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膝の滑液包とは 膝の周囲には15個程度の滑液包があります。滑液包は関節内の滑膜に似た組織です。滑液包の作用は腱や靭帯から受ける衝撃を吸収し摩擦を軽減し機械的な刺激や圧迫を緩衝しています。しかし何らかの原因で滑液包が炎症を起こすと反応性に滑液が増え、脹れや痛みを引き起こします。膝周辺の代表的な滑液包炎として鵞足滑液包炎があります。 鵞足滑液包炎 鵞足(ガソク)は大腿部後方にある縫工筋と薄筋と半腱様筋の3つ腱から構成され、脛骨粗面の内側部に付着しています。あたかも「ガチョウの足」に似ていることより鷲足と命名されました。鵞足炎はスポーツ活動や外傷(ケガ)後や膝の変形(変形性膝関節症やO脚、X脚)や腫瘍(脛骨外骨腫やガングリオン)などにより鵞足部が炎症を起こした状態です。鷲足の下部には鵞足滑液包が存在するため、大半が鵞足滑液包炎を合併しております。症状は鵞足部の痛みや腫れで、運動で増悪します。 治療は保存的治療が原則です。物理療法(スポーツ後はライスの処置を勧めます)や鷲足のストレッチングを指導します。急性期は痛みを誘発するような動作を控え、炎症緩和に非ステロイド性抗炎症剤や外皮用薬などを処方します。効果がない症例はステロイド腱内注射、また滑液包内注射を試みます。再発を繰り返す慢性例は鵞足部に負担がかからないインソールを試みます。なお原因が外骨腫やガングリオンなどの症例は腫瘍摘出術を検討します。
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