなることより、休薬するデメリットの方が高いと判断されました。骨折を起こす危険性の高い骨粗鬆症の患者さんにはビスホスホネート製剤の休薬の必要性はありません。 予防として最も大切なことは、口腔内の細菌感染を防止するために、常に口腔内を清潔に保つことです。食後の歯みがきはもちろん、歯石の除去やむし歯治療や義歯の手入れのため定期的に歯科受診されて下さい。 なお、顎骨壊死発生の他の因子として口腔内感染症(歯周病や歯髄炎)に加え、放射線治療や免疫抑制薬の使用歴、ステロイド剤の使用歴や糖尿病、自己免疫疾患などの患者さんい発生することがあります。 (非定型大腿骨骨折について) 長期投与例において頻度は不明ですが、非定形型大腿骨骨折の発生を認めます。したがって、ビスホスホネート製剤投与中に股関節部や鼠径部痛、大腿骨部に鈍痛やうずくような痛み、歩行時痛を訴えた際は、必ずレントゲン検査やMRIなどの検査が必要です。明らかな原因は不明ですが、ビスホスホネート製剤による骨代謝異常や大腿骨の解剖的湾曲が誘因と考えられています。 なお、悪性腫瘍による高カルシウム血症や多発性骨髄腫による骨病変、がんの骨転移(転移性骨腫瘍)などに使用される高容量のビスホスホネート製剤(ゾレドロンサン点滴剤)では発現率は高くなります。 ●抗ランクル抗体製剤 デノスマブ60r(商品名プラリア)です。破骨細胞の働きを抑制する薬剤です。破骨細胞を活性化するランクル受容体を特異的に阻害し骨吸収を抑制します。6ヶ月に1回皮下注射です。副作用として低カルシウム血症と頻度は不明ですが非定型大腿骨骨折があります。 なお、転移性骨腫瘍(がん骨転移による骨病変)の治療薬(骨修飾薬)としてデノスマブが高容量使用されます。デノスマブ120r(商品名ランマーク120mg)を1ヶ月に1回皮下注射します。転移性骨腫瘍に投与するデノスマブは高容量を長期間使用するため非定型大腿骨骨折の発生率も高くなります。患者さんが大腿部痛や鼠径部痛を訴えられた際は、必ずレントゲン検査、CT、MRIなどの検査が必要です。骨折の治療には装具や骨接合術が検討されます。 ●SERM製剤 ラロキシフェン塩酸塩(商品名:エビスタ)やパゼドキシフェン塩酸塩(ビビアント)は閉経後骨粗鬆症の患者さんが対象になります。閉経後骨粗鬆症は女性ホルモンの欠乏で生じます。SERM製剤は選択的エストロゲン受容体モジュレーターと言われ、骨に対してのみエストロゲン様の作用を有し骨吸収を抑制させます。乳房や子宮への作用がないため乳癌や子宮癌の発生はありません。米国食品医薬品局(FDA)から乳癌発症予防としての効果も証明されたため,乳癌発症予防薬としても認可されています。 禁忌は深部静脈血栓塞栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症等の静脈血栓塞栓症、長期不動状態にある患者、抗リン脂質抗体症候群の患者、妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦などです。 ●カルシトニン製剤 エルカトニン(商品名エルシトニン)は、甲状腺C細胞から分泌されるホルモンで破骨細胞に直接作用して骨吸収を抑制します。また、痛覚抑制神経系のセロトニン神経系に作用し鎮痛作用を有し、腰痛や背部痛の改善も認めます。脊椎圧迫骨折の際に使用されます。 ●女性ホルモン製剤 エストリオール(商品名エストリール、ホーリン)、エストラジオール(エストラーナテープ、ジュリナ)、結合型エストロゲン(ウェールナラ)などがあります。閉経後にエストロゲンが欠乏すると骨粗鬆症が発生しますので、女性ホルモン製剤を骨吸収抑制剤として使用されます。 |
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A骨形成促進剤 ●副甲状腺ホルモン製剤 テリパラチド(商品名フォルテオ)やテリパラチド酢酸塩(テリボン、テリボンオートインジェクター)、アバロパラチド(オスタバロ)などがあります。これらは使用期限があります。テリパラチドは1日に1回の皮下注射で2年間です。テリパラチド酢酸塩は1週間に1回と1週間に2回の皮下注射があり2年間です。 アバロパラチドは1日に1回の皮下注射で1年6ヶ月間です。 副甲状腺ホルモンは血液中のカルシウムの調整を行う重要なホルモンです。血液中のカルシウムが少なくなると、副甲状腺ホルモンが分泌され、骨を溶かしカルシウムの血中濃度をあげます。したがって副甲状腺機能亢進症では、高容量のホルモンが持続的に分泌され、骨は脆くなり骨粗鬆症を発生させます。しかし、逆に副甲状腺ホルモンを少量を間欠的に投与すると、骨芽細胞が活性化され骨量は増加していきます。この作用を利用して骨量を増加させます。 適応は骨折の危険性の高い骨粗鬆症の症例で、重度の骨粗鬆症(DXA法で骨密度が60%以下)、既存骨折が2個以上ある方、ステロイド性骨粗鬆症の方、家族歴に大腿骨近位部骨折の既往がある方などが対象になります。 禁忌は高カルシウム血症や骨ベーチェット病、原因不明のアルカリホスファターゼ高値、小児、骨の影響が考えられる放射線治療を受けた方、原発性悪性骨腫瘍や転移性骨腫瘍、副甲状腺機能亢進症、妊婦又は妊娠している可能性のある方々です。副反応として高カルシウム血症があり要注意です。ビタミンDの併用は高カルシウム血症の原因となりますので注意して下さい。 |
