歯の再生、マウスで成功 神経も、入れ歯代替に期待 歯のもとになる組織(歯胚)から、神経や血管を含め、歯をまるごと再生させることに、東京理科大と大阪大のチームが世界で初めて成功した。マウス実験での成功率は80%と高く、将来的に入れ歯やインプラント(人工歯根)に代わる方法として期待される。さらに、開発した技術は他の臓器や器官の再生医療にも応用できるという。研究チームは胎児マウスの歯胚から両細胞を採取。それぞれの細胞に分離したうえ、寒天状のコラーゲンの中に重ねるように入れ培養したところ、高さ0.25ミリの「歯の種」ができた。これを拒絶反応を起こさない種類の大人のマウスの抜歯部に移植すると、約2カ月後には長さ4.4ミリに成長。歯の内部には血管と神経があることを確認した。抜歯部に移植を試みた22回中17回で歯が再生した。一方、マウスの毛でも同様の方法で培養し、毛の再生にも成功した。人での実施には、胎児からの歯胚入手という倫理上の課題や、別人からの移植に伴う拒絶反応の問題もある。研究チームは、患者自身の口内や頭皮から、基になる細胞を探していくという。(平成19年2月19日 毎日新聞) 歯垢を分解する糖類、果物やワインに 果物やキノコ、ワインなどに含まれている糖類の一種「エリスリトール」に、虫歯や口臭の原因となる歯垢を分解しやすくする働きがあることを、花王の研究者らが見つけた。歯ブラシやうがいの水流程度でも、歯垢がはがれやすくなるような効果が期待できるという。口の中には虫歯につながる病原菌と、いわゆる善玉の細菌などが混在する。こうした細菌が増えて、食べかすなどをエサにして絡み合い、歯につくと、取れにくい歯垢となる。 唾液の清浄作用が細菌の増殖を抑えることは知られているが、詳しい仕組みは分かっていないという。唾液の働きを研究していた花王ヘルスケア研究所の研究員らは、メロンやナシなどの果物や、しょうゆ、みそ、ワインなどの発酵食品に含まれるエリスリトールが、唾液と同じように細菌同士の結合をゆるくする働きを持つことを見つけた。再現した歯垢にエリスリトール水溶液をかけると、歯ブラシが触れなくても、ブラシが起こす水流を再現した超音波があたるだけで、歯垢がはがれるようになった。エリスリトールを使わずに超音波をあてるのに比べ、歯垢は約3分の1まで減っていた。(平成18年9月23日 朝日新聞) 親知らずから間葉系幹細胞 抜いた後の親知らずから、欠損した体の組織再生に利用できる「間葉系幹細胞」を採取し、大量に培養する研究に岐阜大学医学部のグループが取り組んでいる。親知らずは多くの場合、医療廃棄物として捨てられているのが現状で、廃棄物の有効利用としても注目されそうだ。 骨髄などに含まれる間葉系幹細胞は、脂肪や骨などいろいろな体の組織になる性質を持っており、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や重い骨折などで骨の形成を促す際などに用いられる。広島大学などが下あごの骨髄から間葉系幹細胞を採取し、培養する研究に取り組むなど、世界中で研究が進められている。柴田教授らの方法では、親知らずの内部にあるシリコン状の歯髄や、完全に生える前の親知らずの表面を包んでいる歯小嚢(しょうのう)を使う。 歯並びの矯正などの治療を受けた患者から、研究で使うことを断ったうえでもらい受けた親知らずを細かく刻み、間葉系幹細胞を採取する。 この方法で採取された間葉系幹細胞は、1〜2週間で約1万倍に増殖させることができる。親知らずは生えていこうとする「勢い」を持っているため、柴田教授は「骨髄から採取した間葉系幹細胞よりも活性度が高い」と指摘する。 また、零下180度ほどの液体窒素で親知らずを凍結させれば、半永久的に保存することもできる。