介護保険について



老人ホーム、無届け15%

都道府県に設置の届け出をしていない有料老人ホームが全体の約15%に上ることが、総務省の行政評価で分かった。都道府県が存在を把握していない施設も見つかり、実際の無届け施設はさらに多いとみられる。こうした施設には、行政による監視が十分に行き届かないおそれがあることから、総務省は、厚生労働省に改善を勧告する。有料老人ホームは、老人福祉法で都道府県への設置届け出が義務づけられている。総務省が22都道府県を選んで調べたところ、07年4月時点で都道府県が有料老人ホームとみなしている2345施設のうち、無届けは14都道府県の353施設。東京が80、埼玉が68、神奈川58、千葉47など都市部が大半だった。一方、総務省が施設のホームページや広告などを調べたところ、都道府県が把握していない有料老人ホームが17あることもわかった。届け出がないと、施設の規模や設備、職員の配置などの情報を把握できないため、都道府県の基準を満たしていなくてもそのまま放置することになりかねない。また、入居者の虐待など問題が起きた時も対応が遅れる恐れがあるという。有料老人ホームは「入居者が10人以上で、食事を提供している」との基準が06年4月に緩和され、入居者数に関係なく食事または介護、洗濯などのサービスを提供していれば有料老人ホームとみなされるようになった。こうした小規模施設を中心に、職員数や設備が基準に満たず、満たすには費用がかかるため、届け出ない例が多いとみられる。無届け施設を巡っては、06年に千葉県で入所者をベッドに拘束して虐待していた疑いが浮上したほか、前払いした入居金を退去時に返さないといった問題が相次いでいる。無届け施設が最多だった東京都の高齢社会対策部は「基準を満たすように施設を改善し、早急に届け出をするように継続的に指導する」としている。(平成20年9月5日 朝日新聞)

家族いても生活援助OK 

厚生労働省は、家族が同居していることを理由に、介護保険で自宅にヘルパーが訪問して家事を手伝う生活援助の利用をさせないケースが相次いでいることを受け、そうした運用をしないよう、都道府県に通知した。2006年度から要介護度が軽度の人の訪問介護利用が制限されたのに伴って、利用を原則1人暮らしなどに限る市町村もでてきたが、厚労省は家族の負担を軽減するという制度本来の趣旨とは異なるとしている。訪問介護には食事や入浴などの身体介護と家事をする生活援助がある。厚労省は、2000年度の制度導入時に、生活援助の利用は「家族が障害、疾病などで、利用者や家族が家事を行うことが困難な場合」とする基準を示した。その後も基準に変更はなかったが、06年度の制度改正以降、軽度者はなるべく自分で家事をするよう国が徹底したことで、この基準を根拠に給付条件を厳しくした市町村が増えたとみられる。(平成20年2月4日 中国新聞)

介護報酬不正請求

訪問介護大手のコムスンなど3社が介護報酬を不正請求していた問題で、3社の都内各自治体に対する返還額は計4億2000万円に上ることが分かった。都は昨年11月以降、3社に立ち入り検査を実施し、計約2億2000万円の不正請求を指摘。都の指導を受け、3社が都内の全事業所を自主点検した結果、不正請求の総額は約2億円膨らんだ。都によると、コムスンの返還額は約2億円。ニチイ学館は約8500万円、ジャパンケアサービスは約1億3800万円に上る。都は今年4月、常勤管理者がいると虚偽の申請をして都内3事業所の指定を受けたとして、コムスンに約4300万円の返還を請求。その後の都の調査、同社の自主点検で、散歩の付き添いなど保険対象外のサービスに介護報酬を請求していたことなども判明した。(平成19年5月30日 日本経済新聞)

療養病床削減、老人ホーム経営容認

長期入院する高齢者向けの医療施設「療養病床」の削減問題で、医療機関が療養病床を介護施設に転換する際の政府の支援策の全容が明らかになった。禁じていた医療法人の有料老人ホーム経営を認めたり、施設改修時の融資を上乗せすることなど順次実施する。政府は療養病床を11年度末までに6割削減する方針だが、計画は進んでおらず転換を促したい考えだ。厚労省は「療養病床の患者の多くは、医療を提供する必要性が低い」とみており、療養病床を老人保健施設など介護施設に転換する方針を打ち出している。医師や看護師の配置が少なくて済む介護施設に切り替え、医療費を抑制する考えだ。しかし、医療機関は転換後の経営見通しに不安を抱いており、削減は進んでいない。そこで厚労省は、支援が必要と判断。医療法人にも、療養病床の転換先となる有料老人ホームや、高齢者専用の賃貸住宅経営を認める。また、介護施設に改修すれば法人税を軽減し、医療機関と併設する場合は、診察室、階段、エレベーターなどの共用を可能にする。(平成19年3月28日 毎日新聞)

介護福祉士に上級資格

厚生労働省は重度の認知症患者などを世話し、介護事業で指導的役割を担える介護福祉士の上級資格として「専門介護福祉士」制度を創設する。近く有識者会議を設置し、2007年度中にも制度の具体的な内容を決定する。「仕事がきつく、給料が安い」とされる介護福祉士は人手不足が深刻化しているため、新制度創設により、待遇改善などにつなげたい考えだ。新たな資格は、一定の実務経験や、新たな研修の履修などを要件とする方向だ。また、「認知症ケア」「事業の運営管理」など、介護の専門分野に応じた複数の資格とする方向で検討する。介護福祉士は1988年に始まった国家資格。2006年10月末現在、約54万8000人が取得している。「入浴、排せつ、食事」の身体介護が主な役割だが、現在は、認知症や障害者へのケアなど、介護ニーズが多様化している。2005年の厚労省調査によると、施設で働く介護福祉士らの平均年収は、男性が約315万円、女性が約281万円で、全労働者平均の約452万円を大きく下回る。一方で、介護職員の離職率は22・6%で、全労働者の17・5%を上回る。専門家からは「業務内容に比べて賃金水準が低い」との指摘が出ていた。新制度は、介護福祉士のキャリアアップを可能にすることにより、やりがいを感じ、給与水準を向上させることを目指している。(平成19年3月6日 読売新聞)

療養病床から介護施設に転換

病状が安定した高齢者が長期入院している「療養病床」を6割削減して、介護施設に転換する政策を厚生労働省が進めている。しかし、全国の病院・診療所で実際に介護施設への転換を予定している病床数は1割に満たない。6割近くが療養病床や一般患者向けの病床としての存続を望んでいる。「2011年度末までに6割削減」という国の目標との隔たりは大きく、療養病床削減で必要になる高齢者の受け皿の確保も難しい現状が浮き彫りになった。 療養病床には現在、医療保険を使って入院するベッド(25万床)と、介護保険を使うベッド(13万床)がある。計38万床のうち、厚労省は医療費抑制のため、今後5年間で23万床を削減。療養病床は病状が比較的重い患者だけを対象とする医療保険型の15万床のみとし、残る23万床は行き場がなくなる高齢者の受け皿として、老人保健施設や有料老人ホームなどへの転換を促す計画だ。厚労省は昨年7月、療養病床の軽度の患者に対する診療報酬を大幅に引き下げる一方、介護施設に移行しようとする病棟への優遇措置を設定。介護施設への転換を促そうとしたが、これまで優遇措置を利用している医療機関はほとんどない。 今秋をめどに、各都道府県は「地域ケア整備構想」を策定し、地域ごとの療養病床の転換目標を定める予定だ。 厚労省は「介護施設の整備計画などが自治体ごとに明らかになれば、転換を希望する医療機関も増えるのではないか」とするが、計画通りに転換が進むかどうかは不透明で、受け皿が不足し、高齢者が行き場を失う可能性もある。
(キーワード:療養病床の削減・転換) 医療サービスの必要性が必ずしも高くない高齢者が施設代わりに入院する「社会的入院」を解消するため、2006年の医療制度改革に盛り込まれた。患者を高コストの医療機関から介護施設に移すのが狙い。厚労省の試算によると、療養病床の6割削減で、医療保険給付は12年度時点で年間4000億円削減できる。患者の多くが介護施設に移るため、介護保険は1000億円増えるが、差し引き3000億円の給付抑制につながるという。(平成19年3月7日 朝日新聞)

