外反母趾

外反母趾とは、母趾(足の親指)の基節骨(親指の根元の骨)が、小趾(足の小指)の方向へ外反、回内(外側に反れ、内側に回った)状態を言います。一般的に、外反母趾角が20度以内は正常です。母趾の外反母趾角が20度以上になると見た目に外反母趾だと分かります。軽症は20〜30度です。中等度は30〜40度です。重症は40度以上です。

原因:先天性のもの、他の疾患(関節リウマチや外傷など)により発生するもの、履物が原因で発生するものがあります。近年では、足の機能を無視した間違った靴選び(踵の高いハイヒール、先が細い靴)が原因と考えられる症例を多く経験します。

症状:母趾の根元(母趾中足骨骨頭)の突出、変形、痛みです。中には、足底部の変形によって発生する胼胝(たこ)の痛みを訴える症例もあります。レントゲン検査で母趾中足骨骨頭の骨性隆起や関節の亜脱臼、変形を認めます。

治療:保存的治療(手術しない方法)が原則です。まず履物の指導やストレッチング(ホーマン体操など)の指導を行います。また、外反を矯正するための各種の装具療法インソール(偏平足、開張足では足底アーチ改善のための中敷き)を勧めます。ただし、なかなか満足していただけないのが現状です。したがって、保存的治療には限界があります。

手術的治療:術式は、変形や骨破壊の程度や皮膚の状態、併存症、生活様式に応じて、骨切り術(遠位骨切り術、骨幹部骨切り術、近位骨切り術)や関節固定術、切除関節形成術、関節温存手術、人工関節置換術などを検討いたします。手術の適応や適切な術式の選択により、最近では手術成績は良好です。しかし、10〜30%程度の再発があると報告されています。なお、外反母趾が原因でよく転倒される方がおられます。将来起こるであろうロコモの予防に、手術は検討の余地があると考えます。

 たはら整形外科