高血圧について


血圧高いと物忘れしやすい傾向

血圧が高い中高年は、脳に何らかの損傷を受けて物忘れしやすい傾向にあることが米アラバマ大バーミングハム校の研究でわかった。高血圧は脳卒中や心臓病などの危険を増すことが知られているが、認知症予備群も生み出していることになる。研究チームは、脳卒中を起こしたことがない45歳以上の米国人約2万人の血圧データと、「今日は何日ですか?」といった認知機能テストの結果を分析。高血圧は「最高血圧140ミリHg以上か最低血圧90ミリHg以上、あるいは高血圧の薬を服用している」と定義されるが、最低血圧が10ミリHg上がるたびに、認知機能に障害が出る危険が7%ずつ上がることがわかった。過去の実験研究では、最低血圧が高いと脳の細動脈が弱くなって神経細胞が損傷を受けることがわかっている。チームは「高血圧を治療することで、認知機能障害を防げる可能性がある」としている。今回の研究では、最高血圧と認知機能の間には関連は見られなかった。高齢者には高血圧と認知症が多くみられることから、関連があると考えられてきたが、これまで明確な結論は出ていなかった。(平成21年8月30日 朝日新聞)

高血圧死の危険、40代男性突出 厚労省が18万人調査

高血圧の40代男性が死亡する危険性は、正常な血圧の人の3.4倍に上ることが、全国13の研究グループの調査を統合した厚生労働省研究班の初めての解析でわかった。高齢男性では1.5倍前後なのと比べてはるかに高く、「高血圧は中年ほど要注意」という傾向が出た。対象は40〜90歳の男性約6万5千人、女性約11万人で、同種の国内調査では過去最大規模。70〜90年代に血圧など健康状態をみて、その後約10年追跡したところ、男性約1万人、女性約8千人が死亡。血圧と死亡の関係を調べた。高血圧と関係が深い脳血管の病気がある人は除いた。その結果、収縮期血圧120未満/拡張期血圧80未満と正常な人たちに比べ、160以上/100以上の高血圧の人たちが死亡するリスクは、男性で40代が3.4倍、50代2.2倍、60代で1.8倍、70代で1.6倍、80代で1.3倍だった。女性は40代で1.4倍、50代1.9倍、60代2.1倍、70代1.5倍、80代1.2倍。男性では若い世代ほど危険性が高くなる傾向が際だった。これらの人がもし正常血圧であれば、全体の死亡者は男性で23%、女性で18%減る計算という。140以上/90以上と軽症の高血圧でも、危険性が高まることが確認された。高血圧は塩分の多い食事や肥満、飲酒、ストレスが招きやすく、働く世代の生活習慣と関係が深い。(平成20年7月5日 朝日新聞)

メタボリック症候群と血圧

メタボリックシンドロームであっても、生活習慣で血圧が正常に保たれていれば動脈硬化のリスクは上がらない。そんな傾向が東京大病院循環器内科の調査で浮かんだ。同シンドロームは生活習慣病の危険を高め、心臓病や脳卒中を招く動脈硬化につながるとして注目されるが、同シンドロームの有無だけにとらわれず、生活の中で個々の危険因子に注意する必要性が示される結果だ。都内の病院で約8000人の血圧や血中脂質の値などを分析したほか、首の動脈に軽度の動脈硬化が起きていないかどうか、超音波装置で調べた。このうち、血圧がやや高めだが正常範囲である「上140未満、下90未満」の約6000人を対象に、同シンドロームの有無と動脈硬化のリスクの関係を調べてみた。 女性の場合、同シンドロームがある人の動脈硬化のリスクは、ない人に比べて2.7倍高かった。だが、女性のうち、同じ血圧でも降圧剤に頼っていない人の動脈硬化のリスクは、同シンドロームがあってもなくても、変わらなかった。血圧が同じでも、薬を飲んでいる人のリスクが高くなっているらしい。薬に頼らないと正常な血圧を保てないこと自体がリスクを高めている可能性が考えられるという。男性はいずれの場合もリスクに違いはなかった。(平成18年11月3日 朝日新聞)