現在、約30人分の親知らずから間葉系幹細胞の培養を行っており、歯の保存状態が良ければ、ほぼ100%の確率で採取が可能だという。間葉系幹細胞:人の骨髄の中に存在し、骨や筋肉、靭帯(じんたい)などの胞に分化する働きを持っている。このため、骨粗鬆症や重度の骨折の治療などに使われるケースもある。細胞の採取は比較的容易で、培養技術に関する研究が世界的に進められている。また近年では、心筋や神経細胞に分化する可能性も指摘されており、再生医療の分野で注目されている。(平成17年10月25日 朝日新聞) 歯周病菌が血管の病気の原因に 手や足の血管が詰まる難病、バージャー病が歯周病菌と関連していることを東京医科歯科大の岩井武尚教授(血管外科)や石川烈教授(歯周病学)らが突き止めた。予防や悪化防止にもつながる成果という。米国の血管外科専門誌の7月号に発表する。 バージャー病の患者は国内に約1万人いるとみられる。手や足の動脈に炎症が起きて血流が悪くなり、ひどい場合は足の切断に至ることもある。岩井教授らは患者の同意を得た上で、病気になった動脈で歯周病菌に特有のDNAの有無を調べた。歯周病菌にはさまざまな種類があるが、今回は代表的な7種類で検査、患者14人中13人で歯周病菌が見つかった。また、14人全員が歯周病になっていた。バージャー病でない7人の動脈からは歯周病菌は見つからなかった。ネズミを使った実験では、歯周病菌が血管内に血のかたまりを作ることが分かった。 これらの結果から岩井教授らは、口の歯周病菌が血管の中に入り、バージャー病の発症や悪化に関係するとみている。バージャー病は喫煙者に多く、喫煙は歯周病を悪化させる。歯周病を抑えることや禁煙が、この病気の予防や悪化防止につながるという。(平成17年7月1日 朝日新聞) 肥満の人は歯周病にご注意 肥満者は歯周病に約1.5倍かかりやすい。こんな結果を大阪府立看護大の吉田幸恵教授や今木雅英教授らの研究グループがまとめた。 歯周病の危険因子は加齢、糖尿病、喫煙習慣などが知られる。研究グループは、大阪府内の事業所に勤める「糖尿病ではない」20〜59歳の男性1470人について調べた。体重(キロ)を身長(メートル)で2回割ったBMI(体格指標)が18.5未満の人を低体重者、25以上を肥満者、その間を普通体重者とし、唾液(だえき)中の血液濃度で歯周病を判定した。その結果、肥満者(388人)で16.75%、普通体重者(1033人)で11.52%がかかっていた。年齢や喫煙習慣を考慮すると、肥満者は歯周病に普通体重者より1.49倍かかりやすくなり、統計的に明確な差があった。年代ごとにみても、肥満者の罹患(りかん)率が上昇した。脂肪から分泌する物質が骨を壊すなどして歯周病につながる、と考えられ、吉田さんは「肥満が歯周病の危険因子の一つである可能性が見いだされた」といっている。(平成17年1月19日 朝日新聞) 歯周病、失われた組織、塗り薬で再生 歯周病で失われた骨の組織を塗り薬で再生させる治療法の開発に、大阪大大学院歯学研究科の村上伸也教授らの研究グループが成功した。これまでは、病気の進行を食い止める治療法しかなく、重症の場合には抜歯していたが、組織の再生により歯を保存できる可能性が高まった。臨床試験では、重篤な副作用はなく、順調に進めば数年後には治療薬として利用できるようになる見通し。歯周病は、歯を支えるあごの骨「歯槽(そう)骨」が口の中の細菌によって破壊され、やがて歯が脱落する生活習慣病。35歳以上の80%がかかっているといわれる。 歯周病で破壊された歯槽骨は元に戻らないとされ、重症の場合は、歯を抜くしか治療法がなかった。村上教授らは、「科研製薬」(東京都)と共同で、細胞を増やす働きがある特定のたんぱく質を用いた薬を開発。細胞を使った実験では、歯槽骨の元になる幹細胞から、歯を支える歯槽骨、歯の表面のセメント質、それらをつなぐ歯根膜の細胞が同時に増殖することを確認した。