75歳以上に「かかりつけ医」 

厚生労働省は75歳以上の高齢者向けに、公的な「かかりつけ医」制度を2008年をめどに創設する方向で検討に入った。特定の開業医が患者の心身の状態を普段から把握し、外来診療から在宅ケア、みとりまで対応する。患者が信頼できる医者をもつことで、入院から在宅治療への高齢者医療の転換を促し、医療費を抑制する狙いもある。厚労省は今秋までに独自の診療報酬体系の骨格をつくる予定で、すでに方針を固めている外来の「定額制」とともに、かかりつけ医の導入をその柱とする。 かかりつけ医の条件は(1)高齢者が抱える複数の疾患を総合的に診断・治療し、必要なときには心のケアも行える (2)介護保険のケアマネジャーらとも連携をとり、患者の生活に合わせた在宅療養のアドバイスができる (3)積極的な訪問診療を行う (4)痛みを緩和するケアなど末期医療に対応できる、など。 厚労省は、こうした条件を満たす医師を公的に認定。 患者の合意を得たうえで「かかりつけ医」として扱う。かかりつけ医を持つかどうかは高齢者本人の意思に任せるが、できる限り利用を勧める。かかりつけ医がいる場合でも、病院など他の医療機関も直接受診できるようにする方針だ。だが、開業医でも専門分野ごとに細分化が進んでおり、患者の心身を総合的に診断できる医師は少ないのが実情だ。このため、かかりつけ医に必要な緩和ケアなどの技能を身につけられるよう、開業医に対する研修制度も充実させる。(平成19年3月3日 朝日新聞)

薬局に行かず薬受け取り、在宅医療推進へ

厚生労働省は、自宅で治療を受けている患者やその家族が薬局に出向かなくても薬を受け取れるよう制度を見直す方針を固めた。今の仕組みでは、薬をもらうには一度は薬局に行かないとならないが、医療費抑制をめざす厚労省が在宅医療促進のために見直すことにした。早ければ06年度中に実現する見通しで、体が不自由な患者や家族にとっては便利になりそうだ。薬剤師法は、販売や譲り渡しを目的とした薬の調剤ができる場所を原則として薬局に限っている。調剤には処方箋の確認が含まれるとされている。通院が難しい患者には、医師の指示の下、患者の家での服薬指導などが認められているが、処方箋の確認は薬局でないとできないため、結局は患者や看護する家族が薬局に行かなければならないのが実情だ。このため、厚労省は薬剤師法か関連省令を改正して、薬局以外でも処方箋の確認を認める考え。ただし、薬の調合作業は衛生上の観点からこれまで通り薬局のみで扱うこととする方針だ。見直されれば、例えば、往診した医師に書いてもらった処方箋を患者が薬局にファクスで送ると、薬剤師が薬局で調合した薬を持って患者宅を訪問し、処方箋の原本を確認して薬を渡すことができるようになる。医師や薬剤師の指導による薬物療法が自宅でも受けやすくなることで、がんなど終末期医療のあり方が変わる可能性もある。また、在宅医療に限らず適用される方向のため、一人暮らしで重い風邪をひいたり、家族全員がインフルエンザにかかったりした場合にも、医師による診察から薬の受け取りまで、外出せずに受けられるようになる。 現在、薬剤師が患者宅を訪問しての服薬指導は医療保険の対象だが、交通費は患者が負担。患者宅で処方箋の確認を認めた場合の費用負担のあり方は今後検討する。 厚労省は、医療費の伸び抑制のほか、患者の生活の質(QOL)向上のため、在宅医療の環境整備を進めており、今回の見直しもその一環だ。(平成18年1月12日 朝日新聞)

在宅サービス使う障害者 増加の見通し

入所施設から在宅への移行を促す障害者自立支援法が今年4月に施行されるのに伴い、ホームヘルプや作業所などの在宅生活を支援するサービスや、グループホームの利用者数が増える見通しだ。推計では、障害者の自宅をヘルパーが訪ねて介護する「訪問系サービス」、就職支援や自立訓練を行う作業所などの「日中活動系サービス」、入所施設のほか、障害者が共同生活を送るグループホームやケアホームなどからなる「居住系サービス」に分けて、2011年度の利用者を見積もった。障害者によっては、2種類以上のサービスを利用するケースもある。訪問系サービスの利用者数は、今年度の9万人から16万人に、日中活動系サービスも、30万人から47万人にそれぞれ増加する。居住系サービスは、グループホームとケアホームの利用者が計3万人から9万人へ増える一方、施設入所者は22万人から16万人に減る見通しだ。厚労省は近く、将来推計を踏まえ、基盤整備の基本指針を策定する方針。指針に基づき、各都道府県、市町村も来年度中に障害福祉計画を作り、サービス供給体制を整える。(平成18年1月11日 読売新聞)

65歳以上の介護保険料、4月から月1000円負担増

65歳以上の高齢者が支払う毎月の介護保険料が2006年4月の改定で、全国平均で1000円程度引き上げられる見込みであることが厚生労働省の調べで分かった。全国平均は現行の3293円から4300円程度となり、約3割負担が増す。高齢者の増加などで介護サービスの利用が増えたためで、引き上げ率は前回の03年度改定の13%を大きく上回る。介護保険は利用者負担(1割)を除いた給付費の50%を公費、32%を40―64歳の保険料、18%を65歳以上の保険料で賄っている。このうち、65歳以上の人が払う保険料は要介護者への介護サービスの提供量に応じ3年ごとに見直すことになっており、市町村ごとに異なる。(平成18年1月1日 日本経済新聞)

療養病床、介護型を2012年度めどに廃止

厚生労働省は21日、長期にわたり療養している高齢者が入院する療養病床への介護保険の適用を2012年度をメドにやめる方針を決めた。医療の必要性が薄いにもかかわらず長期入院する「社会的入院」を減らすのが狙い。同病床は医療保険の対象となる患者しか利用できなくする。すでに介護保険を適用している病床は老人ホームなど居住型の介護施設への転換を促す。療養病床は長期療養が必要な高齢者のためのベッドで、全国の医療機関に約38万床ある。入院費などが介護保険から給付される介護型(14万床)と医療保険が適用される医療型(24万床)に分かれている。(平成17年12月22日 日本経済新聞)