「職場高血圧」にご用心 

健康診断では正常な血圧の人の中に、仕事の合間に測ると高血圧の人が2〜3割もいた。こんな「職場高血圧」に関する調査結果を東京都老人医療センターの桑島巌・副院長(循環器病学)らがまとめた。9月にある日本高血圧学会で発表する予定だ。桑島さんは「必ずしもすぐ治療を要するわけではないが、高血圧予備軍と考えられる」といっている。 桑島さんらは東京都内にある販売会社本社の事務部門に血圧計を置き、仕事の合間に血圧を測ってもらった。健康診断では正常血圧だった社員151人(平均年齢約40歳)のうち55人(36%)が、仕事中は上の血圧(単位はミリHg)が140以上または下の血圧が90以上で、高血圧と診断される血圧だった。 ある役所の事務部門でも、健康診断で正常血圧の職員267人(平均年齢約42歳)のうち62人(23%)が、仕事中は高血圧に分類された。 血圧はかなり変動があり、桑島さんは仕事中は一般の人でも10程度は上がる可能性があると見ているが、調査で見つかった「職場高血圧」では、健診時より40〜50も上がっていた人もいた。「仕事のストレスが血圧の変動に影響しているのではないか」という。国内では約3500万人が高血圧と推定されている。成人の約3人に1人の計算だ。仮面高血圧(隠れた高血圧)の人が国内にどれだけいるかは分かっておらず、一定規模の職場で実施された今回の調査は注目される。 血圧計は1万円以下で手に入るものもある。松沢佑次・大阪大名誉教授(内科)は「個人差もあるが、まずは職場や家庭で測り、変動が大きい人は生活習慣を見直し、改善してほしい。場合によっては専門医の診察を受ける必要もある」という。 高血圧は放置すると、動脈硬化が進み、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞などの病気につながる。食塩制限や野菜・果物の積極的な摂取、運動などの生活習慣の改善や、薬の服用で治療する。(平成17年7月21日 朝日新聞)

総コレステロール値と心筋梗塞の発症とは無関係

血液中の総コレステロールの値は心筋梗塞(こうそく)を発症する危険性とほとんど関係がないとの調査結果を、青森県立保健大の嵯峨井勝教授(環境保健学)らが15日、東京都内で開かれた日本動脈硬化学会で発表した。関係するのは血圧や「善玉」と言われるHDLコレステロールの値だった。嵯峨井教授は「総コレステロールより血圧に注意し禁煙と運動で善玉コレステロールを増やすべきだ」と訴えている。同学会は、血液1デシリットル中の総コレステロールが220ミリグラム以上を「高コレステロール血症」と定め、心筋梗塞の可能性が高まるとして、喫煙者や45歳以上の男性、55歳以上の女性は220未満に抑えるべきだとの指針を発表している。220以上は全国で2300万人と推定されるが、今回の調査は指針に疑問を呈する形となった。嵯峨井教授らは、04年度に青森県内で健康診断を受けた40歳以上の男女1491人について、総コレステロール値やHDL、血圧、年齢、性別、喫煙の有無を調査。全国の男女5万人を6年間追跡して心筋梗塞の発症率を調べた別の調査と比較した。総コレステロールが260程度でも、大半の人の発症率は1%未満にとどまった。180程度でも、喫煙などの影響で同約5%に達する人もおり、総コレステロール値と心筋梗塞の発症率にはほとんど関係がなかった。(平成17年16日 毎日新聞)

「葉酸」に高血圧予防効果

緑黄色野菜や豆類に多く含まれる栄養素「葉酸」は女性の高血圧予防に効果があることが、米ハーバード大の研究でわかった。 葉酸はビタミンB群の仲間で、胎児の成長に欠かせない栄養素の1つ。血管を柔軟にし、血液をスムーズに循環させるため、高血圧予防につながると考えられるという。研究成果は米医学会雑誌に発表された。研究は、高血圧症状のない女性約15万人を対象に、葉酸の摂取量と血圧の関係を8年間追跡調査した。その結果、27―44歳の若い女性グループでは、1日に必要な摂取量(400マイクロ・グラム)の2・5倍にあたる1000マイクロ・グラム以上の葉酸を食事や栄養補助食品で取った人は、200マイクロ・グラムしか取っていない人に比べ、高血圧になる人が46%も少なかった。 43―70歳の中高年女性では、高血圧になる人は18%少なかった。 この研究では男性については言及していない。葉酸は、神経管閉鎖障害という赤ちゃんの先天性疾患を予防する効果が高く、妊婦には必須の栄養素として知られるが、研究グループは「女性の健康維持に役立つことも改めて裏付けられた」と話している。(平成17年2月21日 読売新聞)

