最新の医療情報
2023年8月~2024年3月の医療情報

 2024年4月からの医療情報

唾液の診断で下咽頭がんを早期に発見
のどの奥にできる下咽頭がんを、唾液の成分を調べるだけで早期に発見できることを岡山大の研究グループが発表した。咽頭がんは症状が出にくく、がんが進行してから見つかる割合が高い。特に下咽頭がんは悪性度が高く、進行期での5年生存率は40%以下という。研究グループは下咽頭がんで内視鏡治療をする患者61人と、がんではない患者51人の唾液中のDNAを抽出し、がん化に影響を及ぼす遺伝子のメチル化について比較した。その結果、下咽頭がんの患者のメチル化が極めて高かった。また広島市民病院の下咽頭がん患者26人の唾液で調べても、22人(約85%)の患者から高いレベルのメチル化が検出された。この結果から、唾液を調べれば、がんの早期発見が可能となり、局所を切除して根治を目指すことができるようになるという。(2024年5月6日朝日新聞)

母乳に含まれる抗体が子どもの脳の発達や行動に影響
群馬大はマウスの実験で母乳に含まれている抗体が子どもの脳の発達や行動に影響を与えていることを発見したと発表した。今後、人間の脳への影響を調べることで、疾患防止などにつながる可能性があるとしている。母乳は乳児に与える期間と知能指数に関連があるとの報告はあったが、影響する成分や作用は判明していなかった。母乳は人工ミルクと違い、母親が持つウイルスの抗体も含まれている点に着目し、抗体を受け取るマウスと、受け取れないよう遺伝子を変えたマウスを使用した。その結果、抗体を受け取ったマウスの脳内では、抗体と脳内で異物除去を担う免疫細胞(ミクログリア)が結合していた。結合したミクログリアは、記憶や学習で重要な役割を果たす神経細胞の生存に関与する1型インターフェロンも分泌していた。一方、遺伝子を変えたマウスは、社会性行動に影響を与える特定の神経細胞が減少し、受け取ったマウスと異なる行動をとった。抗体が脳や行動に違いを生じさせることはわかった。今後は人間の母乳の抗体濃度と母乳で育った子どもで相関性を調べる予定。良い影響の場合は、抗体が入った人工ミルクを製造し、悪影響であれば母親の抗体が増えた場合に母乳を与えないように呼びかけることもできると話している。(2024年5月5日読売新聞)

核医学のがん治療施設開設
藤田医科大病院は放射性物質を含む薬剤を患者に投与してがんなどを診断・治療する「セラノスティクスセンター」を開設する。放射性医薬品のもとになる「核種」の製造から放射性医薬品の合成や患者への投与を一元的に集約した施設で、国内初という。2024年5月1日から本格稼働する。センターは放射線治療の一分野である核医学の臨床・研究施設。放射性物質を含んだ薬剤を静脈注射や服薬で患者の体内に投与し、薬剤ががんなどの病巣や臓器に集まる様子を可視化して診断や治療につなげる。すでに放射性医薬品を使った神経内分泌腫瘍の治療を始めており、アルツハイマー病や前立腺がん、脳腫瘍の診断に使う放射性医薬品は現時点で同センターで合成できるという。今後は前立腺がんなど治療の対象とする疾患を順次広げる。(2024年4月30日日本経済新聞)

後発薬の使用を促進、患者の自己負担額引き上げ、
厚生労働省は10月から、ジェネリック医薬品(後発薬)がある特許切れの先発薬について、患者の自己負担額を引き上げる1095品目のリストを公表した。インフルエンザ治療薬「タミフル」や保湿剤「ヒルドイド」などが含まれる。安価な後発薬の使用を促して医療費を抑制する。患者が先発薬を選んだ場合、最も価格が高い後発薬との差額の25%を保険適用から外し、自己負担にする。例えば、タミフルは1カプセルの薬価が約206円で、後発薬の最高価格が約112円のため3割負担の人だと、現在の約62円から約81円に上がる。(2024年4月30日読売新聞)