高齢者の長期入院、調理・光熱費を自己負担

政府・与党は12日、医療給付費抑制策として、治療のため療養病床に長期入院する70歳以上の高齢者の食費・居住費の一部を保険適用外の自己負担とする方針を固めた。調理の経費と光熱・水道費が対象。12月上旬に策定する医療制度改革に関する大綱に盛り込み、2006年の通常国会に関連法案を提出して同年10月からの実施を目指す。 療養している高齢者の入院費用は現在、食費のうちの食材費は自己負担だが、治療費や居住費は保険対象で1割負担となっている。しかし、自宅で介護を受けたり、療養したりしている人は通常、食費・居住費とも全額を負担している。公平性を保つため、先の通常国会では、療養病床の入院者で介護を受けている人については、05年10月から調理費や光熱・水道費を自己負担とする介護保険法の改正が行われた。今回の措置は、治療のため療養病床に入院している人についても、対応をそろえるのが目的だ。食費のうち、献立の決定などの栄養管理の費用は、保険適用を維持する方針だ。厚生労働省が10月にまとめた医療制度改革の試案の中で、こうした方向を打ち出していた。同省は、月に2万4000円の食材費と他の費用の1割で計6万4000円を支払っている人のケースで、調理費の2万2000円と光熱・水道費の1万円が上積みされ、自己負担が9万6000円に増える試算を示している。最終的な増額幅は個別のケースで異なるが、低所得者には、自己負担の一部免除などの救済措置を設ける方針だ。(平成17年11月13日 読売新聞)

40〜64歳の末期がん患者、介護保険対象

厚生労働省は、40〜64歳の末期がん患者に対する介護保険の適用範囲について、すべてのがんを対象にするとともに、「末期」かどうかの判断は、医師が「治癒困難・不可能」と診断した場合とする方針を決めた。 余命期間や、がん告知の有無などは問わない。医師ら専門家による研究班の検討結果を受けたもので、関係政省令を改正し、2006年4月から給付対象に付け加える。現行制度では、介護保険を利用できるのは原則65歳以上。40〜64歳は、初老期の認知症(痴呆(ちほう))など、加齢に伴う15種類の特定疾病に限定され、この中にがんは含まれていない。しかし、在宅の末期がん患者の間からは介護保険の適用を望む声が強く、政府・与党は今年2月に、末期がんを特定疾病に加える方針を決定。がんの種類や末期の定義をどうするかが懸案事項となっていた。同省では、がんを一つの疾患としてとらえた場合に、発症の状況などから、乳がんや子宮がんなども、「加齢に伴う疾病」と考えられると判断。また、余命期間を正確に予測することは困難であることから、進行性のがんで、医師が総合的に治癒が困難あるいは不可能と診断すれば、給付対象とすることが適当とした。(平成17年11月12日 読売新聞)

高齢者医療費、現役並み所得者80万人が「3割負担」に

医療費の窓口負担が一般高齢者の2倍の2割となっている70〜74歳の「現役並み所得者」が、06年度の税制改正で約80万人増えることが2日、厚生労働省の調べで分かった。同省は06年度の医療制度改革で「現役並み所得者」の窓口負担を現役と同じ3割に引き上げる方針。このため現在窓口負担が1割の80万人は税制改正で「現役並み」への移行を経て、一挙に負担が3割にアップする。同省は新「現役並み」の80万人について、段階的引き上げなどの激変緩和措置を導入する意向だが、高齢者層の強い反発を招きそうだ。現在、70歳以上の人の窓口負担は1割。しかし、厚労省は年間課税所得が145万円以上ある人を「現役並み所得者」と位置付け、2割負担を求めている。年金受給世代で課税所得が145万円となるのは、単身世帯なら年収484万円で、夫婦世帯は621万円。06年4月の税制改正で老年者控除が廃止となり公的年金等控除も縮小されるため、「現役並み」収入基準は単身世帯は約380万円、夫婦世帯は約520万円に下がる。これにより、現役並みの人数は現行の約110万人から約190万人に増え、70〜74歳層に占める割合も6%から11%に増加。 厚労省は医療制度改革関連法案に、現役並みの負担を3割にアップさせることを盛り込む考えだ。新たに現役並みとなる80万人の負担は、来年4月から現行制度に則して2割となり、同法案が成立すれば、来年10月にも制度上3割となる。 また、医療費の自己負担限度額は、一般高齢者が月額4万200円なのに対し、現役並みは「7万2300円+医療費の1%」。同省は自己負担限度額もアップさせる方針で、新「現役並み」は、窓口負担同様、負担増の幅が大きくなる。(平成17年10月3日 毎日新聞)

介護施設の居住・食費、きょうから全額利用者負担

改正介護保険法の一部が1日施行され、介護施設の居住費と食費が保険給付の対象外となり、全額利用者負担となる。在宅で暮らす高齢者との負担の公平を図るのが主な狙い。利用者の負担増は月額数万円程度と見られ、厚生労働省では、この改正により、年間3000億円の介護給付費の削減を見込んでいる。対象となるのは、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設に入所する約80万人。部屋代や光熱水費などの居住費と食事の調理費などが、全額自己負担の在宅と違って、施設では、これまで保険で賄われていた。新しい自己負担額は施設と利用者との契約によって決まり、施設ごとに異なる。低所得者については、居住費、食費それぞれに負担の上限が定められるため、自己負担額は現在とほとんど変わらない見通しだ。(平成17年10月1日 読売新聞)

高齢者の医療費2割負担、対象者が1.7倍に拡大

厚生労働省は28日、来年度の税制改正に伴って医療費の窓口負担が2割になる70歳以上の高齢者が現在の1.7倍の190万人に増えるとの試算を公表した。現在は年収ベースで夫婦2人世帯で621万円以上の場合が対象となるが、これが520万円以上の世帯に広がる。 厚労省は高齢者でも一定以上の所得があれば、窓口負担を2割としたい意向だが、激変緩和措置が必要かどうかについても検討する。(平成17年9月29日 日本経済新聞)

老人保健施設の入所長期化


リハビリなどの介護を受けるために入所する老人保健施設で、入所者の平均在所期間が長期化していることが医療経済研究機構の調査で明らかになった。自宅復帰への準備ではなく、「住まい」として入所する人が増えており、介護保険制度の想定と実態が食い違っていることが浮き彫りになった。介護保険制度では老人保健施設は、けがや病気で入院していた高齢者が自宅復帰前にリハビリなどを一定期間受ける施設という位置づけ。介護報酬もリハビリなどの医療ニーズを織り込んで特別養護老人ホームよりも手厚い。しかし、1―2月に医療経済研究機構が実施した調査では、入所者の73.6%は「医療ニーズは在宅で対応可能」。20.8%は「リハビリは必要ない」とされ、リハビリが終わった後も入所を続ける人が多かった。(平成17年9月15日 日本経済新聞)

介護予防サービス支払い、定額と成功報酬を導入

厚生労働省は介護保険制度改革により来年4月から導入される介護予防サービスで、事業者に支払われる報酬に、1か月単位などの定額払い方式と、利用者の状態改善に応じた成功報酬の仕組みを導入する方針を固めた。定額払いと成功報酬を導入するのは、計16種類の予防サービスのうち、デイサービス、通所リハビリテーション、訪問介護の3種類。これらのサービスは、現行制度では、介護の必要度に応じ、時間ごとに報酬が支払われている。しかし、厚労省では、時間による出来高払いの仕組みでは、改善効果が低いサービスを長時間提供し続ける事業者が出かねないと判断。軽度の要介護者のみを対象とする予防サービスでは、サービス内容がある程度共通していることから、内容を標準化し、月ごと、またはサービスメニューごとの定額払いが適当と判断した。また、効率的なサービス提供を促すため、運動機能や栄養状態などで高い改善結果を出した事業者には報酬を加算。効果が出なかった場合は報酬を減算する。厚労省は30日夕方に開かれる社会保障審議会介護給付費分科会・介護予防ワーキングチームにこれらの方針を提示。 分科会で具体的な報酬額を検討し、来年1月に決定する。(平成17年8月30日 読売新聞