動物実験でも、歯周病で失われた組織の再生に成功した。(平成17年1月16日 毎日新聞) 歯茎磨けば肺炎防止に 総入れ歯の高齢者でも、歯ブラシで歯茎を磨く口腔(こうくう)ケアを続ければ、肺炎の発症を半分以下に減らせることが東北大医学部の佐々木英忠教授(老年・呼吸器内科)らの研究でわかった。 佐々木教授らは、国内8か所の養護老人ホームに入所している366人を「歯のある人」「総入れ歯の人」の2グループに分け、さらにそれぞれを、口腔ケアをするグループと、しないグループに分けて2年間調査した。歯のある人の場合、口腔ケアをすると発熱回数が少なく、食欲も上がり、肺炎の発症率は、口腔ケアをしない人に比べ57%減少した。入れ歯の人も同様で、肺炎の発症率は55%減った。 肺炎は、高齢者の死因でトップを占める。中でも細菌の多い唾液(だえき)や胃の逆流物が気づかずに肺に流れる誤嚥(ごえん)性肺炎が多い。佐々木教授は「高齢者は唾液などが肺に入らないよう物を飲み込む働きが鈍くなる。歯茎を刺激することで、この反応が正常になり、結果として肺炎を防ぐ効果がある」と指摘している。口腔ケアは2005年の介護保険改革の柱である「新予防給付メニュー」に組み込まれる予定。(平成16年12月20日 読売新聞) 歯垢が肺炎引き起こす 歯垢(しこう)の中に潜む細菌の中に呼吸器疾患や院内感染に関係する種類が含まれ、高齢者などに重い肺炎を引き起こすケースが起きている実態が、米バファロー大歯学部の研究で30日明らかになった。高齢者介護における歯科衛などの面からも注目されている。米国の胸部疾患専門誌の最新号に発表された。研究チームはニューヨーク州の高齢者向け長期療養施設の患者49人について歯垢を分析した。28人から肺炎を引き起こす黄色ブドウ球菌やグラム陰性菌、緑のう菌を検出した。うち14人が肺炎を起こし、DNA分析で少なくとも8人の歯垢と肺に潜む細菌が一致した。 これらの細菌は院内で感染した疑いがある。いずれの種類も、抗生物質の耐性を獲得して院内感染を引き起こす危険性を持っているため、研究チームは「高齢者を扱う施設では歯と入れ歯の双方の清潔を保つ必要がある」としている(平成16年12月2日読売新聞) 入れ歯は口内がんの危険因子 入れ歯は、口の中の粘膜表面にできる扁平(へんぺい)上皮がんの危険性を高めるとの研究結果を、新潟大の朔敬教授(口腔=こうくう=病理学)らが25日までにまとめた。同教授は「長年の使用で変形して擦れることや、アレルギー、手入れの悪さが原因だろう」として、定期的な受診を勧めている。福岡市で29日から開催される日本癌(がん)学会で発表する。朔教授らは、新潟大病院で受診した扁平上皮がん患者80人と、通常の浸潤性口腔がん患者100人を比較した。上皮がんは、歯の治療を受けた人に多い傾向があり、入れ歯の周囲などでの再発は平均約3回と、通常のがんの3倍だった。また、口内のがんの主な危険因子とされる飲酒、喫煙の量は、上皮がん患者は通常のがん患者よりかなり少なかった。こうしたことから朔教授らは「入れ歯などは上皮がんの危険因子の一つ」と結論づけた。(平成16年9月25日 日本経済新聞) 歯の銀行、抜いた歯の凍結・再利用 老後に向け歯を“貯蓄”してみては? 親知らずなど抜いた歯を冷凍保存し、加工して再利用する全国初の「ティースバンク(歯の銀行)」を、広島大大学院の丹根一夫教授(歯科矯正学)のグループが始めた。抜歯は医療廃棄物になるケースがほとんどだが、患者から「もったいない」という声が多いことから研究に着手し、実用化に成功。自分の歯だけに人工の入れ歯より違和感はなく、評判も上々。「全国展開も」と期待が広がっている。 抜歯後に放置しておくと、歯茎との間でクッションの役割を果たしている「歯根膜」も死んでしまう。