寿命について


カロリー制限で寿命延びる


食物から摂取するカロリーを制限すると、そうでない場合より寿命が長く、かつ健康的に過ごせるとする研究結果を米ウィスコンシン大などのチームがまとめた。アカゲザルを使って20年間にわたり実験を続けた。チームは「栄養不良にならない程度のカロリー制限が、老化を遅くすることを霊長類で示せた。人間にも同様のことが起こりうる」としている。実験は、米ウィスコンシン国立霊長類研究センターで1989年にスタート。7〜14歳のおとなのアカゲザル計76匹を半分ずつ2つのグループに分け、片方には好きなだけ餌を与え続けた。もう一方は、最初の3ヵ月で餌のカロリーを約30%減らし、その後も、このカロリー制限を維持しながら飼育した。自由に餌を食べたグループは、38匹中14匹(37%)が糖尿病やがん、心疾患、脳萎縮など加齢に関連する病気で死んだ。一方、カロリーを制限したグループで加齢に関連する病気で死んだのは5匹 (13%)。制限なしのグループの3分の1にとどまり、チームは寿命が延びたと判断した。アカゲザルの平均寿命は27歳前後で、40歳近くまで生きることもあるという。(平成21年7月10日 中国新聞)

日本の平均寿命83歳、首位守る
 

世界保健機関(WHO)が21日発表した2009年版の世界保健統計によると、07年時点の日本の平均寿命は男女平均が83歳で、193の全加盟国の中で単独首位を維持した。女性は86歳で前年と同じく首位。 一方、男性は79歳で、アイスランドに抜かれて3位に後退した。男性首位は富裕層の多いサンマリノの81歳だった。男女平均の2位はサンマリノ、スイス、イタリア、アイスランドなどの82歳で、先進国の寿命の長さが際立つ。逆に平均寿命が最も短いのは、長い内戦に苦しんだアフリカのシエラレオネで41歳。WHOが定義する貧困国の平均寿命は57歳で、富裕国の80歳に比べて23歳も短い。(平成21年5月22日 日本経済新聞)

平均寿命更新、女性85.99歳・男性79.19歳


厚生労働省は2007年の日本人の平均寿命が女性85.99歳、男性79.19歳と、過去最高を更新したと発表した。女性は23年連続で長寿世界一。 前年に比べると、女性は0.18歳、男性は 0.19歳のびた。男女差は6.80歳で、前年より0.01歳縮まった。国際的に見ると、女性では、日本に次いで長寿なのは香港の85.4歳で、第3位がフランスで84.1歳だった。男性の長寿世界一はアイスランドの79.4歳で、次いで香港の79.3歳、第3位が日本だった。0歳児が将来どのような死因で死亡するかを予測する「死因別死亡確率」も公表した。男女ともに、がん、心疾患、脳血管疾患の3大死因による亡が50%を超えており、男性55.57%、女性53.02%だった。(平成20年8月1日 読売新聞)

高脂血症薬に心臓病防ぐ効果 日本で8千人臨床試験

コレステロール値を下げる高脂血症薬を使うと、日本人で心臓病の発生を減らす効果があることが、約8000人の患者が参加した臨床試験で分かった。日本人を対象にこの薬を使う人と使わない人を比べた大規模臨床試験は初めて。中村治雄・防衛医科大名誉教授らが16日、米テキサス州ダラスで開かれた米国心臓協会学術集会で発表した。中村さんらは総コレステロール値が220〜270ミリグラム(血清1デシリットル当たり)の男女7832人(平均年齢58歳)の協力を得て、全員に食事療法をしたうえで、半分の人にはコレステロールを下げる薬を飲んでもらった。5年以上経過を追った結果、心筋梗塞(こうそく)や狭心症などの心臓病を起こす発症率は、薬を飲んだ場合が飲まない場合に比べて33%少なかった。これに脳梗塞を加えた動脈硬化性の病気全体の発症率でみても30%減った。今回の臨床試験で使われたのはメバロチンという高脂血症治療薬で、日本では89年、三共が発売し、医師が処方する薬として広く使われている。欧州で実施された大規模臨床試験では心臓病を予防する効果が確かめられてきた。欧米に比べて日本では心筋梗塞などによる死亡率が低く、食生活も違うため、日本人にも病気を防ぐ効果があるのかを厳密な臨床試験で確かめる必要があるとされてきた。(平成17年11月17日 朝日新聞)

