ヒアルロン酸、しわ取り、自己注射「ダメ」 インターネットで購入したヒアルロン酸を、自分で顔などに注射する行為が広がっている。10日、東京都内で開かれた日本美容外科学会で、日本医科大の百束比古教授らが自己注射による後遺症例を報告し、「素人は絶対にやめるべきだ」と呼び掛けた。ヒアルロン酸は関節や真皮に含まれ、化粧品の保湿成分として使われる。美容クリニックなどでは、しわの下に注射して目立たなくさせる美容法が提供されている。効果を持続させるには約半年ごとの注射が必要だ。神奈川県内の女性(36)は04年春ごろ、美容クリニックでこの注射を受け、口の両脇のしわに注入して約8万円払った。その後、費用がかさむため、ネットの掲示板で話題になっていた自己注射に興味を持った。クリニックで使用していたものと同じメーカーのヒアルロン酸を、香港の輸入代行業者を通して1個約2万円で2個購入。備え付けの注射器を使い、掲示板の体験談などを基に07年12月、自分のほおや目の下に注射した。「失敗しても半年で元に戻る」と考えていたが、2、3ヵ月後、注射した部分の一部が膨らみ、しこりになった。クリニックでヒアルロン酸を分解する注射を打ったがしこりはなくならず、皮下にひきつれが起きる「異物肉芽腫症」と診断された。完全に元に戻すことは難しく、女性は 「すごく後悔している」と話す。香港の業者は「日本からは月に100件ほど注文があり、ほとんどは個人だと思う。医師の処方せんに基づいて使うという前提で販売しているので、自己注射に関する質問には、医師に相談するよう勧めている」と話す。注射に使うヒアルロン酸を輸入する際には薬事法の規制を受ける。しかし、厚生労働省によると、個人が少量を自分で利用する場合は所定の手続きを経ずに入手できるという。百束教授は「ネットでは自己注射の利点ばかりが強調されるが、後遺症に加え、注射によるショック死の可能性もある。水面下にはたくさんの事故例があるのではないか」と警鐘を鳴らす。(平成21年1月11日 毎日新聞) 便秘薬の酸化マグネシウムで2人死亡 便秘や胃炎に広く使われている医療用医薬品「酸化マグネシウム」の服用が原因とみられる副作用報告が05年4月〜今年8月に15件あり、うち2人が死亡していたことが、厚生労働省のまとめで分かった。高齢者に長期間処方しているケースも多いことから、厚労省は血液中のマグネシウム濃度の測定など十分な観察をするよう、製薬会社に使用上の注意の改訂を指示した。酸化マグネシウムは腸の中に水分を引き寄せて腸の運動や排便を助ける効果があり、各製薬会社の推計使用者は年間延べ約4500万人に上る。15件の副作用は、服用が原因で意識障害や血圧低下などにつながった可能性が否定できないケースで、全員が入院。うち認知症などの病気を持ち、他の薬と併用して長期投与を受けていた80代の女性と70代の男性が、ショック症状などを起こし死亡した。15人中13人は、服用を半年以上続けていたとみられる。酸化マグネシウムは市販薬にもある。厚労省はこの成分を含む製品を副作用の危険が最も低い3類から、薬剤師らに情報提供の努力義務が課せられる2類に引き上げることを決めた。市販薬での副作用報告は今のところないという。(平成20年8月11日 毎日新聞) トランス脂肪酸の使用禁止 米カリフォルニア州は、トランス脂肪酸を含む食品を州内の飲食店から追放する州法案に署名し、同法が成立した。トランス脂肪酸は心疾患や脳卒中のリスクを高める恐れがあり、ニューヨーク市などが事実上禁止しているが、州レベルでは初めて。トランス脂肪酸は、植物油などを加工するときに主に生じる物質。マーガリンや揚げ物の油、菓子やパンづくりに使われるショートニングなどに含まれる。今回の州法により、同州内の飲食店は10年以降、トランス脂肪酸の削減を進め、ゼロにすることが義務付けられる。11年には、トランス脂肪酸を焼き菓子やパンなどに使うことも禁止される。