丹根教授は99年から抜いた歯の再利用の研究を開始。歯と歯根膜を冷凍保存して維持するとともに、抜歯の際に歯根膜が傷ついても、培養して修復する技術を開発した。保存した歯は形を加工すれば、親知らずを奥歯にしたり、犬歯を前歯にすることなどが可能。歯の内部には刺激を伝えるセンサーの役割をする細胞があるため、入れ歯と違い歯ごたえも感じられるという。バンクは今年5月上旬にスタート。医療保険の適用外のため、料金は1本当たりの保存(40年間)が3万円。治療費を含めると約13万円かかる。当面は大学病院で抜歯や移植を行うが、来春からは広島・山口県の一部の医療機関でもできるようにする。丹根教授とともに治療に携わる河田俊嗣講師は「冷凍保存技術にはまだ未知数の部分もあるが、入れ歯にしたくない人には夢のような話のはず」と話している。問い合わせは、丹根教授らが設立したベンチャー企業「スリーブラケッツ」(同大病院矯正歯科内、082・257・5686)。(平成16年7月8日 毎日新聞) 麻酔ゼリー薬を注射針などへ応用も 麻酔の性質をもつゼリー状の薬を、国立循環器病センター研究所(大阪府吹田市)のグループが開発した。神経に直接塗って神経の働きを抑え、ふき取ると元に戻るため、麻酔の効果時間を自在に調節できる。 重度の虫歯や傷口の痛みを和らげる塗り薬、痛みのない注射針などへの応用が期待できるという。神戸市で25日から開かれる高分子学会で発表する。神経には、痛みを伝えたり、臓器や筋肉を動かすなど、それぞれ役割があり、電気信号で情報や命令を伝えている。グループは、麻酔薬と同じ成分を含むゼリー状の高分子を開発。薬を塗った神経部分で電気信号を止める性質を持つようにした。ウサギの動物実験では、神経に塗ってから約20秒後に電気信号が止まり、ふき取ると約10秒で信号が再開した。炎症などの副作用はなかったという。グループの中山泰秀・研究機器開発試験室長は「今後、長期間たってから現れる毒性がないか調べる必要がある。痛み止めのほか、急性心筋こうそくの後に、自律神経のバランスが崩れて起きる不整脈の治療にも使える可能性がある」と話している。(平成16年5月24日 毎日新聞) レーザー光で虫歯予防 大阪大学の粟津邦男教授らの研究グループは、虫歯予防に応用するレーザー装置を開発した。赤外線レーザー光を歯に断続的に照射する装置。歯の周囲に露出してきた象牙質を虫歯になりにくいエナメル質に似た構造に改質する。レーザー光が目的の部位以外に照射されるのを防ぐシステムも開発済みで、今後実用化を目指す。 開発した装置は波長が9マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル程度の赤外線レーザーを出す。歯の周りの直径0.3ミリメートルの1点に向け、レーザー光を照射する。熱エネルギーが集中しやすくなるため、象牙質からリンが蒸散してエナメル質になる。(平成15年12月29日 日本経済新聞) アゴの骨から歯再生、犬の実験成功 東京大学医科学研究所の上田実教授らは、犬を使った実験で、あごの骨の細胞から完全な歯を再生することに初めて成功した。歯の再生治療が実現すれば、高齢者の生活の質向上につながると期待されている。上田教授らは、犬のあごの骨から歯の元となる組織「歯胚(しはい)」を採取し、その中から、様々な器官に成長する能力を持つ「幹細胞」を取り出すことに成功。コラーゲン繊維とともに培養した上で、あごの骨に戻した。 その結果、20週間後にはエナメル質や象牙(ぞうげ)質、歯髄(しずい)などひとそろいの組織がそろった歯に成長した。内部には血管や神経も確認できた。