糖尿病について


糖尿病の一種、原因にピロリ菌

胃潰瘍などを引き起こすヘリコバクター・ピロリ菌が、糖尿病の一種「B型インスリン抵抗症」の原因になることを、東北大創生応用医学研究センターの片桐秀樹教授らが突き止めた。患者からピロリ菌を除菌したところ糖尿病が完治した。B型インスリン抵抗症は、患者の免疫機能がインスリンの働きを妨げる糖尿病。数千人から数万人に1人が発症する比較的珍しいタイプで、通常の糖尿病治療はほとんど効果がない。片桐教授らは、B型インスリン抵抗症の患者が血小板減少症にかかっていたため調べたところ、ピロリ菌感染が判明。昨年3月に血小板減少症に対する治療として、抗生物質による除菌を実施すると、糖尿病も治癒し、現在まで再発せず完治したという。片桐教授は「ピロリ菌が、患者の免疫に何らかの悪影響を与えることで、糖尿病の一因になったようだ。除菌は根治療法として期待できる」と話している。(平成21年7月30日 読売新聞)

糖尿病なりかけに1日7杯の緑茶で血糖値改善

緑茶を1日に7杯分ほど飲むことで、糖尿病になりかかっている人たちの血糖値が改善することが、静岡県立大などの研究でわかった。健康な人で緑茶をよく飲んでいると糖尿病になりにくいという報告はあるが、高血糖の人たちの値が下がることを確認した報告は珍しいという。血糖値が高めで、糖尿病と診断される手前の「境界型」などに該当する会社員ら60人に協力してもらった。緑茶に含まれる渋み成分のカテキンの摂取量を一定にするため、いったんいれたお茶を乾燥させるなどして実験用の粉末を作製。これを毎日、湯に溶かして飲むグループと、飲まないグループに無作為に分け、2ヵ月後の血糖値を比べた。平均的な血糖値の変化を、「Hb(ヘモグロビン)A1c」という指標でみると、緑茶粉末を飲んだ人たちは当初の6.2%が、2ヵ月後に5.9%に下がった。飲まなかった人たちは変わらなかった。 飲まなかった人たちに改めて飲んでもらうと、同じように2ヵ月間で6.1%から5.9%に下がった。一般にHbA1cが6.1%以上だと糖尿病の疑いがあるとされ、6.5%以上だと糖尿病と即断される。逆に患者の血糖値を5.8%未満に維持できれば優れた管理とされる。今回の成果は、糖尿病一歩手前の人が緑茶をたくさん飲むことで、糖尿病にならずに済んだり、発症を遅らせたりできる可能性を示した。2グループで体格や摂取エネルギーなどに差はなく、緑茶からのカテキン摂取量が血糖値に影響したらしい。1日分の緑茶粉末は一般的な濃さの緑茶で湯飲み(約100ミリリットル)約5杯分のカテキンを含み、緑茶粉末を飲んだ人では普通に飲んだ緑茶と合わせ1日に約7杯分のカテキンをとっていた。(平成20年10月4日 朝日新聞)

糖尿病治療に「適度な空腹」必要 

生活習慣がおもな原因とされる2型糖尿病を治すには、適度な空腹が必要であることが、発症にかかわるたんぱく質の働きの解明から裏付けられた。東京大学などの研究チームによるマウスの実験で、このたんぱく質は空腹が続くと増え、血糖値を下げるインスリンの働きを仲介していることをつかんだ。東京大の窪田直人准教授らは、インスリンの働きにかかわる、IRS2というたんぱく質が肝臓にないマウスをつくり、調べた。その結果、IRS2は、肝臓が体内の脂肪などを分解して糖をつくるのを抑えるインスリンの働きを促し、空腹が続くほど増え、食後にほとんどなくなることがわかった。インスリンは、肝臓が食後に糖から脂肪をつくってためこむのを助ける働きもあり、これにはIRS1という別のたんぱく質がかかわっていた。IRS1の量はほぼ一定なので、食べ続けることで肝臓には脂肪がためこまれる。2型糖尿病患者に高血糖と脂肪肝が同時に起こる原因とみている。治療薬開発につながる成果という。共同研究者の門脇孝・東大教授は、「間食をせずに3食リズムよく食べることが大切」と話している。(平成20年7月2日 朝日新聞)

メタボと寿命の関係

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の人と、そうでない人との死亡率にほとんど差はないことが、自治医科大学の調査でわかった。内臓脂肪型肥満(腹囲が男性で85センチ以上、女性で90センチ以上)であることに加え、血液中の脂質の異常、血糖値が高い、血圧が高い、三つの危険因子のうち二つ以上に該当すると、メタボリックシンドロームと診断される。自治医大は、1992〜95年に全国2176人(男性914人、女性1262人)の健康診断データなどを追跡調査し、メタボリックシンドロームの該当者と死亡率の関連を調べた。対象者のうち、02年末までに男性が79人、女性が58人死亡。死亡者には、調査開始時点でメタボリックシンドロームに該当した男性82人中7人、女性22人中2人が含まれていた。年齢や喫煙、飲酒習慣などの影響を調整して死亡率を比較すると、メタボリックシンドロームの人の死亡率は、そうでない人の1・09倍で、統計的に意味のある差はなかった。ただ、虚血性心疾患や脳卒中など血管病による死亡率は、メタボリックシンドロームの方が約2倍高かった。全体の死亡率に差がないのは、日本人の死因1位ががんで、心疾患が欧米ほど多くないことも関係ありそうだ。もっとも、メタボリックシンドロームだと動脈硬化や糖尿病などのリスクは高まるものの、すぐに死の危険が迫ると言われていたわけではなく、石川講師は「メタボリックと診断されても恐れず、生活習慣の改善に努めればよいのでは」と話している。(平成19年5月12日 読売新聞)

糖尿病患者の喫煙は腎症リスク2倍

たばこを吸う糖尿病患者は、喫煙しない患者に比べ、人工透析の原因になる糖尿病腎症の危険性が約2倍に高まることが、お茶の水女子大学の研究グループの調査でわかった。生活習慣が関係するとされる2型糖尿病の男性患者357人を、茨城県の診療所で3〜7年にわたって調べた。106人が腎症を発症したが、喫煙している患者では179人中60人が発症したのに対し、喫煙経験のない患者では104人中23人だった。過去に喫煙経験があって禁煙した患者では74人中23人が発症した。年齢や食生活などの要因を排除して解析した結果、たばこを吸っている患者が腎症を発症する危険率は、全く吸わない患者の2・1倍になった。すでにやめた患者でも1・9倍だった。1日の喫煙本数が1本増えるごとに危険率は2%上昇。喫煙年数も、1年増すごとに危険率が2%上昇した。(平成19年5月1日 読売新聞)

糖尿病にかかると、がんリスク3割増

糖尿病にかかっていると、がんを発症する危険が2〜3割高まるとする結果を、厚生労働省の研究班が約10万人を対象に調べた研究からまとめた。90年から94年にかけて、40〜69歳の男性約4万7000人、女性約5万1000人にアンケートし、糖尿病の有無や生活習慣などを聞いた。その後の経過を03年まで追跡すると、男性で3907人、女性2555人が何らかのがんにかかっていた。糖尿病になっていた人ががんを発症するリスクを糖尿病でない人と比べると、がん全体では男性で27%、女性でも21%上回っていた。 男性では、糖尿病の人はそうでない人と比べて肝臓がんで2.24倍、腎臓がんで1.92倍、膵臓(すいぞう)がんで1.85倍とリスクが高まっていた。 女性では肝臓がんで1.94倍、胃がんで1.61倍だった。 一般的な糖尿病では、病気が進む過程でインスリンが過剰分泌状態になる。この状態だと、細胞の増殖が刺激され、がんにつながりやすいことが実験で知られている。ただ、肝臓がんを招く慢性肝炎などを抱えていることが、逆に、糖尿病の危険を高めている可能性も考えられるという。(平成18年9月26日 朝日新聞)

インスリン投与、初の吸入型

ファイザー製薬は糖尿病の治療に使う世界初の吸入型インスリンを米食品医薬品局(FDA)から承認された。 これまでインスリンは注射器などで体内に注入する以外なく、患者の苦痛を伴う難点があった。吸入型は今後、治療の主流になるとみられ大型新薬に成長するとの見方も出ている。吸入型のインスリン「エクスベラ」は粉末状で、専用の吸入器を使い肺に送り込む。今年半ばにも使用可能になる見込み。FDAは当初、肺機能に与える影響を懸念したが、試験結果から機能低下は限定的と判断した。ただ、ぜんそく患者や喫煙者は使用すべきではないとしている。米には糖尿病患者が2000万人近くいるとみられ、各医薬品メーカーが吸入型インスリンの開発を競っている。ファイザーは欧州でも26日に承認を得た。(平成18年1月28日 日本経済新聞)

インスリン調節の酵素発見

血糖値を下げるインスリンの分泌量を調節する酵素を富沢一仁岡山大助教授(細胞生理学)らが26日までに見つけた。血糖値が高くないときにインスリンが効きすぎると、低血糖となり意識障害を起こす場合があるが、この酵素の働きを抑制すると血糖値が高いときだけインスリンの分泌が促進される。 糖尿病の新たな治療薬開発につながる可能性があるという。富沢助教授らは、脳の神経細胞にある酵素「Cdk5」が、インスリンを分泌する膵臓(すいぞう)のベータ細胞にもあり、インスリン分泌量を制御していることを突き止めた。(平成17年12月26日 中国新聞)

