薬害(副作用)について


ボツリヌス毒注射の副作用で16人が死亡

美容整形にも使われるボツリヌス菌毒素の注射による副作用で、9年間に16人が死亡したと、米消費者団体「パブリック・シチズン」が発表した。ボツリヌス毒は、神経を一時的にまひさせ、筋肉を弛緩させる。筋肉が異常に緊張する病気などの治療のほか、眉間のしわを取る美容整形にも使われる。同団体は、製薬会社から米食品医薬品局(FDA)への自発的な副作用報告を分析。まひの影響で飲食物が誤って気管へ入り、肺炎を起こすといった例が、1997年11月〜2006年12月に米国内で180件あり、16人が死亡していた。 死者のうち4人は少年だった。副作用は病気治療で多いが、しわ取りでも少なくとも1人が死んでいた。(平成20年1月26日 読売新聞)

ぜんそく薬「テオフィリン」、乳幼児の使用制限へ

気管支ぜんそくや気管支炎の治療薬として国内で年間40万人以上に処方される「テオフィリン」の使用後に、乳幼児が重いけいれんや脳症を起こすなどの報告が相次ぎ、日本小児アレルギー学会は、小児気管支ぜんそく治療指針に5歳以下への使用制限を盛り込むことを決めた。新潟市民病院の医師らは、服用後に重いけいれんや脳症で運ばれた子供が1991〜2002年の間に54人おり、うち2人が死亡したと、03年10月の日本小児科学会誌に報告した。また、大阪市立総合医療センターの塩見正司・小児救急科部長によると、98〜04年に同センターに運ばれた服用後の子供のうち、11人に知的障害などが残り、別に1人が点滴による過剰投与のせいで死亡した。代表的なメーカーの三菱ウェルファーマの集計でも、シロップ剤を発売した93年以降、5歳以下でけいれん約160例、重症けいれん約80例、後遺症約20例の報告がある。テオフィリンは、治療に有効な血中濃度の値と、けいれんなど副作用の危険が高まる値が近く、薬の添付文書では血中濃度を測りながら使うよう求めている。日本小児アレルギー学会の新たな治療指針では、テオフィリンは第一選択にはせず、追加の治療で検討する薬とし、「ぜんそく治療に精通した医師が注意深く使うべきだ」とした。特に2歳未満には、最後の選択肢として使用を極力制限する。なかでも座薬は血中濃度が急激に上がる危険性が指摘されているため、「推奨しない」とした。指針作成委員長の森川昭広・群馬大教授の話「重いけいれんとの因果関係を示す十分な証拠はないが、体質的にけいれんを起こしやすい乳幼児への投与は、慎重になるべきだと判断した」(平成17年11月18日 読売新聞)

抗うつ剤、パキシルで先天異常増加か

日本でも販売されている抗うつ剤のパキシル(一般名・塩酸パロキセチン水和物)について、妊婦が服用した場合の胎児の先天異常の発生率が、他の抗うつ剤より高いことを示すデータが得られたとして、製造元の英グラクソ・スミスクラインが、医師に慎重な投与を求める記載を添付文書に加えることになった。 米食品医薬品局(FDA)が27日発表した。グラクソの資料とロイター通信によると、同社が妊娠3カ月までに抗うつ剤を服用した女性約3600人の子供を調査。心臓などの先天異常発生率は約4%で、薬の種類でみるとパキシル服用者での発生率が高かった。先天異常の一般的な発生率は約3%という。同社は、現時点では因果関係ははっきりせず、今後さらに調査を続けるとしている。グラクソ日本法人によると、日本ではパキシルは00年11月から販売され、04年の売り上げは420億円。厚生労働省は「添付文書を改訂する方向で検討する」としている。(平成17年9月28日 毎日新聞)