介護予防サービスの費用、定額払いを検討

厚生労働省は28日、来年度から新たに始まる軽度の要介護者向けの介護予防サービスについて、介護保険からサービス事業者に対して支払う報酬を月単位などの定額払いにする方向で検討する考えを示した。同日の社会保障審議会介護給付費分科会の介護予防ワーキングチームに示した。8月末までにワーキングチームで議論し、同分科会に報告する。 新予防給付は、従来のサービスに(1)運動機能の向上(2)栄養改善指導(3)口腔(こうくう)ケア指導、などを新たに盛り込むもの。介護度が低い「要支援」の人など、状態が改善する可能性が高い人を対象に実施する。現行の報酬体系は様々な要介護度の人やサービスを対象とするため、時間に応じた金額設定になっている。 軽度のお年寄りのみを対象とする新予防給付では、サービス内容が基礎体力や歩行能力を強化・維持する筋力トレーニングなど、ある程度共通していることから定額払いが適当と判断した。 定額払いにすることで給付費を抑えるねらいもある。また同省は、要介護度の維持・改善をはかるため、サービスの事後評価で目標達成した場合は、サービス事業者の報酬を高くする検討も必要だとの認識も示した。(平成17年7月29日 朝日新聞)

介護施設の自己負担、居住費は月1万―6万円

厚生労働省は20日、10月から入所者の全額自己負担に切り替える予定の介護施設の居住費相当額について、社会保障審議会介護給付費分科会に示した。居住環境に応じて4分類し、最も高い個室(ユニット型)で月6万円、最も安い相部屋は同1万円としている。現行でも利用者は居住費や食費の一部を負担しており、一定の所得のある高齢者で月3万円程度の負担増が見込まれる。今国会で審議中の介護保険法改正案は原則、来年4月施行。ただ特別養護老人ホームなど介護3施設の居住費と食費を保険給付の対象から外す見直しは10月に先行実施する予定だ。厚労省は居住費を四つに分類。(1)個室と共同生活室が一体となったユニット型個室は月6万円 (2)同じユニット型でも隣室と完全に分離されていない準個室は月5万円 (3)共同生活室のない従来型個室は月5万円 (4)相部屋は光熱費のみの月1万円――と設定している。 この案に基づく介護報酬の改定を介護給付費分科会が7月中旬に正式に決める。(平成17年6月20日 日本経済新聞)

介護保険改正法案、今国会成立へ

新たな介護予防給付の導入などを柱とする介護保険法改正案が10日、衆院本会議で自民、公明の与党と民主などの賛成多数で可決され、参院に送られた。00年4月に制度が始まって以来、初めての大幅な見直しで、今国会で成立する見通し。改正案は、増え続ける介護給付費を抑える狙いで、介護の必要度が低い人に筋力トレーニングや栄養指導を受けてもらい、介護度が悪化するのを防ぐ仕組みを導入する。また、施設入所者の食費や居住費を今年10月から保険給付の対象からはずして、自己負担にするなどの負担増も求めている。介護予防の効果をめぐっては衆院厚生労働委員会で、必ずしも効果が上がっていない事例があると野党側から指摘を受け、法案の付則に施行後3年をめどに見直す規定が盛り込まれた。また、保険料を徴収する対象者(現在40歳以上)などの拡大について、06年度末までに「範囲の拡大も含めて検討する」との付帯決議がつけられた。(平成17年5月10日 朝日新聞)

介護保険、すべての末期がんが対象 

厚生労働省は30日、介護保険サービスの対象に、40〜64歳の自宅療養している末期がん患者すべてを新たに含める方針を固めた。同年齢層(2号被保険者)で介護保険の給付が受けられるのは現在、政令で定める15の特定疾病患者に限定されており、同省は小児がんを除くすべての部位の末期がんを特定疾病に指定するよう省令を改正する。末期がん患者の場合、ターミナルケア(末期医療)の一環として自宅療養を選択する人が少なくなく、自宅で死亡する40〜64歳の末期がん患者は年間約2000人。入院している場合は3割などの一部負担で看護師らによる身体介護を受けられるが、自宅療養の場合はヘルパーに介護を依頼すれば、費用が全額自己負担となり、著しい負担増になる。このため厚労省はどの部位のがんを介護保険対象にするか絞り込みに入っていた。こうした中で、民主党などが「対象を広くすべきだ」と強く求めたこともあり、すべての末期がん患者を対象にすることにした。介護保険の特定疾病は「加齢に伴う疾病」に限定されており、脳卒中などの脳血管障害、糖尿病性神経障害などが対象になっている。現在約12万人が介護サービスを受けている。(平成17年5月1日 毎日新聞)

介護保険で不正請求

介護保険の報酬の不正請求が急増している。ホームヘルパーのサービスを架空請求するなどの不正があったとして市町村や都道府県が介護サービス事業者に返還を求めた額は2003年度に56億2000万円と前年度から倍増。悪質な不正請求などで指定取り消し処分を受ける事業者は2004年度も増え続けており、対策が急務になっている。厚生労働省のまとめによると、老人保健施設や訪問介護事業所など、不正請求で03年度に報酬の返還を求められた事業所は02年度の2.5倍に増えた。サービス提供時間の水増しや、ケアプランの資格がないにもかかわらずサービス費を請求するなどの事例が多い。悪質な不正があったとして事業所が指定取り消し処分を受けた件数は60件と1.4倍に拡大。2004年度は12月までの9カ月間で54件と、前年度の同じ時期(51件)を上回るペースで推移しており、不正請求額はさらに増える可能性が大きい。(平成17年3月22日 日本経済新聞)

介護予防に3サービスを新設へ

厚生労働省は27日、介護保険制度改革で心身の状態悪化を防ぐ「予防」を重視するため、2006年4月から保険で給付するサービスに3種類の予防措置を加える具体策をまとめた。新設するのは@筋力トレーニングや転倒予防訓練の「運動器の機能向上」A食事指導の「栄養改善」B口をきれいにする「口内ケア」。介護の必要性が低く改善の見込みのある人を対象とする。新設の予防サービスの対象者は従来の訪問介護やデイサービスなどを利用できるが、内容は家事援助でも一緒に食事を作るなど自立につながるメニューに替わる。そのほか筋トレで下肢機能を高めて日常生活を送りやすくしたり、口を清潔に保って肺炎になりにくくするメニューも加わる。栄養改善では食事を記録し、献立の指導を受ける。新サービスの介護報酬は今後詰める。(平成16年12月28日 日本経済新聞)