インスリンの"出口"発見 分泌不全の糖尿病治療に

膵臓から分泌されるインスリンの量を"出口"部分で調節するタンパク質を山縣和也大阪大助手(内分泌・代謝内科学)らが見つけ、米医学誌セル・メタボリズムに7日、発表した。 糖尿病の新たな治療法につながる可能性があるという。 山縣助手らは、特定の遺伝子変異が原因でインスリンの分泌が著しく悪い糖尿病の膵臓細胞と正常な細胞を比較、従来腎臓だけで見つかっていた「コレクトリン」というタンパク質が膵臓にも存在するのを確認した。 マウスの実験で、このタンパク質はインスリンの分泌量に応じて増減していることが分かり、細胞膜の近くで細胞外に放出するインスリン量を調整していることを突き止めた。 山縣助手は「飲む薬でコレクトリンを増やすことができれば、インスリン注射と比べ患者の負担を減らせる」と話している。(平成17年12月7日 中国新聞)

膵臓のたんぱく質がインスリン分泌抑制

群馬大生体調節研究所は11日、独立行政法人理化学研究所と協力し、膵臓のβ細胞内にあるたんぱく質「グラニュフィリン」が、糖尿病の原因となるインスリン分泌量を抑制していることを突き止めたと発表した。今後、さらに仕組みの解明を進め、グラニュフィリンに着目した糖尿病の新たな治療法につなげたいとしている。同大研究所の泉哲郎教授らによると、同大研究所は1999年、インスリン分泌にかかわっている可能性のある物質としてグラニュフィリンを発見。マウス実験で、グラニュフィリンがないとインスリンの分泌量が多くなることを確認したという。今回の研究は、米国の学術誌「ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー」の10月10日号に掲載された。糖尿病はインスリン不足などから、血糖値が高くなり様々な合併症を伴う。治療にはインスリン注射や、インスリン分泌を促進する薬の服用などがある。(平成17年10月12日 読売新聞)

インスリン注射不要に

糖尿病の新治療法を目指して、インスリンを分泌するヒトの膵臓(すいぞう)の細胞を大量に作る技術開発に岡山大などのグループが成功した。マウスを使った実験で効果も確かめ、この細胞を利用した患者の体内に植え込む人工膵臓の開発も進めている。25日付の米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジー電子版で発表する。 開発したのは同大医学部の田中紀章教授、小林直哉助手らを中心とする日米などの国際研究グループ。 膵臓のβ(ベータ)細胞はインスリンを分泌し血糖値を下げている。β細胞が破壊されたり、その働きが悪くなったりした糖尿病患者は、毎日、インスリン注射をしている。β細胞を作って患者に移植できれば、注射が不要となる利点がある。グループはヒトのβ細胞に、寿命をのばす遺伝子組み換え操作をして大量に増殖させた。ただ無限に増えるとがん細胞になる恐れがあるので、寿命をのばす遺伝子を後で取り除く操作もした。 増やしたβ細胞がインスリンを作ることを確かめた上で、糖尿病のマウスに移植すると、ぶどう糖を与えた後の血糖値を健康なマウスと同レベルにできた。移植しなかった糖尿病マウスは血糖値が高いままで、実験開始10週後までに死んだが、移植したマウスは30週以上生きた。 これまでヒトβ細胞の大量増殖は困難とされてきた。β細胞を含む膵島を提供者から移植する手術も試みられているが、実施例は少ない。 田中教授らは、増やしたβ細胞を小さな容器に入れて体内に植え込む人工膵臓を開発中だ。 効果や安全性の確認に課題はあるが、1〜2年後をめどに完成させて動物実験を進め、将来的な糖尿病患者への応用を目指す。(平成17年9月26日 朝日新聞)

1型糖尿病の仕組み解明 

小児や若者に多い1型糖尿病は、血糖値を調節するインスリンが免疫システムに誤って“敵”と見なされ、攻撃されるために発症することを、米コロラド大などの研究グループがマウスを使った実験で突き止めた。12日付の英科学誌ネイチャーに発表した。 1型糖尿病の患者は欧米人に多く、日本では10万人に1−2人とみられる。膵臓(すいぞう)でインスリンを分泌している「ベータ細胞」が免疫システムに破壊されてしまうが、なぜ破壊されるのか、詳しい仕組みは不明だった。グループは、1型糖尿病を発症するマウスを使って実験。このマウスを遺伝子操作して、アミノ酸の配列の一部が別のアミノ酸に置き換わったインスリンが分泌されるようにしたところ、ベータ細胞は免疫システムに攻撃されず、マウスは糖尿病を発症しなかった。この結果、インスリンの一部が、免疫のターゲットになっていたことが判明した。(平成17年5月12日 中国新聞)

肥満防止のたんぱく質発見 

肥満を防ぐのに役立ちそうなたんぱく質を、慶応大学と山之内製薬の共同研究グループが発見し、21日付の米科学誌ネイチャー・メディシン電子版に発表した。糖尿病を防ぐ作用もあり、将来のやせ薬や血糖を下げる薬の開発につながる可能性があるという。 このたんぱく質は、血管が新たに伸びるのを促す因子として、同グループが人間の血液中にあることを03年に見つけ、AGFと名付けたもの。 AGFを作れないようにしたマウスに普通にえさを与えると、生後半年で通常マウスの約2倍の体重になり、内臓脂肪も著しく増えた。血糖値の調節もうまくできなくなり、糖尿病のような状態に陥った。 逆にAGFを多くつくれるマウスは、体重は通常の4分の3程度の「やせ」になり、解剖すると内臓脂肪が少なかった。さらに、高カロリー食を与えても肥満や糖尿病にならなかった。 AGFの働きは、肥満にかかわる従来知られている生理活性物質とは違うことも確認された。グループの尾池雄一・慶応大講師は「AGFそのものを人間に投与できる段階ではないが、詳しく作用を解明し、将来の治療薬の開発につなげたい」といっている。(平成17年3月21日 朝日新聞)

糖尿病、進行させるたんぱく質、マウス実験で発見 

食べ過ぎや運動不足などの生活習慣が原因の2型糖尿病は、「p27」と呼ばれるたんぱく質の働きを抑えれば改善することを、神戸大大学院医学系研究科の春日雅人教授らがマウスを使った実験で突き止めた。糖尿病が進むと、インスリンを分泌する膵臓(すいぞう)のβ細胞が減少。p27がβ細胞の分裂にブレーキをかけているためとみられ、p27を抑える薬が開発されれば、β細胞の減少を食い止め、糖尿病を治療できる可能性があるという。 遺伝子操作で糖尿病にしたマウスのβ細胞を調べ、細胞分裂を抑える働きをすることが知られているp27が異常にたまっていることを見つけた。糖尿病で、生まれつきp27を作れない別のマウスと、糖尿病だけのマウスを比較すると、p27を作れないマウスの血糖値は4分の1で、正常に近かったという。2型糖尿病は、過食や運動不足でエネルギー(ブドウ糖)を消費しきれなくなって発症。初期段階では、ブドウ糖を筋肉などに取り込ませる働きをするインスリンの分泌も増え、高血糖とならないが、この状態が続くとβ細胞が疲弊し、糖尿病に至ると考えられている。(平成17年1月31日 毎日新聞)

生体膵島移植

京都大学付属病院は19日午前、重い糖尿病患者に健康な家族のすい臓の細胞(すい島細胞)を移植する生体すい島移植手術を開始した。脳死者や心停止した人から提供を受けるすい島移植は国内外で実施されているが、生体移植は世界初。 ただ健康な人の体にメスを入れることになり、提供者の負担は少なくない。 移植を受けるのは、近畿地方に住む20代の女性。血糖値を下げるインスリンを作ることができず、インスリンを注射している。提供者は50代の母親。 京大病院は同日午前、母親のすい臓の半分を摘出する手術を始めた。同日午後に摘出したすい臓からインスリンを分泌するすい島細胞を5―6時間かけて分離し、患者の肝臓の血管に点滴で注入する予定だ。 同じ手法のすい島移植は欧米では脳死者から提供を受けて実施するのが一般的。約450例実施され、効果があがっている。一方、国内では心停止者からの移植が昨年以降、京大などで十例以上実施されているが、提供が少ない。(平成17年1月19日 日本経済新聞)

糖尿病、進行させるたんぱく質、マウス実験で発見 

食べ過ぎや運動不足などの生活習慣が原因の2型糖尿病は、「p27」と呼ばれるたんぱく質の働きを抑えれば改善することを、神戸大大学院医学系研究科の春日雅人教授らがマウスを使った実験で突き止めた。糖尿病が進むと、インスリンを分泌する膵臓(すいぞう)のβ細胞が減少。p27がβ細胞の分裂にブレーキをかけているためとみられ、p27を抑える薬が開発されれば、β細胞の減少を食い止め、糖尿病を治療できる可能性があるという。31日の米医学誌「ネイチャー・メディスン」(電子版)に掲載される。遺伝子操作で糖尿病にしたマウスのβ細胞を調べ、細胞分裂を抑える働きをすることが知られているp27が異常にたまっていることを見つけた。糖尿病で、生まれつきp27を作れない別のマウスと、糖尿病だけのマウスを比較すると、p27を作れないマウスの血糖値は4分の1で、正常に近かったという。2型糖尿病は、過食や運動不足でエネルギー(ブドウ糖)を消費しきれなくなって発症。初期段階では、ブドウ糖を筋肉などに取り込ませる働きをするインスリンの分泌も増え、高血糖とならないが、この状態が続くとβ細胞が疲弊し、糖尿病に至ると考えられている。(平成17年1月31日 毎日新聞)