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B骨形成促進剤+骨吸収抑制剤 ●抗スクレロスチン抗体製剤 ロモソズマブ(商品名イベニティ)は骨形成促進作用と骨吸収抑制作用という2つの作用を有する薬剤です。スクレロスチンは骨細胞から分泌され、骨芽細胞による骨形成を抑制し破骨細胞による骨吸収を促進する糖タンパク質です。抗スクレロスチン抗体製剤は、このスクレロスチンに結合してその働きを阻害し骨形成を促進し骨吸収を抑制します。月に1回の皮下注射で1年間の使用です。 骨折の危険性の高い骨粗鬆症が対象となります。骨密度値が70%以下で1個以上の脆弱性骨折を有する症例や腰椎骨密度が60%以下、既存椎体骨折が2個以上、既存椎体骨折の半定量評価法結果が重度の症例です。 禁忌は低カルシウム血症です。投与中は適切なカルシウムとビタミンDの補給が大切です。なお、虚血性心疾患や脳血管障害のリスクが高い症例や重度の腎機能障害(eGFRが30未満)の症例、妊婦や授乳婦、小児の投与は要注意です。 |
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C骨代謝調整剤 ●活性型ビタミンD3製剤 活性型ビタミンD3製剤は、エルデカルシトール(商品名エディロール)やアルファカルシトール(ワンアルファー、アルファロール)、カルシトリオール(ロカルトロール)などがあります。ビタミンDは食品や紫外線を浴びた皮膚で作られ、肝臓や腎臓で代謝され活性型ビタミンD3となり、小腸からカルシウムの吸収や腎臓でカルシウムの再吸収を促します。 活性型ビタミンD3は骨の石灰化や骨芽細胞の成熟に関与します。使用上の注意として高カルシウム血症があります。腎臓病やがん患者、原発性副甲状腺機能亢進症、重度肝臓病、尿路結石などのある方は、高カルシウム血症になりやすいので注意してください。 ●カルシウム製剤 カルシウム製剤はL-アスパラギン酸カルシウム(アスパラ‐CAやリン酸水素カルシウム)などがあります。血液のカルシウムが不足すると副甲状腺ホルモンが分泌され、骨からカルシウムが流出し骨吸収が起こり、骨密度は減少します。カルシウムを投与すると副甲状腺ホルモン分泌が減少し骨吸収が抑制されます。なお、高カルシウム血症や腎結石、重度腎臓病、便秘に注意してください。 |
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運動療法について |
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骨粗鬆症の予防に運動療法は大切です。最低1日30分以上のウオーキングや全身のストレッチングと筋力強化訓練をされて下さい。骨粗鬆症で腰背部痛をある方は骨粗鬆症の体操を行って下さい。特に高齢者は下半身の筋力低下やバランス能力低下によって転倒しやすくないります。転倒防止に腰部の筋力強化訓練、股関節の筋力強化訓練、膝関節の筋力強化訓練、歩行訓練、バランス訓練を行って下さい。将来、ロコモティブシンドロームにならないために運動療法は大切です。 |
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骨折の治療について |
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骨粗鬆症の患者さんでは、骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折や大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折、上腕骨遠位端骨折、肋骨骨折、仙骨・尾骨骨折、坐骨・恥骨骨折などを高頻度に見かけます。 |
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予防について |
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●10歳から20歳にかけて骨量を増やしておく事が大切です。 20歳までにいかに沢山の骨を身につけたかで、骨粗鬆症への運命が決定づけられます。若い時期によく運動して、偏食はせず、偏ったダイエットは行わないことが重要です。 ●骨粗鬆症の検診が大切です。 女性は50歳頃から閉経が始まり、女性ホルモンの分泌が低下します。45歳より骨量は急激に減少します。したがって、50歳前後に専門医を受診され、骨粗鬆症の検査(骨密度測定と骨代謝マーカー測定)を受けて下ください。特に家系に骨粗鬆症を認める方や婦人科疾患をお持ちの方、過去に胃腸などの手術をされた方、ホルモンの分泌異常のある方、何度もダイエットを行った方、偏食の方は早期の検査が必要です。 ●食事に注意して下さい。 カルシウムの摂取に心がけましょう。体内のカルシウムは1日に600mg程度が便やおしっこ、汗などで体外へ排出されます。1日のカルシウムの摂取量は800mgを目標とされて下さい。またカルシウムの吸収力を増すためにビタミンDの摂取も忘れずに検討されて下さい。 ●運動に心がけて下さい。 骨量の増加に運動療法も大切です。各種のストレッチングや筋力強化訓練、有酸素運動などを行うことをお勧めします。特に、高齢者では有酸素運動が骨密度の増加に効果があります。運動により骨が伸びたり、縮んだりする事で骨が刺激されると骨芽細胞(骨を作る細胞)が活性化され、骨の代謝が活発になり、骨の形成を促してくれます。 ●転倒に注意して下さい。 転倒予防訓練や家屋の環境整備(敷居や電気コード、階段、カーペットなどの整備)にも注意を払って下さい。万が一の転倒に備え、大腿骨近位部骨折の予防にヒッププロテクターの装着も大切です。
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