ダイエット


睡眠不足は肥満のもと 米研究「危険、最大7割増も」

睡眠時間が短い人ほど太る傾向が強く、最大で73%も肥満の危険が増す。そんな研究結果を米コロンビア大のチームがまとめ、18日まで開かれていた北米肥満学会で発表した。米政府の健康栄養調査に参加した1万8000人(32〜59歳)のデータを分析。睡眠が7〜9時間の人に比べ、4時間以下しか眠らない人は73%も肥満の危険度が高かった。 睡眠5時間程度の人でも50%、6時間程度では23%、それぞれ太りやすかった。 睡眠不足だと、体内で食欲を抑える物質レプチンが減り、逆に、高める物質グレリンが増えるとされる。 起きている時間が長ければ食べ物を口にする機会も多く、こうした体内状態が食べ物の摂取を促進するらしい。起きている時間が長いと消費カロリーも多いものの、摂取が消費を上回っている実態が、今回の大人数のデータから浮かび上がった。 研究チームは「生物は食物の豊富な夏季に栄養を蓄え、冬に備える。睡眠時間が短い人の体は、夜が短い夏と同様の状態が続くので太りやすい」と見ている。(平成16年11月19日 朝日新聞)

ダイエット食品に効果なし

「脂肪分を包み込み、体外に排泄(はいせつ)」「腸吸収を80%ブロック」。食事の時に飲むだけ、脂肪分や糖分の吸収を抑えられると人気のダイエット食品について、国立健康・栄養研究所は13日、その効果はないとする研究を公表した。厚生労働省は虚偽広告にあたるとして、業者に削除などを求めることにした。 同研究所は、食物繊維などを主原料に、食事に含まれる脂肪分や糖分を便と一緒に排出すると広告しているダイエット食品9製品をラットに3週間与えた。与えていないラットと比較したが、体重や体脂肪の変化などに差はなかった。排出される脂肪分の量は非常に少なく、9割以上は消化吸収されていることがわかった。これらの製品はインターネットやテレビの通信販売のほか、薬局などで広く販売されている。ビーカーを使い、製品によって脂肪分が固まっていく様子を示して宣伝している製品もある。 厚労省は虚偽、誇大広告を禁じた健康増進法に違反するとして、都道府県を通じて業者に広告の削除を指導する。(平成16年10月13日 朝日新聞)

にがり、過剰摂取で命の危険も…ダイエット効果なし

健康食品として人気を呼んでいる「にがり」について、独立行政法人国立健康・栄養研究所(東京都新宿区)は、「にがりのダイエット効果に根拠はない」とする注意をホームページで流し始めた。にがりを多量に摂取すると下痢を起こすので体重は減るかもしれないが、一時的な水分の減少に過ぎないという。 また、にがりの過剰摂取で心肺停止を起こし救命救急センターに搬送されるケースもあった。にがりは海水を濃縮して塩を除いた残留物で、塩化マグネシウムが主成分。豆腐を作る凝固剤として使われている。 同研究所によると、塩化マグネシウムに「糖の吸収を遅らせる」「脂肪の吸収をブロックする」などのダイエット効果があるという情報が目立っている。しかし、確実な根拠はないという。 同研究所の梅垣敬三健康影響評価研究室長は「減量効果がないからといって量を増やして飲むと危険だ。利用目的や摂取量には十分注意してほしい」と訴えている。 また、東京都立墨東病院救命救急センター(墨田区)には、昨年暮れ以降、急性マグネシウム中毒による心肺停止などの患者が2人、搬送された。70代男性は便秘改善の目的で家族から少量のにがり摂取を勧められたが、ペットボトル容器に入っていたため約100ミリリットルを誤って飲んだという。40代女性もペットボトルの半分近くを一気に飲み、心停止寸前で搬送された。いずれも人工透析などで一命をとりとめた。浜辺祐一救命救急センター部長は「ごく少量を飲むにがりを、ペットボトルのような容器に入れることは適切ではない」と話している。(平成16年7月16日 毎日新聞)