高血圧治療の新指針、65歳以上は140目標に

日本高血圧学会は9日、高血圧治療の新しいガイドライン(指針)を発表した。治療で目指す血圧値を高齢者について従来より大幅に厳しくし、上(収縮期)の血圧を140とした。望ましい1日の食塩摂取量も6グラム未満に下げた。脳卒中や心筋こうそくなどの予防を一層促すには、治療目標のハードルを高くする必要があると判断した。 同学会が治療指針を策定するのは2回目で、2000年以来。最新の研究成果や調査結果などを取り入れて改定した。従来指針では治療目標血圧を80歳以上が上160―170などとしていたが、新指針では65歳以上について一律で上140とした。下(拡張期)は従来と同様の90未満。ここ数年の研究で高齢者でも血圧を下げないと脳卒中などの危険性が高まることが明らかになってきた。食事など生活習慣の見直しで効果がない場合の投薬開始時期も早めた。例えば上140―159の軽症患者では従来は6カ月を生活指導の期間としていたが、これを3カ月に短縮した。(平成16年10月9日 日本経済新聞)

高血圧治療、第一選択薬はARB

「高血圧治療に関する調査」では、降圧薬について第一選択薬の系統を尋ねたが、循環器内科を中心にA2受容体拮抗薬(ARB)を選択する医師が大幅に増加していることがわかった。調査ではα遮断薬、β遮断薬、ACE阻害薬、Ca拮抗薬、ARB、利尿薬を示し、第一選択薬としてどの系統を選択しているのかを尋ねた。循環器内科医(n=97)の41.2%が第一選択薬としてARBを挙げた。前回調査(第2回)から8.8ポイントの増加だった。前回調査ではCa拮抗薬、ACE阻害薬、ARBがほぼ3分の1だったが、今回はARBが第1位に躍り出た格好だ。Ca拮抗薬はほぼ横ばいだったが、ACE阻害薬の比率は低下した。その他の内科医では、Ca拮抗薬が51.9%で依然として半数以上を占めていた。ARBは31.4%で、前回調査と比較して2.1ポイントの増だった。その他の医師では、ACE阻害薬が前回から7.3ポイント減で半数を割った。ARBは26.9%(前回20.4%)に増え、Ca拮抗薬を逆転した。(平成16年2月4日 Med wave)


高血圧・高脂血症治療配合剤「カデュエット」をFDA承認

高血圧と高脂血症の両方を治療する成分を配合した世界で初めての治療薬「カデュエット」がFDAの承認を受けたと、ファイザーは6日に発表した。近く発売するとしている。両方を併発している患者は、単発よりも心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まると言われる。配合剤により服薬コンプライアンスを高めることができ、同社は血圧とコレステロール双方を同時に適正水準で管理できるようになることを期待している。この薬はファイザーが開発した。配合されているのは、同社の高血圧治療薬「ノルバスク」(一般名・ベシル酸アムロジピン)と高脂血症治療薬治療薬「リピトール」(アトルバスタチンカルシウム)。昨年3月に申請され、今年1月30日付で承認された。 同薬は、欧州では昨年12月に申請、日本では「開発を含め検討中」だとしている(平成16年2月6日 薬事日報)

利尿薬が急増、RA系抑制薬が急減

カナダOntalio州の高齢者薬剤データベースの解析から、降圧薬の大規模臨床試験「ALLHAT」(Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial)研究の最終結果発表を受け、降圧薬のシェアが大きく変動したことが明らかになった。発表後4カ月で、利尿薬の処方比率が急増、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬などレニン・アンジオテンシン系(RA系)抑制薬の処方比率が急減したという。

ALLHAT研究は、高血圧以外の冠動脈疾患危険因子を一つ以上持つ55歳以上の高血圧患者4万2000人を最長8年間追跡した、過去最大規模の降圧薬比較試験。最終解析では、対照薬である利尿薬のクロルタリドン(わが国での商品名:ハイグロトン)が、カルシウム(Ca)拮抗薬のアムロジピン(同:ノルバスク、アムロジン)、ACE阻害薬のリシノプリル(同:ロンゲスなど)よりも、一部の心イベント予防効果に優れるとの結果が出ている。(平成16年1月9日 Med Wave)

