側副靭帯損傷 
(IP関節・DIP関節・PIP関節・MP関節)

側副靭帯損傷は、日常の外来でよく遭遇する疾患の一つです。比較的軽微な外傷(ケガ)で発生します。しかし、単なる捻挫として取り扱われ、後に関節の痛みや運動障害、不安定性、変形などを訴えて受診される方がしばしばおられます。

側副靭帯損傷は、指の関節に内転と回旋力(親指側に倒される状態)や外転と回旋力(小指側に倒される状態)が強制されて発生します。部位別の頻度は、PIP関節(第2指〜第5指の指先から第二番目の関節)の発生が最も多く、次にMP関節(指の付け根の関節、特に母指です)、DIP関節(第2指〜第5指の指先から第一番目の関節)、IP関節(親指の指先から第一番目の関節)の順となります。

症状:関節の腫れや痛み、運動障害、変形です。診察で、関節に内転ストレス(内転強制)や外転ストレス(外転強制)を加えると、関節の動揺性(横揺れ、ぐらつき)が認められます。診断はレントゲン検査が不可欠です。必ず、受傷機転(受傷時の指の状態)を再現したストレスレントゲンを撮ることがポイントです。しばしば剥離骨折骨端線損傷などが判明することがあります。

治療:新鮮例(早期に受診された症例)は損傷の程度によりプラスチックシーネ固定ギプス包帯を行います。固定期間は年齢や趣味、損傷の程度を考慮し決定します。なお、陳旧例(長期間放置された症例)では靭帯再建術などが検討されます。

 たはら整形外科