肥満治療、心理療法で効果倍増 でも最後は自助努力

肥満治療の際、心理カウンセリングを取り入れると効果倍増。関西医科大病院(大阪府守口市)の木村穣・健康科学センター長らが実施した、肥満治療の研究で、こんな結果が出た。カウンセリングを受けた患者は受けなかった患者より平均で約2倍体重が減ったうえ、最後まで治療を継続する割合も高かった。肥満の原因になるストレスを的確に把握し、食べすぎ防止や効果的な運動ができるらしい。木村センター長らは、体重80〜100キロの男女計約40人(平均50歳)を対象に研究。カウンセリングを受けるグループと、そうでないグループに分け、6カ月間の食事療法や運動療法などの減量指導に取り組んだ。両グループとも毎日、自分で体重を測り、トレーナーと栄養士による指導を定期的に受ける。このうち、カウンセリングを受けるグループは毎日、日記をつけ、月1〜2回、カウンセラーと面談。体重の変化と日記を照らし合わせ、家庭や仕事のトラブルなど、肥満の原因と思われるストレスを自覚してもらう。その結果、カウンセリングを受けたグループは平均約6キロ体重が減り、約8割が最後まで治療を続けた。しかし、受けないグループは平均約3キロ体重が減ったが、約4割が途中で挫折した。木村センター長によると、効果のあった患者はカウンセリングによって、ストレスを意識し、自発的に食事をコントロールしたり、運動したという。木村センター長は「例えば、姑(しゅうとめ)が家に来るとストレスで食べ過ぎ、体重が増えるなど、ストレスと体重の変化は関係があると考えられる。カウンセリングで直接、肥満の原因を絶つことはできないが、肥満の原因の可能性があるストレスを浮かび上がらせることはできる。あとは自助努力だ」と話している。(平成16年4月21日 毎日新聞)

余分な脂肪をカット

体内の脂肪のうち、筋肉にたまった余分な脂肪だけを減らす仕組みを発見した、と東大先端科学技術研究センターが24日発表した。この仕組みを活性化する薬ができれば肥満の解消になり、糖尿病の効果的な治療法につながる可能性もあるという。発見したのは、同センターの酒井寿郎教授(代謝医学)、田中十志也研究員らのグループ。 筋肉細胞が持つ受容体たんぱく質の一つで、働きが不明確だった「PPARδ(デルタ)」を化学物質で人工的に活性化すると、筋肉細胞内にたまっていた脂肪が、運動をしなくても消費されることを突きとめた。 脂肪分の多いエサを与えたマウスのPPARδを活性化させると、普通のマウスと運動量や食欲は変わらなかったが、体重の増加は6割程度にとどまった。 このマウスにインスリンを注射すると、血糖値を下げる効果も強くなっていた。 酒井教授は「肥満ではないマウスには減量効果が薄く、特に副作用もないので、安全性も高い」と話している。(平成15年12月25日 朝日新聞)

微生物使いダイエット剤開発

福山大学(広島県福山市)は有機化学製品メーカーの磐田化学工業(静岡県磐田市、伊藤卓治社長)と組み、土壌の中などに存在する微生物を用いたダイエット剤の開発に乗り出した。一部の微生物が持つ脂肪の合成を抑制する働きを利用する。従来のダイエット薬品に比べ副作用が少ない形で、数年内をめどに商品化する計画。生命工学部の山田靖宙教授のグループはこれまでの研究で、土壌や植物の実の中に存在するストレプトマイシス属放線菌など6種類の微生物が、脂肪の合成を抑えたり炭水化物の取り込みを抑制する機能を持つ有機酸「ハイドロキシクエン酸(HCA)」を生産していることを発見した。(平成15年12月25日 日経産業新聞)

タイ製ホスピタルダイエット薬で健康被害

広島県は9月16日、タイから個人輸入した「ホスピタルダイエット」を服用した広島市内の20歳代の女性が8月に体調不良を訴えたと発表した。この女性が服用した製品は、ホスピタルダイエット、ドクターダイエットと称して販売されていたもので、4種類の錠剤とカプセル剤を数錠ずつポリ袋に入れたものが封筒に入っていたという。 これらの錠剤、カプセル剤からはそれぞれ、ヒドロクロロチアジド(降圧利尿剤)、シブトラミン(肥満症治療剤)、マレイン酸クロルフェニラミン(抗ヒスタミン剤)とアセトアミノフェン(解熱鎮痛剤)、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビサコジル(排便機能促進剤)が検出された。 これらは無承認無許可医薬品に当たるという。 女性は8月7日から服用を開始したところ、体重減少、頭痛、眠気、発汗、動悸、胃のむかつきなどの症状が現れ、8月20日に服用を中止したが症状が改善しないため、広島市の医療機関に救急搬送された。 その後も頭痛と嘔吐が続くため、市内の医療機関を受診した。 肝機能と腎機能には異常が認められなかったが、診察した医師は上記薬剤による健康被害の可能性が否定できないとしていたという。(平成15年9月19日 medwave)

