誘因 |
●スポーツ外傷 大学時代はラグビー部に所属していました。社会人との試合で不意に後方からタックルされ初めて腰痛を経験しました。腰部捻挫と診断され2〜3日寝込みました。 |
●不良姿勢 整形外科医として社会人になりました。仕事がら長時間の手術に立ち会うことが多く、術中に腰痛が発生し、しゃがみ込むこと(腰椎前屈位になること)が再三ありました。慢性腰痛症と自己診断し、炎症緩和に薬物療法(外皮用薬や非ステロイド性抗炎症剤)で経過観察しておりました。 |
●ストレス 勤務医時代の生活を経て、生まれ育った宇部市で開業しました。勤務医時代に比べ、開業医の仕事(診察や処置、外来手術、書類作成、レセプトチェックなど)は結構ハードでストレスを感じる日は腰痛も出現しておりました。 |
●スポーツ 院内旅行でスキーに行きました。初心者にスキーの指導をしました。後方より中腰で体を抱きかかえ長時間ボーゲンを教えました。その後、過去に経験したことのない激しい腰痛を認めました。レントゲン検査で椎間板狭小(椎間板が潰れている所見)を認めました。 |
●長時間の運転 友人と熊本にゴルフに出かけました。往復8時間の強行軍です。プレー中、腰痛はありませんでしたが、帰宅後、車から降りようとした際に臀部から右下腿へ放散する痛みを認めました。根性坐骨神経痛の症状です。薬物療法と簡易コルセットで経過観察しました。その後、症状は一進一退でした。 |
診断 |
ある盆休みのゴルフ中でスタートホールの二打目を打ち終えてのち、腰部から右臀部、下腿外側に激痛を認めました。その後、症状は日増しに悪化し、シビレ感(知覚鈍麻)も出現しました。症状は歩行で増悪し、しゃがむと軽快します。MRIで第5腰椎‐第1仙椎間にヘルニアを認め、腰椎椎間板ヘルニアと確定診断しました。 |
治療 |
●保存的治療 治療としてダーメンコルセットを着用し、薬物療法、物理療法(腰椎牽引など)、神経ブロック療法(トリガーポイントブロック、仙骨硬膜外、腰部硬膜外ブロック)を行いました。 しかし、症状はさらに悪化し3分間歩行で1分程度の休憩が必要となる間欠性跛行を認めました。うつ伏せで腰痛、下肢痛は悪化し、海老のような姿勢でしか睡眠がとれません。最後の望みをたくし神経根ブロック療法を行いましたが効果はありません。耐え難い痛みとなり手術を覚悟しました。 |
●手術的治療 術式はラブ法です。手術時間は40分程度で、入室後1時間30分後に病室で覚醒しました。痛みもなく快適の気分です。ヘルニアは2、8gで右神経根はかなり圧迫、牽引されていたとのことでした。 |
経過 |
術後8日目から診療を再開した。しかし、術後3週目よりおしっこの切れが悪く、軽度の尿漏れや残尿感を認めました。MRIで確認したところ硬膜外血腫を認め、馬尾神経が高度に圧迫されていました。その後経過とともに次第に自覚症状も改善され、手術後6ヶ月目のMRIでは硬膜外血腫は消失していました。現在、運動療法(腰のストレッチングと筋力増加訓練)で経過観察しております。 私の腰椎椎間板ヘルニアは、スポーツ活動や長時間にわたる中腰での作業、ストレス、長時間の同一姿勢での運転などによって発症しました。耐え難い痛みのため手術を選択しました。術後の硬膜外血種の発生は早い社会復帰に問題があったと考えています。 |
たはら整形外科 |