人の皮膚持つマウスが誕生
東京医科歯科大などの研究チームは、妊娠中のマウスの羊水に人の皮膚のもとになる細胞を入れ、人の皮膚を持つマウスを作ることに成功したと発表した。重いやけどや外傷を負った人への移植用皮膚として実用化を目指すという。チームは、遺伝子を改変するゲノム編集技術を使って、皮膚の成長に必要な遺伝子が機能しないマウスの受精卵を作製した。この受精卵を移植して妊娠させたマウスの羊水に人の皮膚のもととなる幹細胞を注入した。その5日後、胎児のマウスを調べたところ、体表面の広い範囲に人の皮膚が作られていたという。遺伝子改変したマウスの受精卵に、別のマウスの幹細胞をより早いタイミングで混ぜ合わせると、毛が生える毛包など、より機能の高い皮膚が作られた。チームは、妊娠期間が長いブタなどを使えば、高機能な人の皮膚を大量に作製できるとみている。やけどなどで皮膚が広く損傷した患者への治療は、他人から提供された皮膚の移植や、シート状に培養した細胞を貼り付ける方法などがある。シート状の細胞は、細胞を支える組織などがなく、深い傷の修復には課題があった。研究チームは、患者さんの治療に役立つ移植用皮膚の提供につなげたいと話す。(2024年4月29日読売新聞)

希少疾患新薬、日本人の臨床試験なしで可能に
海外で承認された薬が日本で使えない「ドラッグロス」の問題を改善するため、厚生労働省は、小児がんなどの希少疾患の新薬について、承認申請の要件を緩和することを決めた。日本人の臨床試験データがなくても申請できる新たな仕組みを、5月にも導入する方針だ。海外の製薬企業による申請を促し、薬の実用化の時期を早める狙いがある。薬によっては、人種などで効果や副作用に差が出ることもあるため、通常は日本人を対象に行った臨床試験の結果も提出する必要があり多大な費用がかかる。このため海外企業が日本での申請を見送ることがあり、ドラッグロスの一因と指摘されていた。海外で承認されたが日本で使えない薬は増えている。昨年3月時点で、欧米で承認されているが日本で未承認の薬143品目のうち、86品目は国内で申請されておらず、40品目は患者が少ない病気の薬だった。新たな仕組みでは、海外での試験結果をもとに、日本人患者にも薬の効果が高く副作用を考慮しても恩恵が大きいと見込まれる場合は、日本人のデータがなくても申請を認める。ただし、海外での臨床試験が既に終了している薬。患者数が数百人以下など少なく日本での追加試験が難しい薬。病気の進行が速く命に関わるなどの条件を満たした薬が想定される。(2024年4月29日読売新聞)

普及が進まない診療所向けの電子カルテ、政府が開発へ
政府は、電子カルテの導入が進まない診療所に普及させるため、基本機能を必要最小限に絞り込んだ新しいシステムの開発に乗り出す。入院に対応する機能は省き、外来機能に特化して導入コストを抑える。2024年度中に開発し、来春から数か所の地域で試験導入する。電子カルテは2030年までに、ほぼ全ての医療機関に普及させる目標を掲げており、新システムを活用することで達成を目指す。診療所向けの電子カルテシステムは、デジタル庁で開発する。民間事業者の電子カルテは、導入コストとして数十万から数百万円かかるとされるが、診療所向けは、できるだけ安価なものを目指す。医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環。(2024年4月27日読売新聞)

ヒトiPSでサルの心機能改善
ヒトのiPS細胞からつくった心筋の細胞を心筋梗塞を起こしたサルの心臓に移植し、心機能を回復させることに成功したと信州大や慶応大などのチームが発表した。これまで、移植後に起きる不整脈が課題だったが、移植する細胞の純度を高めることで、不整脈の頻度を格段に減らせたという。心筋梗塞が起こると、心筋の細胞が数億個も失われ「心不全」につながる。心不全患者は高齢化とともに増え、2030年に130万人を超えるという。チームは、皮膚や血液の細胞からつくれて、さまざまな細胞に変化できるiPS細胞から心筋細胞をつくり、心臓に移植する治療法の開発をめざして研究した。ただ、移植から数カ月間にわたって、心拍数が多くなる不整脈が出てしまうことが課題だったが、研究チームはiPS細胞から心筋細胞をつくるときの条件を改良して、必要なタイプの心筋細胞だけをつくる手法を確立させ、「心筋球」と呼ぶ1千個ほどのかたまりにした。今回の研究では、心筋梗塞を起こした4匹のカニクイザルの心臓に6千万個の心筋細胞に相当する数の心筋球を移植した。比較のため、同様に心筋梗塞を起こした5匹のサルには移植をしなかった。全てのサルには免疫抑制剤を与えた。移植から3カ月後、移植を受けたサルの心臓を解剖したところ、移植されたヒトiPS細胞由来の心筋細胞が、周囲の心筋細胞とつながっていることも確認できた。細胞移植による心臓の再生医療の実現のためには、不整脈が最も大きなハードルだった。現在、冠動脈バイパス術という別の心臓の手術と同時に、心筋球を移植する臨床試験に取り組んでおり、2022年末以降に4人の患者が移植を受けた。一時的に軽い不整脈はみられたが、これまでのところ安全性に問題ないという。(2024年4月26日朝日新聞)