世界初の生体膵島移植承認 

京都大の「医の倫理委員会」は20日、近畿地方に住む50代の母親の膵臓(すいぞう)から、血糖値を下げるインスリンを分泌する膵島(すいとう)を取り出し、重い糖尿病の20代の長女に移植する「生体膵島移植」の実施を承認した。手術は、来年1月中旬に実施される予定。京大病院ではこれまで、心臓死した提供者からの膵島移植を9例実施しているが、生体からの膵島移植が実施されれば世界初だという。申請していたのは、田中紘一・同大病院長(移植外科)らのチーム。 母親の膵臓を半分ほど切り取り、膵島細胞を同大の専門施設で分離。これを患者の肝臓の門脈から注入する。患者は、15歳のときインスリンをほとんど分泌しない糖尿病を発病した。低血糖で急に意識を失う発作があり、心臓死からの提供を待てない状態だという。 膵島を提供する母には、切除した部分から膵液が漏れたり出血したりするリスクが伴う。だが米国で、膵臓の一部をそのまま移植する生体膵臓移植は140例以上あるが、手術での死亡や重い合併症は報告されていないという。 切った膵臓は再生しないが半分ほど取っても十分な働きがあるとされている。 京大病院では今年4月、心停止した40代の男性から膵臓を摘出し、近畿地方の30代の女性に移植する国内初の膵島移植を実施。この女性は、7月に2回目の移植を受けて治療に成功。 インスリン注射をしなくても生活できるようになった。(平成16年12月21日 朝日新聞)

血糖値下げる新たなホルモン発見

血液中のブドウ糖濃度(血糖値)を下げる働きがある新しいホルモンを大阪大医学系研究科の下村伊一郎教授らの研究グループが発見した。これまでは、膵臓(すいぞう)が作るインスリンだけが血糖値を下げると考えられており、医学界の常識を覆す成果。糖尿病になるメカニズムの解明や新しい治療薬の開発にも役立つと期待される。16日付の米科学誌「サイエンス」で発表された。糖尿病など肥満が原因の生活習慣病は、内臓に脂肪が蓄積した場合に発症しやすい。研究グループは、内臓脂肪から出る未知の物質が生活習慣病を引き起こすと考え、特に多く作られるホルモンを探し出し、新たにビスファチンと名付けた。 ビスファチンには、インスリンと同様に、血中のブドウ糖を筋肉や脂肪組織などの細胞に取り込ませて、血糖値を下げる働きがあった。一方、インスリンは血糖値の変化にあわせて濃度が変化するが、ビスファチンは変化しないなどの違いもあった。厚生労働省が02年に実施した調査で、糖尿病の疑いが強い人は約740万人、可能性が否定できない人は約880万人と推定され、社会問題となっている。(平成16年12月17日 毎日新聞)

糖尿病、点滴での膵島細胞移植で完治

京都大病院で今年4月と7月の2回、膵臓内でインスリンを作る膵島細胞の移植を国内で初めて受けた京都市内の糖尿病の女性が完治したことが16日、わかった。 女性はインスリンが体内から減少する1型糖尿病で、国内ではこれまで膵臓移植でしか完治できなかった。細胞移植は30分程度の点滴で行うため、開腹する膵臓移植に比べて患者への負担が格段に少なく、国内に約14万人いるとされる1型糖尿病患者への朗報となりそう。 女性は30歳代。14歳で1型と診断された。以来約20年間、1日4回のインスリン注射が欠かせなかった。 京大病院は4月に心停止した男性の膵臓から分離した約35万個の膵島細胞を国内で初めて女性に移植。その後、女性の体内でインスリンの分泌開始が確認された。7月初めにはさらに別の提供者から約40万個が移植され、必要なインスリンを作ることが出来るようになった。8月初めに退院し、現在は免疫抑制剤を服用するだけとなった。膵島細胞移植は2000年、カナダ・アルバータ大が医学雑誌で細胞分離方法を発表以来、急速に世界で普及した。海外では脳死者から採取し、約500の移植例があるが、国内では、膵島細胞が臓器移植法で脳死の提供者(ドナー)から取り出せる対象になっていないため、このケースのほかに、心停止したドナーから取り出した同細胞を京大病院と千葉東病院(千葉市)が4人に移植している。 京都大病院臓器移植医療部の松本慎一助手の話「移植の方法が点滴で安全なうえ、免疫抑制剤による副作用もほとんどない。さらに多くの患者が移植を望むと思う」(平成16年10月17日 読売新聞)

1型糖尿病の2割が劇症型で、急速に重症化する

インスリンを体内でつくれない1型糖尿病患者の約2割は、突然発症して急速に重症化する劇症型であることが、日本糖尿病学会の調査で分かった。そのまま死亡する患者もいた。初期症状は風邪や胃腸炎と似ており、同学会は「見過ごさないよう、少しでも疑いがあれば患者の血糖値を測定してほしい」と、開業医らに呼びかけている。同学会が7都府県の10医療機関を対象に、91年から10年間の新規1型患者を調べたところ、222人中43人が劇症型だった。これとは別に、全国の病院に劇症型の報告を求めたところ、118例が報告された。その結果、通常の1型糖尿病は小児に多いが、劇症型の9割は成人で、1型糖尿病を発症した妊婦のほとんどは劇症型であることが分かった。

また、劇症型患者の7割は、のどの痛みや吐き気など風邪や胃腸炎に似た初期症状があった。血糖値の急上昇やのどの渇きなどの症状を経て、平均4・4日で意識障害など重い症状に陥った。初期症状から2日後に死亡したケースをはじめ、劇症型が原因とみられる死亡患者も4人いた。糖尿病には、免疫異常などでインスリン分泌細胞が壊れる1型と、運動不足や肥満が原因でインスリンの分泌や働きが悪くなる2型がある。日本人患者の95%は2型。調査した花房俊昭・大阪医大教授「劇症型は治療初期の適切な対応が大切だ。発症メカニズムを解明したい」と話す。(平成16年5月19日 毎日新聞)

糖尿病治療、京大病院が膵島移植手術

京都大医学部付属病院は8日、体内でインスリンを作れない重い糖尿病にかかった近畿地方に住む30代の女性患者に対し、心臓死した40代の男性ドナーから提供を受けたインスリン分泌組織「膵(すい)島」(ランゲルハンス島)を移植する治療をした、と発表した。 膵島移植は国内初。 世界的な報告例でも心停止後は2例目という。京大病院によると、女性は膵臓にある膵島組織がインスリンを作れないため栄養源のブドウ糖を吸収できず、1日4回のインスリン注射が欠かせない「I型糖尿病」の患者。 男性ドナーは中部地方の病院で7日未明に病気のため死亡した。 直後に男性の膵臓を摘出し、膵島組織のみを抽出。 7日夜、女性患者へ点滴の要領で約20分かけて膵島35万個を注入した。 膵臓に代わって肝臓への膵島定着と、インスリン注射からの離脱を目指す。 肝臓に点滴針を入れた際に血腫ができ、外科手術で取り除いたが、女性の容態は安定しているという。欧米では脳死患者からの膵島移植が600例以上ある。田中紘一病院長は「外科手術を伴う膵臓移植に比べ、患者負担が少なく、患者には朗報になる。膵島がきちんと機能するか、拒絶反応のコントロールが課題だ」と話している。(平成16年4月8日 毎日新聞2004・4・8)

コーヒーにインスリン感受性改善効果

コーヒーはインスリン感受性を改善し、2型糖尿病を予防する可能性がある。こんな報告が米医師会雑誌Journal of American Medical Association(JAMA)2004年3月10日号にResearch Letterとして掲載された。コーヒーが身体に悪いというかつての定説は、喫煙や運動不足など不健康な生活習慣を持つ人がコーヒーを好む傾向があるためのバイアスや、コーヒーに入れる砂糖などの影響によるものだった可能性を指摘している。スウェーデンUppsala大学公衆衛生・介護学部のJohan Arnlov氏らの研究グループは、インスリン抵抗性と糖尿病の関連性などに関する前向きコホート研究「Uppsala Longitudinal Study of Adult Men(ULSAM)」に参加したスウェーデンの高齢男性1221人のデータに対して横断的な分析を行ったもの。コーヒーの飲用に関する記述があり、2型糖尿病患者でない936人のデータを分析対象とした。

コーヒーに使うクリームと砂糖の量、コーヒーと一緒に食べる菓子の量、茶の摂取、飲酒、BMI、運動量、喫煙の有無などを調整した結果、1日当たりのコーヒー摂取量が増えると有意にインスリン感受性が上昇することが判明した。コーヒー摂取とインスリン分泌量には関連性が見られなかった。コーヒー以外に、1日2杯以上の茶の摂取はインスリン感受性の上昇に、コーヒーや茶に入れる砂糖の量が1日15g以上の場合は逆にインスリン感受性の低下に、それぞれ有意な関連性があった。一方、コーヒーの摂取は、1日の総カロリー摂取量、砂糖と菓子パンの摂取量、BMIなど各種の不健康な習慣と正の相関があることが分かった。また、喫煙者は1日のコーヒー摂取量は平均3.8杯と、非喫煙者の平均3.3杯よりも多く、概して不健康な生活習慣を持つ人がコーヒーを好む傾向があった。カフェインの摂取は短期的にはインスリン感受性を下げるという別の研究報告もあるが、Arnlov氏らは、コーヒーの長期的な摂取により、コーヒーや茶に含まれるポリフェノールの持つ抗酸化性がインスリン感受性の改善に貢献している可能性を示唆している。 著者らは、本研究は横断研究なので因果関係には言及できないこと、対象が白人の高齢男性に限定されていることを指摘、今後、インスリン抵抗性を有する対象者に対するコーヒーの影響を確認する介入試験の必要性を提唱している。(平成16年3月17日medwave)