日本炎症・再生医学会会長の中畑龍俊京都大教授の話「歯にも幹細胞があるのは知られていたが、完全な歯まで分化させたのは画期的で、将来の再生医療として有望だ」(平成15年12月14日 読売新聞) 歯科医の救命救急研修再開へ 歯科医師に気管挿管などの救命措置を教える救急救命研修が2年ぶりに復活しそうだ。 研修中の歯科医師による資格外の医療行為をめぐって告発があって以来中止されていたが、厚生労働省が6日までに方針を修正して容認に転じたためだ。 歯科でも麻酔のショックなどで患者の容体が急変する場合があり、医師、歯科医師らが再開を求めていた。 厚労省が研修のガイドラインを作り、同日までに日本医師会や日本歯科医師会、都道府県などに通知した。 厚労省研究班(主任研究者=前川剛志・山口大医学部教授)がまとめたガイドラインでは、研修を受けられるのは歯科の臨床経験が1年以上あり、全身麻酔を20例以上手がけた歯科医師。 気管挿管や気道の確保などの特別講習を受けたうえで、病院の指導医に学ぶ。 研修は67項目で、実際に患者を処置するのは53項目。 触診や気道確保、心臓に電気ショックを与える手動の除細動、呼吸を確保するための気管切開などで、難しさや必要度に応じてA〜Cに分類。 「指導医の監督下で自分で判断もできる」「指導医に付き添われながらできる」「指導医を手伝うのみ」と、項目ごとに指導医の関与を指定した。 内視鏡検査など14項目は見学にとどめる。 歯科医師の救急研修をめぐっては01年秋、札幌市立札幌病院で、救命救急センター部長の医師が、研修を受けていた歯科医師に資格外の医療行為をさせたとして医師法違反の疑いで保健所から告発され、今年3月に札幌地裁で罰金6万円の判決が出た。医師は控訴している。 それまで20カ所以上の医療施設が独自の研修内容で受け入れていたが、告発を機に多くが中止した。 告発後、厚労省は「歯科でない領域の疾病で、単純な補助的行為以上のことをするのは医師法違反」としていた。今回その方針を修正、ガイドラインを定めて研修を認めた。 歯科でも舌がんやあごの手術などを担当する口腔(こうくう)外科では、全身麻酔をするため、救命救急の必要度が高く、歯科麻酔で急性心不全などが起きる危険性もある。(平成15年10月7日 朝日新聞) ホップ、虫歯予防に効果 アサヒビールは、ビール・発泡酒の苦みとなる原料、ホップに含まれる「ホップ・ポリフェノール」に、虫歯の原因になる歯垢(しこう)の付着を抑える効果があることを臨床試験で実証した、と22日までに明らかにした。これまで動物を使って研究を続けてきたが、ヒトで効果を確認したのは初めてという。ただ、ビールや発泡酒には「ホップ・ポリフェノール」は含まれておらず、いくら飲んでも虫歯予防にはならない。醸造の過程でたんぱく質と結合して固形になり、ろ過の段階で取り除かれてしまうためだ。このため、アサヒビールは「ホップ・ポリフェノールを加えた虫歯予防機能のある飲料や食品などを開発して販売したい」と説明している。 実験は、東京医科歯科大と共同で行った。20〜30代の男性29人を2グループに分け、3日間歯磨きを中止し、食後にそれぞれ別の液体で口をすすぐだけとした。「ホップ・ポリフェノール」の水溶液ですすいだ人の歯には、水ですすいだグループより歯垢の付着が少なかったという。 同社と東京医科歯科大は研究結果を、25日から北九州市で開く第52回日本口腔(こうくう)衛生学会総会で発表する。(平成15年9月23日 毎日新聞) 受動喫煙の子ども高率で乳歯虫歯に、米ロチェスター大が関係を分析 周囲の喫煙者のたばこの煙を吸いこんでいる子供の乳歯は、虫歯になりやすいという報告を、米ロチェスター大のグループがまとめ、米国医師会誌に発表した。 同グループは、4歳から11歳までの約3500人について、受動喫煙の目安となる、ニコチンから作られた物質の血中濃度と、虫歯の関係を分析した。 その結果、子供の乳歯の27%は、受動喫煙によって虫歯になったと判断されたという。