副作用の有無、血液1滴で判断

薬の副作用が出るかどうかなどを、患者の血液1滴で1時間半で解析するシステムを理化学研究所などが開発、27日発表した。多数の装置を使い、数日かかった解析を自動化、病院でも簡単に使えるようにした。2006年秋には臨床研究用の試作品を出す予定で、患者の体質に合わせた「オーダーメード医療」の実現に役立つと期待される。人間の遺伝情報は、約30億個の塩基が並んでできている。このうち、「SNP」と呼ばれる一部の配列の違いで、体内の酵素の働きなどが変化、病気のかかりやすさや薬の効き方が異なってくる。 このSNPを簡便に調べることができれば患者に合った医療が実現できるとされていた。従来の解析は、1日がかりで血液からDNAを分離して、精製。 それを温度調節して増やし、蛍光検出装置で調べていた。理研は、DNAを分離・精製せずに血液のままで検査する方法を、島津製作所や凸版印刷などと共同開発した。この装置なら、血液1滴をプラスチックチップにたらして機械に入れるだけで、副作用を引き起こすかどうかなどを迅速に判定できるという。(平成17年9月28日 読売新聞)

テリスロマイシン服用時の運転控えて

テリスロマイシン(商品名はケテック)服用によって意識消失が起こる場合があることを薬剤師が説明していたにもかかわらず、服用後に自動車を運転した患者が運転中に意識を失う事例が発生した。このことを重く見た厚生労働省は4月15日付けで販売元のアベンティスファーマに対し、(1)患者用の説明資料の作成、提供、(2)服用後の運転が危険であることを患者に説明するよう医薬関係者に依頼する、(3)発生機序解明のための調査・研究の実施、などを指示した。問題の事例は70歳代の男性で、インフルエンザに伴って副鼻腔炎を併発していたため、抗炎症薬、非ステロイド性消炎鎮痛薬とともに、テリスロマイシンを1日量600mg処方したところ、投与3日目になって運転中に15秒間程度意識が消失した。耳鳴りの前駆症状があったため、意識消失の直前にブレーキをかけたため、幸い交通事故には至らなかったという。この事例では、薬剤師からは説明が行われていたが、担当医師は説明を行わなかった。同薬については、既に今年1月14日付けで意識消失について仕様上の注意が改訂されているが、医療関係者から患者への説明が徹底していなかったため、交通事故発生に準じる事態が起きたことになる。平成17年4月18日 medwave)

関節リウマチの鎮痛薬、副作用で販売中断

関節リウマチの痛み止めなどに使われる非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAID=エヌセイド)の「COX2阻害薬」が心筋梗塞(こうそく)などの発症率を高めるとのデータが明らかになったことから、米ファイザー社は、この薬の一種「ベクストラ」(一般名バルデコキシブ)の販売を中断すると発表した。米政府が「ベクストラの発症率は他のNSAIDと異なるものではない」としながらも、「まれに重い薬疹(しん)も起こす」として回収を求めたのを受けた措置。米政府は同時に「すべてのNSAIDが心筋梗塞などを起こす危険性がある」として、メーカーに添付文書に警告文を追加するように要請した。同社のもう一つのCOX2阻害薬である「セレブレックス」(一般名セレコキシブ)は既に警告内容が記載されており、継続使用される。同社の2薬は日本では未承認だが、個人輸入して使う患者も少なくない。(平成17年5月16日 読売新聞)

乳がんリスク、抗生物質の頻用で2倍に 

抗生物質を頻繁に使う女性は、そうでない女性に比べ乳がんになるリスクが最大2倍を超えるという大規模な調査の結果を、米ワシントン大などの研究チームがまとめた。米医師会誌18日号で発表する。理由はよく分かっていないが、抗生物質の乱用に警鐘を鳴らす結果といえそうだ。米ワシントン州のがん検診のデータを利用し、乳がんが見つかった2266人と、乳がんではなかった7953人について、過去の処方記録などから抗生物質の使用頻度を調べた。抗生物質の使用経験がある女性を使用日数ごとに分け、未使用の女性と比べると、乳がんのリスクは1.45倍(1〜50日使用)〜2.14倍(501〜1000日使用)になっていた。使用頻度が高かった人ほど、乳がんによる死亡率も高い傾向があった。