糖尿病になりやすい体質、遺伝子で突き止め

米国立保健研究所(NIH)は11日、中年以降に発病することが多い2型糖尿病になりやすい体質を遺伝子レベルで突き止めたと発表した。DNAがわずかに違うだけで30%もリスクが高まるという。NIH・国立ヒトゲノム研究所とフィンランド国立公衆衛生研究所などが、フィンランドの2型糖尿病患者793人と、糖尿病でない413人について遺伝情報(ゲノム)を詳しく分析した。 その結果、糖尿病患者には、20番染色体の特定の遺伝子の4カ所で、塩基の並び方が一つだけ異なる(一塩基多型)人が目立った。別のチームがイスラエルの617人のゲノムを調べても同じ結果だった。 この遺伝子はインスリンをつくる膵臓(すいぞう)の細胞で重要な働きをしている。塩基の並び方の違いがあると、インスリンの分泌に異常が起きやすくなるらしい。国立ヒトゲノム研究所のコリンズ所長は「これだけで発病するわけではないが、肥満や運動不足になると危険性が高まる」と話す。 1型糖尿病は子供や若い時期に発病しやすいのに対し、2型糖尿病は中年以降に発病することが多い。日本人の糖尿病患者の約9割は2型だ。(平成16年3月13日 朝日新聞)

糖尿病の膵島移植、副作用少ない免疫抑制剤を開発

糖尿病の新しい治療法として注目されている「膵島(すいとう)移植」を容易にする新しい免疫抑制剤を岡山大学の松井秀樹教授と田中紀章教授らが開発した。この抑制剤を使うと、血糖値を下げるインスリンの分泌細胞を移植する際、副作用を抑えられる。ネズミの実験で効果を確認、人間でも同様の効果があるとみている。膵島移植はインスリンを分泌する細胞を脳死患者などのすい臓から取り出し、糖尿病患者に点滴で移植する治療法。重症患者の最新療法として欧米で開発され、日本でも実施準備が進んでいる。開発した免疫抑制剤は移植した細胞を異物とみなして攻撃する反応を抑える。従来の抑制剤と違ってインスリン分泌を抑える作用がない。糖尿病にかかったネズミで実験したところ、効果が50日以上続き、副作用もなかったという。(平成16年2月9日 日本経済新聞)

コーヒーで糖尿病予防

カフェイン入りのコーヒーを1日に6杯以上飲むと糖尿病になりにくい。こんな研究結果を、米ハーバード大などの研究チームが、12万5000人以上を対象に12―18年間にわたり追跡した大規模調査で明らかにした。研究チームが調べたのは、食べ過ぎや運動不足などが原因で発病する「2型」の糖尿病。調査によると、1日にコーヒーを6杯以上飲む人は、コーヒーを飲まない人に比べ、糖尿病になる確率が男性で半減し、女性では約30%減った。 カフェイン抜きのコーヒーでも効果があったが、カフェイン入りのレギュラーコーヒーの方が効果が大きかったという。コーヒーには、コーヒーのにおい物質「クロロゲン酸」などの抗酸化物質や、マグネシウムが豊富に含まれている。研究チームは、こうした物質が血糖値を下げるインスリンの“切れ味”を高め、糖尿病になりにくくしているとみている。 調査したのが砂糖入りのコーヒーかどうかは明らかにされていないが、砂糖を多量に入れたコーヒーをがぶ飲みしたのでは逆効果の恐れもありそうだ。(平成16年1月27日 読売新聞)

肥満治療薬オルリスタットが肥満者の2型糖尿病発症を予防

体格指数(BMI)が30以上の肥満者3300人を対象としたスウェーデンのプラセボ対照試験で、強力な生活指導のみを受けた群よりも、強力な生活指導に加え肥満治療薬のオルリスタット(海外での商品名:Xenical、わが国では第2相試験中)を服用した群の方が、2型糖尿病の4年発症率が4割低いことがわかった。糖尿病治療薬に2型糖尿病ハイリスク者の発症予防効果があることは複数の臨床試験で示されているが、肥満治療薬に同程度の効果があることがわかったのは初めて。研究結果は、Diabetes Care誌1月号に掲載された。

この臨床試験「XENDOS」(XENical in the prevention of Diabetes in Obese Subjects)の対象は、BMI30以上の肥満がある30〜60歳の男女3277人。無作為に2群に分け、全員に強力な生活指導を行った上で、オルリスタット(1日量120mg)またはプラセボを服用してもらった。

対象者の平均年齢は43歳、女性が55%で、平均体重は110kg、平均BMIは37。全体の2割には、組み入れ時に耐糖能異常(IGT、75gブドウ糖負荷試験=OGTTの2時間値が140〜200mg/dl)があった。4年間の試験の完遂率は、生活指導+オルリスタット群(1640人)が52%、生活指導+プラセボ群(1637人)が34%と低く、しかも有意な差があった(p<0.0001)が、解析は脱落者も含めたITT(intent to-treat)形式で行った。なお、主な脱落理由は、被験者が続行を拒否(順に14%対20%)、介入効果が不十分(8%対19%)などだった。

その結果、4年間の累積2型糖尿病発症率は、生活指導+オルリスタット群が6.2%で、生活指導+プラセボ群の9.0%より有意に低いことが判明。強力な生活指導にオルリスタットを追加することで、2型糖尿病の発症を相対的に37.3%、有意に抑制できることがわかった(p=0.0032)。減量効果は両群とも開始1年後がピークだったが、4年後の時点でも、生活指導+オルリスタット群の方が減量幅が大きかった(5.8kg対3.0kg、p<0.001)。(平成16年1月16日 MedWave)

余分な脂肪をカット

体内の脂肪のうち、筋肉にたまった余分な脂肪だけを減らす仕組みを発見した、と東大先端科学技術研究センターが24日発表した。この仕組みを活性化する薬ができれば肥満の解消になり、糖尿病の効果的な治療法につながる可能性もあるという。発見したのは、同センターの酒井寿郎教授(代謝医学)、田中十志也研究員らのグループ。 筋肉細胞が持つ受容体たんぱく質の一つで、働きが不明確だった「PPARδ(デルタ)」を化学物質で人工的に活性化すると、筋肉細胞内にたまっていた脂肪が、運動をしなくても消費されることを突きとめた。 脂肪分の多いエサを与えたマウスのPPARδを活性化させると、普通のマウスと運動量や食欲は変わらなかったが、体重の増加は6割程度にとどまった。 このマウスにインスリンを注射すると、血糖値を下げる効果も強くなっていた。 酒井教授は「肥満ではないマウスには減量効果が薄く、特に副作用もないので、安全性も高い」と話している。(平成15年12月25日 朝日新聞)

アベンティス、利き目が24時間持続するインスリン

仏系製薬のアベンティスファーマは、1日1回の投与で24時間効き目が持続するインスリン製剤を12日、日本で発売する。投与後に徐々に溶解する仕組みを持たせたことで、これまで1日2回は必要だった注射の負担や、睡眠中の血糖値変異を抑制。増加している糖尿病患者向けに拡販し、早期に同製剤の国内シェアで首位を目指す。インスリンは糖尿病患者などの高血糖値を抑制するための薬剤。製品化する持効型溶解インスリン製剤「ランタス」は、もともと溶液状だが、投与後に体内で凝縮。安定した血糖降下作用を示す。従来品の場合に投与から約6時間後に作用のピークが来たあと急激に効果が薄れることなどから生じていた夜間低血糖の発生率も、4割減るという。先天的な糖尿病患者の「1型」と、生活習慣病由来の「2型」患者の双方に対応。他のインスリン製剤との併用も可能。(平成15年12月9日 日経産業新聞)

糖尿病治療向け生体すい島移植承認

京都大学「医の倫理委員会」(委員長、日合弘京大教授)は15日、健康な人から採取したすい臓のすい島(ランゲルハンス島)細胞を糖尿病患者に移植する「生体すい島移植」の計画を承認した。脳死者からのすい島移植は欧米で実施されているが、生体間移植は世界でも初めて。

移植は症例1件ごとに同倫理委の承認を得ることが条件。来年以降手術を実施する。 すい島は血糖値を下げるインスリンを分泌する細胞。京大病院の松本慎一助手が申請した計画によると、健康な家族などからすい臓の一部を摘出してすい島細胞を分離。患者の肝臓の門脈に注入して生着させる。

対象は若いころから発症する「1型糖尿病」などでインスリンを注射している患者。国内の患者数は約14万人とされる。移植した細胞がうまく働けば、インスリン療法が不要になる可能性がある。(平成15年10月16日 日本経済新聞)

新しいインスリン製剤を12月に発売

ノボノルディスクファーマは28日、基礎インスリンと超速効性インスリンからなる二相性インスリンアナログ製剤の「ノボラピッド30ミックス注」(インスリンアスパルト)と同プレフィルド注入器「フレックスペン」の承認を取得し、今年12月には患者への提供を開始できる予定であると発表した。 同剤は、可溶性の超速効型成分と結晶性の中間型成分を3:7で含有し、基礎部分のみでなく食後高血糖を是正することで健常人のインスリン分泌に近い作用を示すことと、食事の直前投与が可能な点が特徴となっている。このことから、低血糖の危険性を増加させずに、患者が自由なタイミングで食事を取りつつ、食後高血糖管理を実現できるメリットを有する。(平成15年8月29日 薬事日報)

