新薬と後発品(ジェネリック)



後発薬品の品質検証へ 

厚生労働省は、特許切れの有効成分を使って従来品とは別のメーカーが製造する「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」について、新たな品質検証の仕組みを導入する。従来品に劣ると指摘する研究論文を、複数の研究者による検討会で精査し、後発医薬品に問題がないかを判断する。製薬企業側に不適切なデータ取得などの不正が見つかれば、承認取り消しも視野に厳正に処分し、医療現場に広がる後発医薬品に対する不信感の一掃を狙う。後発医薬品は従来品と同じ有効成分を使うが、着色料などの添加物が違うため、品質を疑う医師や薬剤師が多い。一部の薬に対しては、「不純物が混ざっている」「効かない」などと批判する論文や症例報告も出ており、後発医薬品が市場で半分を占める米英に比べ、日本では17%(2006年度)と低迷している。厚労省は、現場の不安を解消するために、厚労省の承認審査に加えて、第三者による検証が必要と判断した。(平成20年7月9日 読売新聞)

ジェネリック医薬品、生活保護者に安価薬 

生活保護受給者に対してジェネリック(後発)医薬品の使用を事実上強制する通知を厚生労働省が自治体に出していることが明らかになった。背景に医療費抑制を迫られる"国の懐事情"があり、通知書でも「後発医薬品は安く」「医療保険財政の改善の観点から」など、お金にかかわる文言が並ぶ。一方、指導に従わない生活保護者を割り出すため、薬局に1枚100円の手数料を払ってまで処方せんを入手するとしており、なりふり構わぬ様子がうかがえる。4月1日に始まった後期高齢者(長寿)医療制度に続き、生活保護者に限定した医費抑制策は「弱者切り捨て」との批判を呼びそうだ。生活保護者については「患者負担が発生しないことから、後発医薬品を選択するインセンティブ(動機付け)が働きにくいため、必要最小限の保障を行う生活保護法の趣旨目的にかんがみ、後発の使用を求める」としている。通知によると、都道府県や政令市などが所管する福祉事務所は、診療報酬明細書(レセプト)の抽出を行ってまで、生活保護者が後発薬を使っているか確認しなければならない。そのために、調剤薬局に1枚100円の手数料を支払い、先発薬を使っている生活保護者の処方せんの写しを提出させるとまで規定していた。先発薬の使用を指示した医師に対しては「特段の理由なく(受給者が)後発薬を忌避したことが理由でないかについて確認」することも盛り込んだ。国は後発薬の使用を生活保護者だけでなく国民全体に呼びかけているが、窓口で3割負担をする患者は調剤薬局などと相談して先発薬を選ぶこともできる。しかし生活保護者は「医学的理由がない」と判断されれば、保護の停止や打ち切りにつながりかねず事実上、選択権が奪われた形だ。ある自治体の担当者は「停止や打ち切りにつながることを、どういう形で受給者に説するか慎重に検討したい」と戸惑った様子で話す。(平成20年4月27日 毎日新聞)

海外新薬、1年半で承認


厚生労働省は患者の要望が強い新薬などを使いやすくする仕組みを整える。使用の承認に必要な治験(臨床試験)を製薬会社が素早くできるよう、複数の国で同時に効能を検証する「国際共同治験」を推進。海外で開発された薬などの承認までの期間を現在の約4年から1年半程度に短縮する。患者の選択肢を増やし、国内医薬品の質の向上につなげる。厚労省は月内に詳細を詰め、医薬品の質の向上に関する5カ年計画をまとめる方針だ。日本は新薬承認に時間がかかり、欧米で一般に使える薬が国内では使えない「ドラッグラグ(薬の時間差)」と呼ばれる問題が深刻化している。(平成19年4月19日 日本経済新聞)

新薬審査を迅速化

厚生労働省は新薬の承認審査を担当する独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」で新薬審査と臨床試験相談に当たる人員を、2009年度までの3年間に230―240人程度増やし、現在の約200人から倍増させることを決めた。 新薬の承認審査にかかる手数料の単価を引き上げ、増員の費用に充てる。審査体制を強化し、承認審査の迅速化を図る考えだ。国内では新薬が承認されるまでの時間が欧米より長く、例えば米国の平均1年に対し、日本は倍の約2年。このため欧米で承認済みの薬が国内ではなかなか使用できないのが現状で、医薬産業政策研究所の調査では、世界の売り上げ上位医薬品の約3割が日本では未承認だという。薬の承認審査に当たる人員は、2005年、米国は2200人、フランスは942人、英国は693人に対し、日本は197人と、欧米に比べ大幅に少なく、これが審査に時間がかかる要因の一つとなっている。(平成19年3月7日 日本経済新聞)

