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原発不明がん
原発巣が見つからず、転移巣だけが判明している「原発不明がん」。患者が少ない希少がんの一つです。日本臨床腫瘍学会の診療ガイドラインなどによると、原発不明はがん全体の1~5%を占め、国内では毎年7千~8千人の患者が発生している。診断後の生存期間は6~9カ月で、他のがんに比べて短い。原発巣が特定できない原因はいくつか考えられる。一つは原発巣がとても小さく、CTやMRIなど画像検査の検出限界を超えているケース。二つ目は、私たちの体の免疫システムによって原発巣が消滅し、転移巣だけが残ったケース。転移先はリンパ節や肝臓、骨、肺などが多く、複数臓器に認められる患者も少なくない。原発不明がんが疑われると、患者の全身状態の把握、血液や尿の検査、エックス線やCTによる画像検査などで原発巣の探索が試みられる。特に重要なのは転移巣の組織を採取して調べる病理学的検査だ。顕微鏡による観察で「腺がん」「扁平上皮がん」といった、がんの組織型を判別できる。また、がん表面のタンパク質を染色して染まり方のパターンを調べる免疫染色は、がんがどの臓器由来なのかを推定するのに役立つ。こうした検査を尽くしてもなお原発巣を特定できなければ、原発不明がんの診断が確定する。しかし、80~85%の患者有力な治療法がない。近年、遺伝子を調べて患者ごとに有効な治療を選ぶゲノム医療が本格化。数十~数百の遺伝子を一度に調べる「遺伝子パネル検査」が2019年に実用化し、原発不明がんも保険診療の対象となった。治療薬として分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が用いられ、従来の治療より成績が上がったとの報告も出ているという。さらに原発巣の推定でも、がん組織でどの遺伝子が活発に働いているかを調べる「遺伝子発現プロファイル」などの研究が進み、高い推定精度が報告されている。()2026年9月14日共同通信社)

手術前の口腔ケアは術後肺炎の発症率を減少
手術の前に患者に口腔ケアを行うと、術後に肺炎にかかるリスクを下げることが、徳島大病院口腔管理センターの調査でわかった。6万人のデータ分析では肺炎の発症率を約4割減らせており、医科と歯科で連携して口腔ケアを行うよう呼びかけている。手術や化学療法などを受ける患者は免疫力が下がり、細菌に感染して肺炎を引き起こすことがある。徳島大病院では手術前、歯科医が根元や歯肉が膿んでいるなど感染源になる歯がないかをレントゲンで調べて処置する。歯科衛生士はスケーラーという電動器具で歯石を取り除き、回転ブラシなどで歯を磨き、消毒する。意識障害があって誤嚥しやすい重症患者も手作業で歯石をとる。(2026年9月9日読売新聞)

膵臓がんに画期的新薬
膵臓がんは早期発見と治療が困難で、致死率の高いがんの筆頭だ。米新興企業が開発した膵臓がん治療薬による国際的な臨床試験で、転移した膵臓がんのある患者の生存期間を2倍に延ばしたことが報告され、米国は優先審査で迅速に承認した。国内でも使用できるようになるか、関係者は注目している。この薬は経口薬ダラキソンラシブで、今回発表された第3相治験には6カ国の計59施設が参加した。切除不能の転移性膵臓がんに対する化学療法で効果がなかった患者500人を半数ずつに分け、一方には別の化学療法を施し、他方にはダラキソンラシブを投与した。化学療法では生存期間の中央値が6・7カ月だったのに対し、ダラキソンラシブでは13・2カ月に及び、死亡リスクを60%低減した。がんが縮小した患者は化学療法で11・2%、ダラキソンラシブで31・6%だった。(2026年9月7日共同通信)