成人の5人に1人が糖尿病かその予備軍

厚生労働省が6日に発表した2002年「糖尿病実態調査」の速報結果によると、糖尿病の疑いが強い人は推計で約740万人、糖尿病の可能性を否定できない“予備軍”を含めると、1620万人に達することが明らかになった。成人の5人に1人が糖尿病かその予備軍となる計算。とくに予備軍は5年前から200万人も増えた。(平成15年8月7日 日刊薬業)

胃で分解されずに腸で安定して吸収されるインスリン製剤を開発

インスリンは分子量が5000弱のタンパク質なので、そのまま経口投与すると大部分が胃で分解されてしまう。 そのため、通常は注射で投与するが、患者の苦痛や自己管理の容易さを考えれば、経口投与の利点は明らかだ。大分大学工学部の通阪栄一氏は、インスリンを安定的に腸に到達させ、腸管吸収を実現する複合型ポリマー製剤化の研究成果を6月20日のポスターセッションで発表した。 単に腸管までインスリンを送り届けるだけなら、腸溶性カプセル内にインスリンを入れれば済むが、インスリンは水溶性の高分子であるため、細胞膜透過性が低く、そのままでは腸管で効果的な吸収を期待できない。そこで、通阪氏らの研究グループは、インスリンをまず親油性の界面活性剤であるショ糖エルカサンエステルでコートし、これを大豆油で包んだ油滴を作成した。 この油滴を親水性界面活性剤のデカグリセリンステアリン酸エステルを用いてO/W型エマルジョンを作り、さらに腸溶性ポリマーであるヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)でコートして凍結乾燥し、固体粒子(ドライエマルジョン)として回収した。 このようにして作成した製剤は長期間安定性を保持できるという。経口投与すると、PH5以上の腸管で水に溶解する。インスリンは、小腸で脂肪分解酵素(リパーゼ)によって大豆油が加水分解されることで徐放され、活性を保持したまま吸収される。ストレプトゾシンを投与してあらかじめインスリン分泌を停止させたラットに経口投与したところ、6時間以上にわたって血糖値の低下が確認できたという。通阪氏らは今後、さらに長時間の徐放性の確認などを進める計画だ。(平成15年6月25日medwave)

速足ほど低い死亡率

糖尿病の大半を占める2型の糖尿病患者では、日ごろ速足で歩いている男性の方が、ゆっくり歩いている男性より死亡率が低いことが、米ハーバード大チームの研究でわかり、米医学誌に発表された。 糖尿病患者の身体活動と死亡率との関連を詳しく分析した研究は、これまでほとんどなかったという。 糖尿病と診断された30歳以上の男性3058人の協力で、体を動かすことと死亡率との関係を探った。 調査は14年間に及び、この間に355人が亡くなった。 飲酒や喫煙など生活習慣も含めて死因に関係する要因を考慮したうえで、歩く速さを「ゆっくり歩く」グループから「非常に速足で歩く」グループまで4群に分けて調査。 その結果、最もゆっくり歩くグループに比べ、1番速足のグループの死亡率は、半分以下だった。 歩いた時間も関係があるのではないかについても分析したが、長く歩くほど死亡率が低くなるなどの関連性はなかった。 同様に、歩行と、心筋こうそくなど冠動脈の病気の発生率との関連も調べたところ、歩行が速いほど病気が起きにくいという結果が出た。 1番速く歩いたグループの発生率は、最もゆっくり歩いたグループの5分の1以下だった。(平成15年6月17日読売新聞)

特殊たんぱく質、血糖値を下げ、脂肪を燃焼 

血糖値を下げ、脂肪を燃焼させる特殊なたんぱく質を、東京大大学院の門脇孝・助教授や山内敏正医師(糖尿病代謝内科学)らの研究グループが発見し、12日発行の英科学誌「ネイチャー」に発表した。 運動しなくても、飲むだけで糖尿病を治療できる新薬開発につながると期待される。 過食による肥満や運動不足などが原因となる糖尿病は、2型糖尿病といわれる。 血糖値を下げるインスリンホルモンがうまく機能しなくなり、血糖値が高くなる。 糖尿病患者を対象にしたこれまでの研究で、脂肪細胞から分泌される「アディポネクチン」というホルモンに、インスリンの働きを高め、脂肪酸の燃焼を促進する作用があることが分かっていた。 研究グループは、今回、アディポネクチンと結びついて働くたんぱく質を人とマウスの筋肉や肝臓で調べ、2種類の特定に成功した。 いずれも細胞の表面にある受容体たんぱくで、このたんぱく質を活性化できれば、糖尿病の改善につながる。 門脇助教授は「糖尿病の治療には食事制限や運動が必要だが、肥満の人はひざに負担がかかるため運動が難しい。今回の研究は、つらい運動をしなくても治療が可能な薬の開発に役立つ」と話す。(平成15年6月1日 毎日新聞)

2型糖尿病男性の「歩く速さ」と総死亡率が相関

2型糖尿病の男性では、速足で歩く人の方が、ゆっくり歩く人よりも死亡率が低い−−。 米国の男性医療従事者が参加したコホート研究から、こんな興味深いデータが得られた。 2型糖尿病の男性2800人を14年間追跡した結果で、歩くペースが速い人は、1日に歩く時間とは無関係に、冠動脈疾患の発症率だけでなく総死亡率も低かったという。 研究結果は、Circulation誌5月20日号に掲載された。 この研究は、「HPFS」(Health Professionals' Follow-up Study)と呼ばれる、男性医療従事者によるコホート追跡研究。 男性医師による「Physicians' Health Study」に対抗する形で1986年にスタートしたもので、参加者の6割を歯科医師、2割を獣医師、1割を薬剤師が占める。 今回は、参加時に30歳以上で糖尿病を発症しており、かつ歩行などに不自由がない2803人を解析対象とした。 追跡期間中に355人が死亡し、266人が冠動脈疾患(CVD)を発症したが、総死亡やCVDリスクは身体活動性と負の相関があった。これは他の疫学研究でも報告されている通りだ。 また、歩行量は総死亡とのみ、負の相関がみられた。 面白いのは歩く速度別の解析で、年齢や体格指数(BMI)に加え歩行時間で補正しても、ゆっくり歩く人(時速3.2km未満)よりも速く歩く人の方がCVD発症率や総死亡率が低いことがわかった。ゆっくり歩く人のCVD発症率を1とすると、普通(時速3.2〜4.7km)、速足(時速4.8〜6.3km)、超速足(時速6.4km以上)の人では、CVD発症率が順に0.82、0.58、0.17となった。死亡率も同様に、0.59、0.62、0.42となり、速く歩く人の方が総死亡率が低かった。 “超速足”で歩くのはなかなか難しいかもしれないが、普通〜速足程度なら、日常生活でも実行できる範囲。2型糖尿病の人は、これからはできるだけ速く歩くことを心掛けた方がよさそうだ。 (平成15年5月26日medwave)

茶わん一杯で血糖値低下 遺伝子組み換え米で糖尿病予防

茶わん1杯のご飯を食べていれば糖尿病の改善や予防につながる――。日本製紙などの研究グループは12日、こんな効果がある米を開発したと発表した。 血糖値を下げるホルモン、インスリンの分泌を促す薬を遺伝子組み換え技術で米に蓄積させることに成功した。 インスリン注射をしなくても済む治療法につながる可能性がある。早ければ3年後の商品化を目指している。 00年に始まった政府のミレニアムプロジェクトの一環で、日本製紙、農業生物資源研究所、三和化学研究所が共同で開発した。生活習慣が原因の2型糖尿病は、血糖を下げる役割があるインスリンの分泌が悪くなることから起こる。このため研究グループは、インスリン分泌を促すペプチド薬に注目。 遺伝子組み換え技術を使い、米に多量に含ませることに成功した。 開発した米が消化されてどうなるかを試験管で調べた結果、実際にインスリンが分泌され、血糖値を下げる効果が表れることが分かった。 研究グループは「注射のようなリスクもなく、米を食べる普通の生活が治療になるため、患者にとってのメリットが大きい。 安全性などを検証し、商品化につなげたい」としている。(平成15年5月13日朝日新聞)

