肋骨骨折

肋骨骨折や肋軟骨骨折は、外来で高頻度に見られる骨折の一つです。転倒や打撲などの外傷によって起こる場合と、繰り返しのスポーツ活動(ゴルフなど)や風邪による咳込みで疲労骨折する場合があります。時に、医療類似施行者の施術によって骨折される症例も経験いたします。一般に、肋骨骨折は骨粗鬆症を基盤とした高齢者に多く見られます。一方、体格のしっかりした若年者は強い外傷(ケガ)によってよく起こります。

症状:持続する胸部痛です。咳や深呼吸、体動時、寝返りでの痛みを訴えます。稀に、気胸や血胸を合併し、呼吸困難を訴える症例もありますので要注意です。疑わしければ胸部CTを勧めます。

診断:レントゲン検査(正面像、両斜位像)での撮像が不可欠です。しかし、転位のない症例(ずれを認めない症例)は、レントゲンで骨折線が発見できないことが往々にしてあります。また、肋軟骨部での骨折では、軟骨がレントゲンに写らないため診断が困難です。その際、超音波検査で診断が可能ですので活用して下さい。単なる打撲や筋肉痛は日常生活動作に支障を来す期間は1週間程度です。2週間以上持続する痛みは、常々、肋骨骨折や肋軟骨骨折を念頭に置き、2〜3週間後のレントゲン検査や超音波検査で確認します。初診時に肋骨骨折が発見されなくても、再診時のレントゲン検査で仮骨形成(新しい骨ができ始めている状態)を認め確定診断されることがよくあります。骨折が疑わしければ、2〜3週間後に再診していただき、再度の検査を勧めています。また,長期間の咳き込みやスポーツ活動(ゴルフや野球など)で疲労骨折を来たすことも結構あります。注意して下さい。

治療:気胸や血胸がなければ、疼痛緩和にアセトアミノフェン、炎症緩和に非ステロイド性抗炎症剤外皮用薬を処方します。さらに、転位(ずれ)防止と呼吸性疼痛の緩和にバストバンドを着用していただきます。一般的に疼痛は2〜3週間で軽快します。骨癒合(骨がつく)には2〜3か月を要します。

 たはら整形外科