アレルギー抑制分子を発見 ぜんそくやアトピー性皮膚炎、花粉症などアレルギー症状を抑える分子を、渋谷彰・筑波大教授(免疫学)らが発見した。この分子の働きを強めることができれば、さまざまなアレルギーに共通する薬の開発につながる可能性がある。アレルギーは、花粉や食べ物などに含まれる特定の物質「抗原」が体内に侵入し、肥満細胞が反応、炎症を起こすヒスタミンなどの化学物質が過剰に放出されて起きる。これらの化学物質の働きを抑える薬はあるが、完全に抑えるのは難しい。そこで、研究チームは化学物質を出させない方法を探った。その結果、肥満細胞の表面にある特定の分子を刺激すると、化学物質の量が、刺激なしに比べて半分程度に減ることを突き止めた。また、この分子を持たないマウスを作ると、通常のマウスより激しいアレルギー反応が起きた。この分子は花粉など抗原の種類に関係なく、アレルギー反応を抑えることも分かり、研究チームは「アラジン1」と命名。人にもアラジン1が存在することを確認した。日本では国民の3割が何らかのアレルギーを持つと言われる。渋谷教授は「アラジン1の働きを高めることによって、アレルギーを効果的に抑制できる」と話す。(平成22年6月7日 毎日新聞) 赤ちゃんのアレルギー性鼻炎、親の喫煙でリスク3倍 煙の漂う室内で育った赤ちゃんは、親がアレルギー体質だった場合、1歳までにアレルギー性鼻炎を発症する割合が3倍に増えることが、米シンシナティ大(オハイオ州)の研究で分かった。 同大のG・レマスターズ教授らが、欧州の専門誌「小児アレルギー・免疫学」電子版に17日発表した。 調査の対象としたのは、親がアレルギー体質の乳児633人。 喫煙状況も含めて各家庭の室内環境などを調べ、 1歳までに表れた呼吸器系症状との関連を分析した。 その結果、室内での1日の喫煙本数が20本以上という家庭の乳児は、家族が全くたばこを吸わない家庭の乳児に比べて鼻炎の発症が倍増、特にアレルギー性鼻炎の発症は3倍に上った。 なお、今回の調査では、兄や姉が多いほど、鼻炎の発症が減る傾向がみられたという。これまでも、細菌などに感染する機会が増えると、アレルギーを抑える免疫細胞が活発になるという説が唱えられてきたが、「兄や姉の効果を0歳児で確認したのは初めて」としている。(平成18年5月18日 読売新聞) ぜんそく薬「テオフィリン」、乳幼児の使用制限へ 気管支ぜんそくや気管支炎の治療薬として国内で年間40万人以上に処方される「テオフィリン」の使用後に、乳幼児が重いけいれんや脳症を起こすなどの報告が相次ぎ、日本小児アレルギー学会は、小児気管支ぜんそく治療指針に5歳以下への使用制限を盛り込むことを決めた。新潟市民病院の医師らは、服用後に重いけいれんや脳症で運ばれた子供が1991〜2002年の間に54人おり、うち2人が死亡したと、03年10月の日本小児科学会誌に報告した。また、大阪市立総合医療センターの塩見正司・小児救急科部長によると、98〜04年に同センターに運ばれた服用後の子供のうち、11人に知的障害などが残り、別に1人が点滴による過剰投与のせいで死亡した。代表的なメーカーの三菱ウェルファーマの集計でも、シロップ剤を発売した93年以降、5歳以下でけいれん約160例、重症けいれん約80例、後遺症約20例の報告がある。テオフィリンは、治療に有効な血中濃度の値と、けいれんなど副作用の危険が高まる値が近く、薬の添付文書では血中濃度を測りながら使うよう求めている。日本小児アレルギー学会の新たな治療指針では、テオフィリンは第一選択にはせず、追加の治療で検討する薬とし、「ぜんそく治療に精通した医師が注意深く使うべきだ」とした。特に2歳未満には、最後の選択肢として使用を極力制限する。なかでも座薬は血中濃度が急激に上がる危険性が指摘されているため、「推奨しない」とした。指針作成委員長の森川昭広・群馬大教授の話「重いけいれんとの因果関係を示す十分な証拠はないが、体質的にけいれんを起こしやすい乳幼児への投与は、慎重になるべきだと判断した」(平成17年11月18日 読売新聞) 厚労省が初のアレルギー総合対策 国民の3人に1人が何らかのアレルギー疾患を抱える状況を改善するため、厚生労働省はアレルギー治療の地域ネットワークづくりなど診療体制の整備に乗り出す。