ばね指

腱鞘(けんしょう)とは
ばね指は腱鞘炎です。腱鞘は腱を包んでいる鞘(さや)のことです。腱鞘の中に滑液という油のようなものがあり、腱を滑りやすくしています。ばね指は何らかの原因で腱鞘が炎症を起こし屈筋腱(指を曲げる腱)と腱鞘が肥厚し腱の滑走(すべり)が悪くなり、痛みや運動障害をもたらす疾患です。名前の由来は、引っかかった指を伸ばそうとすると、あたかもバネ現象のようにビョーンと伸びるのでバネ指と呼ばれます。別名、「弾発指」や「snapping finger」とも言われます。


ばね指
指の曲げ伸ばしが困難だ。朝起きると指が曲がったままで伸びない。無理に指を伸ばそうとすると引っかかるなどと訴えられます。中高年者によく見かけます。時に、多指に同様な状態を訴え受診されることもあります。症状は指の根元の痛みと腫れ、運動障害です。

慢性的な使い過ぎと思われますが、体質的な要因が関与していると考えられています。全ての指に発生しますが、好発部位は母指です。診断は容易です。詳細な情報収集には
動的な観察ができる超音波検査が有用です。時にガングリオンによって腱鞘や屈筋腱が圧迫され発症しているケースもあります。

治療
1)保存的治療が原則です。
誘因と考えられる作業や運動を極力控えていただきます。患部に
軟膏剤を塗布しマッサージしてのち、指のストレッチを指導します。また炎症緩和に短期間の非ステロイド性抗炎症剤を処方します。効果のない症例はステロイド腱鞘内注射を検討します。

2)手術的治療
保存的治療で改善されない症例や再発を繰り返す症例、早期改善を望まれる症例では
腱鞘切開術をすすめます。腱鞘切開術の成績は良く、患者さんは満足されます。

稀に、乳幼児の母指に発生することがあります。乳幼児の場合は成人と違って関節が固まって指が全く伸びません。それゆえ、強剛母指と呼ばれます。治療は曲がった指を徒手整復(強制的に伸ばして)、母指を過伸展位にした状態で数か月間装具を着用させます。これで改善されない症例は腱鞘切開術を検討されます。


 たはら整形外科