感染症専門の薬剤師を認定へ

薬剤耐性菌の発生など、医療現場で切実な問題となっている感染症に対応するため、医療機関に勤務する薬剤師でつくる日本病院薬剤師会(全田浩会長、会員約3万4000人)が、「感染制御専門薬剤師」の認定を始める。耐性菌を発生させにくい抗菌薬の使い方などを熟知し、医師に助言できる人材を育てる狙い。15日に初の認定試験を行い、年度内には専門薬剤師が誕生する。入院患者は病気や手術などで体力が低下しているため、耐性菌などが広がると重症化して死亡する恐れも高い。また、3年前に世界で流行した新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)は、病院内から感染が広がった。新型インフルエンザの発生が世界で警戒される中、院内感染対策は国内の病院にとっても最重要課題の一つとなってきた。感染制御専門薬剤師には、抗菌薬の適正使用や医療器具の消毒など、院内感染を防ぐための知識や技術が求められる。高い水準を維持するため、認定の有効期間は5年とし、同会などが開く講習会で所定の単位を履修しないと、更新が認められない。15日の初試験には193人が挑む予定。同会では「毎年100〜200人を認定し、10年後には、必要な病院には一人ずつ配置できるようにしたい」(尾家重治・山口大病院助教授)としている。同会は今後、がんやHIV(エイズウイルス)などの専門薬剤師の認定も開始する予定。高度化・細分化を続ける医療現場で、高い専門性を持った薬剤師の育成を目指す。(平成18年1月7日 読売新聞)

後発品の普及へ

厚生労働省は、医療費抑制の柱の一つとなる薬剤費の抑制案をまとめた。特許が切れた新薬(先発品)と同じ有効成分で売り出される安価なジェネリック医薬品(後発品)の使用を増やすため、医師の処方箋(せん)を変更することや、後発品がある先発品の価格の下げ幅を大きくする案を盛り込んだ。社会保障審議会医療保険部会に案を示した。後発品は患者負担も減るため厚労省が普及策をとってきたが、市場での割合は03年度で16%(数量ベース)。50%前後の欧米よりかなり低い。厚労省案では、処方箋に新たに「後発品へ変更可」「変更不可」のチェック欄を設け、医師が先発品名で処方しても、「変更可」にチェックすれば患者は後発品を選べるようにする。 後発品が出た場合の先発品の価格については、従来4〜6%引き下げていたが、さらに下げ幅を拡大する案と、後発品の市場価格に連動して先発品価格が下がる案を示した。ただ、財務省や与党の一部が提案する市販薬に類似した医薬品を保険対象外などとする案については「適用範囲を決めるのが難しい」とした。また厚労省は診療報酬改定について、小児科や救急医療など必要な分野への配分の必要性や、コンタクトレンズの処方に伴う検査のあり方を見直す考えなども示した。(平成17年11月14日 朝日新聞)

エイズ新薬開発

副作用がほとんどなく、従来の薬が効かなくなった人にも効果の高いエイズ新型薬を開発したと5日、熊本大の満屋裕明教授(内科学)が神戸市で開かれたアジア・太平洋地域エイズ国際会議で発表した。細胞に入り込もうとするエイズウイルス(HIV)を入り口でシャットアウトするこれまでにない働きを持つ。現行の薬は、耐性ウイルスができて、早ければ数日で効かなくなるが、新型薬は耐性ウイルスが極めてできにくいという特徴もある。 製品化されれば、治療の新たな切り札として期待される。 同教授によると、コードネーム「AK602」というこの新薬は、細胞の表面にあるCCR5というたんぱく質にくっつく。このたんぱく質は、HIVが人間の細胞に入り込む入り口。 ここに異物がくっつくことで、ウイルスは細胞に入れなくなる。 米国のエイズ患者計40人を対象に臨床試験を実施。 1日2回、1回600ミリグラムを10日間のんだ結果、ウイルス量が平均約100分の1に減り、600分の1まで減った患者もいた。 副作用は、便が軟らかくなった人がいた程度だった。 AK602は、CCR5の全体ではなく、HIVの入り口部分を選んでふさぎ、人間にとって必要な働きをする部分はあまりふさがない。 さらに、従来の薬がウイルスを攻撃するタイプなのに対し、新型薬は人間の細胞に反応する。 このため副作用が出にくいという。 また、今回対象にした40人のほぼ半数は、薬のほとんどが効かなくなった多剤耐性エイズの患者で、この人たちにも大きな効果を示したことになる。(平成17年7月6日 朝日新聞)

