腸脛靭帯炎

腸脛靭帯炎は、ランニングによって起こる疾患の1つです。長距離ランナーに多く、別名「ランナー膝」と呼ばれます。膝にO脚を認める人やランニング中に足の回内を強めて走る人、腸脛靭帯の緊張の強い人に認められます。原因はランニング中に膝の屈伸(曲げ伸ばし)を繰り返すことで、腸脛靭帯が大腿外側上顆部で擦れて炎症を生じて起こります。

症状:運動時の膝部の大腿外側上顆部の痛みです。診察では大腿外側上顆部部に圧痛があり、Grasping Testが陽性になります(外側上顆部で腸脛靭帯を押さえ膝を伸展させると痛みを訴えます)。また、疼痛部に局所麻酔を打つと症状が改善されますので、診断は容易です。

治療:保存的治療(手術しない方法)が原則です。まずランニングを一次中止していただきます。物理療法股のストレッチング膝のストレッチング股の筋力強化膝の筋力強化を指導し、運動後はRICEの処置を勧めます。疼痛緩和に短期間のアセトアミノフェン、炎症緩和に非ステロイド性抗炎症剤などを処方します。頑固な症例ではステロイド注射を試みます。再発を繰り返す症例やO脚の強い症例は、腸脛靭帯に負担がかからないようなインソールを着用を検討します。これらの保存的治療で改善されない症例は、腸脛靭帯の緊張を取り除く目的で腸脛靭帯の部分切離術を検討します。

 たはら整形外科