一度太るとなぜ痩せにくい? 
一度肥満になると、減量後もリバウンドしやすく、以前より痩せにくくなるのは、脂肪組織の免疫細胞「マクロファージ」に肥満時に起きた質的変化が「記憶」として残るためだと、昭和医科大などの研究チームが明らかにした。新たな肥満治療法の開発につながる可能性があるという。肥満は糖尿病や心血管疾患などのリスクを高め、医療費増大の要因にもなることから、世界的な社会課題となっている。一方、食事制限や運動による減量を長期間維持するのは難しく、多くの人がリバウンドを経験している。原因として、脂肪細胞やマクロファージに肥満時の遺伝子の量の変化が「記憶」されることが指摘されている。ただ、それだけでは、死んだ脂肪細胞の除去や炎症に関わるマクロファージが、痩せにくさにどのように関与しているかは説明できなかった。チームは、マウスを太らせた後に減量させる実験をし、脂肪組織内のマクロファージを解析した。その結果、遺伝子の読み取り過程である「スプライシング」を制御する分子「CWC22」の機能低下が、痩せにくさに関与することを突き止めた。脂肪組織のマクロファージでCWC22を欠損させたマウスは、通常のマウスより体重減少が遅く、脂肪組織の重量も増加していた。また、複数の遺伝子でスプライシングのパターンが変化し、その約半数は減量後も維持されていた。特に、死んだ脂肪細胞の除去に必要な因子のスプライシングが変化し、特殊なたんぱく質が生成されることで、マクロファージの死細胞除去機能が低下していた。その結果、脂肪分解を促す物質「イノシン」の放出が減少し、脂肪燃焼が進みにくくなるため、減量後の痩せにくさにつながるという。この特殊なたんぱく質を阻害する物質をCWC22欠損マウスに投与したところ、内臓脂肪が減少し、体重減少も促進された。ヒトでも肥満者ではCWC22の活性低下が確認された。(2026年8月27日毎日新聞)

認知症薬「レカネマブ」、皮下注射承認
アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」(商品名レケンビ)の皮下注射について、厚生労働省の専門家部会は、製造販売の承認を了承した。現在使われている点滴薬と比べて投与時間が大幅に短縮され、患者や医療機関の負担軽減が期待される。レカネマブは早期アルツハイマー病患者らの脳内に蓄積する異常なたんぱく質「アミロイド βベータ 」を取り除き、進行を抑える。皮下注射は、ペン型の注入器で、腹部や太ももなどに週1回、2本注射する。1本あたり約15秒で終わる。国内外の患者が参加した臨床試験では、有効性や安全性が点滴薬と同等だと確認された。点滴薬は、2週間に1回、医療機関に通い、1時間程度の点滴を受ける必要があり、通院負担などが課題になっている。(2026年8月26日読売新聞)

食道がんに新薬
遺伝子を改変したウイルスでがんを治療する食道がんの新薬「テロメライシン」が発売された。「がんウイルス療法」の実用化で、食道がんのウイルス療法は世界初となる。テロメライシンは風邪の症状を引き起こすアデノウイルスの遺伝子を改変し、がん細胞の中でだけ増えてがんを破壊して正常な細胞は傷つけないようにしている。内視鏡を使い、がんのある部位に直接注射する。髪が抜けるような重い副作用は報告されておらず、主な副作用は発熱程度とされる。ウイルス療法は、手術、放射線治療、化学療法、免疫療法に続く「第5の治療法」と呼ばれる。高齢で手術に耐えられない人や臓器障害のために抗がん剤を使えない人などへの新しい選択肢として期待される。放射線治療との併用も想定される。薬価は1クール3回の投与で約930万円。公的医療保険と高額療養費制度を使えば、一般的な現役層(年収約370万~約770万円)の窓口負担は約17万円とみられる。(2026年8月24日産経新聞)

定年廃止、給与水準落とさず80歳過ぎても働ける
塩野義製薬は2027年度から定年を事実上廃止する方針を固めた。現在は60歳定年制で、定年後は65歳まで再雇用している。27年度以降は、65歳まで現状の雇用形態を維持し、65歳以降は、本人の意思や業務の成果を考慮した上で、原則1年ごとに継続を判断する。再雇用では給与水準が落ちていたが、新制度では70歳や80歳を過ぎても、現状の水準のまま働き続けることも可能になる。経験豊富なベテランのノウハウや技術力を継承し、競争力の高い製品の開発につなげる。欧米では定年制度を持たない企業が大半だ。海外での事業拡大に合わせ、人事制度にもグローバル基準を取り入れる。(2026年8月18日読売新聞)