抗生物質が、腸内細菌に悪影響を及ぼして有害物質が体内に吸収されやすくなったり、免疫系のバランスを崩してがんが抑えられなくなったりすることが考えられるという。 研究チームは「抗生物質が必ずしも必要でない場合まで使われるのは気がかりだ」と指摘し、それをやめれば、乳がんの一部は防げるかもしれないとしている。(平成16年2月17日 朝日新聞)

インフルエンザ、治療薬「タミフル」で26人が副作用

インフルエンザのA、B両型に効くため、人気の高い抗ウイルス薬「タミフル」(一般名・リン酸オセルタミビル)を服用した患者26人が、急性腎不全や白血球減少などを起こしていたことが分かり、厚生労働省は販売元の中外製薬に対し、使用上の注意を改訂するよう指示した。厚労省によると、01年2月の販売開始後、急性腎不全7人、白血球減少12人、血小板減少7人の副作用報告があった。死亡例はなかったが、同省は異常が認められた場合はただちに投与を中止するよう、医師に呼び掛けている。タミフルは医師の処方せんなどがなければ使用できない「要指示医薬品」。同社がスイスから輸入・販売しており、昨年度の推定使用患者数は538万人。昨シーズンは需要が急増し、一時品切れとなる騒ぎになった。01年2月から販売されている錠剤「タミフルカプセル75」と昨年7月に販売された子ども用の「タミフルドライシロップ3%」の2種類がある。(平成15年8月29日 毎日新聞)

NSAIDは流産の危険性を高める

妊娠中に非ステロイド系消炎鎮痛剤を服用した場合、流産のリスクが1.8倍に高まる。 米国にカリフォルニア州におけるコホート研究の結果、こんな事実が明らかになった。 特に、妊娠初期や1週間以上の長期服用では、5.6〜8.1倍と大幅にリスクが高まるという。 研究グループは、「妊娠を望む女性は妊娠初期のアスピリンやNSAIDの服用は避けるべきだ」と警告している。研究結果は、British MedicalJournal誌2003年8月16日号に掲載された。米Kaiser Permanente財団研究所のDe-Kun Li氏らの研究グループは、Kaiser Permanente財団の医療保険加入者に対するコホート研究の一環として、妊娠中の非ステロイド系消炎鎮痛剤の服用と流産の関係について調査した。Kaiser Permanente財団の医療保険加入者のうち、サンフランシスコと南サンフランシスコ地区在住で、1996年から1998年にかけて、尿検査で妊娠が確認された女性2729人のうち、文書で同意を得た1063人を対象とし、調査は面接法で実施した。本研究ではNSAIDとしてイブプロフェン、ナプロキセンだけを対象としており、アスピリン、アセトアミノフェンは別に分類している。アウトカムは妊娠20週以前の自然流産である(日本では妊娠22週以前を流産と定義している)。その結果、非ステロイド系消炎鎮痛剤とアスピリンのいずれも服用しなかった対象者では、980人中149人(15%)で流産が起きたのに対して、アスピリン以外のNSAIDを服用した53人中では13人(25%)と有意に多かった。 相対リスクは1.8倍(95%信頼限界:1.0-3.2)だった。なかでも、妊娠1週間以内の服用者では12人中6人(50%)で相対リスクは5.6(95%信頼限界:2.3-13.7)、1週間以上の服用者では6人中4人(67%)で相対リスクは8.1(95%信頼限界:2.8-23.4)と、いずれも有意に高く、流産の危険性がさらに高くなることが明らかになった。 この傾向はアスピリンでも同様で、服用者22人中5人(23%)が流産した。ただし、相対リスクは1.6倍(95%信頼限界:0.6-4.1)と他のNSAIDに比べてやや関係は弱く、有意差はなかった。 妊娠1週間以内の服用と1週間以上の服用における相対リスクは、それぞれ、4.3倍、3.0倍で有意に高かった。 一方、アセトアミノフェンでは、服用者の流産は172人中24人(14%)で相対リスクは1.2(95%信頼限界:0.8-1.8)、妊娠1週間以内の服用と1週間以上の服用でも相対リスクはそれぞれ、0.8倍、0.7倍で、すべて有意差はなかった。筆者は、本研究がNSAIDと流産の関係について特化したものではなく、確認のためにはさらなる調査研究が必要としているが、「いずれにせよ、妊娠を望んでいる女性本人や医師はNSAIDの危険性を認知し、受胎前後の服用は避けるべきだ」と警告している。 現在、日本国内で販売されている医療用、および市販品のアスピリンやその他のNSAIDの添付文書では、妊娠時の服用について記載のないものや、妊娠後期の服用だけを禁忌としているが多い。 本研究の調査結果は、こうした現状に警鐘を鳴らすものと言えそうだ。(平成15年8月22日medwave)

