三角骨障害 (足関節後方インピンジメント症候群)
三角骨は、足関節の距骨の後ろにある過剰骨(副骨)のことです。健常者の10%程度に認めます。三角骨があっても日常生活に全く問題ありません(無症候性三角骨です)。しかし、足首を強く下に蹴る動作(サッカー、水泳、剣道、空手など)や、つま先立ちを繰り返す動作(バレエダンサーなど)で、三角骨が脛骨後部と踵骨(かかとの骨)間に挟まれると、アキレス腱の深部に強い痛みを発生させます(有痛性三角骨です)。この状態を三角骨障害と言います。別名、「足関節後方インピンジメント症候群」、「足関節後方衝突症候群」とも呼ばれます。全ての年齢に起こりますが、スポーツ傷害として若者によく発生します。

診断:レントゲン検査では、距骨本体と癒合不全を起こしたタイプと、スポーツ活動によって骨折したタイプに分かれます。診断は局所麻酔を圧痛部に打つと症状が改善されるので容易に診断できます。

治療:保存的治療(手術しない方法)と手術的治療があります。保存的治療が原則です。治療は、疼痛の誘因となった日常生活動作やスポーツ活動を一時中止していただきます。物理療法足首ストレッチングアキレス腱のストレッチング足首の筋力強化を指導します。疼痛緩和にアセトアミノフェン、炎症緩和に外皮用薬非ステロイド性抗炎症剤などを処方します。難治例にはステロイド注射を勧めます。これらの保存的治療で改善されない症例は、鏡視下三角骨摘出術を行います。その他、足部で代表的な過剰骨(副骨)として舟状骨周囲にある外脛骨や立方骨周辺にあるOs peroneumなどがあります。

 たはら整形外科