要介護度の認定調査を厳格化

厚生労働省は05年の介護保険制度改正で、特別養護老人ホームなどに所属するケアマネジャーらが入所者の要介護度の認定調査をすることを禁じたり、事業者が認定申請を代行するのを制限したりするなど調査を厳格化する方針を決めた事業者による甘い調査で要介護度が上がり、必要度が低い人にまで介護サービスを提供する「過剰な掘り起こし」が給付費の急増の一因と判断した06年4月から実施する予定。認定調査は、介護サービスを最初に利用するときに研修を受けたケアマネジャーらが、申請した高齢者と面接して介護の必要度を調べる。継続して利用する場合も原則1年(最長2年)ごとに調査を受ける必要がある。調査をもとに、市町村の介護認定審査会で要介護度を認定する。ケアプランを作る居宅介護支援事業者や特養などの介護保険施設は、市町村の委託を受けて認定調査をしているほか、高齢者に代わって認定を申請することができる。厚労省は改正で、新たに認定を申請する場合の認定調査は原則市町村が行うようにする。委託する場合も介護予防や相談事業の拠点となる地域包括支援センターなどに限り、民間事業者所属のケアマネジャーは行えないようにする。継続利用の場合でも、施設のケアマネジャーが入所している高齢者の調査をすることは認めない。また、新規に認定を申請する場合は事業者が代行することは認めず、地域包括支援センターや民生委員に限る。事業者は継続利用のための申請代行はできるが、本人が承諾していないのに申請を代行するなど悪質なケースはペナルティーを科す方針だ。厚労省は、入所施設のケアマネジャーが認定調査した場合は、それ以外と比べて要介護度が高くなる傾向があるとしている。認定申請では居宅介護支援事業者などの代行が79%を占めている。(平成16年12月27日 朝日新聞)

「要支援」の3割、状態悪化 

介護保険サービスを03年4月から1年間利用した高齢者のうち、最も軽い要支援と認定された人の3人に1人の介護度が重くなっていることが、厚生労働省の介護給付費実態調査でわかった。各都道府県の国民健康保険団体連合会が審査した介護給付費明細書などを集計した。調査結果によると、03年度にサービスを継続的に利用した人は202万人。要介護度別に1年後の変化をみたところ、要支援24万人(一部自立の施設入所者を含む)のうち、31.8%にあたる7万6000人が要介護1以上になった。要介護1(61万4000人)は18%が重度化した。要介護2は27.9%、要介護3は29.9%、要介護4は22%が重度化していた。要支援・要介護1で在宅サービスを利用している人の2人に1人は訪問介護を利用。このうち調理や掃除、買い物などの生活援助だけを利用している人は要支援で86.7%、要介護1で68.9%を占める。 厚労省は、加齢に加え、こうした家事代行サービスの利用で高齢者が体を動かす機会が減っていることも重度化の要因の一つと分析。05年の介護保険制度の改正では、痴呆(ちほう)症などを除き、要支援・要介護1の人は原則として筋力トレーニングや栄養管理などの介護予防サービスを受けてもらい、生活援助もホームヘルパーが利用者と一緒に行うようにする方針だ。(平成16年12月20日 朝日新聞)

介護保険の食住費、05年10月から自己負担

尾辻厚労相と谷垣財務相は18日、介護保険の見直しについて協議し、05年10月から特別養護老人ホームなどの施設入所者の食費や居住費を原則として介護保険の給付対象外とし、自己負担にすることで正式合意した。 厚労省は06年度に介護保険の制度改正を行うが、食住費の負担増は前倒しで実施する。 施設入所者の食住費は現在、大半は介護保険からの給付でまかなわれている。 自己負担は施設の種類などで異なるが、給付対象外になると標準で月3万円程度の負担増になる見込み。 05年度の介護保険の給付費は1310億円減少し、国庫負担分では420億円減る見込みだ。(平成16年12月18日 朝日新聞)

介護保険料徴収、06年度の「20歳以上」への拡大断念

介護保険制度改革の最大の焦点だった負担・給付の対象拡大問題で、若年障害者を2006年度に給付対象に加えることは見送られる方向が19日固まった。厚生労働省の保険料納付を40歳以上から20歳以上へ広げる案も経済界などの反発が強く、2006年度施行は断念。省内には「35歳以上」とする案も浮上しているが、早期実現は難しい情勢だ。 2000年4月に始まった介護保険は法律で施行5年後の抜本見直しが決まっている。政府・与党は来年の通常国会に関連法案を提出し、基本的に2006年4月から一連の制度変更を施行する方針だ。厚労省が当初検討したのは、20歳以上が負担する代わりに、保険給付の対象に65歳未満の障害者らも加える案。支え手を増やし制度を安定させ、介護関連の需要に幅広く対応するのが目的。自民党社会保障制度調査会介護委員会(鴨下一郎委員長)は18日に改革の基本方針をまとめたが、給付と負担の対象拡大だけは結論を示さず、年末をめどに検討を続けるとしていた。(平成16年11月20日 日本経済新聞)

介護施設の食住費徴収、来年10月に前倒し

来年の介護保険制度改革を事実上決める自民党社会保障制度調査会介護委員会(鴨下一郎委員長)が固めた基本方針が17日明らかになった。特別養護老人ホームなど施設入居者の食費と居住費の徴収の実施時期について当初、想定されていた2006年4月を前倒しし、05年10月とするまた、軽度の介護の一部を給付対象から外す一方、介護状態にならないための予防措置を新設し給付対象に加える。いずれも介護保険財政の悪化を食い止めるのが狙い。ただ、最大の焦点だった給付と負担の対象を40歳未満へ広げるかどうかについては今回の基本方針では方向を示さず、年末をメドに改めて結論を出す。18日の自民党介護委は基本方針を正式に了承。来年の通常国会への関連法案提出へ政府・与党の作業が最終段階に入る。(平成16年11月18日 日本経済新聞)

介護職員を国家資格「福祉士」に統一

厚生労働省は、介護サービスの質の向上のため、在宅や施設で働く介護職員を将来
的に国家資格である介護福祉士に統一する方針を決めた。現行のホームヘルパーからの移行を促進するため、2006年度中に介護保険制度の中にヘルパーと介護福祉士の中間にあたる新たな資格を導入。一定期間後に新資格を介護職員の就業要件とする方針だ。 同省は新資格の認定のための研修制度「介護職員基礎研修(仮称)」を、2006年度中にスタートさせる。現行のヘルパー養成研修(50―230時間)を大幅に充実させ、400―500時間とする見込みだ。 ヘルパー研修などと同様、都道府県が指定した法人が実施する。研修修了を介護保険制度の中で資格として認定し、介護報酬上も評価する方向だ。現行のヘルパー研修は将来的に「基礎研修」に一本化。新資格が介護福祉士へのステップとなるよう、「基礎研修」を介護福祉士の養成課程の一環と位置づける。 修了者については、介護福祉士の受験資格を得るため必要な実務経験期間(3年以上)を短縮する。修了後、実務に従事しながら介護福祉士養成課程(1650時間)の一部を受講することで、資格を取れるようにすることも検討する。 すでに介護業務に従事している人については、引き続き就業を認めるが、一定期間内に新資格の認定を受けるか、介護福祉士の資格取得を義務づける。新資格の認定にあたっては、実務経験に応じて受講の一部免除などの措置をとる。介護職員の資質に関しては、個々に大きな差があると指摘されており、利用者が常に一定水準以上のサービスを受けられるとは限らないのが実情。社会保障審議会介護保険部会が7月にまとめた意見書では、「将来的には介護福祉士を基本とすべきだ」とされていた。(平成16年11月14日 読売新聞)