医師数統計公表(厚労省調査)
厚生労働省は「医師・歯科医師・薬剤師統計」の最新結果を取りまとめ2024年3月19日に公表した。それによると、全国の医師数は34万3,275人で2020年に比べ1.1%増加。人口10万対医師数は274.7人で、前回に比べ5.5人増加している。医療施設(病院・診療所)に従事する医師のうち女性は7万7,380人となり、前回よりも4.8%増と大きく数字を伸ばした。年齢階級別にみるとすべての階級で男性が多くなっているが、年齢階級が低くなるほど女性の割合が増え、29歳以下では36.2%を占めている。医師数を施設の別にみると、医療施設の従事者は32万7,444人(総数の95.4%)で、前回に比べ3,744人(1.2%)増加。介護老人保健施設の従事者は3,298人(同1.0%)で前回に比べ107人(3.1%)減少している。医師数が最も増えたのは美容外科、減ったのは気管食道外科、診療科別にみると、内科が6万1,149人(18.7%)と最も多く、次いで整形外科2万2,506人(6.9%)、小児科1万7,781人(5.4%)と続いた。診療科別の平均年齢をみると、肛門外科が60.5歳と最も高く、内科(59.1歳)、臨床検査科(58.7歳)と続いた。救急科が41.9歳と最も低く、美容外科(42歳)、集中治療科(42.8歳)と続いた。前回調査時(2020年)と比較して医師数が増えた診療科は、美容外科(対前回比で132.4%)、アレルギー科(同110.7%)、産科(同108.3%)、形成外科(同106.8%)など。一方で医師数の減少が大きかったのは気管食道外科(同95.4%)、小児外科(同95.7%)、外科(同96.7%)、心療内科(同97.5%)、耳鼻咽喉科(同97.7%)などであった。なお、本稿で紹介した診療科別の統計結果については「臨床研修医」や「主たる診療科不詳」および「その他」の回答はいずれも除外している。(2024年4月ケアネット)

実験用サルの価格が高騰、一匹あたり数百万円…背景に中国の動き
人体への薬剤の影響を調べる上で、サルは重要な役割を果たしてきた。そんな実験用サルの価格が高騰しているという。新規感染症の大流行やバイオテロが起きた時に、どう対応するのか。サルの確保は国家の安全保障に関わると、医科学界からは研究停滞を懸念する声が上がっている。実験用のサルは、新薬やワクチンの安全性を確かめるため、人に投与される前段階での試験に利用される。その多くがおとなしく繁殖させやすいカニクイザルだが、新型コロナウイルス禍以降、価格が急騰している。製薬会社などが購入する実験用のカニクイザルは、日本製薬工業協会によると、2023年時点で1頭あたり、運賃などを含めてカンボジア産が約140万円、ベトナム産が約320万円。新型コロナ禍前の19年と比べると、カンボジア産で6倍、ベトナム産に至っては9倍にも跳ね上がっている。これに飼育コストも上乗せされ、販売価格は300万~400万円で推移している。国内でも実験用のカニクイザルを繁殖させているが限定的で、多くは限られたアジア諸国から輸入されているのが実情だ。(2024年4月23日毎日新聞)