介護保険証とマイナンバーカードの一体化
介護保険証とマイナンバーカードを一体化し、マイナカードのみで資格確認できる仕組みの導入を進めている。介護情報を電子データ化してシステム上で共有し、介護サービスの向上や事業所の負担軽減につなげる狙いがある。40歳以上が加入する介護保険制度では、自治体や介護事業所などの関係機関が利用者の情報を紙でやり取りしてきた。介護現場の人手不足が課題となる中、業務の効率化に向けてオンラインシステムで共有できる仕組みに改める。新システムに移行すると、利用者はマイナカードを介護事業所に提示すれば資格確認を済ませられるようになる。マイナカードに保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」を持つ人は、追加の手続きなしで利用が可能だ。専用サイト「マイナポータル」で自身の介護情報も確認できるようになる。介護保険証と一体化したマイナカードはすでに大分市などで運用が始まっており、27年3月末までに408自治体で導入される見通しだ。厚労省は28年4月までに全国の約9割の自治体で利用が始まると説明する。医療機関は、要介護認定の手続きに必要な主治医の意見書をシステム上で提出できるようになるため、自治体に郵送する必要がなくなり、認定までの期間短縮が見込まれる。介護事業所はシステム上で必要な情報が確認できるようになり、速やかなケアプラン作成が可能となる。(2026年8月17日読売新聞)

日本人の大腸がん、半数に腸内細菌が作る毒素が関与
日本人の大腸がんの約半数で、毒素を作る特殊な大腸菌が発症に関与していると、大阪大や東大などの研究チームが発表した。大腸がんの予防や早期発見への活用が期待できるとしている。科学誌「ネイチャー・ジェネティクス」に掲載された。日本の大腸がん患者数は、過去40年で約7倍に増加し、欧米より罹患率が高い。食生活の変化などが指摘されていたが、詳しい理由は分かっていない。2025年に報告された国際共同研究では、一部の大腸菌が産生する毒素「コリバクチン」がDNAを傷つけた痕跡が、欧州や南米などの他国に比べて多いことが分かった。今回の研究では大阪と東京の大腸がん患者200例を対象に、がん細胞のDNAを詳しく解析。その結果、コリバクチンによる特徴的なDNAの傷痕が約半数で認められた。コリバクチンは大腸がんのブレーキ役となる遺伝子も直接傷つけていた。また、40歳未満で発症した大腸がんでは、約70%に痕跡がみられ、1965年以降に生まれた患者で増加していた。幼少期からDNA損傷が始まっている可能性も示された。幼少期に何らかの理由でコリバクチンを作る大腸菌が定着し、大腸がんの関連遺伝子の変異を引き起こし、数十年後の発症につながる可能性が考えられるという。(2026年8月10日毎日新聞)

早期胃がん、悪性度高くても内視鏡治療有効
悪性度が高い胃がんでも、早期段階であれば内視鏡治療でも長期的に有効だとする研究結果を、国立がん研究センターなどが発表した。内視鏡でがんを取り除く治療から10年の生存割合は96・2%だった。胃がんは、分化型と未分化型に分類される。未分化型は増殖能力が高く、浸潤しやすく転移を起こしやすいなど悪性度が高いと考えられている。このため、小さいがんでも胃と周辺のリンパ節を切除する外科手術が一般的だった。しかし、外科手術後は腹痛や下痢などの症状が出て生活の質が低下する場合があり、胃を温存できる内視鏡治療への期待が高まっていた。研究チームは2011~13年、胃がん患者のうち、腫瘍が2センチ以下で粘膜内にとどまる早期の337人に内視鏡治療を実施。このうち未分化型だった275人について再発の有無などを追跡調査した。5年時点の生存割合は99・3%で、この結果を受けて21年の診療ガイドライン改訂で内視鏡治療が推奨されるようになった。ただ、5年を超えて転移や再発する可能性が指摘され、さらなる検証が求められた。そこで10年間追跡したところ、10年の生存割合は96・2%に上り、無再発だった。早期発見、再治療体制の構築が必要だとしている(2026年8月7日毎日新聞)

AI設計の人工ウイルス
自然界に存在しないウイルスをAIで設計し、実際に機能することを確認したと、米アーク研究所などのチームが、米科学誌サイエンスで発表したチームは、専用のAIモデルに出力させたDNA配列の候補をもとに、細菌に感染するウイルス「ファージ」を設計した。ファージはDNAがたんぱく質の殻に包まれた単純なウイルスで、DNAの違いがその性質を決める。設計通りに合成したウイルスは、実際に大腸菌を死滅させることができた。期待されるのは医療への利用だ。ファージは、抗生物質などの薬剤が効かなくなった「薬剤耐性菌」も攻撃できる。AIで設計した多様なファージを組み合わせることも可能だ。一方、AIがバイオテロに使われる懸念も、現実味が増したことになる。生命科学分野への応用が有望だが、同時に緊急のバイオセーフティーとバイオセキュリティーに関する問題も提起する。生成AIでウイルスゲノムを構成する能力はすでに存在するが、安全に制御するためのガバナンスは確立されていない」とした。AIによるバイオテロの懸念については、すでに米AI企業から示されている。6月にはオープンAIのサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)やアンソロピックのダリオ・アモデイCEOらが、バイオセキュリティーの迅速な強化を米議会に求める書簡を出した。AIがウイルス学者を超える能力を持ち、「生物兵器」をつくるための障壁がなくなりつつあるとしていた。(2026年8月7日朝日新聞)