新薬の独占期間、6年から8年に延長へ

厚生労働省は新薬の保護期間を現在の6年から8年に延長する検討に入った。日本の保護期間は欧州に比べ短く、国内の製薬大手などからは画期的な新薬を開発しても投資費用を回収するのが難しいとの声が出ている。欧米の製薬大手による日本への買収攻勢が本格化するとの見方も強まる中で、国内メーカーの国際競争力を高める狙い。一方で保護期間後については後発薬の参入機会を広げて薬の価格の低下を促す。来年の医療制度改革にあわせて実施する方針だ。 現在は新薬の発売から6年間は成分が同じ後発薬の販売が禁止されている。新薬の特許期間とも呼ばれ、この間は競合品がなく、市場を独占できるため新薬の公定価格は高値で安定する。保護期間が過ぎて安価な後発薬が販売されると、価格競争で価格が下がる。(平成17年5月7日 日本経済新聞)

糖尿病などの新薬を承認申請

スイスの製薬大手ノバルティスは、糖尿病や高血圧症の有力新薬を来年前半に欧州で承認申請する計画を明らかにした。現在、実施している臨床試験は75件で1年前とほぼ同水準。年間売上高が10億ユーロ以上の「ブロックバスター」と呼ばれる大型品は昨年は5品目だったが、2008―09年には7つに増えるとしている。 ノバルティスは日米欧の高齢化や食生活の変化に対応、生活習慣病やがん、神経系疾患などの新薬開発を加速している。糖尿病の飲み薬として開発中の「LAF237」はすい臓内でインスリンを分泌する「β細胞」に作用し、血糖値の上昇を防ぐ。吐き気などの副作用が少なく効果が持続するという。20カ国以上で約6000人を対象に臨床試験中で、06年上半期の承認申請をめざす。(平成17年1月24日 日経産業新聞)

抗アレルギー剤の小児用向け承認取得

独系製薬の日本ベーリンガーインゲルハイム(BI)は19日、小児用抗アレルギー剤
「アレジオンドライシロップ1%(一般名は塩酸エピナスチン)」に関して、同日付で製造承認を取得したと発表した。従来品の抗アレルギー剤「アレジオン」と同様に三共と共同販売する。同剤の対象患者を拡大し、収益拡大につなげる。 アレジオンは日本BIが開発した医薬品。強い抗ヒスタミン作用を持つが、1日1回の投与と利便性が高く、他剤に比べて眠気が少ないことが特徴という。1994年に発売され、03年度の売上高は200億円程度(薬価ベース)と日本BIの主力製品となっている。発売当初から三共と共同販売している。(日経産業新聞2005・1・20)

週1回服用の骨粗鬆症治療薬が承認申請

帝人ファーマと万有製薬は、ビスフォスフォネート系骨粗鬆症治療薬(一般名・アレンドロネート)について、週1回の服用で済む製剤を厚生労働省に承認申請した。のみやすさにつながることともに、処方機会も増えることに期待を寄せる。上市は2005〜06年になるとみられる。現在の用法は1日1回で、起床後に服用する形で、消化管に炎症に起こすおそれがあるため、服用後最低30分は横にならず、飲食も避けることとされている。週1回製剤になることで、それを毎日繰り返すことがなくなる。1日1回の製剤は現在、帝人は「ボナロン」、万有は「フォサマック」の名称で販売。週1回製剤は、2月25日付で承認申請された。帝人は年間100億以上の売り上げを見込む。(平成16年3月23日 薬事日報)