65人に1人「体外受精」で誕生

精子と卵子を体外で受精させて子宮へ戻す「体外受精」によって国内で生まれた子供が、2003年の1年間で過去最高の1万7400人に達したことが、日本産科婦人科学会(武谷雄二理事長)の調査で13日明らかになった。調査したのは、同学会に体外受精の実施登録施設として届け出ている590施設。それによると、03年の体外受精による出生児数は1万7400人と、前年より2177人増加した。全出生数(112万3610人)に占める割合は1・5%で、この年に生まれた65人の赤ちゃんのうち1人が体外受精児になる計算だ。世界初の体外受精児は1978年に英国で誕生し、国内では83年に東北大が成功した。以来、体外受精は年々増え続け、同学会が調査を始めた86年以来の累積出生数は計11万7589人となった。調査を担当した久保春海・東邦大教授(産婦人科)は、「治療1回あたりの妊娠率はそれほど向上しておらず、不妊患者の数が増えた結果だろう。 安全に妊娠・出産できる年齢限界は35歳以下ということを認識してほしい」と述べ、体外受精件数を引き上げている高齢出産の増加に警鐘を鳴らしている。平成17年9月14日 読売新聞

寿命延ばす?たんぱく質発見

寿命を延ばす作用があるらしいたんぱく質を、黒尾誠・米テキサス大助教授と東京大、大阪大などのチームがマウス実験で見つけた。こうした物質が、哺乳(ほにゅう)類で見つかったのは初めて。このたんぱく質は人間でもつくられており、将来、薬でこのたんぱく質を増やすなどして、寿命が延ばせるようになるかも知れない。米科学誌サイエンスの電子版に26日、論文が掲載される。 この物質は、黒尾さんらが8年前に見つけた遺伝子「クロトー」がつくるたんぱく質。遺伝子操作でクロトーたんぱく質が通常のマウスの2〜2.5倍できるマウスを作ったところ、通常のマウスの寿命が平均約700日なのに対して、平均で2〜3割長生きし、3歳に達したものも出た。このたんぱく質は脳や腎臓でつくられる。一部が血液で体中に運ばれ、インスリンの作用を抑制するように働いていた。通常のマウスにこのたんぱく質を注射すると、血液中の糖を体の組織に取り込むインスリンの働きを打ち消し、血糖値が上がった。インスリンの働きを抑えすぎると糖尿病になるが、適度に抑えることで寿命を延ばすとチームは見ている。クロトー遺伝子が壊れたマウスは、動脈硬化や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、肺気腫などで短命なことが知られていた。黒尾さんはこのたんぱく質がホルモンとして老化を制御するとしており、「人の老化や生活習慣病の治療・診断に応用できる可能性がある」という。これまで、哺乳類の寿命を延ばす方法としては唯一、体に取り込むカロリーの制限(食事制限)が有効なことが、多くの動物実験で確かめられており、インスリンとのかかわりを指摘する説もある。(平成17年8月26日 朝日新聞)

長寿に重要な役割果たす蛋白質発見

長寿に重要な役割を果たす新しいたんぱく質を、国立遺伝学研究所(静岡県三島市)とチェコのサウスボヘミア大学の研究チームが明らかにした。このたんぱく質がうまく働かないと生活習慣病などを発症する恐れもあり、寿命を延ばす治療法開発にもつながると期待される。 12日付の英科学雑誌EMBOジャーナル電子版で発表された。 生体内では、栄養をエネルギーに変える過程や喫煙などで常に活性酸素が発生している。活性酸素は動脈硬化やがんなどさまざまな病気につながるが、通常は防御する仕組みが働き、正常に保っている防御には「AP―1」というたんぱく質が指令を出しているが、それを構成するアミノ酸の一つが酸化するとうまく働かなくなる。研究チームはたんぱく質「MBF1」が、AP―1の酸化を防いでいることを発見した。 MBF1遺伝子がないショウジョウバエは、ストレスを与えると寿命が約4分の3になったという。 研究チームの広瀬進・国立遺伝学研究所教授(分子遺伝学)は「MBF1はAP―1の活性を制御し、寿命をまっとうできるようにしている」と話している。(平成16年8月13日 読売新聞)

