発育性股関節形成不全

以前は、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全と呼ばれていました。しかし、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全の原因は、大半が生後の環境因子によって発生すると考えられ、近年では、発育性股関節形成不全と呼ばれるようになりました。なお、遺伝的素因もあるので、家族歴や問診が大切です。発生頻度は1000人に1〜3人で、女児が男児の5〜10倍と言われております。女児の骨盤位分娩での発生をよく見かけられます。近年、検診制度が確立されているため遭遇する機会は少なくなりました。

診断レントゲン検査で確定されますが、近年、超音波検査法で早期に診断されるようになりました。新生児期の診察では、股関節の開排制限(股の開きが悪い状態)、大腿部の皮膚の溝の左右差(左右が非対称です)、クリック兆候(オルトラーニテストやバーローテストで整復音や脱臼音を蝕知する検査)の確認が大切です。

治療:生活指導(コアラ抱っこを勧める。窮屈なおむつや服は避け、股関節を伸展位にさせないなど)が大切です。乳児期はリーメンビューゲル法で治療されます。リーメンビューゲル法で整復されない症例や乳児期を過ぎて発見された症例では、オーバーヘッドトラクション(下肢を牽引して筋肉の緊張をとり、骨頭と臼蓋の位置関係を正す治療)や徒手整復術、ギプス療法、手術的治療などが検討されます。生後3〜4か月までに治療開始されると予後は非常に良好です。早期発見や早期治療が大切です。治療のタイミングを逃すと将来、変形性股関節症となりますので要注意です。

 たはら整形外科