足関節捻挫
(足関節靭帯損傷、内果・外果剥離骨折を含む)

足関節捻挫とは、足首が内反(内返し)、外反(外返し)して軟部組織や靭帯、骨などを損傷する疾患です。足関節捻挫は3つのタイプに分かれます。「単なる捻挫のタイプ」、「靭帯損傷のあるタイプ」、「剥離骨折のあるタイプ」に分かれます。

単なる捻挫のタイプ:靭帯損傷や剥離骨折のいずれもないものです。
靭帯損傷のあるタイプ:脛腓靭帯損傷と外側側副靭帯損傷、内側側副靭帯損傷に分かれます。大半は内反が強制されて起こる外側側副靭帯損傷です。さらに、外側側副靭帯損傷は前距腓靭帯と後距腓靭帯と踵腓靭帯に分かれます。大半は前距腓靭帯の損傷です。診断はレントゲン検査と超音波検査です。レントゲンでは受傷機転(ケガをした時の足首の状態)を再現するストレスレントゲン撮影が必要です。超音波検査は動的に靭帯損傷が観察できるので非常に有益です。
剥離骨折のあるタイプ外果剥離骨折が大半です。ストレスレントゲン撮影にて診断されます。時に、外反が強制されて内果剥離骨折を認めることもあります。なお、過剰骨(胎生期の遺残物で癒合できずに分離した状態の小骨)との鑑別が必要です。

治療:保存的治療(手術しない方法)が原則です。まず、受傷直後はライスの処置を行います。単なる捻挫では安静を指示し、疼痛緩和にアセトアミノフェン、炎症緩和に非ステロイド性抗炎症剤外用剤などで経過観察します。靭帯損傷例や剥離骨折例は、軽症はギプスシーネで経過観察し、重度はギプス包帯を行います。なお、ギプス包帯のまま歩行は許可します(骨と筋肉の衰えを防ぐため)。固定期間は3〜5週間行います。ギプス除去後は、足首のストレッチング筋力強化を指導します。

なお、剥離骨折例は、骨癒合を認めるまで、しっかりギプス固定を行わないと、時に遊離骨片(骨がつかずに離れた状態)となり痛みの原因となります。患者さんから「テーピングの治療はいかがですか?」とお尋ねがあります。「テーピングは皮膚にします。骨や靭帯には出来ません。当然、固定は不十分です。15分後に汗のために粘着力が落ち固定力がなくなるとの報告があります。重度の靭帯損傷や剥離骨折を認める症例にはお勧めできません」とお答えしております。サポーター固定も同様と考えています。しっかりした固定にはギプス包帯を勧めます。

 たはら整形外科