投与量40分の1の真菌症治療薬を発売

米系製薬大手ファイザーは、投与量が従来の40分の1で済む真菌症治療薬を15日に発売する。患者負担の軽減につながるほか、投与開始後2日間の倍量投与も可能なため、治療効果が高い。呼吸器や消化管、泌尿器に生じる真菌症の治療を手がける医療機関に売り込み、1年で1億5000万円の売上高を目指す。製品化する「プロジフ静注液」(一般名はホスフルコナゾール)は、投与後に体内で活性化する性質がある。水に溶けやすく、同社の主力抗真菌剤「ジフルカン」で必要だった200ミリリットルの注射液が、5ミリリットルで済むようになる。(平成16年1月15日 日経産業新聞)

1日1回の投与で済むHIV薬を来月発売

米系製薬のブリストル・マイヤーズ(東京・新宿)はエイズウイルス(HIV)感染症治療薬「レイアタッツカプセル」を来年1月6日に発売する。他のHIV治療薬と併用するプロテアーゼ阻害剤というタイプ。1日1回の投与で済むため、患者の利便性が高い。 一般的な成人の場合、200ミリグラムのカプセルを1日1回2カプセル服用する。同じプロテアーゼ阻害剤に属する既存のHIV治療薬は1日2―3回の投与が必要だった。新薬剤は服用量が少ないうえ、脂質濃度への影響が少なく、健康に悪影響を及ぼす可能性が低い。 米国では7月から販売され、売り上げを伸ばしている。日本でも25日に薬価(薬の公定価格)が決定する見通し。英系のグラクソ・スミスクラインも別タイプで1日1回投与のHIV治療薬「エピビル」を日本で10月に発売している。(平成15年12月24日 日経産業新聞)

世界初のケトライド系抗菌薬テリスロマイシンが発売

今年10月に承認された、ケトライド系に属する初めての経口抗菌薬テリスロマイシン(商品名:ケテック)が、12月15日から発売された。わが国ではアベンティス ファーマが製造、三共と藤沢薬品工業が同一商品名で販売する。抗菌スペクトルが広く、ペニシリン・マクロライド耐性肺炎球菌にも感受性を持つ点などが評価され、類似薬効比較方式で算定された経口抗菌薬として、初めて「有用性加算1」(画期的な新薬には及ばないものの、高い有効性や安全性を示す新薬に付与)を獲得した。

わが国における適応症は、テリスロマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ・カタラーリス、インフルエンザ菌、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属、肺炎クラミジア、肺炎マイコプラズマ、レジオネラ属による、呼吸器領域、耳鼻咽喉科領域と歯科領域の感染症。

具体的な適応疾患は、扁桃炎、咽頭炎、咽喉頭炎、急性気管支炎、慢性呼吸器疾患の二次感染、肺炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎。わが国では、市中肺炎の主要な原因菌の一つである肺炎球菌のうち、実に8割弱がマクロライド耐性、3割がペニシリン耐性とのデータがある。こうした耐性肺炎球菌に効果がある上、マイコプラズマやレジオネラへも感受性があることから、特に市中肺炎に対して広く使われることとなりそうだ

用法・用量は、1日1回2錠(600mg)の経口投与。代謝に食事がほとんど影響しないため、服用タイミングに対する指定はない。ただし、投与期間には限定があり、歯科領域感染症が3日間、呼吸器・耳鼻咽喉科領域が5日間。肺炎には症状により最大7日間まで投与できる。なお、小児や、中耳炎には適応がない。

テリスロマイシンは、2001年10月のドイツを皮切りに、欧州各国とラテンアメリカの主要国で販売されており、100万人以上に対する市販後データの集積がある。米国では今年1月に米国食品医薬品局(FDA)が、追加データの提出を条件とする認可可能通知を発出。フランスAventis社は10月20日までに、約2万4000人の感染症患者を対象とする臨床試験(試験番号3014)の追加解析データと、承認国における市販後データを提出しており、来年4月まで(追加データ提出から6カ月以内)にFDAが裁定を下す予定だ。(平成15年12月16日Med Wave)

小児用のアトピー性皮膚炎治療薬「プロトピック」を発売

藤沢薬品工業はアトピー性皮膚炎治療薬「プロトピック軟膏0.03%小児用」(一般名:タクロリムス水和物)を12月12日付で即日発売すると発表した。タクロリムス水和物は、わが国では1993年から免疫抑制薬「プログラフ」として経口薬と注射薬が販売されており、1999年からは16歳以上向けの「プロトピック軟膏0.1%」が、アトピー性皮膚炎治療薬として上市された。今回発売される小児用軟膏は、成人用よりも濃度が低い(0.03%)、2〜15歳向けの製剤。承認された効能はアトピー性皮膚炎で、使用上の注意として、ステロイド外用薬などによる既存療法では治療効果が不十分だったり、副作用のため使えない場合にのみ使用するとの限定が付けられている。(平成15年12月12日MedWave)