来年度からの5年計画で、国がアレルギーの総合対策に取り組むのは初めて。中でもぜんそく死対策に力を入れ、「患者カード」の普及を図る。9月中にも対策の指針を都道府県に通知し、方針を徹底したい考えだ。 同省のアレルギー対策検討会の報告書は、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、花粉症、食物アレルギーなどのアレルギー疾患を持つ人は、国民の30%以上にのぼり、ますます増加傾向にあるとしている。中でも深刻なのはぜんそくで、03年には3701人が死亡し、アレルギー関連死の99%を占めた。 しかし、アレルギー疾患については、日常的に対応する地域のかかりつけ医が診療ガイドラインをよく理解していないケースが多いという。このため厚労省は、日常的な生活圏に設けられた「2次医療圏」(全国370カ所)ごとに専門病院を決め、地域の医師の教育を進めるとともに、都道府県に最低1カ所は基幹病院を決めてネットワーク化。重症患者にも対応できる体制にする。 ぜんそく死については、患者自身の認識不足や不定期な受診などが原因で、減らすことができるとしており、「ぜんそく死ゼロ作戦」と銘打って5年間で死者をなくすことを目標に掲げる。具体的には、発作が起きた時に適切な救急医療が受けられるよう、医療機関名や病歴、合併症の有無、治療状況、服用している薬の名前などを記入して常に身につける「患者カード」の普及や、アレルギーに対応できる救急病院の整備を都道府県に促す。都道府県ごとに、医師会や専門病院などで構成する協議会を設置してもらい、こうしたアレルギー対策を地域医療計画に盛り込むよう求める。(平成17年9月7日 朝日新聞) ペットアレルギー ペットがぜんそくの原因と言われても、手放すのは考えられない。切ない飼い主の姿が、藤田保健衛生大坂文種(ばんぶんたね)報徳会病院(名古屋市中川区)の調査で浮かんだ。飼っている犬や猫が病状を悪化させていると診断された患者の中で、ペットと別れた人は一人もいなかった。岡山市で開かれる日本アレルギー学会春季臨床大会で、来月4日に発表する。ペットアレルギーの患者は、ペットの毛やふけなどが原因で、ぜんそくや皮膚炎、くしゃみや鼻水などの症状を起こす。同病院呼吸器内科の堀口高彦助教授らは、昨年6月から半年間に同科を訪れた、18歳以上の成人ぜんそく患者279人を対象に調査した。ペットを飼っていた人は104人で、女性が7割を占めた。 年齢は40歳代が最も多かった。犬を飼っている人が38人で最も多く、猫27人、ハムスター11人だった。検査の結果、犬の飼い主の中で、犬の毛にアレルギーを起こす抗体を血液中に持っている人が13人いた。同様に、猫の飼い主で猫の毛によるアレルギーを起こしやすい人は9人。ハムスターは7人だった。患者は全員、重症度が中程度以上。一般の病院では治療が難しく、専門の同科を訪れた人ばかりだ。発作を防ぐため毎朝晩、ステロイド薬の吸入が欠かせない。ペットがいなければ薬が不要になる人も多いとみられる。このため堀口さんたちは、患者にペットを手放すよう求めた。しかし犬、猫の飼い主22人は、全員が手放すのを拒否。ハムスターでも手放した人は4人にとどまった。堀口さんは「患者にとってペットは子供のような存在で、室内での飼育が8割以上を占める。 分かっていても手放せない人が多い」と話す。アレルギー軽減には室内より室外で飼う方がよい。それも無理なら週に2回程度、ペットを風呂に入れると、室内に漂う毛などが減るという。(平成17年5月14日 毎日新聞) アレルギー促す「仕組み」を解明 活性酸素が炎症やアレルギー症状を促す仕組みを、一條秀憲・東大教授ら科学技術振興機構の研究グループがマウスの実験で突き止めた。活性酸素が、ある酵素に作用して、炎症がひどくなるらしい。活性酸素の発生を抑えたり、酵素の働きを妨げたりする薬を開発できれば、アレルギーや自己免疫疾患の新たな治療法につながりそうだ。人などの細胞内にあるリン酸化酵素「ASK1」は、細胞内でたんぱく質と結合している。ある種のウイルスや細菌に感染すると、体内に活性酸素が発生し、結合を切り離す。分離が引き金になってASK1の働きが活発になり、炎症やアレルギーを引き起こす「炎症性サイトカイン」という物質が血液中にたくさん作り出されることがわかった。