迅速承認の抗がん剤の臨床的有用性調査
米国では、食品医薬品局(FDA)の迅速承認を受けたがん治療薬の多くは、承認から5年以内に全生存期間または生活の質に有益性を示せれないものが半数あったことが、米国・ハーバード大学医学大学院の研究で報告された。本研究では公開されているFDAのデータを用いて、2013~23年にがん治療薬を受けた129件において、全生存期間と生活の質の解析を行った。臨床的有用性を示したのは43%であったと報告された。報告者らは、迅速承認は有用と考えられるが、中には患者の延命や生活の質の有益性を示すことができないものもある。患者には有益性を示さないがん治療薬について明確に情報提供を行うべきであるとしている。(2024年4月22日ケアネット)

膀胱がんに国内初手術法 
高知大学医学部付属病院は早期の膀胱がんに対する国内初の手術方法を導入したと発表した。レーザー熱で腫瘍部分を気化、蒸散、止血するため、出血がほぼないのが特長。膀胱がんは喫煙などが要因で、高齢男性に多い。痛みのない血尿が重要なサインです。従来の手術は、内視鏡を尿道から挿入し、先端部にある電気メスで腫瘍部分を焼き切る方法で、出血や膀胱に穴が開くリスクがあり、退院まで3~5日かかります。一方、新手術は従来の電気メスに代わり、前立腺肥大症手術にも使われるレーザー手術装置を活用。半導体レーザーで腫瘍部分を一瞬で蒸散させるため、出血などのリスクを大きく下げることができる。痛みもほとんどなく、術後2日で退院できるという。(2024年4月21日高知新聞)

保険証廃止 マイナ一本化
武見敬三厚生労働相はマイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」の利用率に関係なく、12月に現行の健康保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化すると述べた。政府は12月2日から健康保険証の新規発行を停止し、廃止すると既に決定している一方、3月現在、マイナ保険証利用率は5・47%と低迷している。(2024年4月19日共同通信社)

2023年度の医療機関の休廃業や解散最多に
民間の信用調査機関、帝国データバンクは、「医療機関の休廃業・解散の動向調査(2023年度)」の結果を公表した。2023年度における病院、診療所、歯科医院を経営する事業者の休業や廃業、法人の解散は合計709件。2019年度の561件を上回り、2000年度以降で過去最多となった。病院は前年度と同じく19件だが、診療所は159件増の580件、歯科医院は33件増の110件といずれも過去最多を更新。とりわけ診療所の件数増加が著明だ。その背景として、後継者難と経営者の高齢化を指摘される。日本医師会の『医業承継実態調査』では、後継者候補がいないと回答した診療所が過半数を占めていた。事業の継続を断念する施設が出て、休廃業・解散の件数はさらに増える可能性が高いという。倒産も55件で最多となった。一方、破産や民事再生などの法的整理を選択した医療機関の倒産件数も、2023年度は前年度より17件多い55件を数え、2000年度以降で最多となった。2024年度の診療報酬改定について件数増加が加速する要因になる可能性はあると指摘している。(2024年4月19日日経メディカル)

受動喫煙が特有の遺伝子変異でがん化
受動喫煙は喫煙者と異なるタイプの遺伝子の変異が肺にたまり、がんの悪性化を促進している可能性があると、国立がん研究センターなどのチームが発表した。受動喫煙は肺の末梢にできる肺腺がんを誘発しやすいことが知られていたが、そのメカニズムはわかっていなかった。チームは、同センターで肺腺がんの手術を受けた主に50代以降の女性で非喫煙者(291人)と喫煙者(122人)の計413人について、切除したがんのゲノム全体の変異数やその特徴を調べた。結果、非喫煙者291人の内、受動喫煙があった213人と受動喫煙がなかった78人を比較すると、受動喫煙があった人の変異の割合が有意に高かった。変異タイプの「APOBEC型」と呼ばれる割合が、受動喫煙があった人は15,6%で、受動喫煙がなかった人(7,32%)であった。一方、喫煙者では「たばこ型変異」と呼ばれる、たばこに含まれている発がん物質による直接的な変異がほとんどだった。APOBEC型は、たばこの煙を吸って起こる炎症に伴ってできる変異で肺にたまると初期のがん腫瘍ができた際、悪性化を促進することが過去の研究でわかっていたが、実際の患者でわかったのは初めてという。今回の調査で、女性だけに限ったのは受動喫煙の環境を合わせるためで、男性でも同様のことが言えると考えられる。(2024年4月16日毎日新聞)