アベンティス、利き目が24時間持続するインスリン

仏系製薬のアベンティスファーマは、1日1回の投与で24時間効き目が持続するインスリン製剤を12日、日本で発売する。投与後に徐々に溶解する仕組みを持たせたことで、これまで1日2回は必要だった注射の負担や、睡眠中の血糖値変異を抑制。増加している糖尿病患者向けに拡販し、早期に同製剤の国内シェアで首位を目指す。インスリンは糖尿病患者などの高血糖値を抑制するための薬剤。製品化する持効型溶解インスリン製剤「ランタス」は、もともと溶液状だが、投与後に体内で凝縮。安定した血糖降下作用を示す。従来品の場合に投与から約6時間後に作用のピークが来たあと急激に効果が薄れることなどから生じていた夜間低血糖の発生率も、4割減るという。先天的な糖尿病患者の「1型」と、生活習慣病由来の「2型」患者の双方に対応。他のインスリン製剤との併用も可能。(平成15年12月9日 日経産業新聞)

バイアグラ、レビトラに続く勃起不全治療薬

米食品医薬品局(FDA)は、イーライ・リリー社の勃起(ぼっき)不全治療薬「シアリス」を承認した。バイアグラ(98年3月)、レビトラ(今年8月)に続き3種目。先行の2種より効果が長続きするのが特徴という。 効く仕組みは先行2種と同様で、体内の酵素の働きを邪魔して男性器への血流を増やす。4000人の臨床試験では、早い人だと服用後30分で効き始めた。 臨床試験で確認された副作用は、頭痛や消化不良、背中の痛み、筋肉痛など。FDAは、勃起不全の原因を医師に診断してもらってから服用するよう呼びかけている。(平成15年11月23日 朝日新聞)

2型糖尿病治療薬「アバンダメット」がEUで承認取得

英国グラクソ・スミスクライン(GSK)は24日、EUで10月23日に2型糖尿病治療薬「アバンダメット」(マレイン酸ロシグリタゾンと塩酸メトホルミンの配合剤)の承認を取得した、と発表した。「アバンダメット」は塩酸メトホルミンの単独投与に比べて血糖コントロールが良好で、2型糖尿病の合併症リスクを軽減する。さらに従来の糖尿病治療薬でよくみられる低血糖症のリスクを軽減するとの報告もある。(平成15年10月27日 日刊薬業)

C型肝炎に有望飲み薬 体内ウイルス量、急減

C型肝炎ウイルス(HCV)の増殖を阻害し、体内のウイルス量を急速に減らせる飲み薬を開発したと、製薬会社べーリンガーインゲルハイム(本社ドイツ)が27日、英科学誌ネイチャー電子版に発表した。C型肝炎患者に飲んでもらったところ、血液のウイルス量は100分の1−1000分の1以下になったという。安全性や効果が確認されれば、有望な治療薬になると期待される。

開発したのは、HCVが増殖する際に欠かせないNS3プロテアーゼと呼ばれる酵素に結合し、働けなくする物質。同酵素の立体構造に基づいて設計し、合成した。液体に混ぜて飲み薬にして、日本人にも多いHCV1型の感染者8人で効果を試した。2日間に計4回服用したところ、全員のウイルス量がすぐ減り、24時間後にはウイルスが検出できなくなった人もいた。(平成15年10月27日 中国新聞)

直腸がん薬を発売

米系製薬の日本ワイスレダリー(東京・中央)と大鵬薬品工業は共同開発した結腸・直腸がんの経口治療薬を、それぞれのブランドで発売した。大鵬薬品の結腸・直腸がん治療薬「ユーエフティ」の効果を増強する薬で、成長が期待できるがん治療薬分野を充実させる。 日本ワイスレダリーは「ロイコボリン錠25ミリグラム」、大鵬薬品は「ユーゼル錠25ミリグラム」としてそれぞれ販売する。 ユーエフティと併用した場合、がん細胞を小さくするなどの効果が出た割合(奏功率)は36.4%と、抗がん剤の中では比較的高い効果が出たという。 ただ正常細胞もたたくため、両社は副作用の状況を監視していく。(平成15年10月2日 日経産業新聞)