100歳調査、健康維持は男性上位 

100歳以上の高齢者では、女性より男性の方が健康を維持している人の割合が高いことが国立精神・神経センターなどの調査で分かった。100歳以上の高齢者の8割以上は女性だが、日常生活の基本動作を身体的介助なしに行える割合は約14%で、男性の場合の半分だった。 同センター精神保健研究所の尾崎章子研究員は「女性はさまざまな機能が弱っても生き続けられるが、男性は健康でないと100歳になるのが難しいのだろう」と分析している。 調査は00年4〜6月に実施。99年度の全国高齢者名簿(長寿番付)から無作為抽出した100歳以上の高齢者1907人(男566人、女1341人)に面接し、食生活や運動機能、病歴、家族構成などを調べた。その結果、歩行したり食事をするなど日常生活の基本的な動作を介助なしに行える人の割合は男性が30.9%だったのに対し、女性は13.6%しかいなかった。 会話するなど他人との意思疎通ができる人の割合も、男性58.1%、女性35.6%で男性が高かった。 また、現在の生活への満足感などを聞き取り調査し、心の健康状態を判定したところ、「健康」とされた割合は男性が39.2%で、女性の同26.8%を上回った。生活習慣を分析したところ、男性では「運動習慣がある」「視力が維持されている」「歯があって、普通の硬さの食事が食べられる」の3条件を満たすと健康な割合が高くなった。女性では「運動習慣」と「視力」に加え、「定時に目覚められる」「食欲がある」「同居の家族がいる」という条件がそろうと、健康な割合が高まった。 尾崎研究員は「これらは、健康な100歳を迎えるための条件といえる」と話している。(平成15年9月10日 毎日新聞)

老化抑える物質発見

老化を抑える画期的な物質を見つけたと、米ハーバード大などの研究チームが英科学誌ネイチャー(電子版)の最新号に発表した。「寿命を延ばす薬につながる可能性がある」と米メディアが詳しく報じた。ただし、実験で寿命延長を確認したのは酵母。本物かどうかは、今後の研究結果を待つ必要がありそうだ。 カロリー制限で寿命が延びることは動物実験で知られている。研究チームは、このときと同じ反応を生体内で起こす物質を赤ワインの成分中に見つけた。ポリフェノールの一種で、酵母を使った実験では通常より70%も寿命が延びた。ショウジョウバエでも効果が見られ、年内にネズミの実験を始める。 25日付ニューヨーク・タイムズ紙は「人間でも30〜50%は寿命が延ばせるかもしれない」という研究チームの見解を紹介。同日付ワシントン・ポスト紙も長寿薬につながる可能性を指摘した。ただ、両紙とも「老化の仕組みは複雑で、そう簡単に寿命は延ばせない」という専門家の慎重論も付け加えた。 老化抑制の薬は関係企業の株価に大きく影響する。 このため、ネイチャー誌はマスコミ向けの事前発表時、インサイダー取引をしないよう異例の警告をした。(平成15年8月26日 朝日新聞)

人の長寿遺伝子、見つけた」米研究チームが発表

人間の「長寿の遺伝子」を、米ハーバード大、バイオベンチャー企業センタジェネティクス社などの共同研究チームが発見した。千葉市で15日に開かれた老化の国際シンポジウムで報告した。 寿命を延ばす遺伝子は、小さな虫やネズミでは見つかっているが、人間では初めて。長寿を達成する薬の開発などにつながると期待される。研究チームのアンニバーレイ・プーカ医師によると、百寿者(100歳以上の人)や100歳前後の兄弟姉妹がいる137組の家族に協力してもらい、308人のDNAを採取して、長寿者に共通する部分がないか調べた。コンピューターを用いた分析の結果、23対の染色体のうち4番染色体上に遺伝子があることを突き止めた。 研究チームはこの遺伝子をCGX―1と名づけ、詳細を数か月以内に明らかにするとしている。 鍋島陽一京都大教授は「百寿者でこうした遺伝子を見つけるのは困難とこれまで考えられていた。注目に値する研究だ」と話している。(平成15年2月16日 読売新聞)

