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十字靭帯について |
| ・膝関節は前後の動揺(ぐらつき)を防ぐために、十字の形をした2本の十字靭帯、すなわち前十字靭帯と後十字靭帯が存在します。 ・前十字靭帯は小指程度の大きさです。後十字靭帯は親指程度の大きさです。 ・前十字靭帯の方が後十字靭帯より小さく、強度も弱いため、前十字靭帯の損傷をより多く認めます。 ・前十字靭帯損傷はバレーボール、バスケットボール、スキー、体操などのスポーツ活動中に発生します。 ・後十字靭帯損傷は強い外力(交通事故、労災事故など)で発生します。 ・十字靭帯損傷は他の靭帯損傷や半月板損傷を高頻度に合併します。 1)前十字靭帯損傷 ・前十字靭帯は、大腿に対して下腿が前方に移動する動きを制御しています。したがって、前十字靭帯が損傷すると、下腿が大腿に対して前方へ移動することになります。 原因 ・解剖学的特性より女性に多く、男性の2〜3倍程度と言われています。 ・大半はスポーツ中のジャンプの着地時や急な減速や方向転換の際に、膝関節に外反ストレスと下腿の内旋、前方移動が加わって発生します。 ・前十字靭帯断裂の大半は中央部での断裂です。 症状 ・受傷時に断裂音(ポキッ)や痛み、腫れ、運動障害、歩行障害を訴えます。 ・陳旧例(時間が経過した症例)は、関節の不安定性や膝崩れ現象(膝が抜ける感じ)、脱臼感を訴えます。 診断 ・膝の不安定性の検査(ラックマンテストや前方引き出しテストなど)が陽性となります。 ・関節穿刺で関節内血種を認めます。スポーツ活動中に起こる関節内血腫の70%は前十字靭帯損傷を認めると報告されています。 ・レントゲン検査で下腿を前方へ引き出すようなストレスをかけると不安定性が確認されます。時に、靭帯の付着部で剥離骨折を認めることもあります。 ・診断にMRIが必要です。診断率は90%と言われています。高頻度に内側側副靭帯損傷や半月板損傷を合併しています。確定診断は関節鏡です。 治療 保存的治療(手術しない方法)と手術的治療に分かれます。 1)保存的治療 ・保存的治療は部分損傷例や小児や高齢者の症例です。 青壮年やスポーツ愛好家は積極的に手術が行われます。 ・受傷時はライスの処置を行います。 ・軟性サポーターや硬性装具を着用をすすめます。早期より筋力強化訓練を行います。 ・前十字靭帯損傷は自然治癒能力が弱いため成績はあまりよくありません。 ・保存的治療には限界があります。完治されないと、将来、半月板損傷や変形性膝関節症の発症を招くことがあります。 2)手術的治療 ・関節鏡視下自家腱再建術(自分の膝周囲の腱である半腱様筋腱、薄筋腱、骨付き膝蓋腱など)を用いた靭帯再建術が検討されます。 ・移植した腱が靭帯化するまで8ヶ月〜1年程度と言われています。スポーツ復帰は1年前後となります。 ・手術後の再断裂や反対側の断裂の発生を30%程度に認められると報告されています。 ・なお小児の症例では骨端線(成長線)があるため手術の適応に慎重を要します。 2)後十字靭帯損傷 ・後十字靭帯は大腿に対して下腿が後方に移動する動きを制御しています。したがって、後十字靭帯が損傷すると下腿が大腿に対して後方へ移動することになります。 原因 ・交通事故の際にダッシュボードで下腿前面を強打した際やラブビーなどのスポーツで下腿前面にタックルされた際に前方からの強い外力で損傷します。 症状 ・下腿前面の痛み、膝の後面(後十字靭帯の付着部)の痛み、腫れ、運動障害、歩行障害です。陳旧例では関節の不安定性や脱臼感を訴えます。 診断 ・診察では下腿が後方に落ち込み、関節の不安定性検査(後方引き出しテスト)などが陽性となります。 ・関節穿刺にて関節内血腫を認めます。 ・レントゲン検査で下腿を後方へ押し込むストレス撮影で不安定性が確認されます。 ・時に靭帯付着部に剥離骨折を認めるを認めます。 ・詳細な情報収集にはMRIやCT、関節鏡が必要です。 治療 ・後十字靭帯損傷は前十字靭帯損傷に比べ、日常生活動作にあまり支障を来たすことはないようです。大半は保存的治療が行われます。 1)保存的治療 ・安静の目的でギプスや装具療法が行われます。早期より筋力強化訓練を行います。 2)手術的治療 ・動揺性(ぐらつき)の激しい症例では、後十字靭帯再建術が検討されます。 |
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| たはら整形外科 |