難病「脊髄髄膜瘤」を胎児段階で治療
脊髄の一部がむき出しの状態で生まれ、身体障害などを伴う脊髄髄膜瘤を胎児の段階で治療する国内初の手術に成功したと、大阪大などのチームが発表した。脊髄髄膜瘤は、胎児の体ができる途中で脊髄神経が体外へ露出する難病。国内では年間推計200~400人の新生児で見られ、出生直後に手術を行っているが、歩行などに重い障害が出るケースが多い。海外では2011年、胎児段階の手術で症状を軽減できるという報告が米国であり、欧米を中心に行われているが、産婦人科や脳神経外科など多くの診療科が連携する必要があり、国内の取り組みは遅れていた。阪大病院は超音波検査などで胎児に異常が見つかった6例について、妊娠25週の段階で母親の子宮の一部を切開。胎児の髄膜瘤を修復する手術行った。5例は既に誕生し、脚の運動機能などに改善傾向が見られたが、1例は合併症により生後3か月半で亡くなった。今後は保険診療と併用できる先進医療として国に申請し、3年後をめどに保険適用を目指す。(2024年4月15日読売新聞)

「腸内細菌バンク」開始
順天堂大などの研究者が設立したバイオ新興企業が今月、健康な人の便に含まれる腸内細菌を保管する日本初の「腸内細菌バンク」の運用を開始した。腸内細菌を大腸の病気やアレルギー、がんなどの患者に移植する新しい治療法の開発に役立てられる。人の腸内には、約1000種類の細菌が生息している。細菌の構成バランスが乱れると、様々な病気の発症に影響することが報告されている。そこで、健康な人から提供してもらった便に含まれる腸内細菌の溶液を作り、病気の人の大腸に移植して症状を改善させる治療法「腸内細菌 叢そう 移植」が国内外で広がっている。バンクの運用を始めたのは、腸内細菌移植で腸の難病「潰瘍性大腸炎」などの治療を目指し、順天堂大の研究チームらが2020年に創業した。バンクでは、18~65歳の協力者を専用サイトで募集し、条件に合った人は、血液や便の検査などを受けてもらい提供者として登録されて便を提供できる。提供者には、研究協力費として数千円が支払われるという。 専用サイトはhttps://www.j-kinso-bank.com です。(2024年4月13日読売新聞)

健康効果うたう食品
いわゆる食品は、一般的な食品と保健機能食品に分かれます。保健機能食品は特定保健用食品(国の審査と許可が必要で、健康効果の表示ができる食品)と機能性表示食品(国に届けるだけで、健康効果の表示が可能となる食品)と栄養機能食品(国の届け出は不要で、健康効果の表現が限定される食品)に分かれます。特定保健用食品は「トクホ」と言われ、国が効果や安全性の審査を行い、許可する制度で限られた食品でしたが、政府は2015年、成長戦略の一環として商品を増やそうと機能性表示食品を作りました。その結果、機能性表示食品は消費者庁に関連情報を届け出るだけで国の審査は不要となり販売できるようになりました。最近話題になっているサプリである紅麹コレステヘルプは機能性表示食品です。機能性表示食品は、事業者にとって健康関連の機能を検証するコストや手間が削減できるメリットがあります。この制度が導入されて以来、多くの事業者がサプリや飲料、加工食品を国の審査を受けずに届けるだけで市場にでます。消費者庁の検索システムによると、現在、機能性表示食品として届け出されている商品は約6700種類に上ります。(2024年4月13日m3.com)

性感染症
性感染症)とは性器クラミジア感染症や性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、梅毒及び淋菌感染症などで、性的接触を介して感染する可能性がある感染症です。性的接触により、口や性器などの粘膜や皮膚から感染します。オーラルセックス(口腔性交)やアナルセックス(肛門性交)などでも感染します。性感染症は、かゆみや痛みのような症状が問題であるだけではなく、感染症の種類によっては、治療をしなかった場合、不妊の原因となったり、神経や心臓などに深刻な合併症や後遺障害を残したりすることもあります。また、粘膜が傷つくことによりHIVに感染しやすくなるなど、他の感染症に罹りやすくなることもあります。特に、生殖年齢にある女性が性感染症に罹患した場合には、母子感染により、先天性の体の障害の原因となり、放置すると障害が残る可能性もあります。感染しても、比較的軽い症状にとどまる場合や無症状であることもあるため、治療に結びつかないこともあり、感染した人が気付かないままパートナーに感染させてしまうこともあります。このため、不安に感じたら検査を受けることが大切です。なお、現在梅毒の流行が拡大しています。(厚生労働省ホームページより)