急性B型肝炎、治癒後もウイルス残り、2次感染の可能性

急性B型肝炎が治った後も、ウイルスが血中に残るケースがあることが、国立病院大阪医療センターの結城暢一・消化器科医長らのグループの調査で分かった。本人の健康に影響を与える可能性はほとんどないレベルだが、献血での検査をすり抜けて2次感染させる可能性があり、輸血の際の安全管理体制などに影響を与えそうだという。グループは、発症から約2〜9年過ぎて、肝機能が回復し、治ったとみられる急性B型肝炎の元患者14人を検査した。その結果、3人の血液から、1ミリリットル当たり770個、同1300個、同2万4000個のウイルスがそれぞれ見つかった。また、肝臓の組織の採取に同意した9人全員の肝臓組織からもウイルスを検出した。 急性B型肝炎は体内にウイルスを攻撃する抗体ができれば治ったとされる。 しかし、生体肝臓移植の際に、急性B型肝炎が治った提供者から移植を受けた患者に感染することがあり、医療関係者の間で「肝臓にはウイルスが残る場合がある」と言われてきた。結城医長は「急性B型肝炎に感染したことがある人らは、献血の対象から除いたり、血液中のウイルスを不活性化する措置などが必要だ」と話している。 京都大医療技術短期大学部の福田善弘教授(肝臓病学)の話 輸血後にB型肝炎に感染するケースはまれに報告があり、「原因がよく分からない」とされてきたが、献血の検査の精度以下の微量のウイルスが残っていたのかもしれない。献血の際の検査態勢や、輸血の際のインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)のやり方に検討が必要かもしれない。(平成15年8月17日毎日新聞)

献血汚染、3年間で300件の「感染疑い」

肝炎ウイルスなどに汚染された可能性のある輸血用血液が供給されていた問題で、日本赤十字社が高感度の検査を導入した後、昨年までの3年間で医療機関から「輸血による感染が確実」と報告されたケースが約300件に上ることが13日、分かった。 追跡調査の結果、日赤は15件について輸血感染を認めている。うち1人は昨年に劇症肝炎を発症した後、死亡していた。 日赤はこうした追跡調査を一部しか行っていなかったため、同日に開かれた血液事業部会安全技術調査会で追跡調査のガイドラインの作成など改善策を公表した。 日赤が血液中に含まれるウイルスを100万倍以上に増幅して検出する高感度の「核酸増幅検査(NAT)」を導入したのは1999年10月。日赤によると、医療機関から「患者が輸血で感染した」として報告を受けたのは、B型肝炎ウイルス(HBV)は2000年が41件、01年が49件、02年が65件と計155件。 C型肝炎ウイルス(HCV)はそれぞれ56件、51件、33件と3年間で計140件で、HBVと合わせると輸血感染の疑いは計295件に上った(平成15年8月14日 日本経済新聞)

