半月板とは | |
半月板は大腿骨と脛骨(けいこつ)の間に存在し、クッション作用(大腿骨からの荷重を分散し衝撃を吸収する作用)と膝関節の支持性や安定性、円滑な運動を担っています。半月板は線維軟骨です。一方、関節軟骨は柔らかい硝子軟骨でできています。線維軟骨は硝子軟骨より分厚く、固く、強靭な支持性を認めます。半月板は三日月型と円板型に分かれます。大半は三日月型で内側半月板はC型で、外側半月板はO型をしています。小児では円板型をよく見かけます。 半月板の成分は水分とコラーゲン(外縁は強度のある1型コラーゲンで、内縁は2型コラーゲンです)と粘弾性のあるプロテオグリカンからなります。半月板の栄養は関節液から得ています。半月板の血行は膝蓋動脈から分岐した膝蓋下動脈から受けています。しかし、血行を有するのは関節包の辺縁部(外側3分の1)で、内側3分の2は血行を認めません。したがって、手術の際は、辺縁部の損傷は縫合修復術が可能ですが、中央から内縁の損傷は血流がないので縫合できません。切除術になります。 ●先天性の円板状半月板損傷について 先天的な形態異常である円板状半月は両側に発生しますが、多くは外側円板状半月です。小児の半月板損傷は円板状半月損傷が大半です。円板状半月は正常の半月板より厚く大きいため、常に大腿骨と脛骨に接触し、衝撃を受け壊れやすい環境にあります。したがって、軽微な外傷で容易に損傷します。症状は引っかかり現象と雑音(ゴリゴリ)、運動障害を訴えます。治療は膝の筋力強化訓練や股関節の筋力強化訓練などの運動療法を指導します。改善されない症例は関節鏡視下円板状半月切除術が検討されます。 ●スポーツ傷害による半月板損傷について 半月板損傷は、若者ではスポーツ傷害(繰り返される動作で起こるスポーツ障害とケガで起こるスポーツ外傷)や捻挫、転倒、転落などで起こります。 症状 膝の痛みや腫れ、運動障害、歩行障害です(時に、「ブチッ」と言う音とともに激しく痛むことがあります)。また、ロッキング現象・嵌屯症状(損傷した半月板が大腿骨と脛骨の間に挟まれて膝の曲げ伸ばしが出来なくなりロックされた状態)や膝折れ現象(歩行やランニング中に不意に膝が抜ける現象)を訴えます。なお、急性期の症例は関節内血腫(関節の中が出血している状態)を認めることもあります。スポーツ外傷では大半が靭帯損傷を合併しております。 診断 診察所見でマックマレーテストやアプレーテスト、過伸展テストで症状の再現性(膝の痛みや引っかかり現象)を認めます。レントゲン検査では特徴的な所見はありません。診断にはMRIが必要です。時に、関節造影が必要なこともあります。半月板損傷は縦断裂、横断裂、水平断裂、変性断裂に分かれます。最終的な確定診断は関節鏡になります。 治療 1)保存的治療 損傷範囲の小さい辺縁部断裂の症例が対象です(血行がある部位なので自然治癒する可能性があります)。ギプス包帯や可動域制限付き膝装具、膝サポーター、室外用インソール、室内用足底板で経過観察し、股のストレッチング、膝のストレッチングや股の筋力強化、膝の筋力強化)などの運動療法を指示します。 2)手術的治療 保存的治療で改善されない症例や損傷範囲が広範囲な症例は半月板縫合術と半月板切除術を検討します。辺縁部の損傷は血行を有するので関節鏡視下半月板縫合術を行います。辺縁部以外は血行がないので半月板切除術を行います。なお、切除範囲は最小限にとどめます。
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