有痛性分裂膝蓋骨
分裂膝蓋骨は、先天的に膝蓋骨(お皿)が2つ以上に分裂している状態(分かれている状態)を言います。全く症状を認めない無痛性分裂膝蓋骨と、痛みなどの症状を認める有痛性分裂膝蓋骨に分かれます。分裂膝蓋骨の大半は二分膝蓋骨です(お皿が2つに分かれている)。時に、3つ以上に分裂している膝蓋骨も見かけることもあります。多くは膝蓋骨の外側上部に小さな骨片として存在いたします(稀に、膝蓋骨下部に認められることもあります)。男の子に多く、大半は無症状に経過します。これを無痛性分裂膝蓋骨と言います。

有痛性分裂膝蓋骨とは、スポーツ活動や打撲などをきっかけに分離部にストレスや炎症が加わると痛みなどの症状を起こします。大半は膝蓋骨の外側上部の痛みです。痛みは運動にて増悪し、安静にて軽快します。診察では分裂部に圧痛と腫脹を認めます。診断はレントゲン検査で確定されます。しかし、撮影条件によっては分裂骨片と大腿骨が重なりあって発見できないこともあります。必ず、軸写像を追加することが大切です。

治療:保存的治療(手術しない方法)が原則です。まず、スポーツ活動を一旦中止していただきます。リハビリテーションとして物理療法股のストレッチング膝のストレッチング股の筋力強化膝の筋力強化を指導いたします。また、膝蓋骨制限付きサポータージャンパー膝サポーターの着用を勧めます。改善されない症例は、分離部にステロイド注射を試みます。

手術的治療は再発を繰り返す症例が対象です。術式(手術の方法)は、骨片摘出術(分裂骨片を摘出する方法)と骨接合術(分裂した骨をつなぐ方法)があります。しかし、骨接合術は骨がつくまでに時間を要し、さらに再骨折の可能性もあるため、一般的に骨片摘出術が選択される傾向にあります。

 たはら整形外科