関節軟骨は、ヒアルロン酸とタンパクを豊富に含む関節液によって栄養されています。ヒアルロン酸は滑膜細胞より分泌され、軟骨の合成作用や関節の潤滑作用に関与しています。したがって、関節内にヒアルロン酸を投与することで、軟骨が保護され関節炎の進行を遅らせる作用があります。 また、関節内に水が溜まり、ヒアルロン酸の濃度が低下すると、潤滑作用や関節の動きが悪くなります。ヒアルロン酸を注入することで関節内のヒアルロン酸の濃度が高められ、関節の動きや関節水腫(関節に水がたまる状態)が改善されます。あたかも、車のエンジンオイル(ヒアルロン酸)がエンジン(関節)の磨耗と摩擦を軽減し、歯車の動きを滑らかにする作用に似ています。 さらに、ヒアルロン酸は滑膜に反応して発痛物質(炎症性サイトカインやプロスタグランジン)などを抑制し痛みを緩和する作用があります。副作用はほぼ無く非常に安全で使いやすい注射剤です。 医療保険の関係で、使用回数は連続週5回投与となっていますが、症状に応じて使用回数を増減します。変形性膝関節症や肩関節周囲炎、関節リウマチが保険適応になっております。他の部位の関節炎に使用しても同様な効果はあると考えます。ただし、保険適応になりません。また、潤滑作用を有するので腱鞘炎にもよい効果があると思います。腱鞘炎にも保険適応になりません。 飲むヒアルロン酸について 関節軟骨は柔らかいスポンジのような硝子軟骨です。軟骨細胞と軟骨基質(水分+プロテオグリカン+U型コラーゲンなど)からなっています。ただし、関節軟骨には血管や神経がありません。そのため、軟骨の栄養源は血管からではなく、関節の袋の滑膜から分泌される関節液です。 関節液には軟骨の栄養素となるヒアルロン酸やタンパク質などがたくさんあります。軟骨はスポンジのように柔らかいものですから、歩行などの荷重時(体重がかかる時)は軟骨は潰されます。荷重から解放されると元の大きさの軟骨に膨らみます。その際、関節液内のヒアルロン酸が軟骨内に吸い上げられ、軟骨に浸透し栄養源となります。 これの現象は、バケツに水を入れて手でスポンジを潰した状態で手を離すとスポンジの中に水が注入されるイメージです。軟骨には血管がありません。したがって、ヒアルロン酸を飲んでも食べても軟骨の栄養源になりません。
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