「簡易歯科健診」を推進
厚生労働省は、歯科健診を希望者が毎年受けられるよう、2027年度から、簡易検査ツールで歯周病の可能性を調べる検査を「簡易歯科健診」と位置づけて推進する方針を公表した。全国の自治体や職場での実施を支援する。全国民が生涯を通じて歯科健診を受ける「国民皆歯科健診」の実現につなげる。歯周病は、中高年が歯を失う大きな要因となっている。簡易検査は、容器に垂らした唾液を専用のシートにつけ、唾液中の血液成分の混ざり具合で歯周病の可能性を調べる方法などがある。疑いがある場合は、歯科医療機関への受診を勧奨する。28年度に全国での本格導入を目指す。(2026年8月7日読売新聞)

処方箋不要のED治療薬
医師の処方箋がなくても購入できる勃起不全(ED)治療薬「シアリス」(一般名・タダラフィル)の販売が始まった。ED治療薬の市販化は国内初。薬剤師の指導が必要な「要指導医薬品」に指定され、18歳以上の男性本人のみ購入できる。対象は、十分な勃起やその維持が難しい症状のある人。性行為の約1時間前に1錠服用し、早ければ約30分で効果が表れ、最大36時間持続するとされる。効果は性的刺激がある場合に限られる。他の薬との併用禁忌があり、心血管障害などのある人は使えない。希望小売価格は1箱4錠、5808円。8月31日から全国で販売される。購入時は服用の可否を確認するチェックシートに回答し、研修を受けた薬剤師が販売の可否を判断する。年齢確認のため身分証の提示を求められる場合がある。日本性機能学会が2023年に20~70代を対象に実施した調査では、ED患者は3人に1人と推計された。(2026年7月31日毎日新聞)

エボラ出血熱の新ワクチン

致死率が非常に高いエボラ出血熱に対する新たなワクチンを開発し、初期の臨床試験で有効な結果を得られたと、大阪大の研究チームが米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンで発表した。従来のワクチンより高い安全性が期待される。エボラ出血熱はエボラウイルスによる感染症で、流行によっては致死率が最大90%と報告される。2014~16年の西アフリカでの流行では約2万8000人が感染し、約1万1000人が死亡した。現在使われているワクチンは、口内炎を引き起こすウイルスにエボラウイルスの表面たんぱく質を作らせる生ワクチン。有効性が高い一方で、より高い安全性が求められていた。チームは、エボラウイルスが細胞内で増殖する上で欠かせない遺伝子を働かなくした変異ウイルスを作製。特殊な環境でしか増殖しないため製造時の安全性を確保できるという。さらに、この変異ウイルスの遺伝子に化学物質を添加することで感染性を完全に失わせ、不活化ワクチンを開発した。(2026年7月30日毎日新聞)

がん拠点病院 手術、年400件以上
厚生労働省は、全国で専門的ながん医療を提供する「がん診療連携拠点病院」の集約化に向け、指定要件を厳格化する方針を決めた。年400件以上の手術や放射線治療の患者数が年200人以上を必須要件とし、外科医が減るなか、質の高い医療を維持できるようにする。2029年度からの導入を目指す。近年は外科医が減少し、将来的に深刻な不足が見込まれている。食道がんや膵臓がんの切除など難度が高い手術は、実績が多い病院ほど患者の生存率が高いとの報告があり、放射線治療では、患者数が少ない地域で治療装置を維持するのは費用負担が大きいとの指摘もある。厚労省は、拠点病院に医師や患者を集める必要があると判断し、集約化を図って持続可能な医療提供体制づくりを進める方針に転換した。新しい指定要件は、29年度に拠点病院の整備指針を改定する際に盛り込むことを目指している。(2026年7月28日読売新聞))