糖尿病患者にブタの膵臓組織を移植研究
膵臓の細胞が正常に働かない1型糖尿病患者にブタの膵臓組織「 膵島」を移植する臨床研究を国立国際医療研究センターなどのチームが来年にも実施する計画であることがわかった。移植した組織から血糖値を下げるホルモンがつくられ、注射治療が継続的に必要な患者の負担軽減につながる可能性がある。人とサイズが近いブタの臓器や組織を人に移植する治療法は「異種移植」と呼ばれ、次世代の医療として注目されている。国内で腎臓や心臓などの病気に対して複数の移植計画があるが、実施例はない。同チームの計画では、生後2~3週間のブタの膵臓から、血糖値を下げるインスリンホルモンを分泌する細胞の塊「膵島」を取り出す。人に移植したときに起こる拒絶反応を防ぐため、直径0・5~1ミリ・メートルの特殊なカプセルで1~3個程度の膵島を包む。そのうえで、数十万個の膵島を1型糖尿病患者の体内に移植して壊れた細胞の機能を代替させる。カプセルには微小な穴があり、血糖値の上昇に合わせてインスリンが放出されると期待できるという。移植手術は、国の認定を受けた委員会などの審査を経て来年にも実施する。死亡した人から提供された膵島を患者に移植する治療は2004年以降、国内でも行われているが、提供者不足が課題。ブタの膵島を使った異種移植も1990年代からニュージーランドなどで行われ、一定の有効性が確認されているが、細胞の加工設備などに課題があった。 1型糖尿病 =インスリンを分泌する膵臓の細胞が壊れ、自分でインスリンを十分作れなくなる病気。若い人が発症することが多く、国内患者は10万~14万人いる。(2024年4月10日読売新聞)

日本人高齢者における高感度CRPと認知症が関連
血清高感度C反応性蛋白(CRP)とアルツハイマー病などの認知症との関連についての報告は一貫していない。今回、愛媛大学および全国8地域の高齢者約1万人を調査したところ、血清高感度CRP値の上昇が認知症全体やアルツハイマー病と関連し、側頭皮質萎縮のリスクの増加とも関連することが示唆され、Scientifc Reports誌2024年3月28日号に掲載された。65歳以上の地域住民1万1,957人を募集し、除外基準の適用後、血液検査と健康関連検査を受けた1万85人について解析した。血清高感度CRP値を臨床的カットオフ値に従って分類し、各血清高感度CRP値について認知症全体およびサブタイプの存在に関するオッズ比(OR)を算出した。さらに、脳MRIを受けた8,614人のデータを用いて、血清高感度CRPと脳容積の関心領域との関連を共分散分析によって調べた。(2024年4月9日ケアネット)

劇症型の感染症増加
致死率が高い「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」の患者が国内で増えている。STSSの患者報告数は過去最多のペースだが、担当者は「基本的な感染対策をしてもらえれば、それほど心配はない」としている。STSSは、主に小児の急性咽頭炎などの原因となる「溶血性レンサ球菌(溶連菌)」による感染症が、まれに劇症化したもの。新学期が始まる4、5月に感染者が増える傾向がある。発症後、急速に筋肉周辺の組織の壊死や多臓器不全を引き起こす。発症は30歳以上で多く、致死率は3割ほどとされる。国立感染症研究所によると、23年の国内の患者報告は過去最多の941人。今年も3月24日時点で、すでに556人が報告されている。STSSは、手洗いやマスク着用、傷口を清潔に保つなどの基本的な感染対策が有効です。(厚生労働省)劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)について