レキオファーマ・三菱ウェル 初の内痔核治療薬来年発売へ

手術が唯一の治療手段となっている重度内痔核に対する初の治療薬が来年にも登場する。この新薬は、バイオベンチャーのレキオファーマ(沖縄県那覇市)と三菱ウェルファーマが共同開発した内痔核治療薬「ジオン」。製造販売元となる三菱ウェルファーマが今年3月に製造承認申請し、2004年度の承認を見込んでいる。(平成15年9月19日 日刊薬業)

エーザイ、血管収縮させる片頭痛薬を発売

エーザイは片頭痛治療薬「マクサルト錠」を24日に発売する。発作時に拡張した血管を収縮させる新しいタイプで、激しい頭痛を短時間で改善するという。 初年度で10億円、10年後に100億円の売り上げを目指し、主力とする中枢神経領域の製品力を強化する。 杏林製薬が米製薬大手のメルクから輸入した製品を仕入れて販売する。 通常の錠剤のほか、水なしでも口内で自然に溶ける崩壊錠がある。 海外では78カ国で販売中。 同タイプの片頭痛薬は米系ファイザーや英系グラクソ・スミスクラインも販売しており、競争が激化しそうだ。(平成15年9月13日 日本経済新聞)

パリエットの追加承認

エーザイは、プロトンポンプ阻害剤「パリエット」(一般名・ラベプラゾールナトリウム)について、7月に承認を取得した逆流性食道炎の維持療法で国内の販売拡大をねらう。同剤の逆流性食道炎に対する投与期間は、これまで8週間までと制限されていたが、今回の承認により、再発・再燃を繰り返す場合には8週間を超えて投与できるようになった。(平成15年8月6日 日刊薬業)

副作用ゼロの免疫抑制物質発見

副作用のない新しい免疫抑制物質を、筑波大臨床医学系の湯沢賢治講師(臓器移植学)と味の素医薬研究所(川崎市)のグループが発見した。米国で開催中の国際移植学会で発表する。 免疫抑制剤は、臓器移植治療で移植臓器を異物として攻撃する「拒絶反応」を抑える欠かせない薬。しかし、現在主流の薬は腎臓障害などの副作用がある。 新物質は「APC0576」と呼ばれる化学物質。味の素が医薬品開発の基礎材料として人工合成、保存する約7万種の化学物質から、湯沢講師らが選び出した。そのうえでアカゲザル2匹に、別のサルの腎臓を移植し、新物質を体重1キロ・グラム当たり50ミリ・グラムを1日2回、30日間投与。その間、移植した腎臓は正常に働き、副作用はまったく見られなかった。 湯沢講師は「人間に近いサルを使った実験の成果からすると、人間への効果も期待できる」と話す。 日本移植学会理事の大島伸一・名古屋大教授の話「実験例がまだ少ないため、さらなる検証が必要だが、臓器移植の最大の問題の拒絶反応を、副作用なく抑えられた実験結果は評価できる。今後を期待したい」。(平成14年8月24日 読売新聞)

国内初の長時間作動型吸入β2刺激薬

グラクソ・スミスクライン(GSK)は17日、気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患治療薬「セレベント25ロタディスク」「セレベント50ロタディスク」を発売した。セレベントは国内初の長時間作動型吸入β2刺激薬。これまで発作治療薬として使用されてきた短時間作動型吸入β2刺激薬と較べると作用時間が長く、1回吸入すると12時間以上にわたって気管支を拡張させる効果がある。(平成14年6月20日 日刊薬業)

