上腕骨顆上骨折

上腕骨顆上骨折は小児の肘の外傷(ケガ)の中でよく見られる骨折の一つです。子供が転倒や転落で肘を痛がり来院されると、上腕骨顆上骨折と上腕骨外顆骨折肘内障(2〜8歳)を考えます。大半が転んだ際に肘を伸ばして手をついて受傷されます。

症状・診断
肘の痛みや腫れ、変形、異常可動性(肘がグラグラする状態)を認めます。不幸にして、骨片(骨の破片)や転位(ずれ)のため橈骨神経や正中神経、尺骨神経が圧迫されると、その神経が支配している領域の知覚障害(感覚が鈍い、ピリピリする、ジンジンする)と運動障害(手首や指が伸びない、曲がらない、指が開かない)などを訴えます。また血管が圧迫されると循環障害を起こし、手指への激痛やチアノーゼ(血行障害のため指が紫色になる状態)や運動障害が起こります。神経や血管損傷に注意して下さい。診断は
レントゲン検査で確定されます。

治療
保存的治療と手術的治療があります。
1)保存的治療
転位(ずれ)のない症例ギプス包帯装具療法などで経過観察します。転位が軽度な症例は徒手整復術を行いギプス包帯をします。

2)手術的治療
転位のある症例は麻酔を用いて徒手整復してギプス固定します。整復後に再転位するようであれば経皮的骨接合術(切開せずに皮膚の上からピンのような器具で骨折部を固定する手術)を行います。なお、整復不能な症例や神経麻痺や血行障害を認める症例では直視下手術(切開して骨折部を展開して固定する手術)を行います。正確に整復固定しないと肘の変形(内反肘や外反肘)を来し、将来、変形性肘関節症を招きますので要注意です。


 たはら整形外科