肘内障

肘内障は、小児における肘の外傷(ケガ)の中で最も頻度の高い疾患です。肘を伸ばして手首を内回され、引っ張られた際や、腕を下にして転んだ際に橈骨頭が輪状靭帯から外れかかるために起こります。2歳から6歳に多く、再発を繰り返しながら8歳頃に自然に消失します。これは成長とともに橈骨頭が大きくなり輪状靭帯から外れなくなるためと思われます。

症状激しく泣く痛みです。痛みは突然起こり、泣け叫び、腕をだらりと下げ全く動かしません。肘周辺の骨折と違って、ほとんど腫れを認めないのが特徴です。原因は肘関節の亜脱臼と考えられていましたが、超音波検査で回外筋が輪状靭帯と共に腕橈関節内へ引き込まれて発症することが判明されました(超音波検査でJサインを認めます)。なお、診察時に転倒や転落などの外傷(ケガ)の既往があれば、レントゲン検査が必要です。上腕骨顆上骨折上腕骨外顆骨折橈骨頭脱臼などの鑑別(見極め)を行います。

治療:直ちに徒手整復術を行います。整復は肘を曲げた状態で橈骨頭を触り、押し込みながら前腕を回内(内返し)および回外(外返し)すると「コクッ」と言う音とともに整復されます。整復後は急に泣きやみ、腕を動かします。整復の有無は万歳が出来るかどうかで判断できます。

 たはら整形外科