AIで胃がん発見率3倍に
内視鏡画像からがんの疑いがある部分をリアルタイムに検出する人工知能(AI)システムを使うことで、胃がんの発見率が約3倍に向上したとの研究結果を千葉大が発表した。医療機関で健診を受けた約5万人のデータを分析。通常は医師が目視で周囲と異なる色や形になっているがんを見抜くが、画像の四隅などは確認しづらい場合があり、一定の見落としがあることが課題だった。システムは、画像中のがんとみられる部分を囲って表示し、医師の判断を助ける。目視のみでは0・03%だった発見率が、システムを利用すると0・10%に上昇。長径10ミリ以下と小さく、早期段階とみられるものが多かった。(2026年7月27日共同通信)

日本人の平均寿命、女性87.33歳、男性81.35歳
2025年の日本人の平均寿命は、女性が87・33歳、男性が81・35歳だった。前年を上回ったが、コロナ禍前まで続いていた過去最高水準には届いていない。前年に比べて女性は0・20歳、男性は0・25歳延びた。がんや心疾患、新型コロナウイルス感染症などによる死亡率の低下が寿命の延びにつながったという。過去最高だったのは20年の女性87・71歳、男性81・56歳。コロナ禍の21年から2年連続で短くなり、23年に再び延びた。厚労省によると、各国の平均寿命との比較では男性が7位。女性は1985年から世界首位が続いている。(2026年7月24日朝日新聞)

心臓病の治療にiPS由来の「リハート」保険適用
厚生労働省は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った心臓病治療用の再生医療製品について、公的医療保険を適用が了承された。公定価格は5320万円で、9月から保険適用される。iPS細胞由来の製品の実用化は、5月に保険適用になったパーキンソン病治療用の製品に続いて2例目となる。心臓病治療用の製品は、iPS細胞から作った心筋細胞をシート状に加工した心筋細胞シート「リハート」で、狭心症や心筋梗塞などで心臓の働きが悪くなる虚血性心筋症を発症し、重症心不全を起こした患者が対象となる。薬物治療など標準治療の効果が不十分な人に限られる。心臓の表面に3枚貼る。心筋細胞から分泌されるたんぱく質などが働き、心臓の機能を改善させることが期待されている。国内で行われた初期段階の臨床試験では、患者8人に使用し、26週後に2人で心臓のポンプ機能の改善が確認された。52週後には4人で、運動機能に関わる指標が改善した。iPS細胞由来の製品で懸念される腫瘍の発生は起きていない。公定価格は5320万円と示された。高額療養費制度を利用すれば、患者の自己負担額は多くても数十万円となる。(2026年7月23日読売新聞))

8月から変わる「高額療養費制度」
医療費が高額になった場合に患者の自己負担を抑える「高額療養費制度」が8月から見直される。1か月の自己負担の上限額が年収に応じて最大7%引き上げられることや、新たに年間上限を設けることが柱だ。制度見直しには、応能負担を徹底することで医療費を抑制しつつ、難病患者など長期療養者への支援を手厚くする狙いがある。月の負担上限額は年収に応じて4~7%引き上げられる。年収が高いほど負担増となる。例えば、年収が約370万~約770万円の場合、月の負担上限額は現行の約8万円から約8万5000円に引き上げられる。年収約770万~約1160万円の場合は約16万7000円から約17万9000円となる。長期療養が必要となる難病、慢性疾患を抱える患者らの負担軽減策として、「年間上限」の仕組みも設ける。年収に応じて18万~168万円に設定している。8月からの措置は見直しの「第1弾」にあたり、2027年8月には、1か月の自己負担上限額がさらに見直される。応能負担を徹底するため、住民税非課税世帯を除く年収区分を現在の4から12に細分化した上で、現行の上限額から最大で38%引き上げる。厚生労働省は、こうした高額療養費制度の2段階での見直しにより、医療費を賄う保険料負担を1600億円程度減らせるとみている。(2026年7月21日読売新聞))