トランス脂肪酸を取りすぎると血液中の悪玉コレステロール(LDL)が増えて、動脈硬化や心疾患の危険性が増す。米国では大手ファストフードチェーンが、トランス脂肪酸ゼロの食品を増やしている。日本でも低減の動きがあるが、日本人の摂取量は米国人より少ないという。(平成20年7月26日 朝日新聞) 輸入化粧クリームからステロイド 国民生活センターは16日、「ステロイドは含まない」と表示された輸入化粧クリームから、医薬品並みの濃度のステロイド成分が検出されたと発表した。連絡を受けた東京都は同日、薬事法違反にあたるとして、業者に製品の販売中止と回収を指示した。米国企業が製造、「ラバンナ」が輸入した「NOATOクリーム」で、保湿効果などをうたい通信・店頭販売されていた。6月下旬以降「6ヵ月の娘に使った。塗ってない場所の炎症まで治ったが、やめると元に戻り、塗った部分が白くまだらになった」などの相談が8件相次いだ。調べると、ステロイドの一種で最も強い塗り薬に使われるプロピオン酸クロベタゾールが検出された。このステロイドには皮膚萎縮(いしゅく)などの副作用や依存性、使用中止後にかえって症状が悪化するなどの恐れがあり、センターは「使っている場合はすぐに皮膚科医に相談してほしい」と呼びかけている。ラバンナは「ステロイドは一切含まれていない」などと宣伝していた。(平成20年7月16日 朝日新聞) 中国産原料のせき止め薬で死者387人 中米パナマで中国産原料を含むせき止め薬の服用で死亡したとの訴えが、387人分に上っていることが分かった。犠牲者数はパナマ保健当局が現在認定している約100人を大幅に上回る可能性が出てきた。不凍液などに利用される有害物質ジエチレングリコールが中国産原料に混入し、パナマ製のせき止めシロップに使われた。事件を担当する特別検察官に387人の遺族から訴えがあったほか、153人から後遺症被害の報告が提出されているという。このせき止め薬はパナマ社会保険庁が製造し、同国の保険加入者のみが購入できる。昨年10月ごろから致死率の高い「謎の病気」として国民を脅えさせた。ジエチレングリコールは無臭でわずかに甘い。摂取すると嘔吐、頭痛などの症状が出て腎機能に障害が出る。(平成19年7月7日 毎日新聞) 健康食品の安全性のため成分届けの義務化 健康ブームを背景に多種多様な商品が出ているサプリメントなどの健康食品に関し、厚生労働省は、安全性の検討を決めた。同省では食品衛生法の改正も視野に入れており、食品に含まれる成分の届け出の義務化の是非などについて協議する。国内の市場規模は健康ブームとともに拡大し、2000年には1・3兆円あり、10年には3・2兆円に達すると見込まれる。サプリメントなどの健康食品は、製造過程で栄養成分を抽出・濃縮することが多いため、原料に含まれる微量な有害物質も同時に濃縮される恐れがあるほか、品質の低さや副作用の懸念が指摘されるものもあり、一般の食品などと比べ、安全の確保がより重要な課題となっている。昨年2月、ビールメーカー子会社が製造していたキノコの一種「アガリクス」を使った食品に、他の発がん物質による発がんを促進する作用のある成分が含まれていることが判明。また、大豆イソフラボンのような有用な成分でも、濃縮サプリメントによる過剰摂取で健康への悪影響が否定できないケースもあった。(平成19年2月12日 読売新聞) 健康食品の「副作用」検証 市場の拡大とともに健康被害の報告が増えている健康食品について、厚生労働省は被害事例を検証する検討会を年内にも設ける方針を固めた。医師や薬剤師ら15人ほどの専門家を委員とし、被害実態の把握や摂取との因果関係の分析を進める。ケースに応じて商品名なども迅速に公表し、被害の拡大を防ぐという。薬には副作用を検証する仕組みがあるが、健康食品では初めて。健康食品は、滋養強壮や美容、ダイエット、がん予防など多種多様な目的で売られ、年間の市場規模は1兆2000億円とも1兆5000億円ともいわれる。