いわゆる突き指
( PIP関節脱臼骨折 ・ マレットフィンガー )

 突き指は、スポーツ活動や日常生活動作の中でよく起こる外傷(ケガ)の一つです。一般的に、単なる指の捻挫と思われがちですが、中には、腱の断裂や骨折、脱臼を伴うものもあり、早期に適切な診断と治療を施さないと後遺症(関節の痛み、運動障害、不安定性)を残します。代表的な疾患として、PIP関節(指先から数えて第二番目の関節)に発生するPIP関節脱臼骨折と、DIP関節(指先から数えて第一番目の関節)に発生するマレットフィンガーがあります。

PIP関節脱臼骨折 
突き指の際に、PIP関節(指先から数えて第二番目の関節)が過伸展(無理に反らされた状態)や軽度屈曲(少し曲がった状態)で長軸方向に外力が働いて発生します。PIP関節脱臼骨折は、背側脱臼骨折掌側脱臼骨折に分かれます。大半が背側脱臼骨折です。なお、過伸展損傷によって起こる掌側板剥離骨折は、指の骨折の中節骨骨折を参照されて下さい。

症状:PIP関節の腫れや内出血、痛み、運動障害です。診断にはレントゲン検査が不可欠です。正確な側面像の撮影が診断のポイントになります。背側脱臼骨折は中節骨全体が背側に脱臼し、中節骨の掌側基部に三角形の骨片を認めます。逆に、掌側脱臼骨折では中節骨全体が掌側に脱臼し、背側に骨片を認めます。

治療:徒手整復術を行います。不安定性がなければアルミニウム副子固定ギプスシーネで経過観察します。しかし、整復が困難な症例や骨片が大きい症例では、経皮的なpinningによる整復術骨接合術を行います。なお、固定期間は年齢や骨折のタイプ、固定方法によって症例ごとに判断されます。

 マレットフィンガー
突き指の際に、DIP関節(指先から数えて第一番目の関節)が過伸展(無理に反らされる状態)を強制されて骨折するタイプと、過屈曲(無理に曲げられる状態)を強制されて腱が断裂するタイプに分かれます。ともに、DIP関節の屈曲変形(曲ったままで伸ばすことが出来ない状態)を認めます。骨折するタイプは剥離骨折です。

治療:DIP関節を過伸展にして整復が得られれば、スプリント固定を行います。整復が困難な症例は経皮的なpinningによる整復術を行います。陳旧例(治療されずに放置された症例)の腱断裂のタイプは腱縫縮術や腱移植術を行います。

 たはら整形外科