男性は長野、女性は沖縄が最も長生き

厚生労働省は12月17日、「2000年都道府県別生命表」の概況を公表した。前回の1995年データと比べると、すべての都道府県で平均寿命(0歳の平均余命)は延びていた。平均寿命を都道府県別にみると、男性は長野(78.90歳)がトップで、以下、福井(78.55歳)、奈良(78.36歳)、熊本(78.29歳)、神奈川(78.24歳)と続く。女性は沖縄(86.01歳)が最も長く、福井(85.39歳)、長野(85.31歳)、熊本(85.30歳)、島根(85.30歳)の順となっている。一方、都道府県別にみて平均寿命が短いのは、男性だと、青森(75.67歳)、秋田(76.81歳)、高知(76.85歳)、佐賀(76.95歳)、大阪(76.97歳)など。女性だと、青森(83.69歳)、大阪(84.01歳)、栃木(84.04歳)、茨城(84.21歳)、福島(84.21歳)などは短くなっている。地域的な傾向については、男性では関東南部から中部、近畿で高く、東北や九州では低い傾向にあり、女性では北陸や中部で高く、東北や関東北部、近畿で低い傾向がみられる。なお、2000年における全国平均の平均寿命は、男性が77.71歳、女性が84.62歳。ちなみに、2001年簡易生命表によると、男性は78.07歳、女性は84.93歳とより長生きになっている(関連トピックス参照)。死因別死亡確率(将来どの死因で死亡するかを示す割合)を都道府県別にみると、男女とも、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患の順に高いところが多い。さらに詳細に検討すると、男性の場合、すべての都道府県で1番は悪性新生物だが、岩手や宮城、秋田、山形、茨城、栃木、新潟、富山、長野、島根、鹿児島の11県では、脳血管疾患の方が心疾患より死亡確率が高くなっている。女性の場合、千葉や岐阜、静岡、愛媛、大分の5県では心疾患が、また、岩手や福島、栃木、新潟、長野の5県では脳血管疾患が、それぞれ1番となっている。(平成14年12月18日medwave)

長寿の人に低体温など3特徴

長生きする人には低体温など3つの特徴があることが、米国立加齢研究所グループの研究で分かった。また、低カロリー食によって長生きできるという通説が、サルの実験でより確実になった。米科学誌サイエンス2日号に論文が掲載される。 研究グループは、低カロリー食によって寿命が延びたサルには、体温が低い、血中のインスリン濃度が低い、DHEASと呼ばれる血中ステロイドの低下が遅い、と3つの特徴があることを突き止めた。 メリーランド州ボルティモアでの健康な男性の寿命調査データと照合したところ、この3つの特徴を備えた人は、食事制限をしていないのに生存率が高かった。 同グループは「寿命調査の対象者はとくにカロリー制限をしていない。低カロリー食をとらなくとも、3つの特徴を備えれば長生きできる可能性がある。長寿薬の開発につながるかもしれない」と話す。 低カロリー食と長寿の関係を探る実験では、60匹のサルを2群に分け、一方は好きなだけ食べさせ、他方はそれよりも30%カロリーの少ない餌を与えて育てた。実験開始から15年後では、低カロリー食のサルの死亡率は自由食の半分だった。(平成14年8月2日 朝日新聞)

平均寿命は女性84.93歳、男性78.07歳

日本人の平均寿命は、2000年と比べ女性が0.33年延び84.93歳、男性は0.35年延び78.07歳と、男女とも過去最高を更新したことが31日、厚生労働省がまとめた01年の「簡易生命表」で明らかになった。男女とも、世界トップクラスで、主要な死因であるがんや脳血管疾患で亡くなる人の割合が減ったことが、延びにつながったという。 簡易生命表は、その年の年齢別の死亡状況が今後も変化しないと仮定した場合、各年齢の男女があと何年生きられるかを示す平均余命などを算出したもの。0歳児の平均余命が平均寿命になる。(平成14年7月31日 朝日新聞)