厚労省が一定の効能を認めた「特定保健用食品(トクホ)」、ビタミンやミネラルなどを一定量含む「栄養機能食品」などの表示が認められているものもあるが、それら以外は安全を担保する基準はない。厚労省によると、被害報告は毎年、全国の保健所から50件前後寄せられ、肝障害や発疹ができるアレルギー、下痢などを訴える内容が多い。しかし、もともと病気の人が摂取しているケースも多く、症状が食品によるものかどうか、判断が難しいという。これまで厚労省は被害報告があるたび、専門家を探して意見を聞いてきた。今後は、肝臓や腎臓、皮膚科、産婦人科などの専門医と、漢方薬の原料となる生薬に詳しい薬剤師らを委員とする検討会を設けておき、被害内容に応じて委員を招集。分析の結果、因果関係が認められれば、ホームページで直ちに商品名などを公表する。疑わしい場合は、動物実験や文献調査などもしてさらに詳しく調べるという。(平成18年11月25日 朝日新聞) 大豆イソフラボン、妊婦さん取り過ぎ注意 骨粗鬆症やがんの予防効果があるなどとして人気のある「大豆イソフラボン」について、食品安全委員会の専門調査会は、過剰摂取に注意を促す報告書案をまとめた。ホルモンのバランスを崩す恐れがあるとして、通常の食生活に加え特定保健用食品などで1日に追加的にとる安全な上限量を30ミリグラムとした。特に、妊婦や乳幼児に対しては「追加摂取は推奨できない」としている。専門調査会は、02年の国民栄養調査などから、大豆イソフラボンの摂取量は、国民の95%が70ミリグラム以下であり、健康被害が出ていないことなどから安全な摂取量の上限を1日70〜75ミリグラムとした。さらに通常の食生活をしている女性を対象に、イソフラボンの錠剤などを飲んでもらい内分泌系への影響をみた調査から、男女ともに1日30ミリグラムを追加で取れる上限値とした。 30ミリグラム以上含まれている健康食品のドリンク剤や錠剤もあることから、これらを取る際の注意にもなっている。 ただ妊婦や胎児、乳幼児などに対しては、「追加摂取する場合の安全性は科学的に判断できない」とし、通常の食事以外からの摂取は勧めないとした。(平成18年2月1日 朝日新聞) 肝障害問題の胎盤エキス 美容目的で人の胎盤エキスの注射(プラセンタ注射)をする人が増え、都内の女性が肝障害を起こすといった問題が起きているが、献血者が使用している場合、その血液中に感染症を起こす病原体が含まれている恐れがあるとして、日本赤十字社は献血者の実態調査に乗り出すことを決めた。日赤では、胎盤エキスの使用者の割合が多ければ、感染予防の徹底のため、献血を断るなどの措置も必要とみている。 実態調査は今月末から1か月間、東京や大阪、愛知などの主要都市を中心に、全国約10か所の献血ルームや献血車で始める。調査では、医師が、献血に訪れた人に、承認済みの胎盤エキスの製品写真や、効能を記したパンフレットを示し、使用歴の有無を問診する。対象者は2万人に上る見込みだ。 献血時には通常、輸血後感染症などの健康被害を防ぐため、ウイルス性肝炎やエイズなど感染症の既往歴のほか、BSE(牛海綿状脳症)が人間に感染したとされる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病対策として欧州など海外渡航歴なども問診で確認。不適格とされた場合は献血を断っている。 だが、問診で渡航歴が間違いなくすべて把握できるわけでもない。胎盤エキスの使用の有無について尋ねる項目もなく、「自己申告に頼るところが多い」(日赤)という。承認済み胎盤エキスは、一般的な病原体の処理はしているが、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の病原体である「異常プリオン」は、今の技術では処理しきれず、残存している可能性がある。