頚肩腕症候群

頸椎の機能
頚肩腕症候群とは、首〜肩〜腕にかけての痛みや凝り、シビレなど色々な症状を認める状態を総称して呼ばれます。頚椎は4〜6kgの頭(スイカ程度の重量)を支え、脊髄を保護し、頚部周囲の筋肉は下垂している腕を上方へ持ち上げる機能を担っています。正常な頚椎は、良い姿勢で効率よく頭を支えています。しかし、頚椎の姿勢が悪いと、効率よく頭を支えることが出来ません。そのため首や肩、腕に負担が生じ色々な症状が現れます。なお、頚椎の解剖学的特徴については頚椎の構成体の項を参照されて下さい。

頚肩腕症候群は、なで肩の人や頚部周辺の筋肉の発育が悪い方、頚椎の変形(頚椎症性変化)のある方、交通事故やスポーツ傷害の既往のある方に多く認められ、長時間にわたる同一姿勢で症状が増悪されます。

症状:首や肩、腕への痛みや凝り、シビレなど様々な症状を訴えます。しかし、特徴的な症状や神経学的異常所見は認めません。なお、頚肩腕症候群の中には胸郭出口症候群に起因すると考えられる症例を多く含んでいるように思われます。従って、常に、胸郭出口症候群を念頭に置いた注意深い観察が必要と考えます。

治療:まず日常生活の注意点(作業中の姿勢など)を指導します。リハビリテーションとして物理療法(主に頚椎牽引療法など)や運動療法頚部のストレッチング筋力強化訓練)を指導します。疼痛緩和にアセトアミノフェン、炎症緩和に非ステロイド性抗炎症剤外皮用薬などを処方します。また、ストレスによって症状が悪化する症例では、短期間の抗不安剤の投与を検討します。さらに、頑固な疼痛を有する症例には、神経ブロック療法としてトリガーポイントブロック星状神経節ブロック肩甲上神経ブロックなどを検討します。

 たはら整形外科