香り、グレープフルーツでやせられる

グレープフルーツの香りをかぐと交感神経が活発に働き、体内脂肪の分解が進んでやせられて、ラベンダーの香りだと逆に副交感神経の働きを促して体重を増加させる作用があることが、大阪大蛋白(たんぱく)質研究所長の永井克也教授(生化学)と新島旭・新潟大名誉教授(生理学)らのラットを使った研究で分かった。グレープフルーツの香りなどを使った「やせる化粧品」が人気だが、効果が科学的に初めて裏付けられた。香りを使い分けることで、健康管理に応用することもできそうだという。交感神経は意思とは関係なく働き、脂肪を分解して活動のためのエネルギーを供給。さらに、血圧や血糖値を上げ、胃腸の働きを抑えるなどして体を活動に適した状態にする。副交感神経は逆に脂肪の分解を抑え、胃腸の働きを促し、血圧を下げる。 永井教授らは、ラットの腹部の交感神経に電極をつけ、脳から伝わる信号の変化を調べた。グレープフルーツの香りを10分間かがせると、すぐに神経活動が増加し始め、1時間後には信号が2倍以上に増えた。 また、ラット5匹に週3回、グレープフルーツの香りをかがせる実験も行った。成長に伴い、平均約250グラムだった体重が6週間後には約400グラムになったが、香りをかがせなかったラット5匹と比べ約20グラム軽かった。 食事量が約7割に減り、食欲を減らす効果も判明した。一方、ラベンダーの香りをかがせたラット5匹の体重は平均で約20グラム重くなった。永井教授は「私自身、アロマテラピー(芳香療法)の効果を信じていなかったので、実験結果には驚いた。肥満解消にはグレープフルーツ、体重を増やして体力回復を目指す人にはラベンダーの香り、などと応用できるのではないか」と話している。(平成15年9月4日 毎日新聞)

肝障害原因は人為添加の物質…中国製やせ薬

全国で健康被害が出た中国製ダイエット食品問題で、厚労省は12日、肝障害を引き起こした原因成分を、自然界には存在しない化学物質「N―ニトロソ―フェンフルラミン」と特定した。食欲抑制作用のある未承認物質「フェンフルラミン」を合成した物質で、同省は「製造者が人為的に添加したもの」とみている。 同省によると、昨年末までに被害があったのは、117製品で474人。このうち、いずれもカプセル状の「御芝堂減肥コウ嚢(おんしどうげんぴこうのう)」「セン之素コウ嚢(せんのもとこうのう)」「茶素減肥(ちゃそげんぴ)」の3製品による被害者が全体の58%の276人を占めた。このため同省は、国立医薬品食品衛生研究所に依頼し、3製品に絞って分析を進めていた。 特に、「御芝堂減肥コウ嚢」では、昨年2月ごろ以降に製造された製品は「N―ニトロソ」の濃度がそれまの4―5倍となっており、これと比例する形で被害者が急増していた。推定で1・5グラム以上を摂取すると肝障害を起こすという。(平成15年2月12日 読売新聞)

健康食品の被害対応を適切に

中国製ダイエット食品による健康被害が相次いでいる問題で、厚生労働省は28日、重大な健康被害が発生した際に都道府県や保健所が適切な対応ができるよう、緊急時の対応手順などを定めた「健康食品等健康危機管理実施要領」(仮称)を策定することを明らかにした。実施要領(マニュアル)は来月中にもまとめる方針。 都道府県には過去3年間に、健康食品に関する苦情・相談が計162件寄せられていたが、その大半は同省に報告されていなかった。このため同省は、実施要領の中で速やかな情報伝達方法を定めていく。 また、健康食品と称しながら医薬品成分などが含まれていた中国製商品を巡っては、同じ医薬局に所属する医薬品監視部門(監視指導・麻薬対策課など)と食品監視部門(新開発食品保健対策室など)の間で、情報交換がスムーズに行われなかったり、問題を押しつけ合うなどの「局内タテ割り」の弊害があったと指摘されている。この反省から、省内に「健康食品等健康危機管理実施合同連絡会議」(仮称)を設置、横の連絡も密にしたいとしている。 中国製ダイエット食品による健康被害の届け出は、27日午後5時現在で786人(うち死亡者は4人)に上っている。(平成14年8月28日読売新聞)