住友製薬が「ダン・リッチ」発売中止へ

住友製薬は8月11日、塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)を含有する国内唯一の医療用医薬品「ダン・リッチ」について、世界的にPPAが使用されない状況への転換の動きがあることなどを踏まえ02年11月に発売中止の事前報告書を厚労省に提出していると発表した。 医療用医薬品である同剤は医師の判断により処方されるため、所定の手続きを経て発売中止するまでの間は供給を継続するが、医療機関に注意を喚起し適正使用の徹底を図るとともに、使用上の注意の、禁忌、副作用、過量投与の項について改訂し、変更内容の徹底を図るとしている。(平成15年8月12日 薬事日報)

PPAによる脳出血で使用上注意改訂を指示

厚生労働省医薬食品局安全対策課は8日、塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)を含有する医薬品による脳出血等の副作用が複数報告されたことを受け、使用上注意改訂など安全対策の強化を求める通知(薬食安発第0808001号)を日本製薬団体連合会に出した。 また製薬企業等にはPPAを含有する医薬品から、塩酸プソイドエフェドリンまたは硫酸プソイドエフェドリン(PSE)への切り替えを指示。PPAを含む一般用医薬品の新たな製造を自粛することも求めた。(平成15年8月11日 日刊薬業)

抗うつ薬「パキシル」の使用上注意改訂検討中

厚生労働省医薬食品局安全対策課は、18歳以下のうつ病(大うつ病)の患者に使用すると自殺のリスクが増大するとの報告が海外であったグラクソ・スミスクラインの抗うつ薬「パキシル」(一般名=塩酸パロキセチン水和物)の使用上の注意改訂を指示することを検討中だ。18歳以下の大うつ病の患者への使用を禁止することなどを使用上の注意に盛り込むように指示する予定。 現在、専門家を交えて指示内容の最終調整を行っており、早ければ今月中にも改訂を指示する方針だ。(平成15年8月7日 日刊薬業)

インフリキシマブに白血球減少などの副作用

厚生労働省は5月29日に公表した「医薬品・医療用具等安全性情報」で、難治性クローン病治療薬であるインフリキシマブ(商品名レミケード点滴静注用100=田辺製薬)に、白血球減少や好中球減少の副作用が起こると報告。 同省は、これら2症状を重大な副作用とする使用上の注意の改訂を行うとともに、医療関係者に注意を喚起した。 既存治療で効果が不十分な中等度から重度の活動期のクローン病治療薬として、昨年5月に発売されたインフリキシマブは、今年5月に慢性関節リウマチ治療薬としても承認されている。 今までに出荷ベースで9億円を売り上げ、推定患者数は1350人。 安全性情報では、同剤投与により白血球減少、好中球減少といった副作用が9人(死亡なし)に発症したと報告、新たに「重大な副作用」として2症状を追加し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うよう指示した。(平成15年5月3日薬事日報)

解熱鎮痛消炎剤成分、副作用で消化管に穴 3人死亡

解熱鎮痛消炎剤の成分として使われている「ロキソプロフェンナトリウム」で、小腸などの消化管に穴があく副作用の報告が90年から11人あり、うち3人が死亡していたことが29日、厚生労働省のまとめでわかった。 厚労省は同日、腹痛などが起きたらすぐに投与を中止するよう、医療機関に注意を呼びかける安全性情報を出した。 厚労省によると、同成分を含む薬の販売は86年に始まり、現在29社が製造・販売している。 消化管のほか、無菌性髄膜炎が8人、血圧低下や呼吸困難などが12人報告されているが、いずれも死亡例はないという。(平成15年5月29日 朝日新聞)

