下腿骨疲労骨折(脛骨・腓骨)

下腿骨疲労骨折は、スポーツ活動によって起こる成長期の代表的な骨折の一つです。下腿骨疲労骨折は発生部位により脛骨疲労骨折腓骨疲労骨折に分かれます。疲労骨折は転倒や打撲などの外傷(ケガ)によって起こる一般的な骨折と違って、明らかな誘因がなく発生します。すなわち、骨と筋力の発育が不均等である成長期にランニングやジャンピングなどの繰り返しの動作によって、骨に過度の刺激やストレスが加わった結果発生します。ちょうど、飛行機がフライトを重ねるつど、風圧によって機体に負荷がかかり、いつの間にか金属疲労を来たす状況と似ています。

症状:下腿の痛みと腫れです。痛みは運動で増悪し、安静で軽快します。進行すると歩行時痛や歩行障害を認めます。診断はレントゲン検査で確定されます。しかし、初期の症例はレントゲンで異常を認めません。2〜3週間後の再レントゲン検査で骨膜反応や仮骨が確認され、確定診断されることが多々あります。したがって、スポーツ選手が下腿の痛みや腫れを訴える際は、常に、疲労骨折を念頭に置き、注意深い観察が必要です。なお、脛骨疲労骨折はシンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)との鑑別(見極め)が必要です。早期診断にはMRIが必要です。なお、下肢の代表的な疲労骨折として中足骨疲労骨折があります。

治療:保存的治療(手術しない方法)が原則です。原因となったスポーツ活動を一次中止していただきます。疼痛緩和に短期間のアセトアミノフェン外皮用薬を処方します。骨癒合を促進する目的で超音波骨折治療器を検討することもあります。また、運動療法として股のストレッチング膝のストレッチング足首のストレッチングアキレス腱のストレッチング股の筋力強化訓練膝の筋力強化訓練足首の筋力強化訓練アキレス腱の筋力強化訓練を指導します。一般的に完治までの経過は長く2〜6ヶ月間を要します。時に、跳躍型疲労骨折(ジャンプ動作を行うスポーツ活動で脛骨の中央に起こる骨折)では、手術的治療(髄内釘プレート固定)が検討されることもあります。

 たはら整形外科