フランス「死への援助法」成立
フランス国民議会は、終末期患者に厳格な条件の下で致死量の薬の投与を認める「死への援助」法案を賛成多数で可決した。上下院で長年にわたり議論され、これまで何度も採決してきたが、今回が最終的な可決となり、同法は成立した。今後、違憲性の有無を監視機関、憲法会議が審査する。安楽死や自殺ほう助を禁じる従来の政策の転換に大きく近づいた。憲法会議を経て同法が施行されれば、フランスはオランダやベルギー、スイスなどに続いて安楽死や自殺ほう助を合法化する国となる。重篤で治療困難な病気に侵された終末期の患者で、苦痛を和らげる手段がないフランス国籍またはフランス在住外国人の成人のみが死への援助を受けられるとしている。患者は自ら薬を投与する必要があり、身体的に不可能な場合にのみ例外的に医師または看護師が投与できる。英国でも終末期の成人患者が安楽死を選ぶ権利を認める法案を巡り議論が進んでいる。(2026年7月16日読売新聞))

病院医師の残業、年960時間超が15%
病院の勤務医の15%が2025年に、通常の残業時間の上限規制である年960時間を超えて働いていたとみられるとの調査結果を厚生労働省がまとめた。22年時点の約21%から減少したものの、医師の長時間労働が依然として続いている実態が明らかになった。厚労省は、残業時間を減らす方策を議論する方針だ。24年に始まった「医師の働き方改革」では、勤務医の残業時間の上限は原則年960時間になった。救急医療などに当たる勤務医の上限は例外的に年1860時間だが、厚労省は35年度末に廃止するとしている。調査は、25年に全国の病院で働く約1万3000人の常勤医を対象に行った。週の勤務時間が60時間以上で、通常の残業時間が年960時間超に相当する割合は15%に上った。診療科別に、外科が25・1%、救急科が23・7%、産婦人科が22・8%、脳神経外科が18・7%となった。(2026年7月11日読売新聞)

iPS細胞から腹膜細胞作製に成功
人のiPS細胞から、おなかの内側を覆う半透明の膜「腹膜」の細胞を作ることに成功したと、関西医科大と昭和医科大のチームが発表した。腹膜は、腎不全の患者が受ける人工透析の一種「腹膜透析」によって傷むことがあり、損傷した腹膜の治療法などの研究に役立つ成果という。腎不全になると、腎臓の代わりに血液中の余分な水分や老廃物を取り除く人工透析が必要になる。医療機関で機械を使用する「血液透析」が一般的だが、近年は自宅でできる腹膜透析の患者が増えつつある。一方、腹膜透析は腹膜の細胞が傷むことなどから8~10年間が限度で、中断せざるを得ない患者もいる。同大学らは、iPS細胞に特定の試薬を加え、腹膜の表面にある細胞を効率的に作製することに成功した。この細胞を腹膜が傷ついたマウスに投与すると、腹膜が修復され、老廃物を取り除く機能も改善した。論文が国際科学誌に掲載された。(2026年7月11日読売新聞)

ナッツアレルギー、微量摂取治療
ナッツアレルギーの子どもが微量のナッツを摂取する治療を受けることで、2割が日常的に食べられるようになったとの臨床研究の結果を、国立成育医療研究センターなどが発表した。時間をかけて摂取量を徐々に増やす方法で、難しいとされるナッツアレルギーの治療が可能であることを示した成果だ。論文が国際医学誌に掲載された。消費者庁によると、食物アレルギーの原因別で、ナッツを含む木の実類は24%と、鶏卵の26%に次いで多い。ナッツアレルギーがあるとアナフィラキシーなど重い症状を起こす恐れがある。自然に治るのは1割未満とされ、多くの患者がナッツの摂取を避けている。同センターでは、クルミやカシューナッツにアレルギーがある子どもを対象に、ナッツの成分をごく微量含んだ蒸しパンやペーストなどを食べてもらい、体が慣れたら徐々に摂取量を増やしていく治療を行っている。治療期間は数か月~数年にわたる。研究チームは治療を受けた171人の経過を分析した。その結果、19%にあたる33人が、日常生活を送るのに支障がないとされる5グラム以上を食べられるようになった。重い症状は出なかった。残りの104人は5グラムに達しなかったものの摂取量を増やせたり、治療中だったりして、34人は治療を中止した。(2026年7月6日読売新聞)