遺伝子操作でASK1をなくしたマウスと通常のマウスに対し、人為的に体内で活性酸素を発生させて実験した。ASK1をなくしたマウスは、通常に比べてサイトカインの量が半減。炎症が軽くなった。炎症やアレルギーにつながる情報伝達経路は複数知られており、今回わかったのは、その一つの経路の仕組み。国立環境研究所の高野裕久・環境健康研究領域長は「アレルギーに関する細胞内の情報伝達の仕組みがはっきりわかった点で評価できる」と話している。(平成17年5月11日 朝日新聞) 急性アレルギーの小児用「自己注射器」認可 子どもの急性アレルギー反応に対処できる緊急用の「自己注射器」が今春、利用できる見通しになった。厚生労働省の薬事食品衛生審議会の医薬品第一部会が25日、輸入・販売を了承。3月にも正式承認される。そばや卵などアレルゲン(抗原物質)のために意識を失うなど、一刻を争う事態に大きな力になる。 この注射器は、携帯用「エピペン注射液0.15ミリグラム」(成分名エピネフリン)。医療品化学メーカーのメルク(本社・東京)が販売する。 重い急性アレルギー反応は「アナフィラキシーショック」と呼ばれ、食物などで起きた場合に治療を受けるには医療機関に運ぶしかなかった。部会が了承した小児用はハチ毒、食物、薬物などに対する補助治療用で、医師が患者や保護者らを十分指導するよう注意がつけられている。(平成17年2月25日 朝日新聞) 食物アレルギー〜アナフィラキシーショックで死亡 最近5年間に発生した食べ物で起こる急性アレルギー症状「アナフィラキシーショック」による死亡例4例で、治療に必要な昇圧剤「エピネフィリン」が有効に投与されていなかったことが、厚生労働省研究班(班長・海老沢元宏国立病院機構相模原病院部長)の全国調査で分かった。エピネフィリンは発作が起きてから30分以内に注射すれば有効とされているが、調査ではいずれも注射までに30分以上かかっていた。 同研究班は日本救急医学会に所属する専門医ら2391人(1110施設)に対し、「過去5年間に食物アレルギーが原因とみられる死亡例」をアンケートした。1634人(931施設)から回答があった。アナフィラキシーショックが発端となって死亡したのは、4歳男児と62歳男性、23歳と56歳の女性の計4人。男児はチョコレート、男性はヨコワマグロの刺し身、23歳女性は甘エビ、56歳女性はソバが原因とみられ、食べた直後から2時間後に呼吸困難や全身のかゆみなどの症状が表れ、最も劇症の場合、約1時間後に亡くなった。発症からエピネフィリンが注射されるまでの時間は35分〜1時間22分。いずれも救急車で病院に搬送された後だった。アナフィラキシーショックは食べ物やハチ毒、麻酔薬などの異物に対して過敏になった体が、再び同じ異物に接触して起こすアレルギーによるショック症状。 国の人口動態統計では、国内では年間平均3例程度発生している。血圧低下による呼吸困難や低酸素性脳障害などを伴い、死亡することがあり、昇圧剤をどれだけ早く注射できるかが生存率を大きく左右するという。このため、欧米では食べ物によるアナフィラキシー患者にエピネフィリンの自己注射を認めている。一方、国内で自己注射が認められているのはハチ毒によるアナフィラキシーを起こしたことのある成人のみで、食べ物によるアナフィラキシーについては現在、厚労省が審議中だ。海老沢さんは「過去にショック症状が出たことのある患者には、万が一の場合に備えてエピネフィリンをすぐに注射できるよう自己注射を解禁すべきだ」と話している。(平成16年12月27日 毎日新聞) 遺伝子検査、1日で結果 アレルギー体質判別キット開発 アレルギーが発症する体質かどうかを判別する「遺伝子検査キット」を、岐阜大医学部小児病態学(小児科)の近藤直実教授と松井永子助手らのグループが開発した。大手検査会社ビー・エム・エル(本社・東京)を通じ、今年中に製品化する見通しだ。これまでは大規模な実験機器で1〜2週間かけて遺伝子の異常を判別していたが、このキットを使えば簡便に1日以内で結果がわかるので、一般病院などに普及すれば、食事や家庭環境を改善して発症予防に役立てられるようになる可能性があるという。