ステロイド薬で入院など6割減 ぜんそく治療に吸入ステロイド薬を使った場合、使わなかった時に比べ、発作による入院などが6割減少することが、製薬会社グラクソ・スミスクラインが患者約1400人を対象に行った国内の調査で分かった。同一の患者で、抗アレルギー薬や気管支拡張薬など吸入ステロイド薬以外の薬を6か月間使い、その後6か月間、吸入ステロイド薬を加えて比較した。吸入ステロイド薬を使う前は、緊急の医療機関の受診や職場、学校の欠席などが63%にみられたが、使用後は25%に減った。ぜんそくに伴う受診や欠勤などによる社会的損失は、吸入ステロイド薬を使うことで、薬剤費を加えても半年で1人当たり15万円減らせることも分かった。吸入ステロイド薬を使用しているぜんそく患者は日本では10%前後と見られ、欧米の20%台より低い。(平成17年7月4日 読売新聞) ぜんそく発作「吸入ステロイド剤投与」広まる 医療情報サービス会社のケアネット(東京・文京、詫摩直也社長)は内科医を対象にアンケート調査を実施、軽度のぜんそく患者に発作の発生を抑えるために吸入ステロイド剤を長期投与する医師が大半を占めることが明らかになった。薬物による長期管理は国際的に一般的な治療法であり、日本でも定着しつつあるとしている。 内科医の回答によると、週に1―2回発作症状が出る「軽症間欠型」患者のうち83.7%、週2回以上発作が出る「軽症持続型」患者の41.8%に対して吸入ステロイド剤を長期投与している。 採用理由は「発作の予防に優れている」「症状改善に優れている」が上位を占めた。(平成16年8月16日 日経産業新聞) 喘息の子供の割合、過去最悪 文部科学省が10日発表した今年度の学校保健統計調査で、喘息の幼稚園児や小中学生の割合が過去最悪となったことが分かった。同省は「子供の免疫に何らかの変化が起きているのかもしれないが、原因は特定できていない」としており、来年度からアトピー性皮膚炎なども含めたアレルギー疾患についての実態調査に乗り出すことにした。 調査は全国の幼稚園から高校まで約9100校を抽出。健康診断での発育、健康状態を調べた。 喘息の子供の割合は幼稚園1.5%(昨年度比0.2ポイント増)、小学校2.9%(同0.2ポイント増)、中学校2.3%(同0.1ポイント増)で、10年前の調査と比べて倍増した。高校は同0.1ポイント減少の1.3%だった。 アレルギー性鼻炎などを含む鼻・副鼻腔(びくう)疾患は幼稚園3.0%、小学校11.1%、中学校10.1%、高校7.4%で、昨年度と比べ中学生を除いて割合は微減したが依然、高水準で推移。同省は「環境や食生活、衛生状態、感染症など様々な要因が考えられるが、明確な原因は分からない」(学校健康教育課)としている。(平成15年12月10日 日本経済新聞) 喘息:野焼きと因果関係 秋田大医学部で検証 稲わらやもみ殻から出る粉じんや、それらを焼いた煙を吸い込むと気管支ぜんそくが起きやすくなることが、秋田大医学部臨床検査医学講座(茆原順一教授)の研究で分かった。ぜんそくの原因としてはダニやディーゼル車の排ガスなどが分かっているが、秋の農村でよく見られる野焼きとぜんそくの因果関係が検証されたのは初めて。ぜんそくは、気管支が刺激に反応して気道が狭まり、呼吸困難やせきなどの発作症状が起こる病気。季節の変わり目の春や秋に発作が起きやすくなるとされる。研究グループは、稲の収穫や野焼きが集中する9月下旬から10月下旬、ぜんそく患者の受診が県内の都市部に比べ農村部で急増することに着目。稲わら、もみ殻に含まれる粉じんを焼いた煙を分析した結果、ぜんそくを誘発するとされる細菌毒素(LPS)を高濃度で検出した。平均で通常の空気の236倍だった。粉じん自体からは、さらに高濃度で検出した。また、ぜんそく発作時に活発化し気管支で炎症を起こす細胞(好酸球)を人間の血液から取り出し、稲わらのLPSと反応させたところ、活性化の指標となる表面の分子密度が平均で75%増加し、ぜんそくとの関係が裏付けられたという。研究成果は近く論文にまとめ、専門誌で発表する。同学部の萱場広之・助教授は「農家は稲わらを扱う時はマスクをし、道路や民家付近での野焼きを避けるべきだろう」と話している。(平成14年11月18日毎日新聞) |
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