(平成17年1月8日読売新聞) 肝障害3年間で95人 いわゆる健康食品の摂取後に肝障害を起こした患者が2001−03年で95人いたとする全国調査の結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・各務伸一愛知医大教授)がまとめ、東京で開かれた日本肝臓学会東部会で10日、発表した。研究班は、食品や成分の毒性というより、アレルギー反応や肝臓の薬物代謝機能の個人差が原因の「薬物性肝障害」が幅広い健康食品で起きている可能性があると指摘。発表した石川哲也愛知医大講師は「何らかの病気があるなど健康に不安を持つ人は、安易に健康食品に頼らず、摂取前に医師に相談してほしい」と訴えている。研究班は、同学会の評議員(718人)のいる医療施設を対象に薬物性肝障害についてアンケート。回答した235施設のうち189施設が「診断歴あり」とし、このうち健康食品が原因と疑われた患者は95人だった。(平成16年12月10日 中国新聞) 市販鼻炎・かぜ薬で脳出血の副作用5件 厚生労働省は市販の鼻炎・かぜ薬を服用した副作用で、脳出血を起こしたとの報告が、過去1年で五件あったと発表した。 5件のうち3件は決められた用量を超えて服用した事例のうえ、死亡するなどの事態にはなっていないが、原因とみられる成分は多くの市販の鼻炎薬や一部の総合感冒薬に含まれており、厚労省は製薬各社に対し、使用上の注意を改訂することや、代替成分への切り替えを進めるよう通知した。通知を受けて武田薬品工業は、「ベンザブロック」など総合感冒薬と鼻炎治療薬13種類の製造販売を中止すると発表した。すでに代替製品を厚労省に申請済みで、承認を待って製品を切り替える方針。さらに大正製薬は「パブロン鼻炎カプセルL」など三製品を、エスエス製薬は「小児用エスタック鼻炎シロップ」を、ファイザーは「アネトン鼻炎カプセル持続性」を、それぞれ販売中止にした。 三共、山之内製薬、エーザイなどは既に他の成分に切り替えており、影響はないとしている。 (平成16年8月9日 日本経済新聞) オウム販売の薬、厚労省が副作用注意呼びかけ オウム真理教の信者らが医薬品を無許可販売していたとして警視庁に逮捕された事件にからみ、厚生労働省は3日、この医薬品の使用者に対し、ホームページなどで副作用への注意を呼びかけた。 同省によると、医薬品は「桃源クリーム」「桃源ローション」などの名称で売られており、皮膚が縮むなどの副作用が出るおそれがある。大量に使うと緑内障にかかる場合もあり、急に使用をやめることも副作用に結びつく危険がある。 同省では「心当たりのある人はまず医師に相談してほしい」と話している。 警視庁によると、信者らは、これらの医薬品についてステロイドホルモンが入っていないと宣伝していたが、実際には外用ステロイドホルモン剤では最も強力な「プロピオン酸クロベタゾール」が入っていた。(平成16年6月3日 読売新聞) 医師が使う医薬品、薬局が小売り 大衆薬(一般用医薬品)に比べて副作用の危険性が高い医療用医薬品が、「零売(れいばい)」と呼ばれる販売方法で、医師の処方せんがないまま一部の薬局・薬店で販売されている。 厚生労働省は薬事法を改正し、2005年7月までに処方せんのない医療用医薬品販売を全面的に禁止する方針だ。 しかし、零売を行っている業者側は「大衆薬と成分が変わらない薬もあり、薬剤師の責任で売れる医薬品をもっと認めるべきだ」と反論している。 薬には、病院で使われる医療用医薬品と、薬局・薬店で購入できる大衆薬がある。医療用医薬品はすべて、医師が使うことを前提に薬事法の製造・輸入承認を受けているが、医師の処方せんが必要な薬は厚労相が別途、「要指示薬」に指定している。このため、「要指示薬」に指定されていない医療用医薬品は、「医師の使用を前提としながら、処方せんが必要ない薬」ということになる。 この“法のすき間”を突く形で、一部の薬局・薬店は、要指示薬以外の風邪薬、鎮痛剤などの医療用医薬品を仕入れ、小分けにして販売する「零売」を行ってきた。「零売」という言葉は、明治時代の薬品取扱規則などに使われている言葉。 