10月3日から岐阜市で開かれる日本小児アレルギー学会で、松井助手が開発経過などを発表する。アトピー性皮膚炎や気管支ぜんそくなどのアレルギー疾患では、体内に侵入したダニや食物などの抗原にリンパ球が反応して抗体ができ、この抗体が引き金となってヒスタミンなどの物質が生み出され、呼吸困難やかゆみといった症状が出る。これらの反応を抑制するために、抗原を認識する細胞からインターロイキン(IL)12やIL18というたんぱく質が生み出され、抗体の生成を抑える物質を活性化させる。たんぱく質がうまく働かないと、症状が悪化する原因になる。 近藤教授らは99年、IL12などに関係する遺伝子に欠陥があると、アレルギーの抑制反応が正常に働かないことを突きとめた。ただ、これまでは大規模な実験機器のある研究室で1〜2週間かけてデータを解析し、遺伝子の異常を判別していた。 新開発のキットでは、採取した血液を試薬に混ぜる。遺伝子に異常があれば、試薬の色の変化で分かる。一度に96人までの結果を、数時間から1日で判別できるという。 近藤教授は「生まれてすぐに乳児の遺伝子異常が分かれば、食べ物やダニなどアレルギーの原因となる物質から遠ざけることで、発症を予防することができるだろう」と話している。(平成15年9月28日 朝日新聞) アレルギー、接触皮膚炎のメカニズム解明 京都大研究グループ 金属や漆などが皮膚に付いてかぶれるアレルギー性接触皮膚炎に、体内の生理活性物質「プロスタグランジンE2(PGE2)」が深く関与していることを、京都大大学院医学研究科の椛島(かばしま)健治助手と成宮周(なるみや・しゅう)教授らの研究グループがマウス実験で突き止めた。 かぶれの発症メカニズムを、細胞レベルで解明したのは初めて。 論文は12日発行の米科学誌ネイチャー・メディスンに発表された。 漆などのアレルギーの抗原が皮膚に付くと、皮膚の下にある免疫細胞「ランゲルハンス細胞」がリンパ節に移動して、異物を攻撃する免疫細胞の一種のT細胞を必要以上に作り炎症になる。この過程は分かっていたが、同時に体内で大量に作られるPGE2の働きは、解明されていなかった。椛島助手らは、ランゲルハンス細胞の表面にある膜たんぱくに着目。 遺伝子操作でPGE2にくっつく4種の膜たんぱくのうち、四つ目のEP4を持たなくしたマウスの耳に漆を塗ってアレルギーの腫れを観察したところ、普通のマウスに比べ、腫れが3分の1程度にとどまった。こうしたことから、PGE2がEP4と結合してT細胞を生産し、かぶれが生じることが証明された。 椛島助手は「PGE2の刺激を防ぐ頭痛用飲み薬は既に市販されているので、今回の研究成果を応用すれば、接触皮膚炎の塗り薬が開発できるだろう。 慢性のかぶれが原因のアトピー性皮膚炎の治療につながるのではないか」と話している。(平成15年5月12日毎日新聞) アレルギー、体質改善効果ある乳酸菌発見 花粉症などに期待 花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギーを抑える乳酸菌を、キリンビールなどの研究グループがマウスを使った実験で発見した。 この乳酸菌を与えると、アレルギーを引き起こす免疫細胞(Th2)が抑制され、逆にアレルギーを抑制する免疫細胞(Th1)が活性化する。 発見したのは、キリンビールや小岩井乳業、昭和女子大の共同研究グループ。実験は、生後7週目のマウスにリンパ球のアレルギー抗原の一種である卵白アルブミンを注射して人工的にアレルギー状態にした。 その後、マウスのひ臓から取り出した細胞と、80種以上の乳酸菌株を1種類ずつ別々のシャーレで混ぜ合わせて培養。 アレルギーを活性化する免疫細胞(Th2)から作られるインターロイキン4の量を測ったところ、乳酸菌を混ぜなかった場合に比べ、「KW3110」という乳酸菌を混ぜたものは約25%に抑えられた。 一方、アレルギーを抑制する免疫細胞(Th1)が大きく増加することも分かった。 さらに、卵白アルブミンを繰り返し注射してアレルギー状態にしたマウスに、乳酸菌KW3110を毎日1ミリグラムずつエサに混ぜて食べさせ、1週間ごとにアレルギーを引き起こす免疫グロブリン(IgE)の血中量を測定した。 