SJS患者 被害者救済制度の適用、2割に満たず

薬の副作用で皮膚などにやけど状の炎症が生じ、重症化して死亡することもある「スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)」の患者のうち、国の医薬品副作用被害救済制度の適用を受けているのは2割に満たないことが、東洋大の片平洌彦(きよひこ)教授らの調査で分かった。制度の存在すら知らなかった患者も2割を超えた。SJS患者の被害実態調査は初めてで、来年3月の日本薬学会で詳しく報告される。SJSは市販のかぜ薬や解熱鎮痛剤など、一般に使われている医薬品が原因で、発熱や発しん、目の炎症などが起きる副作用。重症化すると、全身の皮膚がむけ、「中毒性表皮壊死症(TEN)」と呼ばれる症状から死に至ることもある。97年4月から01年3月までの4年間の症例報告は1184件(うち死亡105件)。片平教授らはSJS患者69人(6〜72歳)を対象に調査したところ、国の救済制度の適用を受け医療費などを給付されていたのは13人、受けていなかったのは45人、申請中や不明が11人。適用を受けていない45人のうち、18人は制度の存在を知らなかった。これらの人は医師からSJSと診断された際にも救済制度について説明されていなかったことになる。皮膚や粘膜の炎症については、患者の約8割が発症時より良くなったと回答したが、目の炎症は半数近くが「悪化した」と答えた。3分に1回は目薬を差さなければならなかったり、両目に200本くらいの逆さまつげがあるとの訴えもあった。SJSは早期治療が重要とされているが、発症から治療まで1週間以上を要した患者は約3割の21人。発症により、失職・退学した患者は25人だった。片平教授は「国はSJS患者への対策を早急に講じるとともに、現行の副作用救済制度の大幅な改善を図る必要がある」と指摘している。(平成14年12月5日 毎日新聞)

子供解熱剤アセトアミノフェン、大量摂取で肝障害の恐れ

米食品医薬品局(FDA)の専門委が19日、解熱剤アセトアミノフェンの過剰摂取に注意を呼びかけた。取りすぎると肝障害を起こす恐れもあるという。 アセトアミノフェンは薬効が穏やかで、子供の解熱にも使われる。処方薬を正しく使えば危険はないが、アセトアミノフェンを含む複数の市販薬を同時に服用すると、気づかぬうちに過剰摂取になる場合もある。 FDAによると、米国では気づかないうちに取りすぎて年1万人以上が救急病院に運ばれ、約100人が死亡している。 同専門委は、アセトアミノフェンを含むすべての薬剤で成分表示を徹底するとともに、過剰摂取したら肝障害が起きる恐れがある点もラベルに明記するよう求めた。 日本では、別の種類の解熱剤がインフルエンザ脳炎・脳症を悪化させる恐れが指摘され、日本小児科学会はアセトアミノフェンを薦めている。厚生労働省によると、十数種類の鎮痛・解熱剤に使われている。(平成14年9月20日 朝日新聞)

脳梗塞薬の副作用で17人死亡

脳梗塞(こうそく)の再発防止のために使われる抗血小板薬「塩酸チクロピジン」(商品名・パナルジンなど)の副作用で、今年6月までの1年間に17人が死亡していたことが分かり、厚生労働省は23日、製薬会社が緊急安全性情報を医療機関に配布して注意を呼びかけるよう指示した。厚労省によると、パナルジンを製造・販売する第一製薬と、後発品メーカー19社が、塩酸チクロピジンを製造。この1年間に、腎障害などを起こす血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)13人(うち死亡5人)▽白血球が少なくなる顆粒(かりゅう)球減少35人(同6人)▽重い肝障害97人(同6人)−−の145例の報告があった。死亡した17人は50代から90代の男女で、全員パナルジンを服用していた。これら副作用の約9割が、服用を始めてから2カ月以内に発症することがわかっており、99年6月にも緊急安全性情報が出された。当初の2カ月間は2週間ごとに血液検査をして、異常があれば服用を中止するように警告した。第一製薬によると、今回の17人のうち、これが守られていたのは7人だけだった。(平成14年7月23日 朝日新聞)