ARBが慢性心不全の死亡率を抑制

カンデサルタンが初めて証明、欧州の学会で臨床試験成績報告武田薬品は8月31日、アンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)のカンデサルタンが、慢性心不全の死亡率・入院率を抑制することが、ウィーンで開催された欧州心臓学会で報告されたと発表した。 大規模臨床試験CHARMの結果である。慢性心不全治療に対して、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)の効果は確立しているが、ACE阻害薬と同様、レニン−アンジオテンシン(R−A)系を抑制するARBで、死亡率・入院率を抑制する成績が示されたのはカンデサルタンが初めて。詳細なデータは9月4日のランセットオンラインジャーナル、9月6日のランセットで公表される。 カンデサルタンは武田薬品が「ブロプレス」、アストラゼネカが「アタカンド」の商品名で世界70カ国で販売している降圧剤。CHARMはアストラゼネカがスポンサーとなって実施された。観察期間は2〜4年間で、欧米を中心に25カ国、7601人の患者が参加した。(平成15年9月1日 薬事日報)

「120―80」は高血圧予備軍…米が新基準、「食事制限も必要」

米国心肺血液研究所は14日(米東部時間)、高血圧の予防と診断、治療の新基準を発表し、従来は「正常」としてきた、最高血圧が120―139で最低血圧が80―89の人でも高血圧症の予備軍と位置づけた。この水準でも運動や食事制限などが必要としている。 これまでは、最高血圧が140、最低血圧が90未満であれば、正常と考えられてきた。 新たな基準は、最低血圧が高い場合よりも最高血圧が高いと心臓病の危険性が高いとの考え方に基づいて検討した。特に、50歳以上で最高血圧が140以上の場合は、心筋こうそくなどの心臓病の危険性が非常に高いとしている。 日本高血圧学会は、正常域は最高血圧139以下、最低血圧89以下と定め、これより高い人を高血圧者としている。ただし、正常域の中にも区別をもうけており、もっとも健康的な至適血圧は最高血圧120未満、最低血圧が80未満と定めている。 国内の高血圧症は、女性の40%、男性の52%で、治療が必要な患者は現在でも、国内全体で約3300万人にのぼると推定されている。(平成15年5月15日読売新聞)

高血圧症と診断される患者の1割が2次性

外来初診において、高血圧症と診断される患者の約1割は2次性高血圧症であり、そのうち6割の患者は、外科的治療により治癒することができたとの報告があった。横浜労災病院内分泌代謝内科の大村昌夫氏らが10月11日、日本高血圧学会の一般講演で発表したもの。今回対象としたのは、1995年から1999年にかけて同病院内科を初診で訪れ、血圧が150/90mmHg以上だった高血圧患者1020人。ただし、クレアチニン値が1.5mg/dl以上の腎機能障害患者、3カ月以内に冠動脈疾患と脳血管障害を発症している患者、2次性高血圧症の診断が確定した患者は除いている。1次スクリーニング検査では、安静臥床30分後に臥位で採血を行い、アルデステロン、レニン活性、コルチゾール、血漿カテコラミンを測定。また、腹部超音波検査で副腎腫瘍の有無を検討した。また、2次検査においては、低レニン性高アルデステロン血症を示した場合はフロセミド-立位試験を、高レニン性高アルデステロン血症はカプトプリル負荷レノグラフィーを、高コルチゾール血症はデキサメサゾン抑制試験を、高カテコラミン血症は尿中カテコラミン測定をそれぞれ行った。また、超音波検査で副腎に異常所見があれば、先の四つの検査をすべて実施した。さらに、1次検査で異常があった場合、腹部CTを全例施行している。その結果、2次性高血圧症として、原発性アルデステロン症が61例(6.0%)、クッシング症候群が11例(1.1%)、プレクリニカルクッシング症候群が10例(1.0%)、褐色細胞腫が6例(0.6%)−−など、計97例(9.6%)が発見された。従来の報告と比較して、「原発性アルデステロン症やクッシング症候群、褐色細胞腫など手術で治る2次性高血圧症が、高い頻度で見つかった」(大村氏)という。それぞれのスクリーニング検査の感度と得意度については、以下の通り。1次検査の場合、低レニン性高アルデステロン血症が1.00と0.94、高レニン性高アルデステロン血症が1.00と0.98、高コルチゾール血症が0.91と0.99、高カテコラミン血症が0.83と0.96、腹部超音波検査が0.42と1.00だった。腹部超音波検査だけは感度が低いが、「他の検査ではひっかからず、超音波検査だけで見つかった副腎腫瘍病変が10例(0.1%)あったため、できれば加えたい検査」との考えを示した。2次検査の場合、フロセミド-立位試験が1.00と0.70、カプトプリル負荷レノグラフィーが1.00と0.94、デキサメサゾン抑制試験が1.00と0.82、尿中カテコラミン測定が0.83と0.98、腹部CT検査が0.63と1.00だった。腹部CT検査の感度が低かったのは、原発性アルデステロン症の微少な病変がほとんど見つけることができなかったためと大村氏は説明し、「スクリーニング検査としては不適当で、精密検査とすべきだろう」と語った。なお、治療成績については、外科的治療などを行った77人のうち、完全な治癒が58人、降圧薬の減量が可能になった改善が18人で、治癒可能な症例が多かった。最後に、大村氏は、「2次性高血圧症の鑑別診断を行うために、初診時のスクリーニング検査は重要である」と強調した。(平成14年10月22日medwave)