小野薬品が世界初の急性肺障害治療剤を新発売

小野薬品は、17日から全身性炎症反応症候群に伴う急性肺障害に対する世界で初めての治療剤「注射用エラスポール100」を新発売する。同剤は、急性肺障害の発症に深く関与している好中球(白血球の一種)から放出されるエラスターゼ(酵素)を選択的に阻害し、低下した呼吸機能を改善することで人工呼吸器の装着期間を短縮して、患者の人工呼吸の装着による強いストレスや呼吸器感染症の併発を減少させる。さらに、人工呼吸器の早期離脱により集中治療室(ICU)から退出を早めることで、医療コストの削減効果も期待されるため、国内はもとより世界的にも画期的新薬として注目を集めている。海外においては、導出先の米国イーライ・リリー社が昨年8月から急性肺障害を対象とした同剤の第U相臨床試験を欧米を中心とした6カ国で実施中で、今年末には終了できる見込み。今後、順調に開発が進めば、平成17年頃には世界的に申請されると予測されており、「日本初の新規性の高い画期的なグローバル新薬」として将来的な成長が期待されている。薬価は1バイアル6167円。(平成14年6月17日 薬事日報)

肺がんの新薬をスピード承認

厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会は12日、新世代の肺がん治療薬ゲフィチニブ(商品名イレッサ)の輸入を承認した。ゲフィチニブは、既存の抗がん剤が効かないタイプの肺がん(非小細胞がん)を縮小させる効果があり、通常1年以上かかる手続きが約5か月に短縮された。承認にあたり、使用は手術不能例と、がん再発例に限定する条件が付いた。薬価の決定などを経て、秋ごろ使用開始の見込み。ゲフィチニブは、がん細胞の特定の部分に的を絞って働く「分子標的薬」の一種。正常細胞も区別せずに攻撃する既存の抗がん剤と違い、重い副作用がほとんど見られない。日本と欧州で行われた治験では5割の患者に効果があった。国内では肺がんで年間5万人以上が亡くなっており、諸外国に先駆けての承認となった。(平成14年6月12日 読売新聞)

吸入ステロイド喘息治療剤の輸入承認される

大日本製薬は、吸入ステロイド喘息治療剤「キュバール(一般名プロピオン酸ベクロメタゾン)」の輸入承認を4月11日付で取得した。同剤は、喘息の維持療法に用いられているプロピオン酸ベクロメタゾンを主薬とする定量噴霧式エアゾール剤で、3M社(米国)の医療事業部門である3Mファーマシューティカルズから導入されたもの。@3M社の優れた製剤技術改良による超微粒子エアゾールで、約40%の高い薬物肺内送達率を示すA高い薬物肺内送達率により、1日2回の投与が可能B既存のプロピオン酸ベクロメタゾン定量噴霧式エアゾール剤の1日吸入量の半量で同等の効果を示すC噴射剤としてオゾン層を破壊しない代替フロン「HFA‐134a」を使用。大日本製薬では、2001年9月、シェリング・プラウとの間で同剤の共同販売契約を締結。販売時(8月予定)には、日本国内において両社が「キュバール」の商品名で並行販売する。(平成14年5月1日 薬事日報)

抗アレルギー薬「クラリチン」を承認

薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は4月26日、シェリング・プラウが申請していた抗アレルギー薬「クラリチン」(一般名ロラタジン)の承認可否を審議し、承認して差し支えないとの結論を得た。同剤は世界市場で年間売上高が30億ドルを超え、米国市場ではアレルギー領域治療薬のトップシェアを誇る製品。日本の抗アレルギー薬市場でも、大型化が期待されている新薬。次回の薬事分科会に報告される。再審査期間は6年、毒薬、劇薬の指定はない。承認が了承されたのはロラタジン原末(シェリング・プラウが輸入)、クラリチン錠10mg(シェリング・プラウが製造)。「アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒」を効能・効果とする第2世代のヒスタミンH1受容体拮抗剤。免疫機能の一部を担う肥満細胞から分泌されるヒスタミンやロイコトリエンなど、くしゃみ等を誘発する物質の働きを抑えることに加え、強力なH1受容体拮抗作用を有する。1日1回服用するだけで効果が持続するため、利便性に優れているだけでなく、眠気などの副作用軽減が期待される。服用後、30分から1時間で効果を発揮する。欧米でのプラセボを対照とした試験で、眠気による機械誤操作などの副作用発生率は、プラセボ群と変わらなかった。平成6年に承認申請を行ったが、@プラセボを対照とした試験成績がないA用量反応性が不明確で、薬効を証明できない――等の理由から申請を取り下げ、昨年に再申請を行ったため承認が遅れた。現在、世界100カ国で慢性蕁麻疹、アレルギー性鼻炎の治療薬として販売されている。シェリング・プラウは、国内で塩野義製薬と契約を結び販売していく。(平成14年5月1日 薬事日報)