指の骨折は、「中手骨骨折」、「基節骨骨折」、「中節骨骨折」、「末節骨骨折」に分かれます。診断にはレントゲン検査が不可欠です。大半が2方向撮影(正面像と側面像)で診断されますが、中には、2方向撮影で骨折が発見できない症例も多々あります。臨床的に骨折が疑われた症例は、受傷機転(受傷した状況)を再現したストレスレントゲン撮影で剥離骨折や骨端線離開などをチェックして下さい。 中手骨骨折 中手骨骨折は、骨端線離開、基部骨折、骨幹部骨折、頚部骨折に分かれます。頚部骨折は別名、「ボクサー骨折」と呼ばれ高頻度に認めます。治療は転位(ずれ)がなければ簡単なアルミニウム副子固定やギプス包帯を行います。転位のある症例は、徒手整復を行い、ギプス固定をします。しかし、整復しても再転位する症例は、経皮的骨接合術(皮膚の上からピンなどで固定)を行います。徒手整復が不能な症例は、内固定術(皮膚切開してピンやプレート固定)をします。 基節骨骨折 基節骨骨折は、骨端線離開、基部骨折、骨幹部骨折、頚部骨折、骨頭骨折に分かれます。骨端線離開や基部骨折、剥離骨折は2方向撮影(正面像と側面像)で見逃されやすく、ストレスレントゲン撮影が必要な場合が多々あります。転位がなければアルミニウム副子固定やギプス包帯を行います。転位があれば徒手整復を行い、ギプス固定をします。しかし、整復しても再転位する症例は、経皮的骨接合術を行います。徒手整復が不能であれば切開して内固定術を行います。 中節骨骨折 中節骨骨折は、掌側板剥離骨折、骨端線離開、基部骨折、骨幹部骨折、骨頭骨折、頚部骨折に分かれます。最も外来でよく遭遇する骨折は、PIP関節(指先から2番目の関節)の過伸展によって発生する掌側板剥離骨折です。なお、転位のない掌側板剥離骨折や基部骨折の症例は見逃されやすいので要注意です。治療は転位がなければアルミニウム副子固定かプラスチックギプス固定を行います。整復されても再転位する症例はギプス固定や経皮的骨接合術、骨接合術をします。 末節骨骨折 末節骨骨折は、指先に物が落ちたり、車のドアに挟まれて受傷されます。軽度な骨折もありますが、大半は爪の損傷を認め、時に粉砕骨折を認めます。小児では剥離骨折や骨端線離開もあります。診断の際、受傷した状態を再現するストレスレントゲン検査で骨折が判明することも多々あります。軽症例はアルミニウム副子固定やプラスチックシーネをします。転位が著しい症例や関節内骨折では経皮的骨接合術が行われます。なお、転位が著明にもかかわらす、患者さんの希望で長期間のプラスチックシーネで骨癒合した例も多々あります。
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