65歳以上介護保険料支払いコンビニで

厚生労働省は来年の介護保険制度の見直しの一環として、2006年4月から65歳以上の高齢者が介護保険料をコンビニエンスストアで払えるようにする方針だ。現在は老齢年金から天引きされるか市町村や金融機関の窓口で直接払う方式のみ。加入者の利便性を高めるとともに介護保険を運営する市町村が効率的に保険料を徴収できるように後押しする。介護保険では、40―64歳の加入者については医療保険料に上乗せして介護保険料を徴収し、65歳以上は市町村が直接、保険料を集めている。年金を年18万円以上受け取っている高齢者の保険料は年金から天引きされるものの、それ以外の高齢者は個別に保険料を払うことになる。65歳以上の介護保険料の納付率は98%を超える高い水準。厚労省は来年の通常国会への提出を予定している介護保険法改正案に市町村がコンビニに保険料の収納事務を委託できるようにする見直しを盛り、市町村の事務負担を軽減する。(平成16年11月14日日本経済新聞)

要介護者の増加、10年で40万人抑制

厚生労働省は12日、来年の介護保険制度の見直しにより、介護サービス利用者の増加を今後10年間で40万人抑制する目標をまとめた。筋力トレーニングなど新設する予防サービスを活用し、介護が必要な状態になったり、悪化したりするのを防ぐ。同日、都道府県の担当者を集めた会合で抑制目標を示し、各自治体が作る2006年度以降の介護保険計画に反映させるよう求めた。介護サービスを利用できる要介護認定者は要支援から要介護5まで6段階あり、今年度は410万人を見込む。同省は増加抑制努力をしない場合、要介護者は2014年度に230万人増の640万人に達すると推計。これを190万人増の600万人に抑える目標を示した。同省が増加抑制のカギとしているのが介護予防への取り組み。来年の介護保険制度の見直しで、介護が必要な状態が比較的軽い人向けに、筋力強化や義歯調節など身体機能が低下するのを防ぐ新しい予防サービスを導入する方針。より重い状態になるのを抑えることで、給付膨張に歯止めをかけるのが狙いだ。(平成16年10月13日 日本経済新聞)

長期療養入院の高齢者、食住費が自己負担

厚生労働省は2006年度にも、病院に長期入院する高齢者などにかかる居住費と食費を医療保険の給付対象から外し、本人の全額自己負担に改める方向で検討に入った負担額は病院によって異なるが、月5万円を超すとみられる。自宅暮らしと療養病床との食住費格差をなくして、必要以上に病院にとどまる「社会的入院」を減らし高齢化に伴う国民医療費の膨張を抑えるのが狙いだ。 同省は年内にまとめる医療保険改革の基本方針に盛り込む。2006年の通常国会に提出する医療制度改革法案に盛り込みたい考えだ。全国にある病院のベッドのうち、高齢の長期入院者などが入る療養病床は約36万。うち約22万床は医療保険、約14万床は介護保険が適用されている。介護サービスが中心になる場合は介護保険を適用するなど一応の区分はあるが、実態はあまり変わらない。現在は両保険とも高齢者の場合、入院中は光熱費などの居住費と食費(材料費を除く)の9割を保険から給付し、本人負担は原則1割。家賃や食費を全額負担する自宅暮らしと比べ割安なため、病気が回復しても退院を避ける「社会的入院」が起こりやすい。(平成16年10月1日 日本経済新聞)

要介護者、年内に400万人突破へ

介護保険サービスの利用者の増勢が止まらない。厚生労働省の集計によると、今年6月末の要介護認定者数は394万人と2000年4月の制度発足時の1.8倍に達した。月3万人程度の増加を続けており、年内に400万人を超えるのは確実だ。利用が広がるほど保険給付費が膨らみ、市町村は住民の介護保険料負担の引き上げを迫られることになる。介護保険は40歳以上が加入するが、今年6月末時点の要介護認定者のうち96%に当たる380万人が65歳以上だ。 65歳以上の高齢者の15%強が要介護認定を受けている計算だ。特に「要支援」「要介護1」といった比較的軽度の人が多く、要介護者の半分弱を占める。(平成16年9月21日 日本経済新聞)

65歳未満の障害者給付、税金併用を検討

厚生労働省は来年の介護保険制度改革で65歳未満の障害者を給付対象に加える場合、介護保険の給付限度を超えるサービスは税金で賄う方式の検討に入った。障害者向けの現行の支援費制度は給付範囲が広く、介護保険制度に負担が大きいとの懸念に対応する。給付対象の拡大には経済界などの反対が強いが、厚労省は給付費増への一定の歯止め策を導入することで理解を得たい考えだ。 介護保険は原則として65歳以上を給付対象に2000年4月に発足。法律で5年後に見直すことが決まっている。改革の柱は介護の必要性が軽度の人への給付制限と障害者や末期がん患者など65歳未満でも介護が必要な人を対象に加える点。対象年齢を引き下げる場合は、現在40歳からの保険料負担も20歳以上などに広げ、収入増も確保する方針だ。 厚労省は来年の通常国会に改革法案を提出する予定。社会保障審議会(厚労相の諮問機関)介護保険部会が21日にサービス給付と保険料徴収の対象拡大の議論を始め、11月に改革案をまとめる。(平成16年9月20日 日本経済新)

介護職員やむなく医療行為

ホームヘルパーや施設で働く介護職員のほとんどが高齢者に医療行為を行った経験があり、4人に1人は誤って投薬するなど医療事故を起こしていたことが4日、民間の研究所の調査で分かった。救急車が必要となるケースもあった。医療行為は医師や看護師以外はできないが、高齢者や家族の要請に応じてやむを得ず対応する姿が目立った。 調査は福祉・医療問題を研究している「ヘルスケア総合政策研究所」(東京・千代田)が東京、神奈川、埼玉の三都県にある計35の訪問介護事業所や老人福祉施設で働く介護職員計350人を対象に実施。202人(57.7%)から回答を得た。(平成16年9月5日 日本経済新聞)

介護予防サービス

厚生労働省は9月から、来年の介護保険制度見直しの柱として要介護度が比較的軽い人向けに新たに創設する介護予防サービスの具体策作りに入る。省内に有識者を交えた三つの小委員会を設置。 対象者の選定方法、サービスの具体的な内容、保険制度を運営する市町村に対する支援策をそれぞれの小委で検討し、年内にも結論を出す。新設する介護予防サービスは、介護が必要な度合いが比較的軽い「要支援」と「要介護1」の人が対象。筋力トレーニングや食事改善指導などを盛り込む方向。高齢者が自力で健康に生活できるようにすることに力点を置き、身体機能の低下が進んで保険給付が膨らむのを防ぐ狙いがある。(平成16年8月21日 日本経済新聞)

老人保険施設、「安い薬に変更」

老人保健施設で入所者用の薬を安価なものに切り替える動きが広がっている。医療経済研究機構によると、約7割の施設が薬を変えた。介護保険制度で、入所者の介護の必要性に応じ、介護や薬の内容にかかわらず費用を一定額とする「定額払い」方式を採っている。同じ効果であれば価格の安い薬を使おうとする傾向が鮮明となった。老人保健施設は病院から在宅での介護へ戻る際の中間的な施設。介護保険の利用対象となる。 医療経済研究・社会保険福祉協会の研究機関である医療経済研究機構が2003年12月に調査をし、全国の355の施設から回答を得た。入所1カ月以内でみると、平均で入所者3人に1人の割合で薬の処方を変えている。「薬価が高いことを理由に変更することがあるか」と尋ねたところ、「よくある」が26.8%、「たまにある」44.5%となり、合計で7割を超えた。老健施設の経営主体別に見たところ、民間の医療法人と地方公共団体で差はなかった。(平成16年8月18日 日本経済新聞)

