大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折

大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折は、繰り返される軽微な日常生活動作やスポーツ活動などにより、大腿骨頭の軟骨直下(軟骨は4層からなりますが、その深層部の石灰化層下の骨)が骨折する病態です。基礎疾患に骨粗鬆症を有する60~80歳の高齢者の女性に多く認められます。

症状:股関節痛や運動障害、歩行障害です。診断はレントゲン検査やCTやMRIで確定されます。特徴的な所見は、MRIでの中枢凸の帯状バンドです。鑑別疾患(見極め)に特発性大腿骨頭壊死変形性股関節症があります。最終的な確定診断は病理検査となります。なお、時に、短期間に関節が破壊される急速破壊型股関節症に移行する症例もありますので要注意です。

治療:保存的治療が原則です。軽症例は、松葉杖を用いて免荷歩行(体重をかけず歩行)していただき、定期的にレントゲン検査やMRIで進行度や改善度を経過観察いたします。疼痛緩和にアセトアミノフェン、炎症緩和に非ステロイド性抗炎症剤を処方します。効果がなければトラマドール塩酸塩デュロキセチンを検討します。リハビリテーションとして物理療法股関節のストレッチング股関節の筋力強化を指導します。

しかし、効果がなければ手術的治療を検討します。手術的治療は骨切り術と人工関節に分かれます。骨切り術は、骨頭に正常組織があれば骨切りを行い、正常な骨組織で荷重させる手術です。人工関節は、骨切り術の適応にならない広範囲の軟骨下損傷の症例や変形性股関節症を呈した症例です。術式は、人工骨頭置換術(骨頭を人工物に入れ替える手術)と、全人工股関節置換術(骨頭と受け皿である臼蓋をともに人工物に入れ替える手術)を検討いたします。

 たはら整形外科