「零」には「半端」の意味があり、小分けして販売することとされる。「零売」の実態は厚労省も把握しておらず、業界関係者は「少なくとも1960年代ごろには零売の店はあったが、ひそかに行われてきたため、一般に知られなかった」と説明する。 ところが、最近になって「零売」を宣伝する店が出てくるようになった。 新潟市の「薬局アットマーク」では、「お医者さんの出す薬、ほしくはありませんか?」という看板を店舗に掲げ、零売品を販売している。同薬局の荒居英郎社長(40)は、「医療用の中には大衆薬と成分がまったく同じで商品名だけが違うものもある」としたうえで、「医師の処方を受けて医療用医薬品を購入する時は、医療保険が適用され自己負担分は少ないが、診察料や薬局での調剤基本料などが加算されるため、結果的に零売品の方が安くなる場合もある。 医療費の削減にもつながる」と話す。 関東地方で20店舗以上のチェーン店を経営するドラッグストアも「大衆薬よりも安く売ることができ利益が見込める」と、零売を続けている。 病院での待ち時間を嫌う会社員や、性病などで病院に行くのが恥ずかしいという女性らの利用も多いという。 しかし、医療用医薬品は、大衆薬より副作用の危険性も高く、包装箱や容器を開封して保管・販売する販売方法には品質管理上の問題も指摘されてきた。このため、厚労省は昨年7月、薬事法を改正し、医療用医薬品は原則としてすべて「処方せん医薬品」とすることを決めたが、改正法は2005年7月までに施行することになっている。 同省では改正法施行までの間、零売の自粛を求めているが、現行法では取り締まりはできず、黙認するしかないのが実情だ。 「全国薬害被害者団体連絡協議会」の花井十伍・代表世話人は「大衆薬でも、総合ディスカウントストアが薬事行政のすき間を突く形で新商法を編み出すなど、行政の怠慢を突いた医薬品販売が次々と明らかになっている。 厚労省は毅然(きぜん)とした態度でこれらの“脱法行為”に臨むべきだ」と話している。(平成15年11月11日 読売新聞) 市販鼻炎・かぜ薬で脳出血の副作用5件 厚生労働省は8日、市販の鼻炎・かぜ薬を服用した副作用で脳出血を起こしたとの報告が、過去1年で五件あったと発表した。5件のうち3件は決められた用量を超えて服用した事例のうえ、死亡するなどの事態にはなっていないが、原因とみられる成分は多くの市販の鼻炎薬や一部の総合感冒薬に含まれており、厚労省は製薬各社に対し、使用上の注意を改訂することや、代替成分への切り替えを進めるよう通知した。通知を受けて武田薬品工業は8日、「ベンザブロック」など総合感冒薬と鼻炎治療薬13種類の製造販売を中止すると発表した。すでに代替製品を厚労省に申請済みで、承認を待って製品を切り替える方針。さらに大正製薬は「パブロン鼻炎カプセルL」など三製品を、エスエス製薬は「小児用エスタック鼻炎シロップ」を、ファイザーは「アネトン鼻炎カプセル持続性」を、それぞれ販売中止にした。三共、山之内製薬、エーザイなどは既に他の成分に切り替えており、影響はないとしている。(平成15年8月9日 日本経済新聞) 健康食品被害、アマメシバ服用で気管支炎に 沖縄県などで栽培されている植物「アマメシバ」を粉末にした健康食品を服用していた鹿児島県内の40代女性が、重症の気管支炎を起こして入院していることが4日、厚生労働省の調べで分かった。同省は「原因物質は判明していないが、アマメシバの服用が疑われる」として製品名を公表し、息苦しさなどを感じた場合は保健所に連絡するよう呼びかけた。台湾ではダイエット目的でアマメシバの生ジュースを飲んだ200〜300人が気管支炎を起こし、少なくとも9人が死亡したとされているが、国内で被害が疑われるケースが報告されたのは初めて。入院した女性が服用していた製品は「よこださん家のあまめしば」。沖縄県産アマメシバの芽を加熱殺菌し、粉末にした健康食品で、同県浦添市の業者が昨年9月から販売している。