中国製ダイエット食品の健康被害

中国製ダイエット食品問題で、厚生労働省は29日、同日午後5時現在で都道府県から報告された健康被害は計472人に達したと発表した。新たに医薬品成分が検出されたとして「ビューティーシェイプ」「御芝堂清脂素」の2品目の商品名を公表、未承認医薬品は計19品目になった。 このほか医薬品成分は検出されていないものの、健康被害との因果関係が疑われるとしたダイエット食品2品目と合わせて、同省が名前を公表した商品は計21品目となった。 肝障害などの健康被害は「セン(繊)之素コウ(膠)嚢」「御芝堂減肥コウ(膠)嚢」「茶素減肥」の3品目で計322人に上った。(平成14年7月30日 日本経済新聞)

「やせ薬」問題で新たに3商品

中国製「やせ薬」による健康被害問題で、厚生労働省は23日、新たに「未承認医薬品」として3品目の商品名を公表した。「COMET」「千百潤痩身」「ハイパータイト」。これまで公表していた「御芝堂減肥コウ(膠)嚢」「セン(繊)之素コウ嚢」「茶素減肥」「思テイ消胖健美素(スティング、SITING)」「美麗痩身」「チャレンジフォーティワン」「オロチンチャス(茶素コウ嚢)」「軽身楽牌減肥コウ嚢」と合わせ、計11品目となった。(平成14年7月23日 朝日新聞)

やせ薬”6商品

中国製ダイエット食品による健康被害が相次いでいる問題で、厚生労働省は21日までに、新たに6商品の名称を公表した。「御芝堂減肥コウ嚢(おんしどうげんぴこうのう)」「セン之素コウ嚢(せんのもとこうのう)」とあわせ、公表商品は8品目となった。 新たに公表されたのは、「オロチンチャス(茶素コウ嚢)」「軽身楽牌減肥コウ嚢」「SITING」「美麗痩身」「チャレンジ・フォーティーワン」「茶素減肥」の6種類。いずれも、健康被害が報告され、自治体の検査で医薬品成分が含まれたり、効能をうたっていることが確認されたため、未承認医薬品とみなされ、公表対象となった。この6商品で9人の肝障害や甲状腺障害が報告されている。(コウは肉月に「交」、センは糸へんに「千」)( 平成14年7月21日 読売新聞)

中国製やせ薬の被害拡大

中国製の「やせ薬」が原因とみられる健康被害が相次いでいる問題で、18日、朝日新聞社が都道府県の発表した被害状況をまとめたところ、死者2人を含め、26都府県で計67人が肝機能障害や甲状腺異常などの被害を受けていることがわかった。うち、少なくとも29人が入院治療を受けていた。厚生労働省は今後、医薬品として規制できなくても被害が相次ぐ場合、販売禁止措置を取る方針。厚生労働省が肝臓障害などを起こす恐れがあるとして商品名を公表したのは、「御芝堂減肥こう(膠)嚢(おんしどうげんぴこうのう)」と、「せん(繊)之素こう嚢(せんのもとこうのう)」。各自治体は、この2商品に加え、「千百潤痩身(そうしん)」「御芝堂清脂素」など同様の中国製ダイエット商品を服用したケースも被害集計に含めている。入院治療を受けていたのは、兵庫県4人、大阪府、滋賀県3人、長野県2人など、少なくとも計29人。黄疸(おうだん)や体調不良などを訴えて医療機関の診察を受けたのは、計36人だった。長野県では4月中旬、「御芝堂」を飲んだ20代と50代の女性2人が食欲不振などを訴え、肝機能異常と診断された。県保健予防課によると、5月下旬から1、2週間入院した。薬は知人から中国みやげとしてもらったという。栃木県では、「せん之素」を服用した40代の女性が肝機能障害で入院している。今春インターネットで6瓶を購入し、1カ月間、毎日飲んだところ倦怠(けんたい)感を覚え、黄疸の症状が出て診察を受けたという。兵庫県では、昨年11月に2人が入院し、現在は別の30代と40代の2人がそれぞれ肝機能障害と劇症肝炎で入院している。宮島彰・厚労省医薬局長は18日の参院厚生労働委員会で、国内での薬事法や食品衛生法での取り締まりには限界があるとして、「中国当局に規制や取り締まりをしてもらうことを要請したい」と述べた。(平成14年7月18日 朝日新聞)