糖尿病もCOPDの危険因子か

Framingham研究の参加者調査で、糖尿病の罹患者では肺機能が低く、しかも喫煙者ではこの相関が非喫煙者よりも強いことがわかった。喫煙による肺傷害を糖尿病が増強する可能性を示唆するデータで、喫煙が最大の危険因子である慢性閉塞性肺疾患(COPD)についても、「糖尿病を新たな危険因子と考えるべき」と研究グループは提言している。研究結果は、American Journal of Respiratory and Critical CareMedicine(AJRCCM)誌3月15日号に掲載された。この研究を行ったのは、米国Boston大学呼吸器センターのRobert E. Walter氏ら。研究には、米国の代表的なコホート研究であるFramingham Heart Study参加者の、子供とその配偶者を追跡した「Framingham子孫(Offspring)コホート」のデータを用いた。子孫コホートの対象者は5124人(第一次コホートの子供:3544人、子供の配偶者:1580人)。1991〜1994年に行われた第5次調査で空腹時血糖検査と呼吸機能検査を受け、喫煙状況や糖尿病(空腹時血糖が126mg/dl以上、または糖尿病で加療中)の有無がわかっている3254人を解析対象とした。調査時点で280人が糖尿病を発症していたが、糖尿病の罹患者では、非罹患者(2974人)より男性比率が高く、高齢で、体重が重く、呼吸機能が有意に悪かった。喫煙状況(喫煙歴なし、禁煙中、喫煙中)に有意な差はなかったが、禁煙中、喫煙中の人では、現在までの喫煙指数(1日当たりの喫煙箱数と喫煙年数を乗じたもの)が糖尿病罹患者で有意に高かった。Walter氏らは、喫煙歴のない1100人を基準に、年齢や性別などで補正して肺機能の基準値(予測値)を算定。その基準と比較すると、糖尿病患者では肺機能が有意に低くなった。さらに、血糖値と肺機能とも負の相関があり、この相関は現喫煙者で最も強いことが明らかになった。糖尿病患者で肺機能が低い傾向があることは既に報告されているが、喫煙がその関連を強めるとのデータが得られたのは初めて。喫煙に肺機能を損なう作用があることはよく知られているが、今回得られたデータは、「糖尿病がその作用を強めると考えれば説明が付く」と研究グループは考察。COPDに対する介入を行う際には、糖尿病、あるいは高血糖状態も、COPDの危険因子として捉えるべきだと提唱している。(平成15年3月24日medwave)

「配偶者が糖尿病」も糖尿病の危険因子に

2型糖尿病の配偶者を持つ人では、年齢や体格指数(BMI)で補正後も、配偶者が2型糖尿病ではない人より糖尿病のリスクが2倍以上になることがわかった。一般に「家族歴」は血縁者のみを指すことが多いが、こと糖尿病に関しては、配偶者も家族歴の対象として扱った方が良さそうだ。研究結果は、Diabetes Care誌3月号に掲載された。この研究を行ったのは、英国王立London病院糖尿病・代謝科のAsya Khan氏ら。2型糖尿病患者の配偶者245人と、配偶者が2型糖尿病ではない234人に空腹時血糖検査や糖負荷試験を受けてもらい、「2型糖尿病の配偶者」の有無で糖尿病合併リスクを比較した。平均年齢(約57歳)や男女比(約4対6)は両群ともほぼ同じ。その結果、2型糖尿病患者の配偶者では、空腹時血糖の高値や耐糖能異常を示す人がほぼ2倍になることが判明。2型糖尿病患者の配偶者は、配偶者が2型糖尿病ではない人より太っていたが(平均BMI:27.2対25.5)、年齢とBMIで補正後も2型糖尿病のオッズ比は2.11、耐糖能異常のオッズ比は2.32となり、いずれも有意に高かった。「夫婦が同じ病気にかかりやすい」との観察研究はいくつか報告されているが、糖尿病でこうした相関が示されたのは初めて。実際に血糖値検査や糖負荷試験を行っている分、調査票のみに基づく過去の研究より確実性は高いと研究グループはみている。今後は、問診で家族歴を聞く際に血縁者だけでなく配偶者についても尋ね、配偶者が2型糖尿病の場合も「ハイリスク」と捉える方が良いかもしれない。(平成15年3月6日medwave)

糖尿病新薬に光明? インスリン分泌の「かぎ」明らかに

膵臓(すいぞう)からのインスリンの分泌を調整する仕組みの一端を武田薬品工業の研究チームがつきとめた。24日、英科学誌ネイチャーのオンライン版で発表する。糖尿病の新しい治療薬開発の手がかりになると期待される。 血液中のブドウ糖が増えると膵臓のベータ細胞からインスリンが分泌される。これまでは、中性脂肪が分解して生じる遊離脂肪酸がインスリンの分泌を増進することは分かっていたが、その詳細な仕組みは不明だった。 研究チームは今回、生体機能の調節に重要な役割を果たすといわれる「Gたんぱく質共役型受容体」のうち、膵臓に大量にあるGPR40が、遊離脂肪酸と結びつく受容体として機能していることを発見。さらに、GPR40が遊離脂肪酸と結合し活性化することで、膵臓からのインスリン分泌が増大することを確かめた。 今後、GPR40の活性化を促進したり阻害したりすることで、インスリンの分泌を調整する新しいタイプの糖尿病治療薬が生まれる可能性があるとしている。(平成15年2月24日 朝日新聞)

だ液腺細胞からインスリン分泌細胞 熊本大が成功

ヒトのだ液を分泌する細胞(だ液腺細胞)を使い、インスリンを分泌するすい臓のすい島細胞を作り出すことに、遠藤文夫・熊本大医学部教授(小児科)のグループが世界で初めて成功した。受精卵から作る胚(はい)性幹細胞(ES細胞)に比べて倫理問題が小さく、糖尿病治療に役立つと期待される。14日、名古屋市で開かれている日本人類遺伝学会で発表する。研究グループは、すい臓とだ液腺がでんぷんを分解する酵素を分泌するなど共通点が多いことに注目。こうとうがん治療で摘出されただ液腺細胞を特殊な溶液を使って培養した。その後、別の溶液で分化を促した結果、約10日後に約1000個の細胞が集まったすい島細胞群に成長しているのを発見した。この細胞に糖を与えると、健康な状態の細胞に比べ分泌量は10分の1以下だが、インスリンを分泌した。一方、マウスやラットを使った実験では、培養細胞の大半が、すい島だけでなく肝臓にも成長し、残りの一部は神経細胞になった。肝臓が受精卵から形づくられる過程が、すい臓に近いためとみられ、研究グループは、だ液腺細胞からヒトの肝臓づくりも進めている。ES細胞や骨髄などに含まれる幹細胞からさまざまな臓器や組織の細胞が作られているが、だ液腺細胞から他臓器の細胞ができたのは初。研究グループは、約10万個に1個の割合で、だ液腺細胞中に幹細胞が存在すると考えている。遠藤教授は「だ液腺細胞は大人の体の中でも入手しやすい。糖尿病などさまざまな病気の治療に使える可能性がある」と話す。(平成14年11月14日 毎日新聞)

コーヒー愛飲者は糖尿病になりにくい

オランダで行われたコホート追跡研究で、1日に7杯以上コーヒーを飲む人では、7年間で2型糖尿病を発症する比率が1日2杯以下の人のほぼ半分であることがわかった。コーヒーに含まれるマグネシウムやクロロゲン酸など、カフェイン以外の成分に、糖尿病の発病を防ぐ働きがあると研究グループはみている。研究結果は、Lancet誌11月9日号に掲載された。研究グループは、オランダのDoetinchemとMaastrichtに住む30〜60歳の、糖尿病にかかっていない男女1万7111人を約7年間追跡。1日に飲むコーヒーの量と、糖尿病の発症リスクとの間にどのような関係があるかを調べた。調査対象者は平均して、1日5.2杯コーヒーを飲んでいた。7年間で2型糖尿病を発症したのは306人。コーヒーをたくさん飲む人には男性が多く、学歴が低く、太っており、たばこを吸い、お酒を飲み、運動不足の人が多かった。つまり、どちらかといえば不健康な生活を送っている人が多かったわけだが、2型糖尿病の発症率は低い傾向があった。そこで研究グループは、たばこや酒、肥満といった、2型糖尿病の発症に影響を与え得る因子でデータを補正した。すると、1日7杯以上コーヒーを飲む人では、1日2杯以下の人と比べ、2型糖尿病の発症リスクが0.50倍(95%信頼区間:0.350.72、p=0.0002)となることが明らかになった。なお、紅茶にはこうした相関がみられなかった。ちなみに、コーヒーに含まれるカフェインにはインスリン感受性を下げる働きがあり、2型糖尿病の発症を促進し得ると考えられている。一方、カフェインと並ぶコーヒー2大成分のクロロゲン酸や、コーヒーに含まれるマグネシウムには、糖代謝を改善する作用があることが知られている。今回の試験では参加者にカフェイン抜きコーヒーを飲む人が少なく、直接的なデータは出せなかったが、他の介入試験結果なども併せ「コーヒーに含まれるカフェイン以外の成分が、2型糖尿病発症を抑制する方向で働いているのでは」と研究グループは考察している。(平成14年11月11日medwave)

