橈骨頭脱臼

橈骨頭脱臼は、比較的稀な疾患です。転倒や転落の際に肘を伸ばして、手の平を地面についた時に発生します。注意深く観察しないと肘の捻挫と間違われ、後日、肘の運動障害などの後遺症を残し問題となります。症状は肘の痛みや腫れで、痛みのために腕や肘を全く動かそうとはしません。診断はレントゲン検査で確定されますが、正確な側面像を撮影しないと、脱臼が判明しないので要注意です。

治療:受傷直後であれば徒手整復術が行われます。整復後、2〜4週間程度のギプス包帯を行います。しかし、陳旧例(受傷後かなり時間が経過した症例)は、手術的治療(関節包を切開し、腕橈骨関節内の輪状靭帯を正常位に戻す手術)が必要となります。また、稀にモンテジア骨折(橈骨頭脱臼+尺骨骨折)を認めることもあります。なお、小児期に高頻度に認められる肘内障は橈骨頭亜脱臼と考えられていましたが、近年、亜脱臼ではなく、輪状靭帯と回内筋が関節内にはまり込んで起こる疾患であることが分かりました。

 たはら整形外科