永久歯への影響はなかった。 一般に虫歯は、甘い物が原因だと思われているが、ある種の細菌が口に入ることで作られる乳酸も、歯の健康を悪化させる。乳歯は歯を覆うエナメル質が薄く、乳酸に弱いためだ。 受動喫煙した子供は、細菌感染への抵抗力が弱まることに加え、のどが炎症を起こすことによって乳酸を中和する唾液(だえき)が出にくくなり、その結果、虫歯になりやすくなると見られている。(平成15年3月25日 読売新聞) 歯周病、脳梗塞と関係? 歯周病が、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞の危険性と関係があるというデータを、米ハーバード大の研究者らがまとめ、米心臓協会の専門誌「ストローク」(電子版)で発表した。 歯が抜ける原因はさまざまだが、歯周病もその一つ。歯周病菌は動脈硬化の悪化に関与しているとの報告も最近増えており、心筋梗塞や脳梗塞の危険を高めている可能性がある。 そこで研究チームは、冠動脈疾患や糖尿病にかかっていない40―75歳の健康な男性約4万人を12年間にわたり調査し、歯の本数(通常は32本)と病気の関係を分析した。 この間、349人が脳梗塞になったが、歯が25本未満の人たちは、25本以上残っている人たちより、脳梗塞になる危険が約1・6倍高かった。この数値は、喫煙や肥満、飲酒など、脳梗塞を起こすほかの危険因子に個人差があるのを考慮したうえで算出されている。(平成15年1月21日 読売新聞) 歯悪いと早産傾向、国内初の調査報告 早産だったり、体重の軽い子供を産んだ女性は、普通分べんだった人より、歯や歯茎などの健康状態が悪い傾向のあることが、鹿児島大歯学部チームの調査でわかった。歯周病が早産と関係するというデータは、米ノースカロライナ大の研究者が1996年に発表して注目されたが、国内での報告は初めて。 この意外な関係の理由について、歯周病菌が体内の生理活性物質を大量に作りだし、その影響で子宮が収縮し、早産につながる、などの説があるが、詳しくはわかっていない。 鹿児島大の研究チームは鹿児島市立病院など3つの病院に通院・入院している妊婦83人の協力を得て、歯科検診と出産状況の調査を行った。検診は、歯1本につき4か所で歯垢(しこう)のたまり具合を調べ、歯茎についても出血程度、破壊度などをチェックした。 調査した妊婦のうち66人は普通の出産だったが、17人は「妊娠24週から37週未満」で出産したか、「2500グラム以下」の低体重児出産だった。この17人の歯科データは、チェック項目すべてについて、普通分べんの人より数値が悪く、歯や歯茎の健康度が低かった。(平成15年1月14日 読売新聞) 宇宙では虫歯になりやすい、無重力で菌急増 宇宙の長期滞在では虫歯にご注意――2006年の国際宇宙ステーション完成を前に、国立感染症研究所などが、無重量状態では虫歯菌が急増するという研究をまとめた。近い将来宇宙観光も一般化すると予想されるが、宇宙に長期滞在するには口の中の手入れ方法の改善が必要なようだ。 同研究所の泉福英信・主任研究官らは、マウスを飛行機に乗せて、様々な重力の状態を体験させ、口中の虫歯菌(ミュータンス連鎖球菌)の増減などを調べた。無重量状態では、地上に比べ菌が推定40―50倍以上に増えた。 口中の虫歯菌はだ液によって常に歯の表面から洗い流されているが、無重量になるとこの流れが変化し、歯にとどまる割合が高まるためとみられる。宇宙ではだ液の分泌が減少することも知られており、地上なら問題にならない細菌が口中で繁殖し、予想外の感染症を引き起こす恐れも出てきた。(平成14年4月1日 読売新聞) |
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