血糖自己測定時の針刺し部位は手のひらがベスト

指先を刺す代わりに、痛点の少ない前腕や太ももなどで血糖を測定する、新型の血糖自己測定器が人気を集めている。しかし、測定のタイミングによっては、指先で測定した場合と比べ、測定値にかなりのばらつきが出ることがわかった。さらに、これらの機器で推奨されているように、測定部をこすって血行を良くしてから測定しても、測定値は変わらなかったという。米国国際糖尿病センターのR. M. Bergenstal氏らによる研究結果で、9月3日の一般口演「New Devices for Glucose Monitoring」で発表された。指先は痛点が多く、血液採取時に痛みが伴ううえ、痛みや傷が残ると日常生活にも支障が生じる。そのため、指先以外の部位でも血糖を測定できる機器が開発されてきた。指先以外の部位は針を刺してもあまり血が出ないため、これらの機器では、少量の血液でも測定できる、あるいは吸引して十分量の血液を採取できるよう工夫されている。しかし、指先で測った時と比べ、腕や太ももで測定した場合は、「食直後の血糖値が低い」「食後しばらく経つとかえって高くなる」など、測定値の不一致(血糖の変動に対する測定値の遅れ)が報告されている。また、機器のパンフレットには、「測定前に測定部位をよくこすり、血行を良くしてから測ると良い」と書かれているが、こうした“下準備”がどの程度有効かをきちんと調べた研究もなかった。そこでBergenstal氏らは、2型糖尿病患者86人に協力してもらい、空腹時や食後60分、90分、120分、運動後(トレッドミルで15分間歩行)の各時点で、測定部位により血糖値がどの程度変わるかを実験。測定部位をよくこすることによる測定値の変動も調べた。実験に用いた測定部位は、指先、手のひら、前腕と太ももの4カ所。実験に協力した2型糖尿病患者の平均年齢は60歳でうち男性が56人、平均ヘモグロビンA1c(HbA1c)は7.6%だった。前腕や太ももでの測定、食直後や運動後に指先測定との差が拡大その結果、どの測定時点でも、手のひらで測定した場合の血糖値は指先での値とよく一致することが判明。一方、前腕や太ももでは、空腹時や食後2時間での値は「臨床的にほぼ許容範囲」(Bergenstal氏)だが、食事から60分後、90分後はかなりばらつきが大きくなった。特に運動後は、両部位とも平均値で20mg/dl前後高く出る上、ばらつき(標準偏差:SD)も±20mg/dl程度生じ、運動後の低血糖をチェックする目的には適さないことが明らかになった。こうした部位による測定値の差に、機種による違いは認められなかった。さらに、右腕と左腕の一方のみをよくこすってから血糖値を同時に測定し、左右の測定値を比較すると、その差はわずか1.9%。臨床的には意味の無い差で、「測定部位をこするという下準備は必要が無い」(Bergenstal氏)ことがわかった。なお、各部位の穿刺時の痛みを0〜10の11段階で評価すると、指先が2.50、手のひらが1.90、前腕が1.95、太ももが2.00。言われているほど劇的な差ではないが、統計学的には有意に、指先よりほかの部位の方が痛くないことも判明した。以上からBergenstal氏らは、指先以外の場所で血糖値を測定する場合は、今回検討した3カ所の中では手のひらがベストであると結論。下準備として測定部をこする必要は認められないとした。さらに、前腕や太ももで測定する場合、「空腹時血糖や食後2時間値なら差し支えないが、食直後や運動後は誤差が大きくなるため勧められな
い」とBergenstal氏は述べた。指先以外で測定する血糖自己測定器はわが国でも使用者が多く、数値の信頼性について医師がアドバイスを求められる局面も増えている。今回の研究結果は、「適切な使い方」をアドバイスする上で、大いに参考になりそうだ。(平成14年9月4日medwave)

H. ピロリ菌は2型糖尿病にも関与か

胃潰瘍や胃癌、動脈硬化性疾患を引き起こすとされるヘリコバクター・ピロリ(H.ピロリ)菌。糖尿病分野でも、「H. ピロリ菌への感染が、慢性炎症状態を介して2型糖尿病の発症を誘発する」との疑いが持たれているが、関連性を否定する報告もあり一定の見解は得られていない。9月2日に行われたポスターセッションでは、オーストリアHentschelhof医療センターのA. Dzien氏らが、糖尿病に罹患していない外来受診者1700人のH. ピロリ菌感染状況と血糖値との関連を解析。「H. ピロリ菌の感染者では空腹時血糖が高い」との研究結果を報告した。オーストリアは欧州の中ではH.ピロリ菌の感染率が高く、人口の約20%がH. ピロリ菌陽性だという。そのため、一般住民のH. ピロリ菌に対する関心も高く、スクリーニング検査が頻繁に行われている。Dzien氏らは、胃のむかつきや関節痛、息切れなど様々な症状で受診した、糖尿病に罹患していない外来患者1710人に、H. ピロリ菌のスクリーニング検査(血清抗体検査)を実施。同時に、血圧や血清脂質、空腹時血糖、炎症マーカーのC反応性蛋白(CRP)値などを測定して、H. ピロリ菌感染との相関を調べた。その結果、全体の3割でH. ピロリ菌が陽性であることが判明。空腹時血糖は、陰性者で平均99.8mg/dlだったのに対し、陽性者では110.0mg/dlと、有意に高かった。同様に、CRP値もH. ピロリ菌陽性者で0.40mg/lと、陰性者の0.32mg/lより有意に高かった。一方、総コレステロール値、低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値や高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール値には、感染の有無による差は認められなかった。トリグリセリド値は、陽性者(平均94.0mg/dl)で陰性者(平均131.0mg/dl)より大幅に低く、感染の有無に性別によるばらつきはなかった。以上からDzien氏らは、「H. ピロリ菌への感染が、慢性炎症状態を介して糖代謝に悪影響を与えている」と推察。H. ピロリ菌の除菌で、2型糖尿病の発症を予防できる可能性が出てきたと結論付けた。「陽性者に除菌を勧めないのは今や倫理的に問題となるので、除菌群と非除菌群とに割り付ける無作為化試験は不可能」とのことだが、除菌を希望しない人も含めた経過観察を行って、「除菌が2型糖尿病の発症を遅らせ得るかについて何らかの知見を得たい」とDzien氏は話した。ただし、統計学的に有意な差ではないものの、H. ピロリ菌陽性者の平均年齢は女性で66.0歳、男性で66.4歳であり、陰性者(女性:64.8歳、男性:62.0歳)よりわずかに高い。同様に、体格指数(BMI)も1〜2程度陽性者で高く、これが糖代謝に影響を及ぼしている可能性もある。Dzien氏らは、こうした点がどの程度空腹時血糖に影響を与え得るかについても、さらに検討を進める予定だ。(平成14年9月3日medwave)

糖尿病で脳梗塞発症リスクが増加

糖尿病の人は、脳梗塞の発症リスクが二倍高いことが、筑波大学社会医学系の磯博康教授らが行ったコホート研究で明らかになった。これは国内の40〜69歳の男女1万人を対象に実施されたもので、脳梗塞の発症に対する糖尿病の影響は、高血圧者よりも非高血圧者で強く認められたという。日本人では血圧値の低下や糖尿病の有病率が増加していることから、今後、脳梗塞発症への糖尿病の関与が大きくなる可能性があると結論づけている。 これは厚生科学研究「脳卒中および虚血性心疾患の危険因子としての糖尿病の大規模追跡共同研究」(主任研究者:藤島正敏西日本総合医学研究所所長)の分担研究として実施された。糖代謝異常が脳梗塞の発症に及ぼす影響に関し、コホート研究により追跡するのが目的で、脳梗塞の大きな危険因子である高血圧との相互作用についても検討している。(平成14年8月20日 薬事日報)

糖尿病患者に朗報

死亡した人間の膵臓(すいぞう)から、血糖値をコントロールするインスリンを分泌する「膵島(すいとう)細胞」を取り出し、重症の糖尿病患者に点滴によって移植する治療体制が整った。 国立佐倉病院(千葉県佐倉市)の剣持敬・外科医長を中心に全国の医師らで作る「膵・膵島移植研究会」の作業班が、1996年から続けてきた検討結果に基づき、実施マニュアルを完成させたもの。提供者が出れば、今月中にも移植に向けた国内初の膵島細胞の摘出などが始まる見通しだ。 膵島は、直径0・1―0・3ミリの球状の塊で、膵臓内に成人1人あたり約100万個が点在する。「ランゲルハンス島」とも呼ばれ、インスリンを分泌する。 国立佐倉病院によると、移植の対象となるのは、インスリンが分泌できなくなったインスリン依存型糖尿病患者。提供者の膵臓を摘出後、遠心分離法によって分離した膵島細胞を凍結保存。一定量が蓄えられた時点で、肝臓内の血管である門脈から点滴して肝臓に生着させ、インスリンを分泌させる。 マニュアルには、〈1〉膵島移植を希望する患者と家族に十分な説明を行う〈2〉膵島の分離、保存などはマニュアルに示す基準を満たした施設で行い、公平な移植が出来るようにする〈3〉患者や提供者のプライバシー保護に配慮する――などを盛り込んでいる。 膵島移植は、臓器本体の移植と違って開腹手術が不要で患者の負担が小さい。また、膵島そのものは遺族の同意だけで摘出できる。海外では1990年代から本格的に始まり、実施例は約500に上る。米国やカナダでは糖尿病が根治したケースも数多く報告されている。 インスリン依存型糖尿病は、国内に600万人以上いると推定される糖尿病患者の4―6%を占める。根治療法としては膵臓の臓器全体を移植する手術が有効だが、臓器移植の例はまだ少ない。同研究会によると、膵島細胞は、臓器移植に適さない膵臓から取り出すため、待機患者の多い臓器移植を補完する形になるという。 提供者の人数の問題もあって、膵島移植は年間数例で推移すると見られているが、将来的には、どの部位にも変化できる幹細胞からインスリンを分泌させる細胞を作り、自己移植する「再生医療」に応用できる可能性があるという。(平成14年8月3日 読売新聞)

脂肪細胞、実は善玉?血糖値降下に関与

脂肪をためる脂肪細胞で作られるたんぱく質に、血糖値を下げる働きがあり、糖尿病などと深くかかわっていることが大阪大医学部の松沢佑次教授(内科学)らの動物実験でわかった。17日付の米医学誌ネイチャーメディシン(オンライン版)で発表した。松沢教授らは96年、たんぱく質「アディポネクチン」の遺伝子を人の脂肪細胞から発見した。このたんぱく質ができないマウスを人工的に作り、脂肪や砂糖が多い高カロリーの餌を約1週間与え続けた。すると、血糖値を下げるインスリンの働きが落ち、血糖値が普通のマウスの2倍になった。こうしたマウスにアディポネクチンを与えると、血糖値が下がった。普通の餌を与えると、どちらのマウスも血糖値にほとんど変わりはなかった。別の研究では、人でもアディポネクチンが足りないと、糖尿病になっていることが多かったという。松沢教授は「悪者といわれる脂肪細胞に、体を守る働きがあることがはっきりした」と話している。(平成14年6月17日 朝日新聞)

