肘関節脱臼

肘関節の脱臼は肩関節脱臼に次いでよく見受けられます。肘関節脱臼は後方脱臼前方脱臼側方脱臼とに分かれます。大半が後方脱臼です。肘を伸ばして、手をついて転倒した際に、肘が過伸展され(伸び過ぎて)肘頭が支点となり脱臼が発生します。症状は痛みや腫れ、変形、上肢の短縮(腕の長さが短くなる状態)、運動障害を認めます。診断にはレントゲン検査が不可欠です。

治療:保存的治療(手術しない方法)が原則で徒手整復術が行われます。徒手整復は、高齢者では無麻酔で出来るだけ愛護的な手技で行うこともありますが、若年者では麻酔(全身麻酔や静脈麻酔、腕神経叢ブロックなど)を用いて、腕の筋肉の緊張を取り除き整復します。整復後は数週間のギプスシーネ固定や装具固定を行います。その後は早期に拘縮予防(関節が固まらないため)に肘関節可動域訓練や筋力強化訓練を開始いたします。しかし、陳旧例(時間が経過した症例)や骨折を合併した症例では手術による整復術が必要となります。

 たはら整形外科