パッケージには「他の野菜を圧倒する栄養価」などとうたわれている。女性は友人の勧めでこの製品を購入し、昨年12月から今年4月までの約5カ月間、1回2グラムの粉末を日に4回服用していた。今年2月ごろから階段を上る時に息切れを感じるようになり、徐々に呼吸困難が悪化したため、4月に鹿児島大学病院に入院。その後、ほかの病院に転院したが、現在も酸素吸入が欠かせない状態という。 診察した鹿児島大学病院の納(おさめ)光弘教授によると、女性に重い気管支炎を引き起こす疾患や薬剤の服用は見られず、粉末アマメシバが原因である可能性が高いという。納教授は「アマメシバを粉末や錠剤にした製品がインターネット上などで複数販売されているが、服用はなるべく中止した方がいい」と呼びかけている。アマメシバは高さ1〜3メートルになる東南アジア原産の低木。台湾では生ジュースを飲んだ女性らの健康被害報告が相次いでいるが、葉を加熱調理して食べているマレーシアでは、健康被害の報告例はないという。粉末になると、生鮮時の約10倍の濃度になるといい、厚労省食品安全部は関係学会にも呼びかけて、健康被害の実態把握を進める方針だ。(平成15年8月5日毎日新聞) 「レンチナン」で心筋障害、健康食品にも成分含まれる薬 抗がん剤と併用される薬「レンチナン」で心筋に障害が起きることが動物実験で分かり、大阪府高石市立診療センターの藤本二郎医師が日本化学療法学会で報告した。 この薬の成分は、キノコを原料とする健康食品にも含まれている。 レンチナンはシイタケから抽出した成分で、抗がん剤治療の際、がんの増殖抑制を狙って使われる。実験では、無処置のマウス(オス)の平均生存期間が817日だったのに対し、レンチナンを投与したマウスは309日、抗がん剤と併用した場合は254日と短かった。 一方、心室壁の細胞が破壊される線維化が起きた割合は、無処置なら0%だったが、レンチナン投与は79%、抗がん剤との併用では87%で、心筋障害が死亡を早めたとみられた。 メスでも傾向は同様だった。実験で使われた投与量は人間の場合の数十倍にあたるが、藤本医師は「キノコを原料とするアガリクス、メシマコブなどの健康食品にも、心筋障害を起こす可能性があるのではないか」と話している。(平成15年6月3日 読売新聞) 市販の風邪薬で肺炎の恐れ 薬局などで販売されている一般用の風邪薬で間質性肺炎の副作用が起きる恐れがあるとして、厚生労働省は30日、製薬会社15社に対し、風邪薬の「使用上の注意」を改訂し、消費者に注意を呼びかけるよう指示した。 対象は「パブロンゴールド錠」「エスタックイブ」「ストナプラス2」「新ルルエース」「コンタック総合感冒薬」「新ジキニン顆粒(かりゅう)」「ベンザブロック」など42の風邪薬。 厚労省によると、今年4月、一部の製薬会社から間質性肺炎の副作用が出たと報告があり、一般用の風邪薬すべての発症状況を調査したところ、1998年以降、18の風邪薬で26人の発症が判明した。 同省は「風邪薬を飲んでかえって悪化した場合は、医師の診察を受けてほしい」と呼びかけている。 [間質性肺炎]たんが出ないせき、呼吸困難、発熱などの症状が出る。 薬の副作用やアレルギー反応などで起きるとされるが、詳細は不明。 肺の一部に炎症が起きる細菌性肺炎と異なり、間質性肺炎は肺全体に炎症が広がる。(平成15年5月31日 読売新聞) ビタミンAの過剰摂取 骨折の危険性高める ビタミンAを取りすぎると、骨折する危険性が大幅に増すことがスウェーデンの研究チームの調査でわかった。ビタミンAは、不足すると視覚障害などが起きることが知られているが、研究者は「ビタミンAの栄養補助食品(サプリメント)の摂取は、適切にすることが大切だ」と指摘している。この成果は、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表された。 