2型糖尿病:病気の進行予期する遺伝子発見

日本人に多い2型糖尿病患者が将来インスリン治療が必要になるかどうかなど、病気の進行を見極めるのに役立つ遺伝子を、和歌山県立医大臨床検査医学講座の三家喜夫教授と第1内科の研究グループが発見し、サンフランシスコで開かれている米国糖尿病学会で発表した。効果的な治療方針づくりに有効な成果として注目されそうだ。2型は生活習慣や体質など複合的な要因で起きる糖尿病。発症後間もなくは血糖値を下げるためのインスリン注射の必要がない。しかし、グループの調査では10年後には約20%、20年後は約50%、30年後は約70%と時間の経過とともにインスリンが必要な患者の割合が増える。研究グループは、インスリンの分泌や効き方に関与する「シンタキシン1A」と「PI3K」という二つの遺伝子に注目。糖尿病患者220人を対象に調査したところ、二つの遺伝子の一部分にそれぞれ特定の塩基があるという特徴を持った患者は41%が発症から10年後にインスリン治療を受けていた。一方で、両遺伝子とも別の塩基を持つ患者は約6分の1の7・1%にとどまった。(平成14年6月16日 毎日新聞)

糖尿病抑えるホルモン確認

脂肪の細胞から分泌されるホルモンの一種「アディポネクチン」が、糖尿病の引き金になる「インスリン抵抗性」や動脈硬化を抑制することを、東大と癌(がん)研究会癌研究所、科学技術振興事業団などの共同研究グループが動物実験で26日までに確認。米生化学・分子生物学会誌(電子版)に発表した。 インスリン抵抗性の高まったマウスにこのホルモンを与えると、抵抗性が改善することは分かっていたが、グループは今回、アディポネクチンが欠乏した遺伝子改変マウスをつくることに成功、生体内の働きを直接確認した。糖尿病などの新しい治療薬につながる成果だ。 グループは、東大医学部の門脇孝・助教授と窪田直人医師(糖尿病学)、癌研の野田哲生部長ら。 インスリン抵抗性は、血糖値を下げるのに多くのインスリンが必要となる状態。グループによると、アディポネクチンが欠乏した改変マウスは通常のマウスに比べ、インスリン抵抗性が高まって糖の代謝機能に異常が生じた。(平成14年5月26日 日本経済新聞)

糖尿病予備群のスクリーニング、OGTTは不要か

糖負荷試験単独よりも、家族歴や体脂肪指数(BMI)、空腹時血糖、血清脂質値などの臨床所見に基づく予測の方が、2型糖尿病の発症リスクを正確に判断できるとの研究結果が報告された。この研究の特徴は、対象者の過半がヒスパニック系米国人であること。糖負荷試験の持つ意味が、人種によって異なる可能性を示唆するものとしても注目を集めそうだ。研究結果は、Annals of Internal Medicine誌4月16日号に掲載された。耐糖能異常は2型糖尿病発症の危険因子だが、その段階から運動療法や食事療法など適切な介入を行えば、糖尿病の発症が予防できるとのデータが揃ってきた。米国糖尿病協会(ADA)と米国国立衛生研究所(NIH)は、45歳以上の男女に対し、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)などで耐糖能異常がある人をスクリーニングするよう推奨している。米国Texas大学健康科学センターのMichael P. Stern氏らは、同センターの所在地であるTexas州San Antonioの住民には、過去の臨床試験であまり検討対象となっていないヒスパニック系米国人が多い点に着目。OGTTを用いる“糖尿病予備軍”のスクリーニングが、San Antonioでも可能かどうかを検証した。対象者は、糖尿病を発症していないヒスパニック系米国人1791人と、非ヒスパニック系米国人1112人。BMIや空腹時血糖、血清脂質値に加えOGTTを測定し、7.5年間追跡して、2型糖尿病の発症をどの程度予測できたかを調べた。その結果、家族歴やBMI、空腹時血糖などから総合的に判断した場合の予測精度は84.3%となることが判明。一方、OGTTの2時間値単独での予測精度は77.5%で、臨床所見による予測の方が有意に精度が高いことがわかった(p<0.001)。さらに、臨床所見にOGTTの2時間値を加えた場合の予測精度は85.7%となり、予測精度はわずかに向上するものの、「実施にかかる手間や医療費には見合わないのではないか」と研究グループは指摘している。こうした指摘が日本人でも成り立つのかどうか、わが国でも同様の研究が行われることを期待したい。(平成14年4月19日 medwave)

遺伝子治療でインスリン産出細胞を作製

膵臓(すいぞう)が作られる時に欠かせない遺伝子を糖尿病のマウスに注入し、インスリンを産出する細胞を作り出すことに、大阪大のグループが成功した。18日に京都市で始まる日本再生医療学会で発表する。実験したのは、大阪大医学部の宮崎純一教授、倭(やまと)英司助教授、大学院生の谷口秀典さんら。受精卵から膵臓ができるときに欠かせない遺伝子「PDX−1」を、膵臓と肝臓の間の管に注射針で入れた。約1週間後に調べると、膵臓の中を走る膵管の周りを中心に、インスリンを出す細胞が数%増えていた。この遺伝子が働く細胞は緑色に光るようにしてあり、遺伝子を入れた結果、インスリン産出細胞が増えたと確認できた。産出されるインスリンの量は症状改善にはまだ足りないが、人に将来応用する際は、内視鏡で簡単に遺伝子を入れることができるという。宮崎教授は「細胞を増やす因子なども使って、インスリンの産出量を増やす工夫をしたい」と話している。(平成14年4月18日 朝日新聞)

信州大でヒト羊膜からインシュリン生成成功

信州大医学部大学院医学研究科(長野県松本市)の二階堂敏雄助教授(48)の研究グループが17日までに、ヒトの羊膜の細胞から血糖値を下げる働きをするインシュリンを生成することに成功した。羊膜からのインシュリン生成は「恐らく世界初」(同助教授)といい、今後、体内のインシュリン欠乏・作用阻害から起こる糖尿病の治療に役立つと期待される。 羊膜は、胎児を包む半透明の薄い膜で、中に羊水を満たして胎児を保護する役割を持つ。同グループは、こうした羊膜の性質などから、羊膜がさまざまな組織の形成能力を持つのではないかと推測、研究を始めた。出産時に胎児と一緒に体外に出た羊膜の上皮細胞を取り出し、試験管内でビタミンBの1種・ニコチンアミドを加えて培養したところ、インシュリンを作り出す情報を持ったRNA(リボ核酸)が作られていることが確認できた。また、糖尿病のため血糖値の高いマウスのひ臓に羊膜の上皮細胞を移植し、血糖値を正常の範囲内に下げることに成功したことからも、インシュリンが生成されたのは確実と見ている。 二階堂助教授は「現在はマウスでの実験が成功した段階だが、将来は、ヒトの糖尿病治療として羊膜細胞の移植の可能性も考えられる」として、インシュリンの生成量や生成の仕組みの研究を続ける考えだ。 研究結果は、18日から京都市で開かれる第1回日本再生医療学会で発表される。(平成14年4月17日 読売新聞)

米国で糖尿病の検査ガイドラインが発表、OGTTを「推奨せず」

米国臨床化学協会(AACC)はこのほど、糖尿病の検査に関するガイドラインを発表した。糖尿病の診断や管理に用いられる検査値や検査法の、現時点での位置付けをまとめたもの。同ガイドラインは、米国糖尿病協会(ADA)の査読を経て、AACCの学術誌であるClinical Chemistry誌3月号に掲載。ADAの学術誌であるDiabetes Care誌4月号にも転載された。同ガイドラインの最大の特徴は、75gブドウ糖負荷試験(OGTT)を、1型・2型糖尿病の診断にルーチンに用いる検査としては「推奨しない」とした点。わが国の医療機関はもちろん、世界保健機関(WHO)もOGTTを糖尿病診断の基本検査として採用しているが、AACCは検査結果の再現性の低さを重く見て、基本検査からは外すとの決定を下した。診断の基準となるのは「空腹時血糖」だが、同ガイドラインでは、全血ではなく血清中のグルコースを測定すべきと推奨。試料として、一晩絶食した被験者から、採血後60分以内に単離した血清を用いるべきとした。ただし、全血から血糖を測定する携帯型血糖測定器については、糖尿病の診断には不適だが診療の目安としては有用だと結論。しかし、非侵襲的な血糖測定器は、臨床成績がまだ限定的であるため、患者の自己測定用途としても現時点では推奨できないとした。また、長期的な血糖管理状態を反映するヘモグロビンA1c(HbA1c)は、糖尿病患者を診療する際には少なくとも年2回測定すべきと強調。HbA1c値が7%未満となるように管理し、8%を超える場合は治療薬などを見直すよう推奨している。このほか、糖尿病性腎症の早期発見のため、蛋白尿が出ていない患者でも、年1回は微量アルブミン値を測定するよう推奨。一方、遺伝子マーカーや自己免疫マーカー、C蛋白やレプチンなどについては、糖尿病の診断・管理目的のルーチン検査は勧められないとし、これらの検査は現時点では臨床研究として行うべきと明記している。(平成14年4月1日 medwave)