介護保険料減免措置

65歳以上が負担する介護保険料を低所得者に減免している市町村などの団体が今年4月時点で841あることが厚生労働省の調べで分かった。前年同期より21%増え、全体の3割強に達した。自治体の裁量で所得に応じた保険料徴収の動きが広がっている。65歳以上の保険料は市町村や市町村連合など介護保険の運営団体ごとに違う。同一団体でも所得に応じて原則5段階に分かれる。本人の市町村税が非課税で同居者に納税者がいる例を基準(第3段階)とし、世帯全体が非課税(第2段階)なら基準より25%低く、生活保護受給者(第1段階)は半額となる。 高齢者の約3割は第2段階に入っている。団体によっては、第2段階の中でも収入や資産が少ない人の保険料をさらに減らしている。減免措置の導入団体は急増し、2年前の2倍に達した。こうした状況を受け、厚労省は来年の介護保険制度の見直しで所得区分を現在よりきめ細かくする方針。第2段階を細かく分け高齢者の負担能力に応じて保険料を柔軟に設定できるようにする。(平成16年8月8日 日本経済新聞)

介護保険、施設利用者も食費など負担を

健康保険組合連合会は9日、来年の通常国会で法改正を予定している介護保険制度の見直しに関する考え方を発表した。在宅介護に比べて特別養護老人ホームなどの施設の方が利用者の負担が小さい現状を改め、施設でも居住費や食費などを徴収すべきだとした。サービスを受けた利用者の負担割合は「医療保険での高齢者の負担(原則1割、高所得者は2割)と整合性を図るべき」と指摘。いまは一律で1割負担の介護保険も収入に応じた区分を設けるべきだとの考えを示した。 障害者福祉の支援費制度との統合は「不明確な点が多く、早急に結論を出せる状況にない」と慎重な姿勢を示した。厚労省が検討している75歳以上を対象にした独立保険制度については、65歳以上を対象とすべきだとした。年金給付や介護保険と対象年齢をあわせる。(平成16年7月10日 日本経済新聞)

介護保険の「要支援」、車いすや介護ベッドは対象外に

厚生労働省は要介護度が最も軽い要支援の人が車いすや介護用ベッドを借りる場合、原則として介護保険適用の対象外とする方針を決めた。急増する福祉用具の給付費を抑え、自然に体を動かす機会を増やすことで要介護度が上がるのを防ぐ効果も期待できるとしている。今週中にも同省のホームページで貸与・購入のガイドラインを公開して一般から意見を募集し、6月にも市町村などに通知する。福祉用具は、在宅サービスを受けている高齢者の3人に1人が利用している。要支援・要介護認定を受けていれば、1割の自己負担で貸与・購入でき、現在、使える福祉用具に制限はない。今回まとまったガイドラインは、介護保険の対象になっている17種類の福祉用具ごとに、原則利用できない人の心身の状態や要介護度の基準を示している。 6ランクのうち一番軽い要支援の場合、手すりや歩行補助つえ、入浴補助用具、スロープ、歩行器、特殊尿器の6種類以外は保険は適用されず、利用件数の9割近くを占める車いすと介護ベッドは対象外。 要支援以外の人でも、「歩行がつかまらないでできる」場合は車いすの対象外とし、「寝返り、起きあがり、立ち上がりがつかまらないでできる」人は介護ベッドの対象外とする。 昨年12月現在で、要支援の人に対して車いすが1万2500台、介護ベッドが3万8300台貸し出されている。 保険の適用外になれば、貸与料は全額自己負担になる。 介護保険がスタートした00年4月は福祉用具貸与の給付費が1カ月間で4億円だったが、03年12月は114億円と28倍に増えた。介護保険事業者などが介護度が低い人にも積極的に利用を勧めていることが増加の一因。 同省の高齢者リハビリテーション研究会などが「不適切な貸与の例がある」と指摘、同省がガイドライン作りを進めていた。(平成16年4月19日 朝日新聞)

介護保険と障害者支援の統合検討へ

厚生労働省が介護保険制度と障害者福祉の統合について検討に入ることが、25日わかった。来年1月中旬にも省内に「介護制度改革本部」を設置、協議する。統合で障害者支援費制度の財政難を解消し、現在40歳以上が負担している介護保険料の徴収年齢を20〜30歳に引き下げることで財政の安定を図る狙いがあるが、国民の負担増につながるほか、障害者団体にも慎重な意見があり、議論を呼びそうだ。改革本部は介護保険制度の05年の初の見直しにあわせて設けられるもので、統合問題が主要議題となる。支援費制度の対象となっている身体・知的障害者のほか、精神障害者も含めた統合を話し合う。同省の審議会などでも議論を重ねて04年末に改革大綱をまとめ、05年通常国会に介護保険法など関連法の改正案を提出する方針。支援費制度は「障害者が選べる福祉」を掲げて今年4月に発足したが、ホームヘルプサービスなどが急増。経費の2分の1を補助する国の予算が約100億円不足するなど財政面の問題が表面化した。04年度以降も不足が見込まれることから、「税で賄う今の制度を続けるのは困難」との見方が強まっている。00年度に導入された介護保険制度も利用が広がり、毎年1割のペースで給付費が伸びている。「このままでは65歳以上の保険料が上がり続け、負担の限界を超える」との懸念も出ている。両制度を保険料と税金で賄う一つの保険制度にすれば、安定的に財源を確保でき、精神障害者支援の充実につながるなどの利点がある。しかし、障害者団体の中には高齢者とサービスの内容が違うことなどから慎重論がある一方、若年者に介護保険料を求めるには国民や、保険料を半額負担している企業の理解を得なければならず、議論の行方は不透明だ。(平成15年12月26日 朝日新聞)

要介護認定、更新時の有効期間を最長2年に延長へ

厚生労働省は4日、介護保険のサービスを利用するために高齢者が受ける要介護認定について、現行では更新を受ける際には原則6か月、最長1年までとなっている認定の有効期間を、原則1年、最長2年程度に延長する方針を固めた。省令を改正し、早ければ来年4月から実施する。 地方財政の「三位一体」改革で、自治体への介護保険事務費交付金(約305億円)が来年度から廃止される方向となったこともあり、市町村の認定事務を簡素化するのが目的。初めて認定を受ける際の有効期間は、現行の原則6か月のままとする。 介護保険の定着に伴って、要介護認定の件数は年々増加しており、2002年度は新規申請が124万件に対し、更新申請などは370万件に達した。 このため自治体側から、有効期間の延長など認定事務の簡素化を求める要望が出されていた。(平成15年12月4日読売新聞)


「高齢者施設でけが」相談が急増、4年で10倍に

特別養護老人ホームなどの施設で高齢者がけがをする介護事故に関して、昨年度1年間に、国民生活センター(東京都港区)に寄せられた相談が84件と、4年前の10倍以上に急増していることが分かった。職員による虐待とみられるものもあった。同センターの消費者相談電話に寄せられた相談のうち、介護事故に関するものは、1998年度からの5年間で計217件あった。98年度は8件だけだったが、2000年4月の介護保険導入で、施設への入所が「行政による措置」から「契約行為」になったことで相談が増え始めた。昨年度に寄せられた相談をサービス種類別に見ると、ショートステイ(短期入所)が最も多く17件(20・2%)。次いでデイサービス(日帰り介護)15件、特養と有料老人ホームの入所中がそれぞれ13件ずつだった。事故の内容は、転倒38件、やけどや炎症8件、転落7件、誤飲6件――など。 中には、「有料老人ホームの70歳代の母親が夜中にベッドから転落したが、8時間も放置され、翌朝死亡した」など深刻な内容もある。さらに、「有料老人ホームの80歳代の母に会いに行くたび、顔に不審なあざがある」「屈辱的なことを言われたり、殴られたりする」など、職員からの虐待やいじめが疑われるケースも5件あった。(平成15年9月26日 読売新聞)