50歳前後の男性2322人を30年間にわたって調査、このうち266人(11%)が骨折を経験していた。 ビタミンAの血中濃度と骨折の関係を調べたところ、濃度が平均より1―2割高い人は1・6倍骨折しやすいことがわかった。さらに濃度が通常より5割以上高い人は、骨折する率が7倍も高かった。ビタミンAに、骨を壊す破骨細胞の働きを強めるなどの作用があるとされ、過剰になると骨を弱くしてしまうようだ。 これまでも、ビタミンAの過剰摂取が骨折の危険を高めると推測させる調査はあるが、実際に血中濃度を測定して確認したのは初めてという。(平成15年1月28日 読売新聞) 健康食品への苦情 健康食品により健康被害のおそれがあると都道府県保健所などに寄せられた苦情が過去3年間に161件もありながら、この情報を把握すべき厚生労働省の新開発食品保健対策室は、今年7月まで把握せず「過去3年ではゼロ件」と認識していたことが22日、衆議院決算行政監視委員会で明らかになった。この161件の中には、今月12日に発覚した中国産のダイエット目的の健康食品の服用に伴う重篤な肝障害などの被害事例は含まれていない模様。坂口力厚生労働相は「怠慢のそしりを逃れ得ない」との認識を示した。 これは同日の衆院決算行政監視委第三分科会で、長妻昭議員(民主)が明らかにしたもので、厚生労働省も事実と認めた。健康食品の苦情・相談の扱いについては、昭和63年に当時の生活衛生局新開発食品保健対策室から都道府県宛の通知(「健康食品の摂取量及び摂取方法の表示に関する指針等について」)で、「健康障害の発生のおそれがある場合はその都度、その他の場合にあっては毎年度末にとりまとめ」同室に提出することを指導している。(平成14年7月22日 薬事日報) ハーブの一種カバを含む商品を回収へ、68人に肝障害 英国で食品の安全性を取り締まる政府機関、Food Standards Agency(FSA)は18日、ハーブの一種カバ(Piper methysticum)を含む食品について、市場から回収する法的手続きをとる方針を示した。FSAは消費者に対し、カバ入り食品は避けるよう、勧告している。これは、英国厚生省のMedicines Control Agency (MCA;規制を通じて医療の質を高めることを目的とする組織)の独立諮問機関であるCommittee on Safetyof Medicines (CSM)が、カバ製品のリスクはその効用を大幅に上回るものであると報告したことを受けたもの。FSAによれば、これまでに世界中で最低68人について、カバ入り製品の摂取が原因と疑われる肝障害が報告されているという。うち3人が、英国で発症している。カバは、気持ちをリラックスしたり不眠症などに効果があるとして、サプリメントとして米国や日本などでも販売されている。米国食品医薬品局(FDA)では昨年12月、カバ入りサプリメントと肝障害の調査にあたり、医療関係者に協力を求める手紙を出している。FDAによれば、この時点で最低一人の健康な若い女性が、カバ入りサプリメントが原因と考えられる肝不全を発症し、肝臓移植を行ったという報告があるとしている。FSAではまた、カバ入り製品の摂取を止めることによる副作用はないとしている。(平成14年7月19日 medwave) ハーブ茶毎日飲んだら急性肝炎症状 病状改善のためにハーブ茶を4か月にわたって毎日飲んだ62歳の男性(ギリシャ人)が、急性肝炎の症状を起こして入院したケースがギリシャであり、欧州の消化器・肝臓病の専門誌に発表された。 男性は、血中のコレステロールや血糖値が高かったため、シソ科のニガクサと呼ばれる植物に近いハーブを自分でお茶にして飲み始めた。ところが、4か月後に食欲が落ち、吐き気の症状が出たため飲用を中止、その数日後に急性肝炎に似た黄だんが体に現れたという。(平成14年7月18日 読売新聞) |
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