医師確保へ開業に助成金6000万円、滑川市
滑川市は今年度、市内で診療所を開設すると土地や建物、必要な医療設備に最大6千万円を助成する事業を始めた。地域医療を担う開業医が高齢化や後継者不足により、足りなくなる可能性が大きいため、将来の医師確保を目指す。助成事業では、土地や建物の取得に最大5千万円、医療機器の購入に最大1千万円を助成する。補助率はいずれも2分の1で、全ての診療科目が対象となる。滑川市には現在、厚生連滑川病院と吉見病院、13の診療所がある。特に開業医の高齢化が進んでおり、新たな医師確保が課題となっている。市によると、開業医は地域の医療を維持するだけでなく、学校医として子どもたちの健康も担っている。助成条件には、滑川での10年以上の診療継続や市医師会への加入などがあり、長く地元で事業を続けてもらえるようにする。富山県内では、小矢部市が2012年度から、市内で産婦人科医療施設を開設する医師に対し、上限1億円を補助する制度を設けている。市内に分娩を取り扱う医療機関がない状態が続いているためで、これまでに応募はなく、市は今年度から対象を助産所にも広げている。(2024年4月4日北國新聞)

がん免疫薬の効果を事前に予測
近畿大学と京都大学の研究グループは、がん免疫薬「オプジーボ」などの効果を投与前に予測する方法を見つけたと発表した。肺がん患者の血液中の分子を調べることで高精度に予測できる。治療が難しいがんの中には、免疫細胞が持つ分子の「PD-1」や「CTLA-4」に結合して自らに対する攻撃にブレーキをかけるものがいる。オプジーボはPD-1にくっつくことでがんと免疫細胞の結合を防ぎ、免疫が正常に働けるようにする。肺がんや胃がんに使うが、効果が長く続く患者は1~2割と少ない。約半数は効果が出ずに強い副作用だけが出る。同研究チームは肺がんの8~9割を占める非小細胞肺がんで50人の患者の血液を事前に採取し、オプジーボを投与した。血液中の分子の量と治療効果の関係を調べると、PD-1やCTLA-4が少ない患者ほど効果が高かった。がん細胞が持つ「PD-L1」という分子の量を調べて効果を予測する手法もあるが、精度が低い。血液の分析と組み合わせることで精度を高められる。PD-1などの分子は攻撃や増殖の能力が低下した免疫細胞で増える。こうした細胞が壊れると血中に分子が出てくるとみられる。血中の分子が多い人は弱った免疫細胞が多く、がん免疫薬が効きにくい可能性がある。今後、多数の患者で性能を確かめて実用化を目指す。(2024年4月2日日本経済新聞)

75歳以上の医療保険料、過去最高
75歳以上が入る公的医療保険「後期高齢者医療制度」の4月からの保険料の全国平均(月額)は、2023年度までの2年間より507円(7・7%)引き上げられ、7082円となる見込みだ。7千円を超えるのは初めてで、過去最高となる見通し。厚生労働省が全国の状況をとりまとめ、1日に発表した。後期高齢者が支払う保険料は都道府県ごとに決め、2年ごとに見直している。25年度はさらに増え、月額7192円となる見込み。(2024年4月1日朝日新聞)

「医師の働き方改革」スタート
勤務医の残業時間を規制する「医師の働き方改革」が1日、スタートした。これに先立ち、厚生労働省は、全国の医療機関の6・2%にあたる457施設が、診療体制の縮小を見込んでいるとする調査結果をまとめた。うち132施設は、自院の体制縮小が地域の医療提供体制に影響すると答えた。調査は昨年10月から、大学病院を除く病院や分娩を取り扱う産科の有床診療所を対象に実施し7326施設から回答があった。体制縮小を見込む457施設のうち49施設では、大学病院などから派遣されている医師の引き揚げを要因として挙げた。調査結果が示された厚労省の検討会では、委員から「診療体制の縮小によって、いろいろな悪影響が起きる可能性がある。地域医療に与える影響について引き続き調査してほしい」との意見が出された。医師の働き方改革は2019年4月に施行された働き方改革関連法に基づくもので、勤務医の残業時間は原則として年960時間が上限となる。ただし、地域医療を担う病院の勤務医らは、例外的に年1860時間が上限となっている。(2024年4月1日読売新聞)


 たはら整形外科

代表的な疾患  おとなの疾患  こどもの疾患  骨折・脱臼