介護保険の給付膨張に危機感 厚労省が引き締め対策

介護サービス費用の急増に危機感を強めた厚生労働省は来年度から、介護保険給付の引き締め対策に乗り出す。03年度予算財務省原案で「適正化」対策として70億円が認められた。無駄なサービス給付がないかを市町村がチェックできる仕組みを作り、給付の伸びを抑えたい考えだ。 介護サービスの単価にあたる介護報酬は、物価下落などを反映して03年4月から2.3%のマイナス改定となるが、サービス量が急増している。 要介護認定を受けた高齢者は、制度発足から2年半で100万人以上増え、00年度に約3.6兆円だった介護の総費用は今年度、5兆円を突破した。このうち利用者の負担分を除いた25%が国庫負担で、03年度予算案には保険給付費として、今年度比6.9%増の1兆5594億円が盛り込まれている。 1人あたりの介護保険支給額が都道府県によって、最高の2万4200円から最低の1万1471円(01年11月分)まで2倍以上の格差があることや、高齢者に占める受給者の率にも開きがあることなどから、地域によっては給付を減らす余地があるとみている。 70億円は自治体が「適正化」に取り組むための補助金に充てる。具体的な方策は年明けに固めるが、サービスメニューであるケアプランや介護の必要度の認定、事業者のサービス提供内容などを点検する態勢を作る初期経費に使われる見通しだ。当面は一部自治体で実験的に実施する。 同省は「給付費の自然増は仕方がないが、サービスをチェックして適正な範囲におさめることで、財源を有効に活用したい」と話している。(平成14年12月23日 朝日新聞)

要介護認定有効期間、7割が1年に延長

介護保険制度で、原則6か月となっている要介護認定の有効期間を、更新の際に1年に延長した事例が、今年4月分では7割を超えたことが、厚生労働省の調査で明らかになった。全国で更新申請があった23万1722件のうち、新たな認定の有効期間を原則通り6か月としたのは26・7%で、71・3%が1年だった。 要介護認定は、必要な介護サービスの限度額を決めるため、申請者の心身の状況を詳しく確認する作業。6か月ごとの更新が原則だが、費用もかかることから、同省では、本人の状態が安定していて大きく変化する可能性が少ない場合、有効期間を延長するよう指導している。(平成14年9月17日 東京読売朝刊)

障害者支援費制度の利用者負担額を公表

行政が決めていた障害者福祉サービスを障害者自身が選択、契約できるように改める「支援費制度」について、厚生労働省は12日、利用者負担の基準額案と事業者に支払われるサービスの単価案を公表した。利用者負担は利用するサービスの種類や内容、所得によって異なるが、現行の措置制度と比べ、ホームヘルプの一部で負担が減る一方、デイサービスなどでは増える場合もある。 10月から市町村で利用者の申請の受け付けが始まり、来年4月の制度スタートに向けて本格的に動き出す。 サービスにかかった費用のうち、利用者が負担する額は現行と同じく本人と扶養義務者の支払い能力などに応じて決める。 ホームヘルプサービスやデイサービス、短期入所(ショートステイ)といった在宅サービスは、ゼロから全額負担まで18段階に区分。利用回数によって負担が過大にならないよう1カ月の上限額を新たに設ける。現行で上限がなかったホームヘルプサービスは、利用回数が多い人などは負担が減る可能性がある。逆に、利用者の負担が食費などの実費だけだったデイサービスとショートステイは、利用料の負担も必要になる。施設を利用する場合は、通所、入所とも負担額の区分は現行と変わらない。ただし、1カ月に支払う上限額が最大6000円引き上げられる。 サービスの単価は、ホームヘルプサービスが介護保険と同水準に引き上げられる。 施設サービスの単価は、利用者の障害程度に応じて3段階に分け、障害が重い人ほど事業者への支払いを手厚くする。 年明けまでに厚労省が利用者負担の基準額やサービス単価を確定。これらをもとにして市町村が最終的に決定する。 在宅の身体障害児・者と知的障害児・者は約366万人で、このうち少なくとも83万人がホームヘルプ、デイサービス、ショートステイを利用している。施設の入所者は約20万人。(平成14年9月12日朝日新聞)

介護保険 住宅改修に15万人利用

介護保険が始まった2000年度に、保険を利用して住宅改修を行った人は約15万6000人で、1人当たりの平均利用額は約11万9000円だったことが、厚生労働省が発表した事業状況報告で明らかになった。介護保険では、高齢者の自立支援や介助者の負担軽減を図る観点から、段差解消や手すりの設置などの住宅改修が、最高20万円まで、1割の自己負担で利用できる。初年度は統計上、2000年4月から2001年2月までにサービスが提供された11か月間分となるが、住宅改修費の支給総額は約159億5000万円で、介護給付費総額の0・5%。利用者を要介護度別に見ると、要介護1が32・9%で最も多い。一方、同年度の65歳以上の介護保険料の収納率は、最終的に98・7%となった。(平成14年9月10日 読売新聞)

介護保険料、来年4月から月額平均3200円に

厚生労働省は28日、来年4月に初めて改定される65歳以上のお年寄りの介護保険料は、全国平均で月額3241円になるとする次期介護保険事業計画の中間集計を公表した。各自治体が10月にまとめる最終見込みによって数字は変動するものの、現在の月額平均2911円よりも保険料が上がることは確実。同省は赤字の保険者(市町村など自治体)が都道府県から借りている資金の返済期間を延長する特例措置を設けるなどして急激な保険料上昇を抑える方針だ。 中間集計では、介護が必要と認定される人数を来年度327.9万人、その後、毎年16〜17万人ずつ増えると予想。65歳以上の人口に占める要介護認定者の割合は03年度に13.7%、07年度には14.9%と、高齢化を上回る勢いで増加。これに伴い、介護サービス量は全体で18%増え、とりわけ在宅サービスが32%、施設サービスが10%増えると見込んでいる。 これらのサービスをまかなうために必要な保険料は、65歳以上のお年寄りで1人当たり全国平均で現行より11.3%増の3241円。保険料が3千円を超えるとした自治体は現在の26.6%から51.8%に急増し、このうち6市町村では6000円を超える。一方で保険料が1500円以下としたところも6市町村あり、地域間格差は最大で7.8倍と広がっている。 厚労省は「保険料が高くなるとしているのは小規模の保険者が多い」(介護保険課)として、広域化による保険財政の安定化を図る。来年度予算の概算要求に、広域化をめざす市町村へのシステムづくりの経費補助など35億円を要求する。 また、赤字の市町村や広域連合が都道府県の財政安定化基金から借りている借入金について、現行の返済期間の3年を9年に延長する特例措置を新設する。 介護保険料は3年ごとに見直す仕組みで、各自治体が事業計画を立て、利用者数やサービス量の見込みをもとに保険料を決める。来年4月で介護保険実施から3年になるため、各市町村などで、来年度以降の事業計画づくりが進んでいる。(平成14年8月29日 朝日新聞)