軟部腫瘍
軟部腫瘍は、骨と関節を除いた組織(脂肪細胞、神経細胞、血管、筋細胞、組織球、リンパ細胞、滑膜細胞など)から発生する腫瘍です。良性軟部腫瘍と悪性軟部腫瘍とに分かれます。

●良性軟部腫瘍
良性軟部腫瘍は脂肪腫が最も多く、次に神経鞘腫、血管腫、線維腫などを認めます。治療は症状がなく、悪性の可能性が無ければ、原則として経過観察します。しかし、痛みがでたり、急速に大きくなる症例では、MRIや病理組織検査(針生検、切開生検、切除生検)などで精査し、腫瘍摘出術を行う場合もあります。
●悪性軟部腫瘍
悪性軟部腫瘍は悪性線維性組織球腫が最も多く、次に脂肪肉腫や横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、骨膜肉腫、線維肉腫などです。悪性腫瘍を疑う所見としては、腫瘍が急速に大きくなる場合や痛みを伴う場合、腫瘍の部位が深部で辺縁がいびつで固く可動性がない場合、腫瘍の大きさが5cm以上の場合、レントゲン検査で石灰化像を認める場合などがあげられます。

診断はレントゲン検査に加え、補助的診断法として血液検査(腫瘍マーカーなど)やガリウムシンチグラフィー、CT、MRI、PETなどが行われます。確定診断には病理組織検査(針生検、切開生検、切除生検)です。主な症状は痛みです。体動時のみならず安静時にも認められます。疼痛管理はWHO三段階除痛ラダーを参照して下さい。

治療は、腫瘍の種類や部位、大きさ、周囲への浸潤度、悪性度、転移の有無、合併症などを考慮し、術前、術後の化学療法や放射線療法、手術的治療が検討されます。手術は腫瘍摘出術を行います。原則として治癒的広範切除術(腫瘍組織の外縁から5cm以上の正常組織を含めて摘出する方法)が選択されます。なお、四肢に発生した悪性軟部腫瘍では切除後に骨移植術や人工関節などで欠損部を補い、出来るだけ四肢の機能を温存するように努めます。

 たはら整形外科