すると、50日後には、エサにこの乳酸菌を入れなかったマウスの血中1ミリリットル当たりのIgE量が約42マイクログラムだったのに対し、乳酸菌KW3110を混ぜたマウスでは約25マイクログラムと減少した。(平成15年4月16日毎日新聞) 抗体抑制の遺伝子を解明 アトピー性皮膚炎や花粉症などアレルギー症状の原因となる「IgE抗体」の過剰生産を抑える役割の遺伝子があることを、京都大医学部付属病院探索医療センターの清水章教授らが動物実験で解明し、16日発行の米科学誌「ネイチャー・イムノロジー(免疫学)」に発表した。アレルギー体質の人は健康な人に比べ、この遺伝子がうまく働いていないとみられ、遺伝子の機能を回復することなどで、新たな治療方法の開発が期待できそうだ。「Id2」と呼ばれる遺伝子。寄生虫に対応するIgE抗体は過剰に生産されると、大量のかゆみ成分を分泌したり、ショック死につながる恐れもあり、現代人にとって問題物質になっている。Id2遺伝子は約20年前に発見。清水教授らがマウスの免疫細胞を使って能力を高める実験を試みたところ、Id2遺伝子がIgE抗体の生成を阻んでいることが判明。Id2遺伝子を壊したマウスの場合、通常の20倍の割合でIgE抗体が生まれていた。清水教授は「遺伝子を正常に戻すことで、アレルギー患者に有効な治療法の開発につながるのでは」と話している。(平成14年12月16日毎日新聞) リンゴに花粉症などアレルギー症状を抑える効果 リンゴに含まれる水溶性食物繊維ペクチンにアレルギー症状の原因物質を減らす効果があるとする試験結果を、独立行政法人の農業技術研究機構果樹研究所(茨城県つくば市)の田中敬一品質化学研究室長らがまとめた。13日から熊本市で開かれる園芸学会で発表する。 田中室長らは、リンゴやナシを1日平均4分の1個以上食べる人は気管支ぜんそくになりにくいとするオランダの調査(60〜85年)に注目。どの成分が効くのか調べるため、健康な大人14人(25〜68歳)に粒状にしたペクチンを1日平均8.4グラムずつ3週間食べてもらった。 花粉症、アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患を引き起こすヒスタミンの血液中の濃度を調べると、11人で低下。14人の平均では24%減だった。食べるのをやめて2週間後では元に戻る人が多かった。 総コレステロールも平均10%減った。 今回の摂取量は、短期間で効果を確認するため、1日あたりリンゴ5〜7個分と多めに設定した。田中室長は「少しでもいいから毎日食べることが重要」としている。(平成14年10月3日朝日新聞) 乳児期にペットを複数飼うとアレルギーが減少 乳児期に複数のペットを飼っていた家庭の子供は各種のアレルギーになる確率が減少することを、米国立アレルギー感染症研究所が確かめた。ペットに付着した細菌がアレルギー反応を抑制するためとみられる。28日発行の米医師会誌「JAMA」に掲載される。同研究所の研究グループは米ミシガン州デトロイト郊外で87〜89年に生まれた474人の新生児を追跡調査した。生後1年の時点でペットの有無と数を調べ、2歳時に寝室のダニの量を測った。6〜7歳になった時、皮膚検査などでアレルギー抗原(アレルゲン)に対する抗体を調べた。2匹以上の犬や猫を飼っていた家庭の子供がペットやダニ、ブタクサ、芝などのアレルゲンに抗体陽性反応を示した割合は皮膚検査で15%、血液検査で18%だった。ペットを飼っていない子供はそれぞれ34%、39%、1匹だけ飼っている子供は34%、41%と、アレルギー発生率が高かった。ダニの量や家族の喫煙などの条件をそろえて比較したところ、2匹以上のペットを飼うことで、アレルギー発生率は66〜77%も減っていた。同グループは、ペットにより運ばれた細菌が死ぬ時に放出される毒素エンドトキシンが、アレルギーに関連する免疫細胞「Th2」の増殖を抑えるためと推定している。同研究所のマーシャル・プロート博士は「生後間もない時点でペットを飼うとペットアレルギーになりにくいとの研究報告はあったが、ペットを飼うことがダニなどほかのアレルギーも減少させることが分かったのは初めてだ」と話している。(平成14年8月28日 毎日新聞) |
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