血圧を下げるには運動が一番

運動は血圧を下げるための最高の方法であることがわかった。米ツーレーン大学のジアン・ヒー博士らの研究。これまで発表された血圧と運動の関係を調べた医学論文54編を再検討して結論づけた。人間の血圧は上が140mmHg以上、下が90mmHg以上になると高血圧とされる。有酸素運動が血圧にどう影響しているかのデータをまとめたところ、運動を始めただけで、上の血圧(収縮期血圧)が平均3.8mmHg、下の血圧(拡張期血圧)が平均2.58mmHg下がることがわかった。運動の効果は、運動を始めたときの血圧、年齢、体重によってあまり変化はなかった。運動の種類によっても、下げ幅はほぼ一定だった。肥満の人が運動をして、体重がまったく減っていないのに、血圧だけが下がっているケースが多く、運動そのものが降圧効果を持つようだと考察されている。ヒー博士は、「収縮期血圧は3.8mmHg下がるということは、脳卒中を始め、心臓血管系の病気のリスクを大きく減らす。恩恵ははかり知れない」と述べている。(平成14年5月24日 medwave)

コーヒーでは高血圧にならない、30年間の追跡研究で判明

コーヒーを飲むと血圧は上がるが、コーヒーを毎日飲み続けても、高血圧になる確率はコーヒーを飲まない人と変わらないことがわかった。米国Johns Hopkins大学医学部の卒業生を30年以上追跡した調査で判明したもの。コーヒー好きの人には朗報と言えそうだ。調査結果は、Archives of Internal Medicine誌3月25日号に掲載された。コーヒーを飲み続けると、カフェインの昇圧作用によって、いずれ高血圧を発症するのではないか−−。コーヒーの愛飲者が多いアメリカでは、60年以上前からこの「コーヒー高血圧誘因説」が議論の的となっていた。この仮説の検証に乗り出したのが、名門医科大学の一つ、Johns Hopkins大学の卒業生たち。1948年から1964年の卒業生1017人(女性を除く)が参加して、コーヒーが高血圧を引き起こすかどうかを調べる「Johns Hopkins追跡研究」をスタートした。卒業生たちは、学校を卒業する際に、「1日何杯コーヒーを飲むか」「喫煙習慣はあるか」「コーヒーを飲むときにタバコは吸うか」「飲酒量はどの程度か」といった質問に回答。同時に血圧を測定した。その後、ほぼ5年おきに同様の設問への解答と血圧測定を行い、コーヒーを飲み続けることが血圧にどのような影響を与えるかを調べた。追跡期間の中央値33年間。その結果、コーヒーを飲む習慣がある人では、コーヒーを全く飲まない人よりも血圧が高いことが判明。1日当たりのコーヒー消費量が1杯増えるごとに、最高血圧(収縮期血圧)は0.19mmHg、最低血圧(拡張期血圧)は0.27mmHg上昇することもわかった。しかし、60歳までに高血圧を発症した人の割合は、コーヒーを飲む人でも飲まない人でも2〜3割程度。高血圧発症者はコーヒー愛飲者でやや多い傾向はあったが、統計学的には差がなかった。なお、喫煙の有無やタイミング、飲酒量などは、血圧と特に関係はなかったという。この調査では、カフェイン抜きコーヒーだけを飲む人は「コーヒーを飲まない」とみなしている。また、大抵の米国人はコーヒーをブラックで飲むためか、ミルクや砂糖をコーヒーに入れるかどうかは調べていない。つまり、カフェイン以外のコーヒーの成分や、コーヒーと一緒に摂る糖分などに関しては検討されていないわけだ。こうした限界はあるものの、少なくともコーヒーをブラックで飲む男性では、飲み続けても高血圧になる心配はしなくてもよさそうだ。(平成14年4月2日medwave)