難病「肺高血圧症」の原因タンパク質を
千葉大などの研究チームは、国指定の難病「肺高血圧症」で、肺の血管の構造変化や炎症の原因となるタンパク質を特定したと発表した。新たな治療薬の開発や、患者の負担が少ない診断方法につながると期待される。肺高血圧症は、肺の血管の壁が厚く硬くなり、心臓に過大な負荷がかかって血圧が高くなる難病。診断には、心臓にカテーテルを通す検査をする必要があり、患者の負担が大きい。令和5年度の国内患者数は4682人で、若い女性が多い。5年生存率は約86%とされる。研究チームは血小板のタンパク質「MYL9/12」に着目した。重症なほど、このタンパク質の血液中の濃度が高いことを確認した。肺高血圧症状態にしたマウスに、このタンパク質の働きを抑える物質を投与すると血管の厚みが軽減され、血栓や炎症が抑えられて血流が改善した。治療薬の開発につながる可能性があるほか、血液中のこのタンパク質の量を測るだけで病気の程度が分かるようになることが想定される。(2026年7月3日産経新聞)

「付き添い入院」補助金、申請した病院は18%
入院中の子どもの世話を家族が泊まり込みで行う「付き添い入院」について、国が家族を支援するための補助金を創設したにもかかわらず、申請した病院は18%にとどまることが、NPO法人の調査で分かった。支援が生かされず、家族の生活環境が十分に改善されていない実態が明らかになった。同法人が昨年11月~今年1月に実施した調査では、回答した242病院のうち、保育士を増員したのは22%、看護補助者を増員したのは16%にとどまった。一方、こども家庭庁の補助金について「知らなかった」とした病院は33%に上った。また、21年以降に子どもの入院に付き添った家族ら約1200人への調査では、時間的、金銭的理由などで28%が1日の食事を1~2食で済ませていた。病室に家族用ベッドなどがなく子どもと同じベッドに添い寝した人は42%で、付き添い中に体調を崩した人も59%に上った。同法人は、国による継続的な実態把握や付き添い家族のさらなる環境改善などを盛り込んだ要望書を、厚労省とこども家庭庁に提出する。(2026年7月2日読売新聞)

緊急避妊薬、20代女性は5人に1人が経験 
望まない妊娠を防ぐために性交後に服用する緊急避妊薬(アフターピル)について、72時間以内の服用が必要と把握している女性は約6割にとどまることが、製薬会社の調査で分かった。緊急避妊薬が処方箋なしで、薬局で購入可能になって5カ月が経過したが、早期服用の理解促進や、知識を得る機会の必要性が浮き彫りになった。調査は、国内で市販されている2種類の緊急避妊薬「ノルレボ」と「レソエル72」のうち、レソエル72で調査した。インターネットで5月29日~6月1日、全国の20~40代の女性1000人を対象に行った。緊急避妊薬について「内容まで知っている」「何となく聞いたことがある」と答えた人は合わせて87.7%に上った。緊急避妊薬は服用が遅れるほど避妊効果が弱まり、72時間以内の服用が必要とされるが、性交後何時間以内に服用が必要かという質問に対し、「72時間以内」と答えた人は61.7%で、「わからない」が34.5%に上った。また3.8%が73~120時間以内と回答した。緊急避妊薬を服用したことがある人の割合は20代で最も高く19.5%で、ほぼ5人に1人という結果になった。(2026年7月2日産経新聞)

妊娠高血圧腎症の重症化予防
妊娠合併症の一つで、母子の健康に影響を与える「妊娠高血圧腎症」の妊婦の胎盤に「アミロイドβ」と呼ばれるたんぱく質が異常に蓄積していることを、和歌山県立医科大などのチームが確認した。アミロイドβをうまく除去できれば、妊婦の治療に役立つと期待される。妊娠高血圧腎症は、妊婦の数十人に1人程度が発症し、妊娠中に高血圧になったり、たんぱく尿が出たりする。母親の脳出血や赤ちゃんの発育不全を招くこともある。治療法はないが、出産後に軽快するのが一般的だ。胎盤がうまく形成されず、酸素や栄養が行き届かなくなることが原因の一つとされる。チームは帝王切開で得られた胎盤を詳しく調べた。その結果、妊娠高血圧腎症の母親5人の胎盤には健常な母親の胎盤より、アミロイドβが多くたまっていた。細胞の実験で、過剰な量のアミロイドβが母親から赤ちゃんへ栄養を届けるのに必要な細胞に悪影響を及ぼしていることも判明した。論文が国際科学誌に掲載された。チームは、妊娠後の適切な時期に、異常にたまったアミロイドβを除去できれば、重症化予防につながる可能性があると話す。(2026年7月1日読売新聞)

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